ソニア・ベルモンド

登録日:2014/09/01 (月) 21:48:44
更新日:2024/11/06 Wed 23:07:20
所要時間:約 13 分で読めます





わたしはもう逃げたりしない…

自分の運命は自分で決める…

私にそう教えてくれたのは貴方よ

アルカード……





ソニア・ベルモンドはGB専用ソフト『悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲』の登場人物。


✝概要✝


中世トランシルバニアにてヴァンパイアハンターとしてのベルモンドの名を世に残す先駆けとなった女性で、 いわば『ベルモンドの母』とも言える人物。
ベルモンド直系のハンターの中では唯一の女性主人公であり、歴史で明かされている中では最古に位置するヴァンパイアハンター……のはずでした。
※歴史の真実を垣間見よ

片田舎にある貴族の家に生まれ、生来常人には感知できない『大自然の超常的な存在』=精霊と語り合える特殊な力を持った一種の霊能力者であり、周囲の誰より早くその特異な力に気付いた祖父に、「お前の力は決してお前のためだけに使ってはならない」と言い聞かされながら育った。

彼女が17歳になったある夜、生き別れた父を探す旅の途中だというアルカードと名のる謎の青年いったい何者なんだ…と出会う事で運命の歯車が動きだす。
ドラキュラの下僕である異形の怪物がソニアが留守の間に彼女の生家を襲撃し、ソニアが駆け付けた頃には致命傷を負った祖父が残されているばかりだった。
祖父から「今こそお前の力を役立てる時だ…」という遺言と形見の鞭を託されたソニアは、ドラキュラ打倒のために悪魔城へ挑むのだった。

城内で遭遇して戦うアルカードとは顔見知りで恋愛関係も匂わせており、真のエンディングでは「やがて少女はベルモンド家の運命とかなしき闇の血脈を受け継ぐ1人の子供の母となった」ことが明かされている。

……なお、子供やその父親の名前は言及されていない。






✝人物像✝


キャラクターデザインは『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』あたりから興ったアニメ絵風。
ゲーム内でも一枚絵を表示したり会話イベント時は顔グラフィックがウィンドウ脇に出るなどビジュアル面が強調されており、ゲームそのものの評価や歴史的な扱いとは別に純粋なキャラとしては概ね好意的に受け取られている。

年齢17歳。金髪碧眼の凛とした雰囲気の美少女。大きく山なりの中分けにした前髪と三つ編みのおさげが特徴だが、残念ながらGBのドット絵では金髪のおさげが表現できず……というか『漆黒』のグラフィック自体がまんべんなくクソなせいで黒髪の辮髪のような感じになってしまっている。
真エンディングでは結っていた髪を解くシーンもある。

基本的に切れ長の目に眉尾を吊り上げた少しキツめの表情でいることが多いが、ゲームスタート時の一枚絵では憂いに満ちた後姿を見せ、エンディングでは聖母のような穏やかな微笑で我が子を抱いている。
身に着けた戦闘服は、黒レザーのオーバーニーブーツとグローブにウェスト部をベルトで括っただけで上も下も思いっきり全開にはだけた上着、下に身に着けているのはパッツンパッツングリーンのレオタード&背中から肩周りにかけてはレザーアーマー風になっている、というかなりけしからんデザイン。
絶対領域がどうのってレベルじゃねーぞ! 太股フルオープンアタックだ!!
……少なくとも、一族の生脚のルーツという点では説得力抜群だったのになあ……

ボディラインはしなやかですらりとしているが同時にかなりの巨乳
ゲーム内でもバーニングモード使用時やエンディングでドレスに着替えた姿でその破壊力を確認できる。
黒歴史にさえならなければおそらくラルフはこれをしゃぶって育ったのだ……
腰にはベルモンド伝統の『使いもしないのに装備している剣』を吊っている。

シリーズでも屈指のストーリー性を持つ傑作『月下の夜想曲』の後の作品なのもあってか、主人公の個性を排除して描かれがちな悪魔城(しかも容量の限られるGB作品)にしては人となりのわかる描写に恵まれている。

祖父から託された使命に殉じる覚悟を内に秘めた芯の強い少女だが、魔に対しては『絶対に許さん…!滅せよ!!』という無慈悲苛烈なスタンスがデフォルトのベルモンド家の中では異質な争いの空しさ・哀しみを知る慈悲深い心の持ち主で、ドラキュラ伯爵を撃破した時にかけた言葉も、不死の存在ゆえに自身の滅ぶ理由がわからない魔王に対する哀れみの呟きである。
何度でも復活すると捨て台詞を吐く伯爵に対して、闇と戦う宿命を子孫に伝えていくことを宣言するが、彼女の最終的な目標は伯爵を滅ぼすことではなく、その心を救うことであった。

なお、出会ったばかりの謎のイケメンに心を許し、悪魔城討伐後に即・シングルマザーになっていたり、館が襲撃された時は深夜だというのに麓の町にでかけていた*3ことから冗談半分で「この夜遅くまで遊んでる堕落した女がァーッ!!」ビッチ呼ばわりされることも。
気の毒な話ではあるが、少なくとも(壁を壊して出てくる)肉食系女子なのは確実である。

一応、悪魔城伝説等の設定を考慮すると既に近隣はドラキュラの侵略が始まっておりこの時点から、ソニアは本格的でないにせよ夜の眷属との戦いで出払っていたとも考えられる。
またエンディング後にアルカードと別れたのもアルカードはドラキュラが完全に滅んでおらず決着をつける為、ソニアは生まれてくる子供を(迫害やドラキュラの手下から)守る為とも考えられる。



✝能力✝


祖父からは鞭を使った戦闘技術を仕込まれており、貴族の令嬢でありながらフィジカル面は異常に高い。
遺言から察するに、もとよりソニアを人々を救うハンターとして鍛えていたのだろう。

『漆黒』では『ドラキュラ伝説』に続きエリア間の移動は階段ではなく吊るされたロープを用いることが多いのだが、あの格好でロープを股に挟んでよじ登るシーンを想像するとかなり刺激的である。

また、精霊の加護の影響か単純にゲームバランスがヌルすぎるだけかタフネスの高さが尋常ではなく、体力ゲージ14に対し、ボス以外の敵から受けるダメージのほぼ全てが1であり、アクションゲームでありながら十数発も連続して被弾に耐えることができる。
マッチョな子孫らを差し置いて、女性でありながらベルモンド最強の耐久力を誇るハンター、それがソニアである。
加えて大味極まる効果内容のソウルウェポンと初心者救済用のバーニングモードが搭載されたことから、ソニアに最も適した戦闘スタイルは『耐久力に物を言わせて一方的に敵を殴り倒す』というゴリ押しに特化したものである。コワイ!

★鞭★

祖父の形見であるソニアのメイン武器。幸か不幸かヴァンパイアキラーという固有名は出ておらず、シナリオ的にはただの鞭である。
ドラキュラ伝説』経由のシステム流用により強化アイテムの水晶を取ることで3段階にパワーアップ、第3段階になると先端から火球を飛ばせるようになるところも同じ。
ただ、(グラフィックのショボさもあって)間合いがとても短いことが不満点としてよく挙げられ、パワーアップして鎖の鞭になったとしても射程は微妙にしか伸びないことも相まって『史上最短』・『まるで棍棒』と揶揄されている。


★ソウルウェポン★

今回のサブウェポンに相当する攻撃手段。自然界の精霊の力を借りて放つ一種の魔法であり、ハートは消費するが媒体となる道具は用いない。
各ステージのボスを倒すごとにひとつずつ解禁されていき、セレクトボタンで表示される特殊アイテム画面で選択して随時切り替えが可能。計5種類。

従来のサブウェポンにあたる『斧』・『時計』・『ナイフ』・『聖水』・『十字架』も存在自体はしているが、これらは武器ではなく、真のエンディングイベント解放フラグとして機能する単なる収集アイテムである。
つまり、これらのサブウェポンを戦闘に用いるというのはソニア以降の代の発想ということになる。
なんだかなあ。

【風】

風の精霊の力を借りて時間を止めるなんでだよッッッ⁉
……従来の『時計』と同じ効果を持ち、画面全体の敵の動きを止めることができる。ボスには無効。ステージ1のボスを倒すと覚える。ハート消費は5。

【水】

水の精霊の力を借りて体力を回復する。『癒しの泉』的な連想から判り易くはあるが、問題なのは回復量。
ハート消費は20とかなり高めだが、なんと体力を全回復できる。ソニアの耐久力は既に述べた通りである。
上手く使えば30発近い打撃を喰らっても生存可能。もう悪魔城の難易度じゃねぇ。
ステージ2のボスを倒すと使用可能。海外版ではなぜか『ICE』と訳されている。打ち身でも冷やすのか?

【炎】

炎の精霊の力を借りてフラッシュ攻撃。画面上の敵全体に鞭1発分のダメージを与えるが、ボスには無効。ハート消費は5。
要するに従来作品における『ロザリオ』の威力を低下させた代わりにどこでも使えるようにしたもの。
実際はステージ3のボスを倒して、使えるようになるのはステージ4からという遅さに加え、いざというときのために『水』用のハートをなるべく温存しておきたいという心理が働くため気軽に使いづらく、結局ムチで攻撃し続けているパターンになりがち。

【聖】

光の精霊の力を借りて聖なる波動を飛ばす。鞭2発分のダメージを敵に与える飛び道具で、旧作で言うならナイフの速度で飛ぶ十字架というチート武器。
ハート消費も1発につき1と安いので通常攻撃感覚で乱発できる。
ステージ4のボスを倒すと使用可能。

【魔】

闇の精霊の力を借りて全てを滅ぼす。
原理の上ではドラキュラ一味の使う暗黒魔術と全く変わらない物騒極まりない魔法。ハート消費は5。
『隠しボスを倒して手に入れる破壊的な闇の力』という点ではPS2版『キャッスルバニア』のブラックオーブの原型と言えなくもない。
画面上の敵と敵の放った攻撃弾を一掃出来るというやる気の無い効果。当然ながらボスには無効。
つまり全体化デスDEATHね!隠しステージのボスを倒すと使用可能。


★バーニングモード★


潜在能力を引き出すことで発動するソウルウェポンに並ぶソニア固有のスキルにして、『漆黒』のゲームバランスを崩壊させた最大の元凶。体力ゲージの下のバーニングゲージを消費することで発動。
発動時は身体をのけぞらせて全身がバリバリ発光するエフェクトがかかり、やけにバストが強調される。そのバストは豊満であった。
一度発動するとゲージを使い切るまでキャンセルはできず、ゲージが尽きた後はその面をクリアするか1ミスするまで再使用はできない。
その実態は一定時間無敵状態になってダメージを受けなくなり、攻撃力・移動スピード・ジャンプ力といったステータスが2倍になるというゲームバランスにスコップで砂糖をすくってぶち込むような公式チート。
特にボス戦は「バーニングモード発動→ひたすら殴る」だけで攻略可能。トランザムでももうちょっと良心的だぞ……
元々の難易度がヌルいのも相まって、これを使うと本当に攻略法もへったくれもない状態に。
なお、発動コマンドはABボタン同時押し。操作ミスでうっかり暴発してしまうこともある。






✝余談✝


★2000年頃にドリームキャスト用に北米で発売予定だった悪魔城ドラキュラシリーズの3Dアクションゲーム『Castlevania Resurrection』では、ソニアが主人公の1人であり、スクリーンショットなども公開されていたが、惜しくも完成することなく開発中止となっている。
世に出ては黒歴史にされ世に生まれず幻と消える。つくづく因果な身の上である。



★ビジュアル面では魅力的であった彼女の活躍を惜しんで、GBエミュレーター上で動作するグラフィック向上パッチが有志の手で制作されている。
その名も『さよなら辮髪』。インターネットアーカイブからDL可能な模様。
このパッチを当てればソニアのみならず敵や背景のグラフィックも大幅に改善。
また、属性と効果内容がちぐはぐで従来ファンには効能がわかりにくいソウルウェポンも風⇒時計・水⇒薬草・炎⇒十字架……といった歴代作品でおなじみのアイテムにグラフィックが変更され、それにまつわる各種設定もオリジナルで考案されている。

……愛されてはいるんだよ……ソニア自体はな……



★これまでのベルモンド家の歴史をリセットしたうえ、新解釈の元に再構築した『ロード オブ シャドウ』シリーズでは一族の開祖・ガブリエル・ベルモンド人間を辞めてドラキュラとなり、彼が吸血鬼となる前に生まれていた息子トレバー(トレバーはラルフの海外名である)が成長後、父と知らずにドラキュラに挑むも敗れ、そこでようやく我が子と気付いたドラキュラが彼を吸血鬼化させてアルカードと名付け、トレバーが旅立つ前に生まれていた息子・シモン(つまりガブリエルの孫)がアルカードと協力してドラキュラに挑むというドロッドロの骨肉の争いを現在進行形で展開中である。
黒歴史の内容が新時代の正史になったといえよう。

現在、『漆黒たる前奏曲』はプレミアムこそ付いてしまっているもののNintendo Switch ONLINEで遊ぶ事が出来る。どこでもセーブ&ロードに巻き戻し機能もあるので、当時例のエンディングに辿り着けなかった人も遊んでみてはいかがだろうか。上記の『さよなら辮髪』パッチは当然ながら当てられてません。



追記・修正は自由ですが黒歴史の修正はほどほどにお願いします。

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最終更新:2024年11月06日 23:07

*1 尤も、こちらも旧来のファンから批判される事もあるのだが……

*2 ベルモンド本家筋は闇の眷族遭遇=即戦闘という思考の者が大半

*3 基本魔物は夜にしか人里を襲わない