風船怪獣 バルンガ

登録日:2015/07/25 Sat 13:55:21
更新日:2024/11/27 Wed 15:46:06
所要時間:約 8 分で読めます





バルンガは、ウルトラシリーズに登場する怪獣。
別名は「風船怪獣」

この項目では、元ネタと言われている短編小説についても紹介する。

出典:ウルトラQ/円谷プロ/第11話「バルンガ」/1966年3月13日放送


【概要】

全長:50cm~∞
体重:不明

たくさんの小さな触手を垂れ下げた、雲のような体の不気味な怪獣。
別名の通り風船のようにぷかぷか浮かんでおり、栄養が無い時は小さな胞子状になって宇宙空間を漂っている。

攻撃手段はこれと言ってなく、見た目は頼りなさそうなのだが、意外と皮膚は頑丈で銃弾やミサイルを受けてもびくともしない。
だが、バルンガの最も恐ろしい能力はその食性。バルンガが栄養にしているのは「エネルギー全般」なのである。

ガソリンや重油などの燃料は勿論、電気エネルギー、運動エネルギーまでありとあらゆるエネルギーはバルンガの栄養となり、どんどんその体を大きくしてしまう。
上述の通り銃弾やミサイルを受けてもそのエネルギーを自らの栄養にしてしまい、果ては台風のエネルギーをも全て吸い取ってしまう。
幸い生体エネルギーの類を吸収する描写は無いが、空中をただ浮かんでいるだけで都市機能は完全に麻痺してしまうのだ。
劇中の言葉を借りれば、まさに文明の天敵である。

ただ、バルンガが本来食べると推測されるものはこれら地球上のものではなく……。


その特性故にウルトラシリーズの数ある怪獣・宇宙人の中でも屈指の強豪と言われる事も多いが、巨大化する前なら人間の手でも十分退治する事が可能である。
ただし上に書いたとおり、一度でも大きくなると人間の手で追い出すことは出来ても倒す方法は無きに等しい(『怪獣バスターズ』を除く)。

なお、今のところ円谷の公式媒体でウルトラ戦士と戦った事は無い。

【登場作品】


【主な活躍】

◆ウルトラQ

登場:「バルンガ」(11話)

土星ロケット・サタン1号が「風船」「燃料が無い」と言う通信を残して地球の海に墜落。1週間後、その現場を確認するために訪れたパイロットの万城目淳たちの乗るセスナの燃料が突然無くなった。
幸い無事に彼らは戻ってくることが出来たのだが、エンジンルームには風船のような不気味な生命体が付着していた。そう、サタン1号やセスナの燃料を吸収した犯人は、胞子の状態でサタン1号に付着し、地球にやって来たバルンガだったのである。

万城目たちは一旦箱に収納しで運び出したが、バルンガは彼らや周りの車のエネルギーを吸収して急成長。車を破裂させ、東京上空に居座ってしまった。
警官の拳銃の発砲も、自衛隊機の攻撃も、バルンガを倒すどころかどんどん成長させてしまい、ついには東京タワーにも匹敵する巨体に変貌。高圧線の電気エネルギーをも自らのものにするバルンガに対し、都内での電気や乗り物の使用停止令まで決定される事態となった。

そんな中、万城目はこの事態を解決するかもしれない人物を見つけた。
その名は奈良丸明彦。20年前に隕石から発見した生命体「バルンガ」の存在を学会で発表した人物である。
その危険性も察した彼は自らの手でバルンガを殺処分し、地球の危機を脱する事が出来たものの、皮肉にもそのせいで実物を提示できないという事態となり、学会を追放されてしまったのだ。

そして、万城目たちは奈良丸と思われる、風船を手に持った老人と出会った。
電気も乗り物も消え、静まり返った東京の街の中で彼はバルンガを『神の警告』と呼んだ。


バルンガは自然現象だ。文明の天敵と言うべきか。
こんな静かな朝は、またと無かったじゃないか。
この気違いじみた都会も、休息を欲している。

だが、警告を反省すれば救われると言う事ではない、と万城目の仲間である女性記者・江戸川由利子は反論した。
その言葉通り、バルンガの勢いは収まることなく、台風のエネルギーをも自らのものにしてしまうほどの怪物へと成長を遂げてしまっていた。

最早成す術がない状況の中、あの老人=奈良丸博士は、解決策を提示した。バルンガに、本来の餌を思い出させるのだ。
そして彼の助言を受けた国連は人工衛星をわざと爆発させて「人工太陽」を創り上げた。するとバルンガは少しずつ空に上がり、人工太陽に向けて進み始めたのである。
こうして東京は、元の喧騒を取り戻した。

だが、宇宙空間で人工太陽のエネルギーを食べたバルンガは、本来の餌を思い出し、そちらに向かったかもしれない。
漆黒の宇宙で輝き続けるエネルギーをたっぷり詰めた恒星――「太陽」へと。


明日の朝、晴れていたらまず空を見上げてください。
そこに輝いているのは、太陽ではなく
バルンガなのかもしれません……。

◆怪獣バスターズ/怪獣バスターズPOWERED

緑の惑星「レラトーニ」や水の惑星「ワッカ」に出現。
ふわふわと空中に浮かび、触手を突き立てたり電撃を放ったり、巨体で圧し掛かったりして攻撃をする。
攻撃をすればするほどどんどん巨大化するが、無敵という訳ではなく退治する事が可能。

水を吸って色や属性が変わったバルンガ(青)や集団で現れるミニバルンガなどのバリエーションも登場している。

◆宇宙からの贈りものたち

電気泥棒扱いされて嫌われていたが、大型の個体がメルトダウンした原子炉を覆い常駐し、放射能汚染を防いだことで人気者となっており、その人気にあやかった「バルン菓子」なる商品も販売されている。

大気中のエネルギーのバランスが崩れ天候が不安定になるなどの問題や、数が更に増えた場合などの懸念もあるが、うまくコントロールして共存していく道が模索されている。

◆ウルトラマンオーブクロニクル

星間連盟の刑務所惑星・惑星484の重力波発生装置として幼体が利用されていた。
惑星を乗っ取ったジャグラス ジャグラーとビランキにより、ブラックホールを発生させ銀河全体を破壊する大量破壊兵器「バルンガボム」に改造される。

【色について】

モノクロ作品であった『ウルトラQ』に登場した怪獣・宇宙人の中には当時の色が判明していないものがあり、バルンガもその1つである。
デザイン画の段階ではが入り混じった不気味な配色だが、江戸川百利子役の桜井浩子によると実際使用された人形は結構汚い土色だったという。ただ他のスタッフが赤色だったと証言した事もあり、正確な色は未だに不明。
なお、カラー化された『総天然色ウルトラQ』ではメタリック調の褐色となっている一方、『怪獣バスターズ』のバルンガはを基調とした色になっている。

【余談】

  • ウルトラマンコスモス』は企画当初歴代の怪獣が再登場する案があり、バルンガもその一例として挙げられていた。

  • ウルトラマンメビウス』に登場した、ファントン星人の非常食「肥大糧食 シーピン929」のモチーフはバルンガである。ただしバルンガとは逆にこちらは食われる側。


  • 上述の通り、奈良丸博士の台詞にとある放送禁止用語が含まれているが、現在発売されているDVDやカラー版『総天然色ウルトラQ』にはしっかり収録されている。

  • 藤原カムイによるコミカライズ版は、各エピソードで漫画の前話に登場した「何か」を何らかの形で再登場させるお遊びが行われており、『バルンガ』には宇宙遊泳する人工生命体M1号が、次話の『悪魔ッ子』には一の谷研究所に置かれたクラインのツボ*1の中にバルンガの胞子サンプルがあった。


+ 元ネタ?

【元ネタ?】

明言はされていないが、このバルンガの話は元ネタが存在すると言われている。
それが、ロバート・シェクリィが執筆したSF短編小説『ひる』である。

◆「ひる」

登場:「ひる」(ロバート・シェクリィ著、1952年)
直径:1m(最初の確認時)~∞
体重:不明~∞

重力に乗って北アメリカ大陸に落ちてきた生命体。「ひる」地球の科学者が名づけた俗称である。
バルンガとは異なり、灰色がかった黒い塊状の姿で地面にへばりつき、様々な物を吸収して巨大化する。
だがこちらは風や、爆発などのエネルギーばかりではなく、地球の大地も、落ちてきた小枝も、近くにある家もジープも、自らに触れたありとあらゆる物体までも吸収すると言う恐ろしい性質を持つ。
その成長速度も半端なく、僅か2日で6倍、数日後にはさらに巨大になっていった。

その旺盛な食欲のせいで、過去に「ひる」は1つの惑星を美味しくいただいた事すらある。
ただその後栄養がなくなり、小さな胞子状の姿になって休眠状態になり、そのまま地球に落下したのだ。

勿論米軍も様々な対処法に乗り出したが、その先鋒にたったのは、「ひる」を倒す事のみに尽力するタカ派のオドネル将軍だった。
科学者たちが無謀だと言うのも聞かずにありとあらゆる手段で攻撃を加え、最終的には原爆まで投下する事態に至る。
しかしどれも「ひる」に効果があるどころか美味しいご飯をたっぷり与えるだけに過ぎず、最終的には直径100kmクラスにまで巨大化してしまった。

どうする事も出来ない状況の中、科学者たちは最後の作戦を発案した。
エネルギー=放射性物質を満載したロケットを宇宙に飛ばし、無敵の「ひる」を地球から追い出してしまおうと言うのである。
そして見事に作戦は成功、「ひる」はロケットに引き寄せられるかのように、さらに美味しそうな食糧「太陽」へ向けて旅立ったのだが……。

なお、文中ではまるで「ひる」が心を持っているかのように書かれているが、実際にそうなのか、ただの比喩なのかは不明(前者の可能性が高そうだが)。





明日の朝、アニヲタwiki(仮)を開いたらまず追記・修正してください。
そこに写っているのは、文字ではなく
バルンガなのかもしれません……。

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最終更新:2024年11月27日 15:46
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*1 境界も表裏の区別もないツボ。3次元にはありえない。彼女は似たようなことをやった