深見東州 (ワールドメイト) 情報事典
名刺30種類を持つ謎の教祖に怒濤の6時間インタビュー
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宗教は明るく楽しくなきゃいけない アノ広告も全部私が考えています
「ワールドメイト」代表にして、予備校「みすず学苑」や各種財団の代表を務める。
ユーモア溢れる広告が新聞を賑わすこともある。この男、何者か?取材会場に行くと、「お腹は空いてませんか」と深見東州氏。運ばれたのは「天丼てんや」のオールスター天丼だ。天ぷらに箸を運びながらしゃべる、しゃべる。取材時間は6時間に及んだ。
ユーモア溢れる広告が新聞を賑わすこともある。この男、何者か?取材会場に行くと、「お腹は空いてませんか」と深見東州氏。運ばれたのは「天丼てんや」のオールスター天丼だ。天ぷらに箸を運びながらしゃべる、しゃべる。取材時間は6時間に及んだ。

ーー深見氏は“歌って踊る教祖”と呼ばれる。「エンタメ」「ユーモア」は、神道の伝統と相容れないのでは?
深見 いや、神道は基本的に明るく楽しいものです。死後の世界を重視するキリスト教や仏教と違い、“生業と家とコミュニティの繁栄”を大切にする神道は現実世界に価値を見出し、非日常のお祭り騒ぎで”ハレ”の状態になって日常にたまった“ケガレ”を祓います。
神話で天岩戸を開けたのも、八百万の神の踊りと笑い、ユーモアだったでしょう。
我々は神社神道という2000年以上続く正統のもとにある宗教団体なんです。
神話で天岩戸を開けたのも、八百万の神の踊りと笑い、ユーモアだったでしょう。
我々は神社神道という2000年以上続く正統のもとにある宗教団体なんです。
ーー八百万の神を認めるなら、他の宗教も許容する?
深見 もちろん。アンチ創価学会を旗印に結成された新日本宗教団体連合会(新宗連*1)に国民皆官仰、という考えがあります。現代は交通や通信が発達し、ひとつの宗教が全ての国民を救済することは難しいが、信仰を持たないよりは任意の宗教に入信したほうがベターという考えです。
今の時代、宗教家はエゴを捨てて世界を幸せにするために協力すべき。創価学会も新宗連と仲良くすればいいと思いますよ。
今の時代、宗教家はエゴを捨てて世界を幸せにするために協力すべき。創価学会も新宗連と仲良くすればいいと思いますよ。
ーーでは、ワールドメイトは新宗連に加盟している?
深見 いや、入っていません(苦笑)。『末席でいいから入れて下さい』と頼んでも、『深見さんが入ると私たちが緊張するから』と断られる。私は創価学会とも協力したいけど、なぜか向こうが嫌がります。
ーー宗教家である一方、経営者としても活動している。
深見 基本的にビジネスは本名で活動している。名刺が30種類あって一時は秘書が26人いました。教祖が経営者になっても何の問題も矛盾もありませんよ。松下幸之助氏は辯天宗の総代で西武グループの堤康次郎氏は箱根神社の信者、他にも土光敏夫氏や出光佐三氏など、日本の経営者は宗教との関わりが強い。神道は聖と俗を区別して共存しますから。
ーーなぜビジネスと宗教を両立できるのか?
深見 ビジネスは活動、宗教は情熱とフィロソフィーと区別し、混同せず共存してるからです。また中小企業はマーケットをセグメント(細分化)して、トップのシェアをめざすべき。
例えば、大手メーカーが冷蔵庫を作るなら、我々は製氷機を作ってその分野で1位になる。事実、みすず学苑は関東だけで展開し、小人数制で英語教育に絞った。宗教も同じことです。私の出る広告は確かに胡散臭いけど、"納豆・ドリアン・くさや”と一緒で、実際に食べて気に入る人だけ来ればいい。仮に99人に嫌われても、1人が気に入れば成功です。
ーーたしかにあの広告は、一度見たら忘れられない。
深見 我々は12年に宗教法人化しました。宗教団体は新聞考査により広告を出せないので、塾や出版社名義で出稿しています。広告は細かな文言まで全部自分で考えて、1回で10回分のインパクトをめざしている。
掲載は関東版のみだったり、製作も自社でまかなうので、広告にかかる費用は意外と安いですよ。
掲載は関東版のみだったり、製作も自社でまかなうので、広告にかかる費用は意外と安いですよ。
ーー独特のユーモア感覚はどこで身につけた?
深見 同志社大学ESS(イングリッシュ・スピーキング・ソサエティー)の代表時代、イベントの出し物でギャグを磨きました。ウルトラマンが質問に答える”ウルトラマン問答”、や股の間から顔を出す“アワビ芸”、が大ウケして、今も伝説の人物として語り継がれていると聞きます。
93年にワールドメイトがマルサの国策捜査(*2)を受けた後は、”宗教は閉鎖的で暗くて反社会的”というイメージを覆すため、七福神のコスプレで記者会見しました。『顔がヤギに似ていたからスケープゴートにされました』と言ったら、会場がシーンとしてね(苦笑)。その後、国税とは13年かけて戦い、完全無罪を勝ち取りました。
ーー安倍首相など大物政治家とも親しいが、政治と宗教の距離感をどう考える?
深見 私が高校2年の時、父親が兵庫県議会議員に落選して大変つらい思いをしたから、落選議員を応援している。神道なので基本は右寄りだけど、野党が頑張らないと権力が暴走するのでそちらもサポートしています。ただし、宗教家がイデオロギーを口にするのは争いの元。私自身は具体的な政策論争に立ち入りません。
ーー今の時代、新宗教に求められるものとは?
深見 孤独に苦しむ現代人にどう幸せや夢や希望を与えるか。NHKの『無縁社会』(*3)を見ていても議論に宗教や信仰が出てこなかった。人間の苦しみや悲しみに寄り添い、共有し、救うのが本来の宗教の役割です。オウムで信頼を失った新宗教ですが、弱い立場の者を救済するという社会的役割は変わらない。今後も”明るく楽しく新しい宗教” 路線は貫きますが、信者と悲しみを分かち合うことも忘れてはいません。
1/1951年に結成された日本の新宗教の連合組織。立正佼成会やパーフェクトリバティー教団などが加盟している。
2/93年、ワールドメイト(当時名称コスモメイト)に、東京国税局査部が査察に入る。当時、同団体は宗教法人格の認可を申請しようとしていた。国税はそれを、企業活動も行っていた深見氏の「税金対策」と推測。だか不正蓄財の事実はなく、捜査は不発に終わる。
3/2010年から始まったNHKのドキュメントプロジェクト。人と人とのつながりの「希薄化」を多角的に検証した。
SAPIO 小学館 2017.3 34