嘴平伊之助

登録日:2016/12/23 Fri 02:00:00
更新日:2025/07/18 Fri 09:56:11
所要時間:約 5 分で読めます






猪突猛進!! 猪突猛進!!

さァ 化け物!! 屍を晒して 俺がより強くなるため より高く行くための 踏み台となれェ!!





嘴平(はしびら)伊之助(いのすけ)とは『鬼滅の刃』の登場人物の一人である。
声:松岡禎丞

目次

◆プロフィール

誕生日―4月22日(名前とともに、ふんどし裏に書いてあった)
年齢―15歳
身長―164cm
体重―63kg
出身地―東京府 奥多摩郡 大岳山(奥多摩 大岳山)
趣味―炭治郎に教えてもらった「ことろことろ」という童遊び
好きなもの―天ぷら


◆概要

常時晒された上半身からは筋肉質な体つきがわかるが、猪から剥ぎ取ったらしき頭皮を常時被っているため当初素顔がわからなかった。
そんな彼と遭遇した際善逸は「猪の化物」と勘違いしやっぱりビビった。

その正体は鬼殺隊の一員であり炭治郎や善逸と同期の剣士
誰よりも早く山に入り誰よりも早く下山した5人目の試験合格者。
だがさっさと下山したせいで隊服、日輪刀の鋼材なども受け取れていない様子。
そもそも伊之助は鬼殺隊に入るために試験会場にやって来たわけではなく、自分の縄張りに踏み込んだある鬼殺隊士を打ち負かし、刀を奪って最終選別やの存在を聞き出したことが発端である(そのため育手の仲介を受けていない)。
そういう意味ではとんだイレギュラーだが、一応本部は彼も合格者とカウントしているようだ。

当初から鎹烏が全く登場せず、「隊服などと同様に受領していないのでは」と思われていた。
しかし、実はそうではなく受領していた*1ものの、伊之助に十八回も食べられそうになったので、常に陰に隠れていることが単行本5巻で判明。…取り敢えず動向は把握できているらしい。


◆外見

実は猪の皮の下の素顔は大きな緑色の瞳、細い眉と女性に見間違うほどの美形。
毛先が青く染まり、肩程まで伸びた黒髪も印象を強めている。

善逸曰く、「気持ち悪い奴だな…むきむきしているのに女の子みたいな顔が乗っかってる…」
炭治郎曰く、「こぢんまりしていて色白でいいんじゃないかと思う!!」

綺麗な顔が気に入らないから猪を被っているのかどうかは不明。
ただ、初めて素顔を見た炭治郎と善逸に対しては「俺の顔に文句でもあんのか」と発言。
その後も基本頭は隠したままであり、もしかしたら気にしているのかも。


◆性格

端的に言えば野生児であり、傲慢不遜なバトルジャンキー。
出自が山育ちであり、詳細は不明だが幼少期は猪に育てられたため真っ当な人間としての常識に乏しい。
山の動物たちと力比べのみが伊之助の生き甲斐であり、自身が強くなるための試練となり得る強者との対峙を渇望している。
逆に戦うまでもない弱者への興味はないため積極的に痛めつけようとはしないが、良くも悪くも興味がない事から、それが無力な少女であろうと平気で足蹴にする。
独白からすると伊之助の強さの基準は単純な腕っぷしよりも状況判断の速さや選択の的確さ等が重視されているようだ。

そして、馬鹿。字の読み書きすらできないが人語による意思疎通は可能。
しかし柱の面々を「お前」呼ばわりしたりと、礼儀作法も全く知らない。
一方で幼い頃に人と関わっていた時期があり、その影響で割と難しい言葉や表現を使う事もある。

思考が刹那的であり、その瞬間の愉悦のためなら肋が折れた状態で雑技団のような柔軟をして自慢するというよく分からない奇行も目立つ。

そんな伊之助も炭治郎をはじめとする人間との関わりを経て少しずつその心境に変化が生じつつあるが、未だ自分の変化を上手く呑み込めておらず、戸惑っているようでもある。

ちなみに左手で箸を握りしめて食事していたシーンがあるので左利きの可能性がある*2


◆戦闘能力

その性格に違わず身体能力と剣技も獣じみており、育手から修行を受けていない完全な独学にもかかわらず炭治郎らと遜色ない身体能力と戦闘勘を身に着けている。
恵まれた柔軟性から姿勢を低くした体勢からの攻撃を得意とする他、全身の関節を外し普通は通ることが難しい狭所への侵入が可能。
その柔軟性は心臓などの臓器の配置を任意でズラすこともできる領域に達しており、首を断つなどあからさまな致命傷でも負わない限りは中々死なない生存力の高さを誇る(内臓を貫かれて死んだ柱がいたような…*3}
生まれついてのものかはわからないが毒が効きづらい体質でもある。しかし同時に薬の効きも悪いので、一概にメリットばかりではない。

触覚が優れているため空気を伝う殺気を感じ取る能力に長け、どの方向からの攻撃にも瞬時に対応することができる。
列挙すると色々人間離れした体質をした男である。

我流で全集中の呼吸も習得済み 。スゲエ。また、炭治郎が習得に25日要した全集中・常中も善逸同様にたった9日で習得した。
その他、刀を持ち始めて間もないはずなのに二本の日輪刀による二刀流を扱いこなすなど、とにかく戦闘センスは図抜けている。

ただしやはり思考能力には難があり、基本的に真っ直ぐ突っ込んでぶった切るという戦法しかできない、言わば脳筋
我流の型も単純な攻撃技が多いため、直接戦闘ではなく搦め手を用いる鬼には相性が悪い。


上述の通りこの二本の日輪刀は鬼殺隊士から奪った物なのだが、刃の部分が曲線ではなくギザギザとした鋸状の形状をしている。
「千切り裂くような切れ味が自慢」とは本人の弁だが、後に自分で刀身を刃毀れさせてその形状を作っていたことが判明した。
父蜘蛛戦で刀が折れて打ち直してもらった時に受け取った直後に打った本人の目の前で石を打ちつけて刃毀れさせるなど、理由は不明だがこの形状に並々ならぬこだわりがある様子。
本人曰く「こちらのほうがイカしてる」との事。これには普段は温和な担当刀鍛冶・鉄穴森も流石にキレ散らかしていた。素直にその形で作ってもらうよう頼んでおいた方が良かったのではなかろうか…


◆流派

獣の呼吸は伊之助が独学で作り上げた流派。この呼吸法によって瞬間的に身体能力を底上げしている。
刀身は藍鼠色に染まる。
彼は他人から全集中の呼吸を学んでいないが、性質は「風の呼吸」に似ているらしい。なので一応風の派生という扱いになっている。
呼吸音は“カァァァァァ”。伊之助は型名を「~ノ型」のように統一しておらず、攻撃技は「牙」、それ以外は「型」と区別して呼んでいる。



◆活躍

鼓の鬼」が潜む屋敷にて初登場。
炭治郎善逸が屋敷を訪れるより三日前から侵入していたが、鼓の血鬼術によって配置が変化する空間操作に全く対応できておらず、「猪突猛進!! 猪突猛進!!」と叫びながら延々と走り回っていた。
伊之助が如何にしてここに辿りついたのかは今もって謎である。

炭治郎とは鼓の鬼の屋敷で遭遇し、少女を踏みつける所業に怒った炭治郎と戦闘になりかけるが、同じ地点にいた鼓の鬼・響凱の横槍(というか炭治郎とまとめて排除しようとした)により中断され、またいずこかに飛ばされる。
その後、炭治郎が響凱を倒したほぼ同時刻に伊之助は屋敷を脱出。野外に置かれていた箱からの気配を察知して、当然それを攻撃しようとする。しかし同じく脱出していた善逸が身体を張って箱を守り抜く。その間に炭治郎が現れ、格闘戦に突入するも敗北。
気が付いた後は「俺は必ず隙を見てお前に勝つぞ!!」と炭治郎に宣言し、善逸と共に彼に同行することに決めた。
炭治郎への対抗心を燃やすあまり、箱の中の鬼(禰豆子)のことはすっかり忘れている。
鼓屋敷を出てからは藤の家で休息を取り、その際3人の身体の怪我も診てもらう。診断結果は全員肋骨の骨折という重症。中でも最も重症だったのは炭治郎にボディブローをくらった伊之助。鬼との戦闘は無傷で終えたのに彼の拳の一撃で4本もの骨を折られていた。

蜘蛛山編では炭治郎と共に山に突入し、隊士を操り人形にして攻撃を仕掛けてきた母蜘蛛の撃破に不本意ながらも協力する。
母蜘蛛撃破後、続け様に父蜘蛛とも遭遇するが、父蜘蛛の攻撃によって炭治郎と分断されサシの戦闘に。
圧倒的な力を持つ父蜘蛛に対しては文字通り刃が立たず、危うく殺されかけるが、冨岡にすんでの所で助太刀され難を逃れる。
その後は怪我も厭わず冨岡とも戦おうとするが、「己の怪我の程度もわからない奴は戦いに関わるな」とその場に縛り吊るされ、隠に回収されるまで放置された。

山中での一連の戦闘で二度も死の危機から他人に助けられた事(一度目は母蜘蛛の人形との戦闘で炭治郎に助けられた)、自分より強い存在をたくさん知ってしまった事からか、蝶屋敷に送られてしばらくはキャラ崩壊レベルでものすごく落ち込んでいた。「ゴメンネ 弱クッテ」「イイヨ 気ニシナイデ」
ただし、怪我そのものは喉が少し潰れて一時的に片言になったぐらいで、鬼の禰豆子を除いた三人の中ではダメージは一番軽い。なお喉が潰れたのは、鬼に首を締め上げられて傷んだ上に、去っていく冨岡に向かって延々叫び続けたせい。半分自滅である。喉を負傷≒全集中の呼吸使用不可なので戦闘不能という点では大差ないが。

無限列車篇では野生の嗅覚で下弦の壱の首の位置を突き止めたり、罠に嵌り自害しそうになった炭治郎を引き留めるという働きをした。
魘夢撃破後に炭治郎と合流するも、その場に猗窩座が襲来。煉獄上弦の参の死闘に圧倒され、ただ見ることしかできなかった。
そして煉獄の最期を看取ると、未だに嘆き悲しむ炭治郎達を自分も大号泣しながら叱咤した。


弱気なこと言ってんじゃねぇ!!

なれるかなれねぇかなんてくだらねぇこと言うんじゃねぇ!!

信じると言われたらそれに応えること以外考えんじゃねぇ!!

死んだ生き物は土に還るだけなんだよ!べそべそしたって戻ってきやしねぇんだよ!

悔しくても泣くんじゃねえ!

どんなに惨めでも恥ずかしくても生きてかなきゃならねえんだぞ!

遊郭編では、遊女として遊郭に潜入する(女性の様な綺麗な顔立ちが、初めて役に立った瞬間である)。
堕姫と戦い頸を斬ることに成功するが、その直後に妓夫太郎に後ろから鎌で内臓を貫かれて瀕死の重症を負う。
死んだかと思われたが、奇跡的に生きており(本人曰く、心臓をずらして致命傷を避けたとのこと)、霹靂一閃神速に追いついてみせた。

無限城決戦篇では上弦の弐と交戦。被り物を取られた顔を童磨が覚えていたことから自身の生い立ちを知り内心「剣術の基礎もできていないような奴」と酷評されながらも栗花落カナヲと協力して戦う。






◆余談

腰蓑はシカ、靴はクマの毛で作られている。被っているのは育て親だった猪の物。

番外編「キメツ学園」ではひさ(藤の家のお婆さん)と同居している模様。
体育が得意科目だが、それ以外の全ての科目は職員会議での議題の常連となるほどの問題児。

炭治郎の名前を一向に覚えず、シリアスシーンでも遠慮なく間違えるので、唐突に笑わされる人多数。
以下、名前の変遷。

かまぼこ権八郎→デコ太郎→紋次郎→健太郎→豚太郎

近づいているんだかそうでないんだか。読者は今日も名前が近づくのか遠のくのか、彼がどういうシチュエーションで正しい名前を呼ぶのかwktkしている。
…と思ったら、実はちゃんと覚えていたことが判明。本人相手にしか言っていない辺り、いじわるの類だろうか。
しかしその次には善逸の名前も「紋逸」と間違えている。一体どっちなんだ…。
なお、炭治郎は呼ぶ度に変化していたが、何故か善逸の方は改名を考えるほど「紋逸」と呼び続けていたようである(描かれたのは一度だけ)。
他にも禰豆子を「ねず公」、アオイを「アオコ」と呼んでいる。柱の面々に関しては冨岡を「半々羽織」、煉獄を「ギョロギョロ目ん玉」、悲鳴嶼を「玉ジャリジャリ親父」「数珠のオッサン」と外見を表すものが多い。ちなみに胡蝶しのぶ栗花落カナヲのみ例外的に「しのぶ」「カナヲ」と正しい名前で呼んでいる。

ちなみに一部読者が炭治郎・善逸・伊之助(∔禰豆子)を合わせて「かまぼこ隊」と呼称するのは言うまでもなくこの言い間違いが由来。


善逸とは別ベクトルで発言が面白いこともあり、幼女を足蹴にしたり襲い掛かってきたり無抵抗の善逸を一方的にボコったりと初印象最悪だったにもかかわらず、最近では「かわいい」「癒し」とか言われたりするようになった。長男の炭治郎にかけて、末っ子だとか。
表情を隠したキャラは大抵胡散臭いキャラとかであるが、こういう激情タイプは珍しい。そんな彼が猪頭の下でどんな顔でほわほわとかしているのかワクワクしている読者もちらほら。






追記修正は猪突猛進の姿勢でお願いします。

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最終更新:2025年07月18日 09:56

*1 というか烏の方から出向いた可能性もある

*2 ただしアニメ版では右手で箸を握りしめて食事をしていた。

*3 その柱が目の前でそうやって死んだのを見たからこそ、自分は同じようには死ぬまいとしたのかもしれない

*4 琴葉を連れ戻そうと押しかけてきたため

*5 この2家は後々まで親戚づきあいが継続している