シャノア(悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印)

登録日:2014/10/10 Fri 20:52:18
更新日:2025/04/02 Wed 12:45:10
所要時間:約 25 分で読めます




出典:悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印
2008年10月23日発売
私は、魔を斬り払う剣となる!

シャノアはNINTENDO DS専用ソフト『悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印』の登場人物。
CV:桑島法子(日本語)/Michelle Ruff(英語)

✝概要✝

本作の主人公。年齢20歳・女性。
特務機関『エクレシア』に所属する戦士。エクレシアの創始者バーロウの直弟子であり、
幼いころ組織に拾われて以来、魔王ドラキュラ滅殺の切り札として育てられてきた。
シリーズ内でも珍しい非・ベルモンドにして国家権力の後ろ盾を持ったヴァンパイア・ハンターである。


戦士として厳しい修練と実験を耐え抜いた結果、エクレシアの研究成果である印術・『グリフ』を身体に『吸印』することで、
その術を任意に選択・発動できるという特殊能力を獲得している。組織内でもこの力を持つ者はシャノアのみ。

ゆえに究極のグリフ『ドミナス』をその身に宿し魔王の魂を滅ぼす『担い手』として早くからバーロウには期待されており、
物語冒頭において3つに分断したドミナスを吸印することでその力を肉体に順応させる儀式を控えていた。

しかし、先んじて自分がドミナスの担い手となる約束を取り付けていながら
バーロウがシャノアを選んだことに激昂した兄弟子・アルバスが儀式を妨害。
吸印途中でドミナスが強奪されたことでシャノアは記憶と感情を喪失してしまう。

これに伴い、優秀な戦士としての技能も一切が白紙に戻ってしまい、
ドミナス奪還の任務を帯びて旅立つまで、数週間をかけて初等訓練から再度レクチャーを受けねばならなかった。
再会したアルバスからも「魔物を討伐するときのあの流れるような動きが、今では見る影もない・・・。」と嘆かれている。
これについては「凄腕の戦士とか言われてる主人公がゲーム開始時はなんでこんなに弱いの?」という
プレイヤーの疑問・ツッコミを回避するうえで上々の回答といえなくもない。


ドミナスを奪還すべくアルバスを追跡する途中、アルバスが辺境の小村であるウィゴル村の住人13名を拉致し、
拘束のグリフで各地のダンジョンに封じ込めるという謎の行動を取っていることを知る。
これ以降、本来の任務と並行してシャノアは村人の救出に奔走、
彼女の行動拠点もエクレシアからウィゴル村に移ることとなった。

各地に出没するアルバスとの邂逅を通し、
ドミナスの本質が魔王の持つ究極の破壊の力そのものであることや、
アルバスがあえてドミナスの欠片を返還、シャノアに吸印させることで
彼女にしかできない『グリフの呪印化と吸印』『誰にでも使える体系化された技術』として完成させようとしている事実を知る。

ドミナスの欠片を吸印するもその力に呑まれ、完全に魔王の傀儡となってしまったアルバスを激闘の末斃し、
最後のドミナスの欠片を吸印したシャノアの脳裏に彼自身の記憶が流れ込んでくる。それは…


アルバスからことの真相を明かされたシャノアは、ドミナスを決して発動しないと最期の約束を交わす。
ドミナス発動の代償を知っていながら自分を担い手に選び生贄にしようとしたバーロウに全てを問い質すべく
古巣であるエクレシア本部に舞い戻ったシャノアを待っていたのは…



記憶・感情・組織・師・兄弟子、全てを失ったシャノアだが、気付けば城の前に立っていた。

なぜ、ここに立っている?すべてを失ったはずなのに。私には、もう何もないはずなのに。

いや、そうだ。一つだけ残っている。たった一つだけ、大切な使命が。

だから私は、ここに立っている。「ドラキュラ」を討つという残された使命を果たすために!


そう。私は「魔を斬り払う剣」なのだから


エクレシア最後のヴァンパイア・ハンター、シャノアの真なる戦いがここに始まった。


専用BGMは『黄昏の聖痕 -An Empty Tome -』。
主人公のテーマは開始ステージで即流されることが多いのだが、シャノアの場合は悪魔城出現後、
城に乗り込んでいく段になって初めて流れるという絶妙なタイミング。
颯爽としていながら同時に哀愁を感じさせる曲調も相まって非常に高い人気を誇る。



✝人物像✝

悪魔城ドラキュラシリーズ初の女性主人公(一応、いろいろ例外はあるが)。

ゴツかったり耽美だったりアニメ風だったり
ビジュアルイメージの変遷が激しい悪魔城シリーズだが、『奪われた刻印』ではキャラクターデザイン及びイラストには
イラストレーターの廣岡政樹氏を起用。どのキャラクターも基本写実的でシリアスな雰囲気を醸し出しており、
シャノアもセクシーな衣装の美女として描かれながら、そのくせあまり媚びた印象は感じられず、
概ね『かっこいいクールビューティ』として古参プレイヤーからの評判も良い。

見る者に冷たい妖気すら感じさせるような美貌の持ち主。
スレンダーな長身で、腰まで届くほどの長い黒髪濃紺を基調とした丈の長い戦闘服が特徴。
両肩と背中には刺青のような文様が刻まれており、グリフの吸印を滞りなく行うためには
この文様を露出させる必要性からシャノアの戦闘服(普段着でもあるらしい…)は
背面がバックリと開いている非常に大胆なデザインとなっている。後ろから見ると腰から上はほぼ裸。
また、裾には深いスリットが入っており、ヴァンパイアハンター・生脚の伝統を受け継いでいる。

冒頭の事故により記憶と感情を喪失した影響から基本的に無表情で主体性に乏しく、
終盤に至るまではとにかく師の下したドミナス奪還の命令の実行を最優先に動いている。
組織人ということもあるが、新たな事実が判明するごとに
いちいちバーロウの指示を仰ぎに帰還するなど、ホウレンソウは完璧。

また、任務に忠実といっても決してそれ以外の事柄に薄情・無関心というわけでもなく、
ウィゴル村の住民をグリフの呪縛から解放し、
その後も村の一員として彼らの依頼をこなすことで村興しに協力するなど
キャパシティの範囲内ならばどんなことでも頼まれたことは断らない、見様によっては非常に律義で親切な面がある。

結果的に老若男女を問わず住民からは恩人として大いに感謝・親愛の情を示され、
シャノア自身も潤った村の恩恵で個人で動いていた頃とは比較にならないほど潤沢なバックアップを受けられるようになっている。

ただ、実のところ感情の無いシャノアには『村人が喜ぶような結果が出せた』とは思えても、
それを見て自分が感じるものは何もない。受け答えも単純な社交辞令でしかない。
真に彼らと心を交わせるようになるのは、彼女が使命を完遂し、村に帰還してからのことになるのだろう。

なお、「常識的に考えれば人はこんな時こう思うのだろう」という理屈の上での推論から
感情の発露に近いリアクションを返すこと自体は稀にあり、
散々自分を追い回した巨大カニ「地獄に堕ちろ」血も凍るような宣告と共に、エレベーターの下敷きにして惨殺したり、
ドミナスの影響で狂気に囚われてしまったアルバスを「哀れだ」と評したりもしている。

序盤でほんの少し見られる記憶を失う前の性格も、
基本的には任務一筋、生真面目であまり面白みのない人柄のようであるが、
同時に儀式に臨む前に「人々が安心して朝を迎えられるようにドラキュラを滅ぼす」という決意を口にしており、
心中には『魔を斬り払う剣』としての熱い使命感が燃えていた。

アルバスの思い出によると幼少期は鬼ごっこでアルバスを見失うとすぐ泣き出してしまっていたらしい。カワイイ!

✝能力✝


グリフ関連の能力を除いても、その戦士としてのセンスは天才的なものがあったらしく、
物語序盤で能力が初期化してしまってもバーロウは彼女に変わらぬ期待を寄せている。
鉄拳制裁の際の絶望と怒りがない交ぜになったような叫びから見るに、恐らくこの評価は演技ではなく本心だったのだろう。

ただし、ベルモンド一族を代表とする歴代ハンターの中では
シャノアやアルバスといったエクレシアの戦士たちはまだ弱い部類に入り、
事実ドラキュラ伯爵との最終決戦においても伯爵はあくまで遊び感覚でシャノアに付き合ってやっている状態*2で、
本格的な力を見せる前に油断した隙を衝かれて封印されている。

…その際、シャノアのグリフによる印術も貧弱!貧弱ゥ!『非力な術』呼ばわりされている。これで非力なら
昔の魔法使いやら悪魔精錬士の強さは一体…(ガクブル)
グラントなんて術すら使えず身軽なだけなんだが…
まあ、まともに変態一族と張り合うとなると人間やめる羽目に陥るので仕方ない。
彼らは100年以上前の人物であり、その頃はまだドラキュラも力が弱かった可能性もある。

実際のゲーム内ではそんな設定はどこ吹く風でシリーズでも最も洗練されたシステムも手伝い、非常に使い勝手が良い強キャラ。
最初こそステータスが貧弱でやることも限られているが、ストーリーを進めてグリフが揃うごとに行動の選択肢が増えていく。
最終的にはあらゆる状況に対応できる極めて高水準な器用万能キャラに成長する。
また、パラメータ的にもクリアボーナスの一環として、最高レベルの上限が255まで成長するという
シリーズ史上最高の伸び代の持ち主(無論そこまで育てるのは大変な手間だが)。

✝他作品において✝

IGAプロデュース下における悪魔城ドラキュラシリーズでは実質最新にして最後の主人公キャラクターということからか、登場機会は割と多い。

✝悪魔城ドラキュラ ジャッジメント

隠しキャラクターとして登場。
『奪われた刻印』と同時期に開発されたゲームなので連動要素があり、
リンクさせることで最初からシャノアが使用できるようになる*3
なお、『奪われた刻印』の方ではリンクにより通常ならクリアボーナス要素である
レベルの上限アップ(最大でLV.255)が最初から解禁されるようになる。WIN-WIN関係!

CVは原作同様に桑島法子氏が担当するが、例によって小畑健氏のリデザインでビジュアルは大きく変更されている。
最大の特徴は、原作では黒髪ロングの髪型が本作ではバッサリとショートカットになっている点。
服装も二の腕と背中が大きく露出しているのは共通しているものの、長い裾がなくなり
ボディラインに沿ってフィットしたデザイン。頭にはウィンプル(修道女の被っている頭巾)を被っている。

旧い作品のキャラを今風に描き直すというのならまだしも、
まったく同時期のキャラクターであるシャノアのイメージをここまで激変させた理由としては、
3D格闘ゲームのキャラクターデザインでは複雑な物理計算が求められる
『長い髪』『丈の長い衣服』(通称『揺れもの』)が敬遠されるためと思われる。
事実サイファやマリアといった原作では長い髪の女性キャラもジャッジメントでは軒並みショートヘアに変更されている。

また、間違いなく美人ではあるのだが、『感情が無い』という設定の解釈の違いか
原作の鋭く澄んだ眼差しに対し、ジャッジメント版はガラス玉のように虚ろなレイプ目をしていて別の意味で怖い。
総じて『奪われた刻印』のプレイヤーからは「事情はわかるがやっぱりコレジャナイ」という反応が多い。
さらに、一時公式サイトで名前を『シャオナ』と誤植されたことから、
「ジャッジメントに出てるのはシャノアじゃなくシャオナだから…」とファンから冗談交じりにパチモン扱いされたことも…

舞台である『時の狭間』には、アルバスを追跡する任務の途中で迷い込んだという設定であり、
まだドミナスやエクレシアの真実は知らないでいる。

ハンターやら魔物やらを時の狭間に拉致った下手人であるアイオーン
大抵物語の始まりに「ここで戦えば貴方の願いが叶うかも」神崎士郎みたいなことを抜かすのだが、
シャノアは師から受けた命令を実行することしか頭にないのでアイオーンのアプローチも
「戦わないとここから出してやんないからなー!」的な強引なものになっている。いい迷惑である。

一応、考えようによっては本編に先駆けて悪魔城に挑んでいるといえるし、プレイ次第ではドラキュラ(CV:中田譲治)も倒せるので「ドラキュラを滅ぼす」という悲願自体は果たせている…のか?

キャラ性能としては多種多様なグリフを使い分けての距離を選ばない攻撃手段に加え、
『イニレ・ラピドゥス』の高速移動による間合いのコントロールにも長けたオールラウンダー。
一方、対空迎撃性能には難があり、空中から攻められた場合はダッシュで離脱→着地した瞬間に反撃…等の工夫が必要。
操るグリフについてはストーリーの進行上明らかに最終盤でしか手に入らないものが使えるなど、
時系列的な整合性は度外視し、純粋に格闘ゲームで使っていて画面映えするかどうかという基準で採用されている模様。

なお、高火力だが対人戦では隙が多い飛び道具『ドミナス・オディウム』
ステージ中央に固定されたボスの攻撃を回避しながら合間合間で攻撃を叩き込むアクションゲーム風の構成となる
ラスボス・タイムリーパー戦では非常に有効で、離れてぶっぱ→回避に専念→時間差で命中の繰り返しで簡単に勝てる。
原作では撃つごとにHPが減る両刃の剣だが、ここでは使い放題。

専用BGMは原作と同じ『黄昏の聖痕 -An Empty Tome -』。
格闘ゲーム向きにジャカジャカしたエッジの利いたアレンジとなっており、こちらは概ね好意的に受け入れられている。


✝悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair

各章(全6章)30分の制限時間内にマップを攻略してボスを倒すのを目指す、探索型をベースにしたステージクリア型アクション。
歴代キャラクター月風魔…?誰だお前は!?が集結する構成はジャッジメントに似ているが、具体的なストーリーは無い。
DLCで有料の追加キャラもいる中、シャノアはデフォルトでプレイヤーキャラクター。
参戦に際して新規ボイスも収録され、ラジオチャットで単語を喋らせることが出来る。
マルチプレイでは仲間と簡単な意思疎通を交わすこともできるが、相変わらず感情を見せず(つまり原作完結前の時間軸から来たことになる)、
冷静に淡々と喋るためネタ要素は低め。

しかし、ドラキュラ伯爵のテンプテーションを受けて「ドラキュラさまぁ…♥」とメロメロになるシャノアやプロセルピナの掃除機に吸われたり、やられてしまいスケルトン姿で淡々と喋りつつ骨投げで戦うシャノアが見れるのは本作だけである。
私は、魔を斬り払う骨となる!


全キャラのビジュアルは多くの探索型悪魔城ドラキュラのキャラデザインを手がけた小島文美氏の手で統一されているが、
シャノアの場合最初からリアルかつシャープなタッチで描かれていたキャラなので違和感はほとんどなく、原作通りのクールビューティーである。

キャラ性能の特徴としては

・攻撃手段の全てをグリフで行う
・両手に武器を装備しコンビネーション攻撃が可能
・左右どちらの腕に装備するかで武器の性能が変化する

…といった特徴は概ね原作と同じ。ただし、本作のグリフは通常武器扱いのグリフと
魔法(ハンタースキル)扱いのグリフで区別されており、装備部位も異なる。

武器となるグリフは購入では無くドロップアイテム(宝箱)でしか入手できず、売却も不可。
一方、防具の装備条件には恵まれており、軽装の魔法使い系が多い女性陣の中では唯一鎧などの重装備が可能。

グリフの吸印による敵の魔法妨害も健在なうえ、グリフを吸印された相手は
その攻撃が封印されて以後使ってこなくなるので、戦術的な価値は高まっている。

また、専用の特殊行動『パーソナルスキル』キルクルスによるジャンプとなっており、
序盤から専用ルートでショートカットしたり、アイテム集めに奔走したりと移動の自由度が高い。

総合的には

・基本グリフは簡単に集められる上、数が少ないことから普通に使っていればすぐに強くなる
・軌道や属性も特徴的でわかりやすく、様々な場面に対応できる
・装備の購入に余計な金が掛からずリーズナブル

…と、序盤から終盤にかけて安定した強さを持ち、育成にも手間がかからない初心者向けのキャラクター。
反面、原作に比べるとグリフの種類は半分にも満たないため、武器とスキルの総数、ひいては戦法のバリエーションはやや乏しい。


追記・修正は「アニヲタ」のグリフを吸印してからお願いします。






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最終更新:2025年04月02日 12:45

*1 もし13人の村人を解放・救出していなければ因子が足りずにこのイベントも起きず、BADエンディングルート直行である。

*2 ちなみに今回の吸血若本は妙に機嫌が良い。むさ苦しい鞭男じゃなく美しい娘が来たので嬉しかったんだろうか

*3 あくまで『最初から使用できるようになる』だけで、リンクさせなくてはシャノアが使えないというわけではない

*4 この台詞、なんと「かったいなぁ」と変形してHDに逆輸入された