.45ACP弾

登録日:2011/05/17 Tue 15:59:17
更新日:2025/07/12 Sat 17:39:21
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概要

1905年に銃器設計家のブローニングが設計した拳銃用弾薬。
ACPとは「Automatic Colt Pistol」の略。
.45ロングコルト弾を短縮化し、リムレス化*1したものである。
メートル式だと一応11.5x22.8mmだがそちらでは呼称されない。
アメリカ軍のM1911やM1トンプソン短機関銃などで採用される。



性能

全長:32.0mm
弾頭直径:11.5mm
薬莢全長:22.8mm
弾頭重量:15g(230gr)
銃口初速:270m/s
マズルエネルギー:561J



開発経緯

米西戦争の過程でフィリピンに乗り込んだアメリカ。当時は.38ロングコルト弾仕様のリボルバーで戦っていたアメリカ軍はある部族に衝撃を受けた。
銃弾を受けても倒れない原住民のモロ族である。
戦争という極限状態と薬物によるトランスで極度の興奮状態にあった彼らは被弾を恐れず、被弾したとしても痛みを感じずに突撃してきたのである。
この戦争を経て、アメリカ軍は威力の高い新たな弾薬を要求。
この要求に答えたコルト社とブローニングは.45ACP弾を設計。同時にM1905も試作しのちにM1911に繋がることとなる。
.38ロングコルト弾が黒色火薬時代のかなり弱い弾であるという点はこの時点ではあまり考慮されなかった。

そして、これ以降アメリカ軍もアメリカ国民も妄執的な45信奉に憑りつかれることになる。近年の米国仕様の拳銃にはほぼほぼ.45ACP仕様が用意され、軍でも拳銃、短機関銃では.45ACPに執着するきらいがある(M9に拳銃を更新したあと、弾の供給をストップしたとしてもM1911の使用を継続した兵士がいたという話も)。



利点

拳銃弾として現在の主流である9mmパラベラム弾より初速が遅いが、その分のエネルギーを重い弾頭で補っているので打撃力では劣らない。
上記の経緯からストッピングパワーが優れているとされるが、貫通力は9mmよりも多少劣る。
また、開発当時は考慮されていなかったが初速が亜音速なので減装せずともサプレッサーとの相性がいい。



欠点

必要な威力に対して多少無駄が多い。
反動が大きくコントロールしにくく、サイズが大きいので装弾数が低下しダブルカラム化もしにくい。

そして、上記の妄信の原因も実際のところ的に当たっていないなどの問題が大きい。
例としてアフガニスタンでは5.56mmNATO弾の威力不足がささやかれたが、結局はスコープの配備によって遠距離射撃の精度を上げることで解決された。
このように、外していることを認識できず威力不足と誤認するような事例は古今東西存在する。



現状

実際に威力の面で研究されて製造された10mmオート、40S&W、.357SIGなどが登場しているが、長年の実績と安価に供給されていることもあり.45ACPの牙城は崩れていない。
アメリカ人の力の象徴として今後も信仰され続けると予想される。



.45ACP弾を使用する主な銃

拳銃

1911ファミリー

  • M1911
  • M1911A1
  • コルト ダブルイーグル
  • M1911A2 ソーコムプロト
  • コルト M45
  • STI 2011

最初から対応

  • コルト M1905
  • コルト M1917
  • S&W M645
  • H&K MK23:上記M1911A2に勝ち制式採用された
  • H&K HK45

後から対応

  • H&K USP
  • グロック21/38/30/36
  • SIGSAUER P220
  • SIGSAUER P250

短機関銃

その他

  • FP-45 リベレーター:第二次大戦中フランスのレジスタンスへの空中投下支援を行うために製造された単発拳銃
  • デリーズルカービン:リーエンフィールド小銃を改造して制作されたボルトアクション式消音カービン



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最終更新:2025年07月12日 17:39

*1 リムと薬莢の直径を同じにすること。弾倉にてリムがかさばりうまく装弾できない点に対処するための構造