電車男

登録日:2023/04/19 Wed 18:46:45
更新日:2025/04/20 Sun 17:12:15
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キタ――(゚∀゚)――!



電車男』とは、インターネット掲示板発「2ちゃんねる(現:5ちゃんねる」にて発生した恋愛物語、及びそれを元にしたメディアミックス作品である。


【概要】


非モテのアキバ系男性が電車の中で酔っ払いに絡まれていた女性を助け、お礼にエルメスのティーカップを貰った事から恋愛に発展するという男性版シンデレラストーリー。
ピンチに陥った女性を助けて最後には恋愛関係になるというある種のテンプレに、インターネットの電子掲示板を舞台にスレ住民が電車男を見守る独特の展開で人気を博し、それぞれの媒体に合わせた脚色を足してメディアミックスが行われた。
一連の出来事は実在のインターネット掲示板「2ちゃんねる(現、5ちゃんねる)」のやり取りが元となっており、ブーム中は「電車男」は実在するのか、本当にあった出来事なのかと議論のテーマになった。
2000年代、メイド喫茶やアニメグッズの集まるオタクの街になりつつあった秋葉原にアキバブームが到来し、本作や『アキハバラ@DEEP』などの秋葉原やオタクをテーマにした作品が数多く製作されている。


【メディアミックス】


小説、漫画、映画、ドラマ、舞台など、多数のメディアミックスが展開。
中野独人による小説は100万部のヒットを飛ばし、ドラマのサブタイトルに「100万人が見守った恋の行方」とキャッチフレーズにも使用された。
実写の電車男とエルメス役は映画は山田孝之と中谷美紀、ドラマは伊藤淳史と伊東美咲。
映画とドラマの公開、放送は同じ2005年で、双方の主役達がカメオ出演している。

ドラマは2005年7月~9月のフジテレビ木曜22時枠で放送され、脚本は本作がデビュー作となる武藤将吾。
サンボマスターの主題歌「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」はドラマと共にヒット曲となった。
作中作として『月面兎兵器ミーナ』が製作され、オープニングテーマは楽曲「トワイライト」をバックにGONZOが映像を担当し、ドラマ放送終了後に深夜アニメとして1クール放送。
最終話平均視聴率25.5%を記録して放送クールの連ドラトップ、映画の興行収入は37億と両作とも大成功を収めた。
その結果、オタク文化や2ちゃんねる用語が一般層にも知られるようになり、アキバブームの一画を担う電車男ブームも到来、メイド喫茶ブームが訪れたのがこの後辺りでもある。
好評により2005年10月に特別編の『もう一つの最終回スペシャル~電車男VSギター男!!』、2006年9月に完結編の『電車男DELUXE 最後の聖戦』も放送された。

複数の出版社からコミカライズもされたが、サブタイトルは全て異なっている。
小学館ではヤングサンデーから原秀則、講談社では御茶まちこ(少女漫画として!)、
秋田書店からはヤングチャンピオンで連載された道家大輔版や、チャンピオンREDで連載された『電車男 でも、俺旅立つよ。』では秋葉原が好きなアニオタ高校生がロードレースに目覚める『弱虫ペダル』の原作者渡辺航が作画を手掛け、同じ作者だけに電車男と後の妖怪ペダル回し小野田坂道は顔や気弱なアキバ好きのオタクという設定が似ていて、渡辺自ら電車男には強い影響を受けていると言及している。


【あらすじ】


漫画やアニメといったオタク趣味を好む気弱だが、心優しい青年「山田」はある日、電車で酔っ払いのおっさんに絡まれている美人な女性を勇気を振り絞って助けようとする。
後にその女性からお礼としてエルメスのティーカップを贈られ、対応が分からない山田は普段から見ていたインターネット掲示板の「独身男性板」の住人に協力を求める。
一連の出来事から山田は掲示板上で「電車男」のハンドルネームで呼ばれ、時に掲示板の住人に助けて貰いながら助けた女性「青山」=エルメスとの交流を通じて成長していく。


【登場人物】


下記の登場人物の名前や設定は主にフジテレビのドラマ版を記載する。

  • 山田剛司/電車男
演:伊藤淳史/映:山田孝之
本作の主人公。チビノリダー
人材派遣会社「ワーカホリック」の営業担当。
気弱だが心優しく純朴で、他人を思いやれるお人好し。
すぐあがってしまい何かと挙動不審になるのが弱点。
アイドル声優やアニメ、フィギュアをこよなく愛し、知識が必要な自作パソコンやガレージキットを作ったりと、趣味に没頭しているごく普通のオタク。
休日は頭にバンダナ、チェックのシャツ、ズボンはジーンズ、背中にリュックと、お馴染みのアキバファッションに身を包み、秋葉原に出掛ける事を楽しみにしている。
収入や容姿、趣味などの理由で彼女いない歴=年齢の「毒男」(非モテ)である。
電車でエルメスを助けるも、女性経験が無いためその後の対応が分からず、独身男性の掲示板に交流経緯を相談。
ネットリテラシーとしては褒められた行為ではなく、劇中でも大問題に発展する。
沙織との交流で本人も思わぬ嘘が生まれてしまうも真実にしようと努力し、その愚直なまでの姿勢は自分だけでなく周囲の意識をも変えていく。
ドラマ版で泥酔客から剛司を助けてくれた男性役は、映画の電車男である山田孝之が友情出演している。
好きなアニメは『機動戦士ガンダム』『銀河鉄道999』『装甲騎兵ボトムズ』『新世紀エヴァンゲリオン』『ケロロ軍曹』『月面兎兵器ミーナ』etc。


  • 青山沙織/エルメス
演:伊東美咲/映:中谷美紀
本作のメインヒロイン
外資系企業に勤める、容姿、性格、収入、育ち全てに非の打ち所がないお嬢様。
やや天然で愛嬌もあり、オタク趣味にも寛容という男の妄想が具現化したような母性的な女性。
母親からお見合い話を勧められているが、恋愛に思うところがあるらしく全て断っている。
過去の経験から他人の嘘に対して拒否感が強い。
酔っ払いに絡まれていたところに居合わせた剛司の行動に感動し、勇気を讃えてエルメスのティーカップを贈った事から交流が始まった。
当初は恩人や友達といった雰囲気で友達付き合いしていく中、いつでも自分の為に必死に行動してくれる姿に心惹かれていく。
ララァが乗ってるのじゃないぞ。


  • 陣釜美鈴
演:白石美帆
ある意味、ドラマ版電車男のサブヒロイン
剛司が担当する派遣社員。
強気で物事をはっきり言う性格で、気弱な剛司を何かと顎で使う。
そのため苦手意識を持たれ、登場すると「ダース・ヴェイダー」の曲が流れる。
猫を被るのが上手く男性に恐ろしいほど好かれ、派遣先で男女関係が浮上するトラブルメーカー。
一方、当てにならないがリアルで沙織の事を相談できる貴重な相手で、掲示板で話題の電車男である事も知る。
不器用ながら剛司を気に掛け、窮地に陥った際には相手の元に乗り込んで啖呵を切ったりその純粋な性格を認めている。
色々あって沙織にフラれた時は責任を取るべく、童貞を奪って忘れさせようとした肉食系
剛司に惹かれつつもその恋路を裏から支え、下ネタでナンパしてきたおっさんをボコボコにした後に出会った桜井と運命を感じたり、新たな人生をフリーダムに歩んでいる。
最終回では啓介、及川、桜井を始め、貢いで捨てられた男性が各地に存在する事が明らかとなり「陣釜美鈴被害者の会」が結成された。
演者の白石美帆は映画版にも出演経験がある。本当にチョイ役だけど
また、当時は清楚な役柄を演じることが多かった白石美帆はそのイメージを覆すような怪演っぷりを見せ、
第46回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で最優秀助演女優賞を受賞するなど中の人にとっても当たり役となった。
その後長野マンと結婚している。


  • 山田恒生
演:岸部シロー
剛司の父親。
不在がちな妻の香澄に代わって家事を担当し、自転車屋も営んでいる。
ちなみに演者はかつて日本テレビでの昭和ドラマ版『西遊記』で沙悟浄役を演じた人で、偶然だが剛司の演者は2006年にフジテレビのドラマ版『西遊記』で猪八戒を演じる事になる。


  • 山田葵
演:堀北真希
剛司の妹。
兄に対しては反抗期真っ盛りの高校生。
オタク嫌いで見下していたが、沙織と関わって少しずつオシャレに気を遣い前向きになっていく兄を見直すようになる。


  • 山田香澄
演:戸田恵子
度々存在が仄めかされていた剛司の母親。
息子の影響か『機動戦士ガンダム』の知識があるようで、マチルダ・アジャンのフィギュアと一緒に登場して声優顔負けのモノマネを披露した。完全に本人。
夫との夫婦仲は良好そのもので、劇中キラキラネームの次女「マチルダ」を授かった。
ちなみに、演者は本作から4年近く後の2009年冬クールの同じ木曜劇場枠のドラマ『ありふれた奇跡』にて、今度は岸部シローの兄岸部一徳との夫婦役を演じている。

マチルダさーーーん∠(`TДT´)

  • 松永優作
演:劇団ひとり
剛司の良きオタク仲間その1。
他人を「〇〇氏」と呼ぶ、如何にもな早口オタク。
果歩と裕子との合コンに及川のバーターで動員されるも、川本と共にオタク全開のテンションでドン引きさせてしまう。
後に彼を主役としたスピンオフドラマが制作されている。


  • 川本信二
演:菅原永二
剛司の良きオタク仲間その2。
タンクトップにポスターサーベルを装備する如何にもなアキバ系青年。


  • 黒木文人
演:佐藤二朗
剛司のパワハラ上司。だが、どこか憎めない。


  • 及川尚人
演:前川泰之
剛司の同僚。
ワイルド系イケメンで、彼に好感を抱いた果歩と裕子により合コンをセッティングされてしまうも…
演じる前川はドラマ版の脚本を手掛ける武藤が後に担当する『仮面ライダービルド』に石動惣一役でも出演している。


  • 武田花梨
演:小出沙織
『月面兎兵器ミーナ』でミーナ役を務める声優。


  • 沢崎果歩
演:佐藤江梨子
沙織の同僚。
オタク嫌いで遭遇したアキバ系が剛司だと気付いていないが、パッとしないのであまり良い印象を抱いていない。
裕子に比べると現実的な考え方を持ち、剛司が沙織を助けたのも下心と両断した。


  • 観月裕子
演:須藤理彩
沙織の同僚。
沙織を助けようとした剛司をヒーローやラストサムライと讃え、好印象を持った。
幾ら何でもトム・クルーズみたいカッコよくないよ。


  • 青山啓介
演:速水もこみち
沙織の弟。
当初は沙織の彼氏のように演出されたが上記の通り弟である。
姉の連れである剛司を良くも悪くも思わなかったが、偶然から美鈴が見ていた「独身男が毒づく板」の存在を知ってしまい…


  • 青山由紀
演:秋吉久美子
沙織の母親。
娘に早く結婚して貰おうと見合い話を勧めている。
映画版のエルメスの母を演じるのは『銀河鉄道999』『わが青春のアルカディア』などでクイーン・エメラルダス役を務めた田島令子。


  • 桜井和哉
演:豊原功補
昔、沙織や啓介の留学を世話していた男性。
愛車はランサーエヴォリューション。
部下に勧められた掲示板の電車男のスレにハマってエルメスに憧れ、偶然からエルメス=沙織だと知り2人の恋路を邪魔するべく妨害工作を仕掛けた。
ドラマ版の小悪党なライバルキャラだが、結婚指輪や愛車をギャルにパクられたり全てが空回りするどこか憎めない人物で、カッコつけたがりな性格が災いして肝心な時に剛司と沙織を助ける為2人からはいい人と思われている。


  • 独身男性板の住人
演:小栗旬、六角精児、温水洋一、山崎樹範、我修院達也、なすび、野水伊織、豊永利行波岡一喜、松尾諭、皆藤愛子、堀内健、梶原雄太、塚地武雅、etc
剛司が相談しているネット掲示板「独身男が毒づく板」の個性豊かな住人達。
なお、温水洋一のみフジの別ドラマ『スローダンス』のキャラと同一人物という設定があり、堀内健のキャラは当時深夜枠だった『ネプリーグ』でのネタ「秋葉カンペー」から来ている。

  • 権藤/泥酔客
演:泉谷しげる/映:大杉漣
電車内で沙織/エルメスに絡んだ泥酔客。
木曜22時にペッ○ィングを連呼したとんでもない人。
とても迷惑なおじさんだが二人を繋げた恋のキューピットでもある。
ドラマ版では映画版電車男とそっくりな男性に制圧される。



【余談】

  • よくも悪くも当時の薄ぼんやりとしたイメージによるネット文化のズレた表現が語り草になっているが、その中でも特に有名なのが小栗旬演じるネット住民が手動で書き込み欄にAAを打ち込むシーン。
    それもオワタやショボーンのような辞書変換に仕込める一行AAでも、モナーやギコのようなまだ手打ちで何とかなる小型のAAでもなく、それなりに大型で細かいディティールのある電車のAAであり現実のネット住民からは総ツッコミを受けた。
    通常は他の人が予め作ったものをコピペしてくるか、専用のテキスト編集ソフトで画像編集に近い形でアレンジを加える形で用意するもので劇中のように大型AAを書き込み欄に手打ちする人はまずいなかったと思われる。
    補足しておくと、こういうズレたネット文化表現は当時色んなメディアで散見されていた。ていうか令和の現在でもたまにある

  • トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~』のコーナー、トリビアの種で「街で女性が絡まれた時、電車男のように助けてくれる秋葉原の男性は100人中〇〇人」という本作由来の検証もなされた。
    流石に公共の電車で検証を行う訳にもいかないので、裏道で揉めているシチュエーションとなり、メイド喫茶の看板とメイドでアキバ系を現場に誘い込む形になった。
+ 検証結果
「街で女性が絡まれた時、電車男のように助けてくれる秋葉原の男性は100人中69人」

  • 洋画では、日本では劇場公開されず、2006年に発売された2004年の映画『バス男』*1がある。本作は、主人公のオタク風の高校生、ナポレオンがバス通学をしているというただそれだけの点から、
    当時ヒットしていた『電車男』に似せた邦題を付けられている。当時のビデオのパッケージにも「キターーーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!」などという本作を想起させる文言も書かれていた。
    この邦題は酷評され、『日本一最悪な邦題』と言われることもあり語り草となっていた。そりゃそうだろ
    2013年10月に、発売元の「20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン」は当時のブームに便乗した邦題を付けたことに対する謝罪文を付け、作品の原題通りの『ナポレオン・ダイナマイト』へ改題してDVDが再発売された。



追記、修正は電車で酔っ払いから女性を助けてお願いします。

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最終更新:2025年04月20日 17:12

*1 日本語での作品紹介の際は『ナポレオン・ダイナマイト』とカタカナ書きされていた