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弓と矢(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/09/15 Sat 14:48:48
更新日:2026/05/03 Sun 19:56:22
所要時間:約 4 分で読めます




「『矢』は人を選び選んだ者を磁力のようにひきつける」

『弓と矢』とは、ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けないで初登場したアイテム。




【概要】

第3部から出て来た要素であるスタンド能力を後天的に引き出すアイテム。
正式名称は不明。『弓と矢』の他、虹村形兆は『聖なる矢』と呼んでいた。

効力を発揮するのは『矢』の鏃の部分で、と矢の胴体部分は必須ではない。
その為単に『』と呼ばれる場合もある。
また鏃の部分も形を保っている必要はなく、損壊して破片状になっていても使用可能。

特性や発揮される効果は使用されるシーンによって差異が見られる。
詳細は不明だが、ファンの間では「『矢』毎に個体差がある」とか「細かなシチュエーションの違いで違った効果・特性を発揮する」といった推測がされている。

作中での初出は第4部だが、第3部でDIOがなぜ短期間で30人以上のスタンド使いを集められたのかという疑問への解答として登場している。第3部登場のスタンド使いは生まれつきと確認されている者もいるが、相当数の刺客は『矢』によって発現していたようだ。

◆使用方法

使用は対象(人間に限らず)に鏃の部分で傷付ければそれでよい。
原理は不明だがその行為は肉体に限らず、『魂』にも有効らしい。

『矢』の効果には適合、不適合があり、不適合の者が射抜かれた場合には大抵は死んでしまうが、死ぬ前に傷を治せば能力が身に付いている例があるので、単純に死ななければ誰でも能力が身に付くと思われる。
死ななければよいと言っても、グリーン・ランドのケープヨーククレーター跡で鉱物資源調査をしていた作業員は『矢』の元となった隕石で軽いすり傷を作った程度で全身がトマトソースのようになって死亡、徐倫とエルメェスも矢の破片による切り傷程度でスタンドに目覚めているため、「選別される際死なないよう、指など急所以外に矢を刺す」といった小細工は無意味である。

スタンドは無意識の才能であり、『闘争心』などを含む精神力で動かすものであるため、おっとりした性格の人や幼い子供は自身のスタンドが害になる場合がある。
その逆に、凶悪な犯罪者ほど『矢』で貫かれても死なずにスタンドを引き出される可能性が強い*1

適合の場合傷はすぐに消えるが、ジャンケン小僧猫のタマのように残る場合もある。
また、エルメェスのように数日間高熱で苦しむケースも確認されている。*2
『矢』で能力を得たわけではないが、自身のスタンドを制御できず死にかけた空条ホリィや4歳当時の東方仗助、アヴドゥルが自分のスタンドが害になって死んでいった人間を目撃していることを思えば、『矢』で能力を得た場合も同様の危険があるとも考えられる。
実際に乙雅三は『矢』で射抜かれスタンドを生み出しはしたものの、操る事が出来ずに自身のスタンドに殺されてしまっている。

一本の『矢』でスタンド使いに出来る人数は不明だが、上限はないと考えた方が自然である。

対象は大抵所有者が選択するが、『矢』に対象を選ばせるという使い方もある。
この場合射抜かれた者は確実にスタンド能力が目覚めており、本人が意識していなくとも所有者の敵の仲を悪くしたり、敵を襲ったりするという、所有者にとって益する行為を最低一回は取るようになる。

また、考えられる限り最悪の状況に陥いる事で究極的なまでに"絶望"の感情を抱き、その上でも尚確固たる意志と共に絶望に抗う者には矢が一人でに動き出し、その者を貫きスタンド能力を覚醒又は強化するというケースも確認されている。
然し何の皮肉かこのケースに該当するのはそれぞれ覚醒者は6部のラスボスであるプッチ、スタンドが強化された者は4部のラスボスの吉良吉影の二人のみである。

「『矢』に対象を選ばせる」手法はエンヤ婆から直接教わった者たちが知っているのは一貫しており、このやり方を知らない虹村形兆はランダムに対象を射って不要な犠牲者を多数出してしまっている。


◆レクイエム

この『矢』は才能のある者から能力を引き出すが、スタンド能力のある者のスタンドが貫かれると、持っていた能力とは別次元と呼べる強大な能力を得る事が出来る。
この力は『レクイエム』第五部ジャン=ピエール・ポルナレフは命名しており、彼はこれが『矢』が製作された理由で、精神をさらなる高みへ引き上げることこそが真の使い方と言っている。
但し『ブラック・サバス』戦でジョルノは手の甲を『矢』で貫かれているが、この際は後にレクイエムになる『ゴールド・エクスペリエンス』は何故かどうにもなっていない。

これに関しては
  • まだ『レクイエム』という設定自体が無かったから
  • まだジョルノが『レクイエム』に至る経験を積んでいなかったから
  • 『ブラック・サバス』の支配下にある『矢』だったから
  • 『ブラック・サバス』がこの時点での『レクイエム』だったから
  • レクイエムを引き出すことができる矢は限定されているから
……とも推測できるが、真相は不明である*3

吉良吉影川尻早人を衝動的に殺してしまってどうしようもなく追い込まれてしまった時、父親の持つ『矢』が勝手に彼を貫き『バイツァ・ダスト』を得ているが、『レクイエム』との関連は不明。
こちらはスタンドではなく人間を刺し、元々の『キラークイーン』の能力も残っている(といっても、『GER』も生き物を生み出す能力は引き続き使えるが)ことから、恐らく吉良吉影の潜在意識の中で新たに強くなった精神に呼応したと思えるが……。


◆『矢』のルーツ

詳しくは不明。
弓と矢を見たアンジェロは「とてつもなく古い」「何百年もたっている」という印象を受けていた。実際にエジプトの遺跡の砂の下から発掘されているため最低でも数百年前、仮にギザのピラミッドあたりと同時代であれば4500年以上前の遺物であり、さらにそれ以上昔の可能性もある。

唯一判明してるのは、『矢』の材質は五万年程前に落ちた隕石と同じものらしい。
それに付着した未知のウイルスが適合者に能力を与えている『ウイルス進化論』が現在の最有力説。
その性質を発見した古代人が加工した物がこれらしい。
ポルナレフは「ある完璧なる『神』のような力を求める昔の人間」がウイルスの存在は知らずとも岩石の効果を知り、『矢』として作り替えたと推測している。

「殺人ウイルス」というものは生命を淘汰するッ!

これは「ウイルス進化」という学説なのだが
ほとんどの者はそのウイルスに感染すると死に至るが……
偶然に生き残る素質を持つ者もいる…
そしてウイルスは生き残った者にご褒美のように
新しい生命能力」を与えるというのだ
それはスデに証明されているね? 君たち自身の身体で…

これがこの「矢」のルーツでありッ!原理なのだッ!

◆本数と所有者

『矢』はまるで意志を持っているかのように『矢』の方が人を引き寄せるらしく、『矢』の所有者の一部は本人、またはモノローグで偶然手に入れている事が明らかになっている。

『矢』の本数は現在、確実なのは本編、ノベライズ版含めて七本。
内六本は1986年、当時エジプトで遺跡発掘のバイトに来ていた青年だったディアボロが偶然発掘。
後日盗んで行方をくらまし、内五本をディオにスタンド能力を与えたエンヤ婆に高額で売り捌き、それらが様々なルーツで様々な人間の手に渡った。
エンヤ婆はDIOとの会話で「わしはあんたにスタンドの存在と動かし方を教えた」と発言している事からスタンドの名前のルーツの一つであり、ディアボロと接触した際名前が伝播したとすれば、パッショーネ内で「スタンド」という名称が広まっていた事の説明はつく。

アニメでは露店のような場所でエンヤ婆と売買しており、エンヤ婆がディアボロに「使い方」を教える代わりに『矢』を買ったという事になった。
なお、ディアボロは元々資金目当てでバイトに参加しており、金さえ払えば売り渡すのは誰でもよかったと思われる。むしろディアボロ目線では「『何となく金になりそうな遺物』程度に思っていたら実はとんでもない力を秘めていた」ということになり、相当嬉しい誤算だったに違いない。

後に「(『矢』は)1本あれば十分だと思った」と語っているが、エンヤ婆により「使い方」を知った為であると思われ、これにより「何故ディアボロは矢を全て独り占めしなかったのか」という謎が解ける事となった。
同時に、「何故エンヤ婆は『矢』の性質を知っていたのか」という謎が生まれてしまったが、ファンの見解では「エンヤ婆は古代人の一族の子孫で、『矢』の使い方を先祖代々言い伝えられていたのではないか」という説が有力視されている。

原作では金に困ってバイトに参加したディアボロが矢を発掘した翌日盗んで逃げているため、もはやバイト代が不要になった=発見した時点で矢に貫かれスタンド能力に目覚めたと解釈できる(小金を盗むならともかく、大金はスタンド使いでも入手が面倒であり、手っ取り早くエンヤ婆に高額で売却してもおかしくはない)。


【余談】

徐倫と『矢』

『矢』を使って仲間を増やす行為は敵側のみに見られ、主人公側は第六部で承太郎が刑務所脱出の為に鏃の欠片入りのペンダントを娘の徐倫に渡したぐらいで、基本的に『矢』でスタンド使いを増やす行為はしていない。
これは前述の通り人によっては死亡する可能性があるからである。
承太郎はワンチャン死ぬものを何も言わずに娘に使わせたことになるのだが、DIOとの因縁に巻き込まれてしまった場合はスタンド能力がどうしても必要になるので、やむを得ぬ手段だったと言えよう。

生まれつきのスタンド使いと『矢』

第5部のアニメ化において、『矢』によるウイルス進化の具体例としてスターダストクルセイダース一行のシルエットが映っている。
この演出に対して花京院ポルナレフアヴドゥルなど生まれつきのスタンド使いは『矢』とは関係ないのでは?という疑問の声が上がった。

作中確かなのは、スタンド使いの素質は遺伝するが、スタンド使いの子供が必ずスタンド使いになるとは限らないという事(例:徐倫、逃避行を始める前のトリッシュ)。また、DIOの息子たちは基本的に「親が『矢』で素質を引き出された生まれつきのスタンド使い」である。
  • DIO復活が84年、ジョルノの誕生は85年4月で『矢』の発掘は86年なので、厳密にはジョルノは1~2歳頃『矢』に貫かれたDIOに連鎖して後天的に発現したか、あるいは偶然生まれつきのスタンド使いだったのどちらかである。
  • DIOが『矢』でスタンド能力に目覚めたのは遅くとも87年(同年ジョセフ隠者の紫発現)であり、リキエルとウンガロは1988年生であるため、リキエルとウンガロは純粋に生まれついてのスタンド使いの可能性が高い。この二人も誕生日やDIOのスタンド覚醒時点によってはジョルノと同様になる。

  1. スタンド発現の原因たる隕石は5万年間地表に露出しており、隕石と『矢』はそれぞれ独立して素質ある者を引きつけ、スタンド使いを生み出している。
  2. スタンドの矢は数百年前、あるいはさらにそれ以上昔から多数のスタンド使いを生み出した可能性が高い。
  3. スタンドの素質は後天的な開花でも、血縁による超常的なつながりで連鎖する。
これらを総合すると、イギーや500年前の刀鍛冶キャラバン・サライなど含め「一巡前の全ての生まれつきのスタンド使いは先祖が『矢』や隕石に素質を引き出された者の子孫である」と解釈しても何ら不都合はない。つまり3部メンバーのシルエット演出によるウイルス進化を肯定する論理である。
これは「矢による発現とは無関係に生まれつきのスタンド使いもいる」という解釈を決して否定するものではない。

バビル2世との類似

作者の荒木飛呂彦は横山光輝作「バビル2世」の大ファンである事を公言しており、バビル2世では「宇宙から飛来した殺人ウイルス(宇宙ビールス)に感染し、生き残れた一般人が超能力を得る」ビールス人間が登場している。
宇宙ビールスは動物にも感染し超能力を与える他、過去地球で流行した際は各地の魔人伝説の由来となったなど、宇宙ビールスとスタンド能力のウイルス進化説の類似点を指摘するファンは多い。

◆外伝小説

『JORGE JOESTAR -ジョージ・ジョースター-』では、本来の製作者はカーズだったという事になっている。
この設定を当てはめるならば、太陽を克服する『究極生物』を目指す為の石仮面の製作の過程で、試験的に造りだしたものの一つなのかもしれない。
推測ではあるが、恐らく1本だけデザインの違う『矢』がカーズ製作のオリジナルで、残りのデザインの同じ『矢』は古代人が造ったレプリカだった……という可能性もある。

仮説としては
  1. 石仮面が完成して、御役御免となって破棄された『矢』を古代人達が発見・材質を自力で突き止めて似せて造った
  2. もしくは、カーズを「神」として崇拝する古代人に、(実験を兼ねて)カーズ自身が戯れに作り方を教えて造らせた
……の、二つが考えられる。
『矢』を造りだした古代人の一族は「ある完璧な『神』のような力を求めた」そうだが、彼らにとっての『神』とは、自分達に『文明』と『力』を与えてくれたカーズの事だったのかもしれない。*4

これらはあくまで外伝小説における解釈である点は留意されたし。
またカーズの誕生は約10万年前(ワムウが1万2千歳でワムウとサンタナは同世代、カーズはサンタナの約10倍の年齢)に対し、グリーン・ランドに隕石が飛来したのは約5万年前*5である。もちろん、グリーン・ランド以外にもっと前から隕石が落着していてもおかしくはない。


追記、修正は『矢』に射抜かれて死ななかった人がお願いします。

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最終更新:2026年05月03日 19:56

*1 石仮面は人間を不死身の吸血鬼に変身させ、邪悪な心を引き出すため、仮説だが本編でスタンドの才能がなく死んでしまった人も、吸血鬼化させてから矢で貫けばスタンドを発現させていたのかもしれない。「柱の男」、「闇の一族」も同様であろう。

*2 東方仗助や空条ホリィもスタンド発現時、原因不明の高熱に苦しんでいる。

*3 これを受けてかは不明だが、TVアニメ4話では描写が「手の甲を貫かれる」から「『矢』を握る」というものに変更されている。

*4 実際、アニメ版ではカーズを模したと思われるトーテムポールが建てられ、それを崇め奉る古代人の姿が描かれている。同時に、「『神』のような力」とはカーズ自身の求めた『究極生物』の事とも解釈できる。

*5 単行本62巻208P