チープ・トリック(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/04/11 Wed 14:23:26
更新日:2025/04/16 Wed 20:16:01
所要時間:約 4 分で読めます







おんぶして……
おんぶして ねっ!


おんぶして……




チープ・トリックとは、『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』に登場したスタンド能力。


【ステータス】

破壊力:E
スピード:E
射程距離:E
持続力:A
精密動作性:E
成長性:E


【概要】

明確な自我を持った完全に一人歩きしているスタンドの1つ。
外見は人相の悪い不気味な木人形といったところで、大きさも大体1mちょい。

能力は単純明快、背中に張り付いて「喋るだけ」。
大した事のない能力に思えるが、一度取り憑かれたら耳元で絶えず話し掛けてくる。ハッキリ言って精神に堪える。
自我を持っているので、取り憑いた者の言動に対していちいちツッコミを入れたり邪魔をしたりする。ハッキリ言って精神に(ry

「喋るだけの能力」とは言っても声はスタンド使い以外にも聞こえるので、電話を使って会話をしたり、さらには会話できる相手は人間だけに限らず犬や猫などの動物との会話も可能であると、「喋る能力」としては割と応用が効く。
もし翻訳家として使いこなせれば凄く重宝しそうな能力なのだが、いかんせんチープ・トリックの性格が性格なので
街中で見ず知らずの人に対し勝手に喧嘩を売ったり、嘘の出前注文で大量の配達員を呼び寄せたり、動物たちに露伴の虚構の悪評を振り撒いて敵視させたりとやりたい放題であった。

サヨナラするには「誰かに背中を見せる」しかないが、そうした場合、憑依元は背中の肉が扉のように裂けて、生気を吸い尽くされ干からびて死んでしまい、チープ・トリックは背中を見せた相手に転憑依する。
背中を見るのは人間である必要は無く、知能を持つ動物であれば転憑依の条件は満たされる。

アヌビス神と同じく取り憑かれた者にスタンドの本体権が移るため、チープ・トリックへの攻撃は取り憑かれている者へのダメージとなって返ってきてしまう。
また、チープ・トリックはパワーではなく「能力」で背中に張り付いている為、別のスタンド能力で力ずくで引き剥がそうとした場合、背中の肉がチープ・トリックの手の形に裂けてしまう。


……と、このようにコイツに取り憑かれたが最後、
  • 延々と続く囁きと言葉による嫌がらせに耐え続けるか
  • 誰かに背中を見られて死ぬか
の二択しかないという、色々な意味でどうしようもないスタンド能力。仮に本体が操れるようになったとしてもデメリットしか存在しないハズレ中のハズレスタンド。


だが、刺客としては非常に優秀
破壊力こそないが、その対処手段の少なさから岸辺露伴が心底恐怖を覚えたスタンドだった。


どんな最強の『スタンド』だろうが喋るだけの
パワーの無いぼくを倒す事はできないってわけだなあーっ



【本体:(きのと)雅三(まさぞう)





こんにちは〜〜〜 お電話いただきました…

建築設計の乙です〜〜〜


CV:石井真
演:市川猿之助(ドラマ版)


1970年生まれの一級建築士。
火事にあった露伴の家の修理と改装見積もりの仕事を依頼されやってきた。
ちょっぴりぼったくるつもりでいたらしい。…だが、この以前には露伴の家の損害は700万円とあったが彼の見積もりは2,000万円…ちょっぴりってレベルじゃねーぞ!!*1
その時露伴は杜王町駅で撮った写真の中に父親である川尻浩作(になりかわった吉良吉影)をビデオカメラで隠れて撮影していた川尻早人を見つけて不審に思っていた。

数日前に吉良吉廣に背中を『』で射抜かれスタンドを発現するも、スタンドを操作するスタンド使いにはなれなかった。*2
だが、チープ・トリックの声は聞こえており、『背中を見せてはならない』という恐怖だけはあった。
つまり露伴の家に来るまで誰にも背中を見せずに生活していたという事になる。これだけで十分スゴい事である。
当然露伴の家でも彼に背中を見せないようにしていたが、これが彼の好奇心を刺激してしまい、露伴は雅三を騙して背中を見てしまう。
その結果、チープ・トリックの転憑依の条件を満たしてしまい……



お 終わりだよ…

わたしは もう............終わったんだ......


涎を垂らしながら絶望の表情を浮かべた直後、己のスタンド能力によって背中を裂かれ殺されてしまった。
色んな意味で気の毒な最期である……


尚、『矢』で射抜かれたとは言え、本来吉良親子とは無関係な人物ではあるにもかかわらず、チープ・トリックは「写真焼いて」と吉良吉影を擁護する行動をとっていた。
乙自身が鋼田一豊大宮本輝之輔のように吉良吉廣に指示されたとも考えにくく、この辺りは全くの不明である。

ちなみにアニメ版での露伴初登場回にてまだ背中を見られてもよかった彼の姿が垣間見える。



【活躍】

本体である乙雅三を殺した後、吉良吉影に繋がる写真を始末するために露伴に写真を焼くよう囁き続ける。
露伴は広瀬康一を呼ぶも、一見するとふざけているようにしか思えないその言動に、日頃の行いが災いして最初は信じて貰えず帰られてしまう。アニメでは康一は別の襲撃者に襲われたばかりだったので心配していた分、余計に機嫌を悪くさせてしまった。
耳栓の上に絆創膏を貼る事で音をシャットダウンし、写真の調査を続行するも、疲れて居眠りしてしまい、その隙に様々な店や消防局に電話をかけまくった。*3


火事はどこです 火事は?
知らないよ!家政婦紹介所へ行け!

それ家事ね

このままではらちがあかないと判断し、危険を承知で空条承太郎のいる杜王グランドホテルまで行く事にする。

しばらくは塀に背中を預けながら渡るが、やがて信号付きの大きな交差点に行き着いた露伴。
背中を隠す壁も無く、青信号時には人が常に行き交う交差点を誰にも背中を見せずに渡るのは不可能と思われたが、
彼は横断歩道を渡る人の背中に自分の背中を密着させるという斜め上の方法で切り抜けようとする。
途中チープ・トリックの妨害に合うが、ヘブンズ・ドアーで密着相手を振り向けなくする事で無事突破。

人気の無い路地に入った所でチープ・トリックは今度はをけしかけて襲わせるも、後一歩で背中を見られてしまう所を康一のエコーズACT3に救われる。
実は少し気になって戻ってみて、露伴の一連の行動を見ていた彼は、敵スタンドに露伴が襲われている事を察知する。
3FREEZEで叩き落とそうとするも、憑依先にダメージをフィードバックさせる能力により露伴の背中にダメージが返ってしまい、中断せざるを得なくなってしまう。
何をしてもチープ・トリックは剥がせない事を悟ると、露伴は気が触れたように笑い出し、康一に背中を見せた。


ついにまいっちまったかーッ
空条承太郎のところへ行っても無駄だとわかったんでーっ

ハハハ 精神が崩壊しちまったようだなあーッ


よしッ!康一に背中を見せたなッ!
次は広瀬康一に『転憑依』するッ!


チープ・トリック……この場所でお前は『振り向いた(・・・・・)



だが露伴の真の目的地は、あの世とこの世の境目、つまり杉本鈴美のいる「振り向いてはいけない小道」だった。
その能力故に背中を見た康一の方に振り向いた(仮に知っていても振り向かざるを得ない)為、そこの振り向いた者のみをあの世に連れて行く手に掴まれ、引っ張られてしまう。
物理的に剥がすのは不可能なチープ・トリックだが、小道の手は「振り返った者の魂だけ」を連れていくため、チープ・トリックだけを掴むことが可能なのだ。


何イイイイイーッ

うおおおおっ 放せッ!

ねっ! 放せ!
どこへ引っ張って行く気だァーッ! ねっ!


『あの世』だよ

『天国』とか『地獄』とかあるのかどーかは知らんが念のため
描いといてやる(・・・・・・・)


【地獄に行く】


うわあああああああ

あああああああああ


トドメにヘブンズ・ドアーで「地獄に行く」と書かれてしまい(そこまで決定力があるのかは不明)、最期は絶叫しながらあの世に連れて行かれ、露伴は呪縛から逃れた。
しかし、ふり向いてはいけない小道を知っていなければ確実に露伴は殺されており、紛れもない強敵だった。


チープ・トリック撃破後にはバイツァ・ダストによる出来事を経てラスボスである吉良戦へと突入するため、主人公側に立ちはだかった最後の刺客である。



ドラマ 岸辺露伴は動かない ~背中の正面~

2021年12月放送。テレビドラマ版『岸辺露伴は動かない』の第二弾・第二夜。「チープ・トリック」戦をモチーフとしたオリジナルエピソードである。
原作とは異なりスタンドの概念がない同シリーズでスタンドバトルをどう描くのか、また勝利の鍵である「小道」を露伴が知らない状態からの勝ち筋に、既読の視聴者たちの注目が集まった。

乙雅三の設定も変更されており、リゾート関連の会社のプロジェクトリーダーとなっていて、
演者の市川猿之助氏も原作のひょろっとした若者ではなく、働き盛りの成人男性という雰囲気になっている。

肝心の露伴との戦いに関しては、演者たちの熱演もあって見応えがあるので是非とも本編を見てほしいが、
こちらでも結局「何故露伴を狙ったのか」については謎に包まれている。


余談

露伴のような裏技なしでは非常に対処が難しいスタンドの一つだが、ホワイトスネイクで対応できるのかはしばしば考察の対象になる。
チープ・トリックから見ると最悪クラスに相性が悪い相手だろうし、プッチ神父側から見ると抜き取って敵対者に押し付けるスタンドとしては非常に使い勝手がいい能力になるかもしれない。


元ネタは70年代に日本でメガヒットを記録し、日本武道館のネームバリューを不動のものにしたアメリカのロックバンド、『CHEAP TRICK』。
特に女性ファンが多いので、知らない人はお母さんなんかに聞いてみたら当然のように知っていたりするかもしれない。


横断歩道を渡る時に他人の背中に密着させて渡るという方法は、実写化に当たって脚本家の小林靖子が実践し成功させたと語っている。





追記、修正は背中を見せずに交差点を渡ってからお願いします。わかる? ね?

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最終更新:2025年04月16日 20:16

*1 一応フォローを入れておくと、もしも700万円の損害が火事によって焼失した資産価値を指すのであれば、復旧見積もりにはそれに各種工事費や報酬も加算されるので、1千万円を超える額になっても不思議はない。……にしても2千万円はやはり法外だと思うが。あるいは最初に高い金額を吹っ掛けてその後に安い金額を提示してお得感を出すという営業テクという推測も出来る。なお作者の荒木飛呂彦氏は自宅の改修工事で裁判沙汰になったことがあると語っているので実体験なのかもしれない。

*2 ホリィさんのように制御できず暴走したスタンドだったと推測することもできる。

*3 耳栓どころか絆創膏を剥がす力すらない筈だが、どういう訳か電話ボタンを押しており、普通に受話器を手に持っていた。アニメではこのシーンはカットされている。