アレックス・ウェスカー

登録日:2016/05/09 (月) 0:14:23
更新日:2024/04/17 Wed 15:08:30
所要時間:約 7 分で読めます。





アレックス・ウェスカーとは、『バイオハザード リベレーションズ2』の登場人物。

国籍不明の51歳の女性で、落ち着いた口調で話す。身長177cm、体重 54kg。
真っ白なレディスーツを着こなし、その表情は常に遠くの何かを見据えている。

その正体はオズウェル・E・スペンサーが計画した新人類創造計画、その名も「ウェスカー計画」の被験者第12号であり、「ウェスカー計画」の生き残りである。
因みにこの「ウェスカー計画」の生き残りは、アレックスと被験者13号であるアルバート・ウェスカーの二名しかいなかった。
「ウェスカー計画」についてはアルバート・ウェスカーの項を参照にしてほしい。



ここから先はリべレーションズ2のネタバレを含みます








バイオテロの薬害などから人々を救出するNGO(非政府組織)団体、「テラセイブ」という組織で活躍していたクレア・レッドフィールド、そしてそんな彼女に憧れて新しくテラセイブに配属したバリー・バートンの娘であるモイラ・バートン。
彼女達がテラセイブの開催するパーティを楽しんでた矢先、謎の特殊部隊がガラスを割り侵入してきた。成す術もなく捕まるクレアとモイラ。
物語は彼女達が謎の収容所で目を覚ますところから始まる。クレアとモイラの腕にはブレスレッド型の通信機がいつの間にかはめられていた。
そしてそのブレスレッドから謎のメッセージを送る声が聞こえてきた。その声は自らを「オーバーシア(監視者)」と名乗った。何を隠そう、その声の主こそ、アレックス・ウェスカーであった。
アレックスはフランツ・カフカの「変身」の一節をクレア達に投げかける。そして時に道案内を施すその真意は分かりかねるものであった。


襲い掛かるおぞましいクリーチャー達、次々に死んでいく仲間達、夜の恐怖、夜ではない恐怖にクレアとモイラは耐えながらついにオーバーシアのもとに辿り着く。
そこで彼女の恐るべき計画を知るのであった……。

アレックス・ウェスカー。本作のラスボスであり、呪われたウェスカーの血を継ぐ者でもある。それはある意味スペンサーの呪いの産物ともいえる。
実はアレックスは「バイオハザード5」の追加エピソード「Lost In Nightmares」にも名前のみ登場する。スペンサーの中二病手記にアレックスの名が書かれていた。
その日記によると、スペンサーは「新人類創造計画」を実行する前に自らの体を蝕む病を治さなければと思い、アレックスに不老不死の研究をするように命じた。
しかし、実はアレックスも病気を患っており、余命は少なかった。そうなれば、こんな老いぼれの言うことなど聞いてはいられなかった。
スペンサーに不老不死の研究のためのモルモット、資金、場所を要求すると、トンズラしてしまう。そしてアレックスはザイン島で悪逆無道な人体実験に身を投じていく。
裏切られたスペンサーはアルバートに頼ろうとするも、当のアルバートに体を手刀で貫かれ殺害された。二人の子供に裏切られたスペンサーは哀れとしか言いようがなかった。
ただここで気になるのが、スペンサーが「バイオハザード5」においてアルバートに向かってウェスカー計画で「生き残ったのはお前だけだった」と言っていることである。
アレックスに裏切られたために、頼みの綱であるアルバートに救ってもらおうとして出た言葉なのか、それともボケただけ……?
アレックスもアルバート同様、スペンサーのことは恨んでいたようで、「スペンサーによって自分の人生を狂わされた」と手記に書いていた*1

また、日本語訳と英語版とで、言動や思想に対する心象が大分変るキャラクターでもある。
日本語訳では、自分と同じくウイルスを投与されて尚生き残った選ばれた人間である兄アルバートに対して、純粋に兄弟として尊敬と信頼を寄せている様に見て取れる。
しかし、英語での言動を直訳するとこれが一変する。
英語版では、心酔するこの作品の通り、兄アルバートに対して自分同様選ばれた人間として一目置きつつも、実はウイルスを完璧に制御し切れずに投薬によってバランスを保つ兄アルバートを見下し、妹の自分の方が同じ「ウェスカー」としてより優れた存在であることを証明しようとする対抗意識を密かに燃やしている本心が窺える。
そもそも、彼女が心酔するカフカの「変身」は醜い化け物へと堕ちてしまった兄それを支える美しく素晴らしい妹という、カフカの自嘲が篭った作品でもある。


アレックスの計画は完璧であった。……はずだった。
アレックスは不老不死の研究結果として、「転生の儀」というものに辿り着いた。この「転生の儀」というのは、他人の肉体に自らの精神や記憶を移植するというものであった。
その「転生の儀」を行えるのは恐怖を克服した人間のみという研究結果が出たのである。
そこでアレックスはまずザインという島に侵入し、そこで貧しい生活を送っていた島民達にウィルス研究施設の研究員の仕事を与えた。
また、鉱山の再開発なども進めていき、いつしか島は栄えていった。その中でアレックスは女神様だの聖母様だのともてはやされることになる。
しかし、裏では「転生の儀」にふさわしい人材を見つけるために手当たり次第に島民達を自らが作り出した(正確に言えばある研究員が見つけた新型ウィルスをアレックスが改良した)t-Phobosというウィルスの実験台にしていた。
このt-Phobosというウィルスは恐怖という感情を抱いた時にから分泌されるノルアドレナリンに反応し、発症するウィルスであった。
アレックス自身もこのウィルスを自らに投与しており、何で?*2
このウィルスのせいで島民はほぼ全滅、化け物だらけの島となった。

ザインの島民をほぼ全滅させてもまだ人材が見つからないことに業を煮やしたアレックスは、次なる標的をテラセイブに決定した。
その理由はテラセイブのメンバーは皆バイオテロで死の恐怖に直面した経験を持つものばかりで、それだけ恐怖に免疫ができている。
つまりは「恐怖を克服できる」かもしれない「転生の儀」の人材候補だったのである。
そしてテラセイブのリーダーであるニールと内通し、テラセイブメンバーをザインに連れてこさせたのだ。
メンバー一人一人にt-Phobosを投与し、その様子をモニターで監視していた。
その中に一際目を引く人材候補がいた。
ナタリア・コルダである。ナタリアはテラグリジアパニックで両親を失った為、恐怖という感情が欠落した少女であった。
ナタリアはテラセイブメンバーではなかったが、ナタリアの経歴に興味を持ったニールが特別に島へ連れてきたのだった。
アレックスはナタリアを「転生の儀」の器として自らの研究所に連れてきた。そこで「転生の儀」を行い、アレックスの人格を定着させるためにナタリアを半年間のコールドスリープ状態にする。
そしてオリジナルである自分はもう必要ないと判断し、クレアとモイラの目の前で拳銃自殺を図った。
しかし、ここで大きな誤算があった。自殺する瞬間に、アレックス自身にへの恐怖が芽生えてしまったのだった。
その結果、t-Phobosが発症。しかし、t-Phobosとの相性が良かったためか、化け物にはなったものの、自我は保たれることになった。
ウィルスによって変わり果てたアレックスは激しい自己嫌悪に苛まれ、やがてその憎しみは自らの転生先であるナタリアへ向けられることになる。
転生失敗後、理不尽すぎる理由でアレックスはナタリアを執拗に付け狙う。
しかし、島で行方不明となった娘を捜索しに来たバリーに幾度となく妨害され、最終決戦では自らの体にアルバートが開発したウロボロス・ウィルスを注入、そして更なる「変身」を遂げるのであった。

一戦目
一言で言えば、四つん這いになった巨大な化け物。サイレントヒルのボスにいそうである。エクソシストの如くブリッジしながらダクトへ隠れることが好きらしい。
攻撃手段は主に遠距離射撃が多く、ダクトの中や上から煙幕、または奇声を発しながら毒ガスを発生させる。特にこの毒ガスは厄介で一度放たれればしばらく消えない。それどころか毒ガスが発射された場所にいるとバリーの体力をどんどん削り取ってしまう。近距離では巨大な腕で薙ぎ払いや突進、押しつぶし攻撃をしてくる。
弱点はアルバートやほかのウロボロス系統のクリーチャーと同じく胸のところにあるオレンジ色のコアである。しかし、当のアレックスが四つん這いになっているため非常に狙いにくい。
しばらく攻撃すると首元のコアが露出するのでそこを狙えばひっくり返り無防備になるのでその隙に胸のコアを攻撃しよう。
因みにこの一戦目では延々とナタリアに対しての恨み言を呟いている。半年間たまりにたまった恨みをここで吐き出しているのだろうか。

二戦目
グッドエンディングにつながる条件を満たしていれば連戦で戦うことになる。バリーの一瞬の隙をついてナタリアを握りつぶそうとしたがモイラに邪魔をされる。
モイラの銃撃で完全に殲滅されたかと思われたが、一定以上の攻撃を喰らったが為にウロボロス・ウィルスが暴走を始め、体中から黒い膿疱が飛び出した状態になった。
体は黒く変色し、目は赤くなり、若干巨大化した。もう自我がないのか、この形態になってからは咆哮しか発しなくなっていた。ただひたすら目に映るものを殺しにかかる正真正銘の化け物となってしまったのである。その姿は何ともスペンサー以上に哀れである。
恐怖で世界を支配しようとした愚かな女は、逆に恐怖そのものに自分自身が支配されてしまったのである。
攻撃手段は「5」のウロボロス・アヘリの様にウロボロスの破片を周囲に巻き散らして攻撃するようになる。
この戦いではクレアとバリーを交互に操作しながら戦っていくことになる。バリーはアレックスの攻撃を回避しながら残り少ない弾を駆使して闘わなければならないが、一方クレアは無限スナイパーライフルを持っているので、遠慮なく攻撃することができる。しばらく攻撃すると、やがてロケットランチャーが撃てるようになる。

因みにバッドエンディングではアレックスの人格に覚醒したナタリアに殺されるが、グッドエンディングではバリーとクレアの連係プレーに敗れ、最後はクレアによってバイオハザードお馴染みのロケットランチャーで止めを刺された。ここで彼女の野望は潰えたかに見えた……。

しかし……

エピローグではナタリアがフランツ・カフカの一節を読み上げ微笑むという不気味なシーンで終わりを迎えることになる。
もしかしたら再登場をして、アルバートを復活させるのかもしれない。

続編にあたる『バイオハザード ~ヘヴンリーアイランド~』では、アレックスの元部下であるディルク・ミラーが登場しており、奇しくもアレックスと同様にバイオテロを起こしてクレアと対峙していた。


因みにレイドモードにも登場。幻惑のスキルを使える。


余談
アレックスがナタリアを見出した切っ掛けは、転生の対象を探す為に過去の記録を漁っていた折に、
テラグリジアで目にした光景について
「きれいだった」
と言う感想をナタリアが漏らしたと言う情報を得たことだった。
化け物が跋扈してあちこちに火の手が上がり、路上や海面が夥しい数の原型を留めていない死体で埋まって真っ赤に染まる街並みを、そう評したのである。

ナタリアについては、事故が原因で心が壊れてしまったのか、先天的に異常な精神の持ち主だったか、あるいはその両方で常軌を逸した体験を機に精神に磨きがかかったのかは憶測の域を出ない。

「転生の儀」には、アレックスがその自尊心故に考慮しなかったリスクがもう一つあった。
万一、転生先の人物の精神がアレックスに勝る強靭さを備えていた場合、その人物が逆にアレックスの精神を捻じ伏せ記憶だけを吸収しかねないことである。
そうなってしまえば、より異常で強靭な精神と際立って優れた知能を持つ新たな怪物が誕生しかねない。

現在のナタリアが一体どのような存在と化したかは、定かではない。



追記、修正は恐怖を克服した人からお願いします。

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最終更新:2024年04月17日 15:08

*1 ウェスカー計画によって全てのウェスカーには始祖ウイルスを投与されており、上記の病気もそれが原因である可能性が高い。

*2 作中でのファイルに記載が無いため不明だが「転生の儀」に必要なのだろうか…?