クリストファー・ベルモンド

登録日:2014/08/29 Fri 16:50:18
更新日:2025/10/11 Sat 00:47:18NEW!
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かつての惨劇が繰り返される中、一人の男が立ち上がる

ベルモンド一族の末裔、クリストファー





クリストファー・ベルモンドはGB専用ゲームドラキュラ伝説』・『ドラキュラ伝説IIの登場人物。
後にWiiウェアでリメイクされた『ドラキュラ伝説Rebirth』でも主人公を務めている。
この項目では彼の息子・ソレイユ・ベルモンドについても記す。


✝概要✝


100年に一度邪悪な祈りによって甦る魔王・ドラキュラ伯爵}と彼に仕える夜の眷属を狩る宿命を背負う一族、ベルモンド家出身の真正ヴァンパイアハンター。世代的には『悪魔城伝説』の主人公・ラルフ・C・ベルモンドと、第1作『悪魔城ドラキュラ』の主人公シモン・ベルモンドとの間に100年の年月を挟んで位置する人物。
無論、後の作品群のベルモンドのハンター達(ジュストリヒターユリウス)も彼の直系の子孫である。
実は第1作の公式ストーリーでも「英雄クリストファーが退治した魔王ドラキュラが復活し」と名前だけは登場していた。

ゲームとしての発売時期は2ヵ月と言うタッチの差で『悪魔城伝説』より先に『ドラキュラ伝説』が世に出てしまったので、作中では祖先であるラルフとの関係については残念ながら全く語られていない他、両作品ともドラキュラ伯爵はまだ完全な魔王ではなく、永遠の生命を求める邪悪な呪術師=魔と人の境界に立つ魔人という解釈が成されている。

悪魔城伝説では本来、ラルフではなくクリストファーの名を使う予定だったという説がある。しかしGB版がタッチの差で使用しやむなくラルフと言う新しい名を用意。当初の名残でセカンドネームにCを入れたのだと言う。実際にCはクリストファーと読むと書かれる紹介記事も少なくない。

『ドラキュラ伝説』では悪魔城に乗り込み伯爵を打倒したクリストファーだが、実は伯爵は肉体と魔力の大部分を失いながらも完全には滅んでおらず*1、15年もの雌伏の歳月を経て『ドラキュラ伝説Ⅱ』にてクリストファーの息子のソレイユ・ベルモンドが成人したのを機に再来。
聖なる力を身につけたソレイユを最後の魔力をかけて操り、その力を借りて自分の肉体を復活させようとした。
クリストファーは、息子を救い伯爵を倒すため、往く手を阻むように突如出現した4つの城を次々と攻略、最後に現れた悪魔城にて操られたソレイユを下し、ドラキュラを今度こそ完全に倒し息子と共に崩れる城から脱出した。



✝人物像✝


物語開始時点で既に子持ちという歴代でも珍しいオッサン主人公(ユリウスは主役じゃないしね……)。
老け顔でオッサンにしか見えないというのではなく、マジに歳食ってるリアルオヤジヒーローである。
しかも『ドラキュラ伝説』1576年、『ドラキュラ伝説Ⅱ』1591年の出来事であり、実に15年の歳月が経過してもなお主人公の大任をこなしているのは奇跡的と言ってもいい。
え?ガブリエル?トレバー?あれは色々と特殊なパターンだから……

また、一生涯のうちに2度もドラキュラと戦い、2度とも勝利しているあたり、まさに生涯現役の古つわもの・酸いも甘いもかみ分けたベテランハンターという雰囲気である。
(他明確に二回以上倒した例としてシモン[初代とそのリメイク、ドラキュラ2]、アルカード[悪魔城伝説、月下の夜想曲]等もいるが)
城なんて2作合わせて6つも落としている。(シモンもリメイク込まなければ一回[ドラキュラ2では既に廃墟]なのでこれは間違いなくベルモンド最多)最早キャッスルバニアじゃなくキャッスルバスター。
もっとも、2度戦った理由は最初の戦いでドラキュラを完全に滅ぼしきれていなかったからだが……。
それでも復活したドラキュラに対処したベルモンドは彼が最初なので(ラルフ健在時に一度復活しているが倒したのはヘクター)まだドラキュラ退治のノウハウがベルモンドに無かった故、仕方ないと言う見方もできる。

ベルモンド一族がまだお耽美化する前の時代に生まれたキャラクターなので、超絶美形の御先祖様とは打って変わってノースリーブの革鎧にむき出しの生脚が実にむさ苦しい眩しいマッスルダンディである。
パッケージイラストやゲーム画面を見ると背に盾・腰に剣という使いもしない武器を装備していたり、城の崩壊を息子と見守る後姿は長髪にマント装備だったりとイマイチビジュアルが定まらない。
GBゆえあまりグラフィックに凝れなかったというのもあるのだろう。
リメイク版の『Rebirth』では額にサークレットをつけ、暗赤色のノースリーブ上着にきちんとズボンを穿いた上での革のブーツという落ち着いた格好に設定されている。

また、純然たるアクションゲームだったこの頃の悪魔城としては当然と言えば当然の仕様なのだが、性格や台詞については一切設定が無く、Rebirthにおいてもそれは同じ*2
マイナーゆえに『悪魔城ドラキュラ ジャッジメント』などのお祭り企画でもお呼びがかからず、そのお蔭で風情の無い魔改造をされることもなく、ひっそりと無個性主人公のまま現在まで伝わっている。
そのため、『最近の悪魔城は軟派』『美形は不要』『男は黙って鞭を振れ』……といった主張の激しいオッサンゲーマー共には人気……かも。

テーマBGMについてはドラキュラ伝説はシリーズ内でも特にユニークな名曲が揃っているが、あえて挙げるとすればドラキュラ伝説1面BGMの『Battle of The Holy』だろうか。何故かRebirthでは未使用で多くのファンが惜しんだ良曲である。
ドラキュラ伝説2の『New Messaiah』も有名。(こちらはRebirthで使われている。)ただし、曲名が「新たなる救世主」なので既にドラキュラを一度倒して高名であるクリストファーと言うよりかは新しいヴァンパイアハンターになるはずだったソレイユのテーマと言えるかも。



✝能力✝


独特のアクションとしては、アイテム『水晶玉』を取るごとに鞭がパワーアップしていき、最大の第3段階になると鞭を振ると同時に先端から火球を発射しアウトレンジの標的に攻撃を当てることができるようになる。
サブウェポンが存在しない本作では全く制約なしに繰り出せる遠距離攻撃として非常に頼りになる。
ベルモンド家の中でこの能力を持っている者は他におらず、クリストファーの最大の特徴として印象深い。


また、エリア間の移動は悪魔城名物の階段が廃止され、吊るされたロープをアスレチックのように伝って移動するのがデフォ。
ちなみに面倒がってロープを伝わず飛び降りるとその先のエリアが安全だろうと関係なく即死する。
横着者には死・あるのみ。



◆『ドラキュラ伝説』◆


クソ弱い。悪魔城最弱主人公の汚名をほしいままにするロートルオヤジっぷり。

まず足がべらぼうに遅い 。これは初期型のゲームボーイは画面を高速でスクロールさせると背景の液晶が流れ・ぼやけてしまい見づらくなってしまうための配慮なのだがとにかく遅い。
「慎重派のプレイヤーなら有難いのでは?」と思いきや、ドラキュラ伝説はタイム制で制限時間内にステージをクリアできなければ問答無用でがめおべら
鈍いけど急ぐというジレンマの中にしかクリアへの道は無い。*4

ジャンプ力自体はそこそこあるが、飛距離が全く伸びないくせに高所からの落下スピードだけはやたら速い。
さらにギリギリまでジャンプのタイミングを見切らないといけない落ちる床や落ちたら死ぬというシチュエーションが異常に多く、タイミングを掴むまでが一苦労。
おまけにそういう状況に限って処理落ちが重くor軽くなってゲームスピードが急に変化するのだから困ったものである。
初見殺しが多すぎて、とりあえずは一回死んでみるしかない。

「生きて勝とうなどとと思うな 死んで死んで死にまくれ それが男の闘いだ」
By.男塾二号生筆頭 赤石剛二

攻撃面ではなんとサブウェポンが無い。最初から最後まで鞭オンリー。
しかも鞭を振るスピードさえも遅く、ボタン入力からワンテンポずれる。おかげでブナグチーの出す高速胞子の処理に苦しむことになる。
鞭はアイテム入手でパワーアップするが、ダメージを受けたらパワーダウンする。苦労して最強にしても二回殴られればまた最初から。
トドメには異様に処理落ちしやすい作品のため、ボタンを押しても鞭が振れない現象まで持っている。この作品では攻撃が最大の防御なのに……

こんなないない尽くしでよくドラキュラとの戦いに勝てたと感心するばかりである。
英雄クリストファーとは、操作性の悪さと死に覚えるしかないトラップの嵐を潜り抜けたプレイヤーの不屈の闘志に冠された称号なのかもしれない。
更にこのゲームは周回制であり、周回を重ねるたびに敵の攻撃力が倍増する事も追記したい。
その為クリストファーが受けるダメージも倍々で増加し、5周目になるとどんな攻撃でも一撃食らったら即死するという鬼畜仕様。被弾は許されない。

敵が来ようがトゲが迫ろうが悠々たる歩きを維持する精神力、姿を漢らしいと思う人もいるとかいないとか



◆『ドラキュラ伝説Ⅱ』◆


老いらくの驚異的進化。
操作性が軒並み向上している。移動スピード・ロープから下降する時のスピードが目に見えてアップし、攻撃面では待望のサブウェポンが実装。
聖水十字架の2種類(海外版では十字架ではなくとなっている)しか無く連射もできないが、他作品でもサブウェポンはこの2つがあればOKというバランスのことが多いので不自由は感じにくい。

また、前作ではどんな形であれダメージを受ければ即パワーダウンだったのが、ブナグチーの吐く胞子弾以外なら当たってダメージを受けても鞭の強化段階は維持できるようになった。

前作から15年も経ったというのに衰えるどころか更なる力を手に入れたのは弛まぬ練磨の成果か、我が子を救わんとする父の愛か。



◆『ドラキュラ伝説Rebirth』◆


単純なドラキュラ伝説のリメイクにとどまらず2Dアクション時代の悪魔城のお約束を詰め込んだ結果、独自性の強かった原作とは大きくキャラ性能が変化した。使い勝手的には『悪魔城年代記』のそれに近いか。

鞭の第3段階はタイム制になり、3つ目の水晶玉を取ってからは専用のゲージが0になるまでの間しか
火球は発射できない。ゆえに遠距離戦闘では火球に頼らず、サブウェポンを有効活用する必要が出てくる。

そのサブウェポンもGB時代からさらに種類が増加し、新たにナイフ・斧・時計が追加された。
『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』『悪魔城ドラキュラXX』で登場した、使用することで特定の扉を開くことが可能になる『鍵』をサブウェポンとして持ち歩くシステムも実装された*5

また、MAPは一変し*6ドラキュラ伝説の特徴だったロープ移動は完全に廃止されている。

ちなみに、プレイにはnormalモードとは他にclassicモードが存在する。
classicモードは、ジャンプ中軌道修正が出来なかったり、サブウェポンがクロス、聖水だけになるなど、旧作のプレイ環境に近づけた調整が施されている






✝ソレイユ・ベルモンド✝


「あなたには ぼくをたおせませんよ…………父さん」

クリストファーの息子。長い髪*7オールバックにした少年。
ゲーム中対峙した時は上下とも白の礼服のような出で立ち。
時系列的にシモンの祖父という可能性もあるが真相は不明。

存在が明かされたのは『ドラキュラ伝説Ⅱ』からだが、ちょうど前作から15年後に15歳の成人式を迎えていることから、前作の時点で既に生まれていたものと思われる。
作中では父ひとり子ひとりの親子という印象が強く、母親を始めとした他の家族については一切触れられていない。

父クリストファーからヴァンパイアハンターとしての技を学んでおり、戦闘では父同様に鞭を用いる。
しかしクリストファーの鞭とソレイユの鞭、どちらがヴァンパイアキラーなのかは不明。

成人式を迎えようというまさにその時、ドラキュラの術中に堕ち姿を消してしまう。
復活を目論むドラキュラに操られてクリストファーに襲い掛かるが、激闘の末無事クリストファーに解放された。

戦闘時は鞭を揮っての基本攻撃に加え、積極的にベルモンドウォーク*8で接近し、容赦なく接触ダメージを与えてくる。
サブウェポンの中では特に短剣の投擲を得意としており、3本の短剣*9を虚空に投げ上げ、その剣が時間差で飛んでくるという絶妙な技を操る。
剣の軌道にはいくつかのバリエーションがあり、3WAY気味に拡がって飛ぶほか、3本そろって垂直に落下してくるなど機動性に乏しいクリストファーではパターンを記憶しておかない限り苦戦は免れない。
「親父より強ぇ」「このゲーム最強なのはドラキュラより息子」と多くのプレイヤーから実力自体は高く評価されている。

ドラキュラ伝説ⅡのベルモンドVSベルモンドによる親子対決という悲劇的ながら燃えるシチュエーションは史上初の試みであり、これ以降も『月下の夜想曲』リヒター『Circle of the moon』ヒュー、『白夜の協奏曲』マクシーム、『奪われた刻印』アルバスのような何らかの理由で闇に堕ちたハンターとの等身大バトルが度々見受けられるようになった。

正当のベルモンドなのに闇堕ちし、後の歴史でも語られることは全くないということから不名誉な影がつきまとう*10が、敵の手に落ちたのもあくまで伯爵が憑依したためであり、彼もその後の一生を懸けてベルモンドの系譜を未来へ繋いだ功労者なのは確かなのである。



✝余談✝


★彼を主人公に『ドラキュラ伝説』のパラレル展開を描いたアメコミ『Castlevania: The Belmont Legacy』が存在する。
こちらはイリアナという婚約者(つまりソレイユの母?)やデイモスという従者、ヴァンパイアハンターとして協力関係にあるトトヤン家がいることが明らかに。
イリアナとの結婚とドラキュラ復活のタイミングがダダ被りしてしまったせいでとんでもない騒動に巻き込まれてしまう。
この作品でのクリストファーは金髪マッチョないかにもアメコミヒーローといった雰囲気で日本版より若々しい。


★長らく一族最弱の名をほしいままにしていた彼だがリメイクのRebirthのTAS動画にてデンジャラスゾンビなるバグが発見され(ただし海外版限定)最弱から脱してめでたく?変態の仲間入りを果たした。やったね!!!
「画面切り替え時と同時にライフ0になるとそのままゲームを続行できる」と言うものでこれを使えばいかなる攻撃も無力化することができる。当たっても効かなければどうということはない!!!
叫びながら(ライフ0時の断末魔)とともに部屋に入室する姿はまごうことなき変態。
ちなみに元ネタも「ダメージを受けた直後の無敵状態を常時維持する」というもの。

★ドラキュラ伝説の時代よりもはるか未来を描いた作品『ギャラリーオブラビリンス』にて主人公・ジョナサン・モリスが真にヴァンパイアキラーの継承者となることで歴代ベルモンド家のヴァンパイアハンターたちの英霊を召喚する「グレイテスト5」なる奥義を使えるようになるのだが……降臨する英霊はレオン、ラルフ、シモン、ジュスト、リヒター。
…………誰か忘れちゃいませんかね。




このご ベルモンドの血すじは 荒らし・ハンター として
いくたの良項目を 生み 追記・修正されて いくことに なる……

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最終更新:2025年10月11日 00:47

*1 エンディングでも一羽の蝙蝠が崩壊した城の瓦礫から飛び去っている

*2 『悪魔城ドラキュラ ジャッジメント』のラルフ/トレバーの英語音声を流用した掛け声はあるが

*3 PS3版は△

*4 それでも恐ろしいほど慎重にやるか、相当もたつかない限り急かされるようなタイムの少なさではない。

*5 ただしリヒターのように鍵その物を武器として用いることはできない

*6 一応所々地形に原作の名残が残されている部分もある。

*7 金髪だが画面内では視認性の問題で黒髪

*8 練り歩くような例の歩法

*9 取扱説明書には短剣と記載されているがそれにしてはやたら大きい

*10 ソレイユという名が『太陽』を意味するというのも皮肉