登録日:2016/03/07(月) 17:54:20
更新日:2025/02/07 Fri 08:34:46
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おれ 兜甲児は その力を 突然もらい受けてしまうのです
概要及び連載の顛末
70年代初頭の永井豪はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの人気漫画家であり、連載を4本同時に抱えていた超売れっ子であった。
永井の代表作である『
デビルマン』もその一つ。
詳しいことは該当項目を見ていただきたいのだが、『デビルマン』は永井の
漫画が人気だったのでアニメ化した、
というわけではなく、
東映動画の企画ありきで進行した、現在で言う所のメディアミックス作品の一つであった。
『デビルマン』の企画が進む中、永井は交通渋滞に巻き込まれた時「車に脚が生えてまたいで通れたらな(笑)」とふと思いつき、
子供の頃夢中になって見ていた『鉄人28号』を思い出してこう考えるに至った。
「
戦車や戦闘機みたいに、人間が巨大
ロボットに乗り込んで動かす漫画を作ろう」と……。
これを東映動画に持ち込んだところ、「ロボット物はウケないんじゃないの?」と言われるのではないか、という大方の予想を裏切って
意外にも好評のままトントン拍子で話が進むことに。
結局この『マジンガーZ』の企画はわずか3ヶ月で決まってしまい、アニメ化の条件として永井に「週刊誌でコミカライズしてチョ」と提示。
永井は『
週刊少年ジャンプ』で連載していた『ハレンチ学園』を完結させ、その次回作として本作を選んだ。
こうして、永井直筆による漫画版『マジンガーZ』は、週刊少年ジャンプ1972年10月2日号から連載が開始。
2か月後に放映されるアニメ版の宣伝も兼ねて大々的にスタートダッシュを切ったのである。
……とまあ、このように書くと「え!? マジンガーZってジャンプでやってたの!?」と驚く若い読者も多いと思われる。
実際、ジャンプの歴史からしてみれば、前作『ハレンチ学園』に比べれば『マジンガー』の影は薄いからだ。
これはなぜかと言うと、実は漫画版『マジンガーZ』は打ち切りの憂き目に遭っているからである。
勿論、マジンガーの評価が悪かったからではない。実はこれには少々厄介な裏話があるのだ。
アニメ版『マジンガーZ』は低年齢層向けの児童誌である『テレビマガジン』や『たのしい幼稚園』にも版権を有していたのだが、
これにより版権のシェアが徐々に講談社に移っていくことになり、集英社では『マジンガー』を続けることが出来なくなってしまったのだ。
そんなわけで永井はジャンプでの連載を終了せざるを得なくなり、
「続きはテレビで見てね!」
という強引なシメで無理矢理完結させた。
その後、漫画版の連載は講談社の『テレビマガジン』に移籍して継続(しかし、続編ではないため時系列はバラバラ)。
アニメ版『マジンガーZ』は全92話という空前絶後の大ヒットの末に終了し、漫画版も無事完結するに至った。
現在発表されている単行本(中公文庫版など)はジャンプ版とテレマガ版を時系列順に矛盾が出ないように組み換え、大幅に加筆修正したものである。
永井本人も「アニメ版は大成功したが、漫画版にはまだ心残りがある」と語っているという。
後に週刊漫画ゴラク(日本文芸社)でその辺りのエピソードを描いた『激マン!マジンガーZ編』が連載。
(2015年に第1部が終了、第2部までの箸休めとして『キューティーハニー編』が掲載されている)。
2018年より第2部「激マン!Z&グレート編」が連載開始。
そして2022年には、『激マン!』内のマジンガー漫画部分をピックアップし加筆修正した単行本『マジンガーZ 2022』(全2巻)が発売された。
アニメ版との差異
- マジンガーZの目の部分に赤い縁取りがある。
- ホバーパイルダーが白い。
- マジンガーの放熱板や一部装甲の形状。
- ホバーパイルダーが健在のまま連載が終了したためかジェットパイルダーが登場しない。
- 冷凍光線とミサイルパンチがない(代わりに「アームミサイル」が内蔵されている)
- 甲児のじいちゃんで、マジンガーZ(機体)を作った兜十蔵博士の性格と顔が全く異なる。
- アフロダイAの頭が物凄くでかい。
- アフロダイAが、マジンガーZと同じく十蔵博士の設計図によって造られたものという設定になっている。
実際に作ったのは弓教授なので、アフロダイとマジンガーは異母姉弟ということになる。
- 光子力研究所にバリアがない。
- ボスボロットがジャンプ掲載時には一切登場せず、テレビマガジン移籍後にやっと登場する。
- その代わりに「マジンガー軍団」なる、光子力研究所で作られた量産型ロボット軍団が終盤に登場する。
- ダイアナンAの代わりにビューナスAが登場する。
- Dr.ヘルとあしゅら男爵のやりとりにコミカル要素が一切ない。
- ピグマン子爵? 誰それ。
- Dr.ヘルが最終決戦時に超絶巨大ロボット「地獄王ゴードン」に乗って自ら戦う。
主な登場人物
光子力研究所関係者
主人公。相変わらず凄いモミアゲの高校生。祖父・兜十蔵からマジンガーZを託され、悪逆非道の機械獣軍団に挑む。
キャラクター設定的にはあまりアニメ版と変わらない。料理が上手い。
言わずと知れたヒロイン。アニメ版に比べるとだいぶ
マシな性格の美少女。アニメ版と異なり、甲児と同じ高校に通っている。
『激マン』だとキューティーハニー顔負けのダイナマイトバディの、とても高校生には見えない絶世の美女になっている。
まあ『ZERO』でも必要以上に巨乳だったけどさ。
ちなみに永井豪先生の作品の御多分に漏れず、劇中ではあしゅら男爵やブロッケン伯爵の罠にハマって、戦闘服を脱がされて
裸にされたり、服を切りきざまれて
下着姿にされていたりする。
また後の『激マン!』版ではアフロダイAのデザインが大幅に変更。全体的に鋭角的な青年誌連載なのでカラーリングのメリハリと下半身のパーツ追加からエロ水着風外装でもある姿となっている。
本名は本人も作者も知らない。
アニメ版と何ら変わりない性格で、何ら変わりない活躍をする。
アニメ版より悪ガキ。なんとホバーパイルダーを動かすシーンがある。こいつ
ニュータイプかっ!?
ちなみに名前の由来は実在する
元祖新聞の読める馬競走馬「カブトシロー」とされており、暗黒寺警部にその事を言われたりした。
光子力研究所の所長。十蔵博士の弟子であり、残された設計図を基にアフロダイAを作った。
ジャンプ掲載時には「弥之介」になっていたが、単行本化に際しこちらに修正された。
また、容姿というか髪型もアニメ版と全然違ったが、これも単行本化の際に修正された。
せわし、のっそり、もりもりの三バカ。アニメ版とだいぶキャラクターデザインが異なるが、出番は少ない。
顔にドデカい傷のある、猛烈に人相の悪いジーサン。冒頭で地震に巻き込まれて命を落とし、甲児にマジンガーを託した。
漫画版
オリジナルキャラクター。双子の女性パイロットで、光子力電磁砲を搭載したミリオンαを二人で操縦する。
『
マジンカイザー』では、レギュラーキャラに昇格するも、『死闘!暗黒大将軍』で……
同じくオリジナルキャラクター。ルストハリケーンを搭載したバイオンβを駆る強面の男。
『死闘!暗黒大将軍』では活躍が全く無いうちにやられた。
同じく以下略。ブレストファイヤーを搭載したダイオンγを操る陸上自衛隊員。
民間人
漫画版オリジナルキャラクター。先祖代々ヤ●ザの家系ながら、なぜか警察官を志した鬼刑事。物凄く人相が悪いが、影は薄い。
本作では途中で謎のフェードアウトを遂げるが、『激マン』では作者が描き忘れに気付いたのかしぶとく登場し続ける。
アニメ『
真マジンガー 衝撃! Z編』にてやっとブラウン管(←死語)デビューを果たした。
甲児の高校の音楽の新任教師。眼鏡に
ポニーテールの美女。ブロッケン伯爵に捕まり裸にひん剥かれて人質にされてしまう。
『
真マジンガーZERO』ではもっと悲惨な目に遭った。
Dr.ヘル一味
悪の親玉で、本作のラストボス。機械獣による
世界征服を目論むマッドサイエンティスト。
全長数千mはあろうかという要塞兵器「地獄王ゴードン」に乗り、最後の決戦に挑んだ。
基本的にはアニメ版と変わらない。
最後はマジンガーによって操縦機能を破壊された空中要塞グールの下敷きにされてブロッケン伯爵と心中させられる。
アニメ以上にコミカルかつ残虐で卑怯な演出が目立つ。
最後はマジンガーに操縦機能を破壊されたグールと運命を共にするハメになる。
雑魚の皆さん。鼻から上をそぎ落とされ、剥き出しの脳味噌を改造されたDr.ヘルの
戦闘員。哀れ……。
アニメには登場しない機体や、違う能力を持っている物なども数多く登場している。
アニメの没企画の流用。金髪の
ツインテール美女の姿をした殺人アンドロイド。
金色の髪は切断力の強いワイヤーであり、相手を切り刻むことに特化している。
常に3機1組で活動しているのだが、OVA『CBキャラ 永井豪ワールド』では1体しか登場しない。
『真マジンガー 衝撃! Z編』ではもう2機製作される。
『激マン!』ではエロ可愛いデザインにリファインされている。
初音ミクとMEIKOを足して2で割ったような感じ。
後の作品における扱い
OVA『CBキャラ 永井豪ワールド』では『デビルマン』同様に漫画版がモチーフとなっており、頭のデカいアフロダイAや、
機械獣バルガスV5、なぜか1機しかいないガミアQなど、漫画版準拠の設定のキャラが登場する。
同じく漫画『
真マジンガーZERO』も漫画版の要素が多く含まれている(ガミアQ、マリオン、マジンガー軍団など)が、
ボスボロットやミネルバXなど、アニメ版から持ってきた設定も多い。
マジンガーZにとって漫画版とTVアニメはたとえ扱いに差はあれど今なお二人三脚、切っても切れない関係と言えるかもしれない。
「よーし 年寄りとガキは帰っていいぞ 若い男女と少年少女諸君 存分に追記修正したまえ ヒッヒッヒ」
- やたらバラバラな死体とか出るのが印象的だったな -- 名無しさん (2016-03-07 20:40:55)
- よくある間違いである『原作版』ではなくちゃんと『コミカライズ版』だと説明してあるのが好感度高いわ -- 名無しさん (2016-03-07 20:44:34)
- ↑スパロボの真ゲッターが(原作漫画版)という表記をされるから、他のダイナミックロボも漫画が原作と勘違いされやすいんだよね。真ゲッターが特殊なだけなんだけど。ちなみにスパロボでは「スーパーロボット大戦Z」以降テレビ版が参戦していても漫画版名義になっている。 -- 名無しさん (2016-03-07 23:38:07)
- ボスの本名は別シリーズの「Zマジンガー」では「棒田進」っていってたな。あくまでパラレルだけど。 -- 名無しさん (2016-03-08 09:28:31)
- 生まれた時代的にTV版の生視聴など望むべくも無かった俺にとって、この漫画版こそ『マジンガーZ』の原体験。近所の図書館で分厚い愛蔵版に出会った時の感動は今でも色褪せない。 -- 名無しさん (2016-03-08 13:39:37)
- 「良いも悪いもリモコン次第」を発展させて、「その力で世界を滅ぼす悪魔になるか それとも世界を救う英雄になるか」。永井先生の「鉄人28号をリスペクトしながら鉄人28号を超えたい」という気持ちが伝わってきそうだ。 -- 名無しさん (2016-03-08 22:12:36)
- 先生本人はアニメの影響で自分の思う通りには描けなかったことに不満があったのよね。それが後のリメイク作品の数々に繋がってるとか。 -- 名無しさん (2016-03-08 22:16:25)
- ↑5 マジで? -- 名無しさん (2016-03-09 01:49:17)
- 映画でガミアQの事発言していたね -- 名無しさん (2018-01-26 10:32:01)
- 漫画版でピグマン一回出ただろうに…テレビマガジン移籍後に -- 名無しさん (2019-03-27 15:10:31)
- ハードシリアス路線を突き進んだ漫画版デビルマンと同時期に娯楽活劇全開のこれを描いてた事実…永井豪にとってマジンガーZとデビルマンはライトサイドとダークサイドの象徴であり対の存在かもしれない -- 名無しさん (2020-08-08 14:36:47)
- ブロッケンとの決闘の回はギャグとグロと一度に襲ってきて「なんだこれは、どう反応すればいいんだ?!」と微妙な空気になったのを思い出す。兜家の平和な食卓に唐突にブロッケン登場→人質爆死、肉片ボロボロ→ワーイ、サッカーやろうぜ!お前ボールな!の落差よ -- 名無しさん (2020-08-08 14:44:15)
- 暗黒寺は本来白兵戦で甲児をサポートするキャラだったのだが(真マジンガーでの扱いは意外と正解といえる)アクションシーンがロボット中心になったため降板になったとのこと。生身戦闘多い「ゲッター」ならもっと活躍できたかもしれないが… -- 名無しさん (2020-11-05 19:56:07)
- 「マジンガーZ対デビルマン」のコミカライズはこのジャンプ版じゃなかったっけ? -- 名無しさん (2022-08-20 00:55:19)
- ジャンプで連載していたということを最近知ったわ けど講談社に行っちゃったみたいだから、「シャーマンキング」と同じくこれからジャンプオールスターゲーとかに出ることもないんだろうな -- 名無しさん (2022-10-02 01:01:56)
- ↑4 クロコダイバーとグロゴスの話がごっちゃになっとるぞ -- 名無しさん (2024-04-26 19:15:26)
- 悲報:グレンダイザーUにてベガ円盤獣一体撃破したものの援軍二体に轟沈 -- 名無しさん (2024-07-10 10:41:41)
- TV版の方は観てないんだけど、もっと硬派で暑苦しい感じを想像してたら結構ラブコメ要素も盛り込まれてて驚いた -- 名無しさん (2025-02-07 08:34:46)
最終更新:2025年02月07日 08:34