銀河戦国群雄伝ライ

登録日:2012/07/29 (日) 00:41:39
更新日:2025/02/10 Mon 09:38:24
所要時間:約 20 分で読めます




概要

1989年~2001年にかけて、月刊コミックコンプと月刊電撃コミックGAO!にて連載された、真鍋譲治原作のSF漫画。
全27巻。
1994年にはテレビ東京系列でアニメ化された。
こちらは全52話。

作者は以前に本作同様、宇宙戦艦xヒーローxヒロインx獣人といった世界観である『アウトランダーズ』というSF漫画を執筆していたが、
作者自身としては書き足りなかったという思いがあり、コミックコンプから依頼があった際に同様の漫画を執筆したいと考えていた所、
1987年の大河ドラマ『独眼竜政宗』を見たことで日本の甲冑、しいては戦国時代のイメージを追加する事を思いつき、
本作のイメージが固まったとのこと。

~世界観~
本作の大きな特徴として、戦国モノ、三国志モノ、戦艦モノ、スペースオペラモノといった要素を
全く融合させずに別箇の要素として、それぞれ作中に独立させている事であろう。

その為、登場人物達は普段は朝服や漢服のような衣服を身にまとい、史記さながらの策謀を張り巡らせたかと思えば、
いざ合戦ともなると日本の胴丸や中国の明光鎧のような甲冑を身にまとい、
太平洋戦争時代さながらの主砲や、中世の衝角が取り付けられ、更に甲冑のような装甲が取り付けられた宇宙戦艦に乗り込み、
宇宙空間で実体弾をぶっ放しまくった後、甲板上にて日本刀や槍、弓等で決着をつけるという唯一無二の世界観を構築している。
その為、宇宙戦艦は元より巨大な大砲やそれらを建造する巨大なドックも存在するものの、
登場人物達の移動はあくまでも徒歩や馬だけであり、一応単筒や火縄銃のような小火器は存在するものの主兵器は刀や槍である。

中世の甲冑を纏った人物が電探や各種スイッチ、無線等を操る姿は冷静に考えればかなりシュールだがすぐ慣れる。
悪名高いアニメ版は更に悪化(?)しており、ブラウン管モニターが取り付けられたパソコンまで登場した。

なお、宇宙空間での切り合いと言いつつ、人物は平気で呼吸や会話をし、甲板上を走り回っている。
一応連載最初期には真空状態についての言及はあるものの、無重力に関しては最後まで触れられる事は無かった。


あらすじ

  • 導入
元魔三年、神聖銀河帝国皇帝であった光輝帝が崩御した事により、十三代二百七十年にも及んだ帝政が崩壊。
これにより各地の群雄同士の権力抗争が始まる中、北天を制したのが元帝国左将軍の比紀弾正である。
彼は自らの軍事力をもってして、全銀河を統一しようとしていた。
そして紀霊元年、弾正は王朝残党の一掃に取り掛かる。
後に戦国時代の風雲児として歴史の表舞台に立つ竜我雷はその戦場にいた・・・。

  • 序章
比紀弾正が興した五丈国は銀河北天をほぼ手中に収めていた。
残す大敵は弾正の帝国軍同期でもあった阿曹主禅が治める佐倉国。
主膳は皇帝の娘を妻として迎えるような由緒正しき武人であったが、
その首は只の一兵卒、竜我雷によって討ち取られる事となる。
多くの仲間を失いつつも大功を上げた雷であったが、その恩賞は余りにも少なかった為、
主君弾正に直談判をするという暴挙を行う。
その場は五丈四天王の骸羅や狼刃によって取り押さえられるも、
主膳の娘である紫紋や、弾正の娘である麗羅等、雷の人生に多大な影響を与える女性達とも顔見知りとなる。
しかし・・・北天制圧の大勝利に浮かれる五丈国首都:武王都の上空には、
ある種、竜我雷の人生に最も大きな影響を与える女傑の影が近づいていた。

  • 抜擢
智の国主:政宗による挑発に激怒する五丈は直ちに軍勢を集結、智を始め南天各国を纏めて併呑しようとする。
しかし先の佐倉戦を始め五丈の損耗を少なくなかった。
南天侵攻軍先鋒軍団の誉れを受けた四天王の狼刃は、その先陣を切る師団長に竜我雷を抜擢。
まだ若い竜我雷は、部下となった荒くれ者達から信を得られず苦労するも、
持ち前の行動力、武勇で徐々に信頼を勝ち取っていき、遂には敵の重要拠点である座王都を陥落させる。
しかし・・・それこそ南天の女狐、政宗の思う壺であった・・・。

  • 伏龍
先の南天侵攻による数々の武功を上げた竜我雷は、
その褒美として、主膳の忘れ形見である紫紋を一先ず迎え入れる形となった。
旧帝国の公家達による反乱も見事に討伐し、敵味方にその勇名を轟かせ、近衛軍司令として十万の軍勢を率いるまで出世。
しかし、飛ぶ鳥落とす勢いであった弾正もその寿命には勝てず、銀河統一まであと一歩の所で落命。
弾正の子は娘の麗羅しかおらず世継ぎが居なかった為、大国五丈は一気に重臣達による内乱状態となってしまう。
将来ある竜我雷が中央の権力闘争に巻き込まれる事を危惧した狼刃は、南天との国境地帯にある南京楼太守への転属を命じる。
南京楼での地盤固めに腐心する最中、中央では四天王の骸羅による政変が勃発。
前線に飛ばされ身動きが取れない自身の現状に嘆くも、交易が盛んな南京楼には多くの人材が眠っていた。
そして遂に、竜が天に昇る為に必要な雲、稀代の天才軍師:大覚屋師真を幕下に得る事になる。

  • 討伐
智王政宗の失脚、練国羅候の躍進、そして骸羅による皇帝即位。
弾正亡き後の銀河は更に混迷の度合いを深めていた。
この状況に対し、長く機会をうかがっていた竜我雷は遂に挙兵、偽帝討伐を掲げ進撃を開始する。
骸羅三兄弟の次男である猛将骸山を討ち取り、智謀に優れる三男骸延を謀略で失脚させる。
竜我雷の武勇と師真の策により、疾風怒濤の如く突き進む南京楼軍であったが、
その眼前に、竜我雷の師にして心の母というべき狼刃が、最後の山として立ち塞がる。

  • 即位
狼刃、そして偽帝骸羅を討ち果たした竜我雷は、遂に五丈王即位を宣言する。
外では、偽帝討伐軍の最中に横槍を入れてきた西羌とも激戦の末に和睦を行い、
練国とは腹心の三楽斎を派遣する事で何とか休戦状態に持ち込む事に成功。
内では、骸羅の暴政により破綻状態であった経済の復興、
元四天王の玄偉を始めとした旧臣達の抵抗等を跳ね除け、大国五丈の本来の力を取り戻しつつあった。
そんな中、羅候が再度挙兵、三千万という大兵力に、帝虎級戦艦という空前絶後の大戦艦も従えて五丈侵攻を開始。
更には、羅候の腹心である姜子昌の策により失脚、国を追われた政宗が、
未だ混乱の収まらぬ新生五丈に対し、乾坤一擲の戦いを挑んできた。

  • 決戦
独眼竜政宗を遂に討ち果たした新生五丈軍は、返す刀で南天(練・南蛮連合軍)との決戦に赴く。
旗揚げ以来の宿将である項焉を犠牲とするも、五丈軍は南天軍への奇襲に成功する。
圧倒的な物量を誇る南天軍に対し、各将の武勇と師真の策で各個に勝利を重ねる五丈軍。
遂には南天軍先鋒軍団大将である夏侯才をも討ち取り、総大将である羅候自ら打って出てくる。
例え兵力で劣っていても、常に軍師:師真の知略により常勝を誇ってきた新生五丈軍。
だが、南天の大都督である姜子昌はそんな師真の虚を突き、五丈軍に緒戦で大損害を与える事に成功。
五丈と南天による天下分け目の大決戦、六紋海の戦いの火蓋が切って落とされた。

  • 離別
竜我雷は幼少期からの友人:太助や宿将:項焉。羅候は夏侯獣始め多数の重臣を失う等、
両軍共に夥しい犠牲を払いつつも、五丈軍は南天軍を相手に辛くも勝利を治めた。
このまま南征と意気上がる五丈に対し、南天側は先の大敗の傷が癒えておらず再軍備の最中であった。
加えて、嘗ては独眼竜政宗の下で天下に近づいた智国も五丈の策謀により併呑、その歴史を終えた。
神聖銀河帝国ですら成し得なかった銀河統一、その偉業を成し遂げんと遂に南征を開始する新生五丈軍。
しかし南天は懐深く、五丈軍の進撃は停滞。それでも練の首都:大王理に向けて意外なまでに順調な進軍を続ける。
だが、それは姜子昌の兵力温存の策、そして五丈本国に対するある謀略の為であった。

  • 統一
竜我雷の愛妻:紫紋は姜子昌の策により、その儚い一生を終えた。
二人の間に子が成さなかった為、神聖銀河帝国の皇室の血は完全に途絶えたのである。
それでも大王理を落とし、更には幾度も新生五丈を苦しめた南天大都督である姜子昌も落命。
しかし五丈の補給能力はとうに限界を迎えていた。
ここが攻勢限界点と悟った五丈、そして混乱する国内の立て直しに時間が欲しい南天。
両者の思惑が一致した事で、一先ずの和平が結ばれる。
しかし、歴史の流れは五丈よる銀河統一に完全に傾いていた。
南天から続々と武将や諸部族が離反していく中、五丈は再度の南征を開始。
これを迎え撃つ南天軍も、残る国力を全て結集。
竜我雷と羅候、後の世に竜虎の時代と呼ばれる二人の英雄同士の最後の決戦が始まる。


登場人物


五丈

  • 竜我雷
CV:檜山修之
本編の主人公。
物語の当初は一兵卒であるが、旧帝国将官の阿曹主禅を討ち取り、その手柄の恩賞の直訴をしたりと、その根性と悪運の強さを五丈四天王の女将、狼刃に買われ、師団長に抜擢される。
その後、数々の功績を上げ、第一近衛軍騎都尉、南京楼の太守、鎮南将軍、南京楼軍盟主、五丈王、遂には皇帝へと登り詰めた。
なお、五丈王にはなっても勇者王にはならない。

  • 大覚屋師真
CV:矢尾一樹
元々は南京楼の豪商大覚屋の放蕩息子であったが、史書、経書から兵法、天文、医学に精通した天才的な戦略家である、後に雷の下で丞相としてその真価を余すことなく発揮する。

  • 紫紋
CV:三石琴乃
旧帝国将官、阿曹主禅の一人娘であったが、阿曹主禅が打ち取られた後は、身柄を五丈に引き渡される。
皇室の血をひく唯一の王女であるが故に数々の運命に弄ばれるが、父親の敵である雷とそれを乗り越え、後に雷と結婚し、正妻となる。

  • 麗羅
CV:熊谷ニーナ
時の権力者であった比紀弾上の娘。
それであるが故に、当初はその権力を振る舞い、我が儘し放題であったが、雷との出会い、そして弾上の死後に骸羅に国を追われ、雷の元に転がり込んでからは少し改心した。
後に雷の第二婦人となる。
なお、劇中では明かされていなかったが、後に作者本人の同人誌にて紫紋とこんな関係になっていたことが明らかになった。

  • 雲海入道
CV:島香裕
雷の一兵卒時代からの戦友。
大酒飲みの女癖が悪い破戒坊主だが、雷にとって最も頼れる人物であり、暴政下の武王都より麗羅を救出したりと活躍する。

  • 太助
CV:山口勝平
雷とは兵になる前からの付き合いで、雷を兄貴と呼んで慕っている。
体は小さいが、雷と雲海と共に数々の戦場を潜り抜けた強者である。

  • 比紀弾上
CV:飯塚昭三
元神聖銀河帝国左将軍であり、帝国崩壊後は兵を上げ、その強大なカリスマ性により配下に多くの武将を抱え、北天を制圧する。
銀河統一の野望を夢見ているが、病に伏してしまい、七十四歳でこの世を去る。

  • 狼刃
CV:山田栄子
五丈四天王の一人で知勇を兼ね備えた女将。
雷の才能を見抜き、自身の配下として置き、彼の行く末を時に温かく時に厳しく見守る。
なお、同人誌でかなりの淫乱だった事が明らかになり、骸羅三兄弟を再起不能にしている。

  • 骸羅
CV:玄田哲章
同じく五丈四天王の一人。
狼刃とは弾上の旗揚げからの戦友である。
一騎当千の武将で、その腕から弾上の覇業に大いに貢献していた。
しかし弾上の死後、五丈の全権を掌握し、遂には皇帝へと登り詰めるも、最期は雷が率いる南京楼軍により追い詰められ、玄偉に討たれる。

智国

  • 独眼竜正宗
CV:高島雅羅
父である先代正宗の死後、弟の虎丸に代わって智の国の国政を握る女将。
本名は紅玉。
その戦略、行動力の優れたカリスマ性で五丈の南征を食い止め、雷に多大な影響を与えた人物である。
因みに、彼女は雷と肉体関係を持っており、彼の子を身に宿していた。

  • 飛竜
CV:緒方恵美
正宗の側近で、南天の将軍である姜子昌とは共に兵学を学んだ仲であったが、敵同士になったが故に複雑な運命を背負い込む。

  • 虎丸
CV:阪口大助
正宗の弟。
後に智王となるが、自身の意志が弱かったため、雷に国を滅ぼされ自害した。

南天(練・南蛮連合国)

  • 羅候
CV:置鮎龍太郎
父である羅鶴が狼刃に討ち取られた後、練の兵権を引き継いで、正宗の傘下であったのも独立し、竹馬の友である姜子昌の働きもあり
南天王になる。
そして、雷を最大のライバルとして幾度も対決した。

  • 姜子昌
CV:梁田清之
南天の将軍として羅候を支えている苦労人。
もはや敵なしと思われた五丈の丞相・師真を長年の実戦での経験、そこで養われた勘を武器に戦略的に打ち負かした。
因みに、貧乳好きである。

設定

国家

  • 五丈国
神聖銀河帝国崩壊後、比紀弾上が立ち上げた大国。作品は最後の障害となった阿曹主禅の勢力を滅ぼし、北天を統一したところから始まる。
優れた臣下を従え、全銀河統一間近と思われたが、政宗によってその道を阻まれる。

軍艦

連載直後は空母や駆逐艦、潜水艦を含めた複雑な艦隊構成で丁寧な戦闘を描いていたが、
最初の大戦を経た後、ほぼ戦艦のみのシンプルな激突に移行した。
もともと作者は「アウトランダーズ」で、宇宙艦隊の決戦では主人公の出る幕がほぼ無くなってしまうことに気づき
それでも敢えて主人公を参戦させるために、海賊的な「敵艦乗り込み、白兵戦」を導入したと語っている。

  • 金剛
主人公雷が狼刃に抜擢され、与えられた重戦艦。後に南天との決戦で沈むまで五丈軍の総旗艦を務めたが、
元々師団レベル、数万の軍勢を指揮する程度の能力だったため、総旗艦となって百万の大軍を指揮するにはかなり不都合があったとされる。
南天との決戦の前に政宗との一騎打ちを経ており、このときの戦いですでに艦内はボロボロになっていた*1

余談

真鍋の代表作と言って良い大長編だが、決して順風満帆というわけではなかった。
コンプの休刊と移籍に伴うゴタゴタを含め、作者は常に打ち切りの影に怯える日々だったと述懐しており、そのためにストーリーを端折った点も多々あったらしい。
南天の諸将が終盤あっけなく散っていったのも(そしておそらく羅候が割と残念な結末を迎えたのも)この事情と無関係ではない。

またアニメは原作を知らないファンからは好評だったが、原作のファンからは黒歴史扱いされ、作者自身も酷評している。
この憤りは原作にも影響を与え、後半のストーリー展開はアニメの影響を排除することを意識したと作者HPで述べていたことも。*2
また映像ソフトが放送当時に出ていたVHS以外になく(BDはもちろんDVD化すらされていない)、CS放送も1996年頃にキッズステーションで1度だけされて以降全くない。
それらをこれ以上許さないほどに作者の圧力がかかっているのだろうか。
さらに、作者本人によりエロ同人誌されており、それの続編である『銀河戦国群雄伝ライ 異聞』が商業作品で作られるという異例の作品である。





俺はWiki篭り全消しされるより、追記・修正・編集される男になる。
そして千年いや万年をも続く大帝国の項目を築くのだ。
それをクソ項目・・・オナニー項目と呼ぶなら呼ぶがいい!
そいつらのアナルをぶち抜くまでよ・・・!!


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 真鍋譲治
  • 漫画
  • 電撃コミックガオ!
  • アニメは黒歴史
  • カセットブック
  • SF
  • 戦国時代
  • 三国志
  • 史記
  • 同人誌
  • セルフエロパロ
  • 銀河戦国群雄伝ライ
  • 月刊コミックコンプ
  • 角川書店
  • メディアワークス
  • アニメ
  • イージー・フイルム
  • テレビ東京
  • 94年春アニメ
  • 90年代テレビアニメ
最終更新:2025年02月10日 09:38

*1 その惨状を転用して、南天の象隊への罠に使われている

*2 但し、アニメ版を元に製作されたゲーム(SFC)版については、「意外としっかり原作の雰囲気を再現している」と評価している