ファルコ(北斗の拳)

登録日:2011/12/07 Wed 17:55:54
更新日:2025/03/20 Thu 15:20:42
所要時間:約 4 分で読めます




「天はふたつっ!! 貴様等の中にも天帝はいるのだっ!!」

CV:田中秀幸(アニメ)、小杉十郎太(パチンコ)、江川央生(北斗無双)



北斗の拳』の登場人物。

北斗神拳と同じく二千年の歴史を持つ拳法「(げん)()皇拳(こうけん)」の伝承者であり、「金色(こんじき)の狼」の異名を持つ。
本編での登場は第二部の帝都編からで、スピンオフの『イチゴ味』にも登場する。



【劇中の活躍】

生前のラオウが、かつてファルコの故郷である元斗の村へ侵攻しようとした際に、ファルコは「ラオウと戦えば、倒す事は出来ても自分も死ぬ」事、
「仮にラオウを倒せば、ラオウが恐怖で圧していた部下達のタガが外れ、世にさらなる混乱を招く」事を悟る。
腹をくくったファルコは自らの右脚を切断し、それを差し出す事で拳王軍の進軍を止めた。

ラオウもファルコの行動を「その片脚は一国にも値する」と称賛し、軍を転進させようとするが、
その際に邪心に満ちたジャコウの眼差しを感じ取り、「この男を殺さねば、必ず貴様に災いをもたらす事になる」とファルコに忠告する。

ファルコはジャコウの抹殺を決意するが、ファルコの母はジャコウを育てた乳母でもあったため助命を願う母の祈りに遂に手を下すことが出来なかった。


そのため、ラオウが斃れた後に天帝を幽閉して実権を握ったジャコウの圧政により、民が苦しめられている事に強い責任を感じているが、
天帝を人質に取られているためにジャコウに反抗する事も出来ず、彼の命ずるままに動く尖兵と化し、
そのうちに心は死んでゆき、遂にはどんな悲劇にも涙を流せなくなってしまった。

しかし、その心の内を知る部下や奴隷達からは強く信頼されており、
失った右足に取り付けた義足が鳴る音を「ファルコ様の足が泣いている」と、彼らも心を痛めていた。


帝都編の終盤、北斗軍の侵攻が中央帝都にまで及び、ジャコウの命令によってケンシロウと戦う事になる。
この時には、一個の拳法家としてケンシロウと対峙、義足が鳴る事はなかった。


互いに奥義を尽くし、一進一退の攻防を繰り広げるケンシロウとファルコだったが、
アインバット、リンによって、帝都の地下に幽閉されていた天帝ルイ(リンの双子の姉)が救出された事を知ると勝負を中断。
ジャコウは怯え、「手負いなら勝てる」と判断しケンシロウに「奴の命を差し出すから許してくれ」と懇願。
最早一片の情けも残らないジャコウを相手取ったファルコは彼を打ち据え、「この世から消え失せろ」と吐き捨て闘気によって跡形も無く消滅させた。

これで再び世に平和が訪れる…かに思われたが、リンが天帝の妹である事を知ったジャコウの息子・ジャスクは
苦し紛れにリンを誘拐し、海を渡って「修羅の国」へ逃亡する*1

ケンシロウとの戦いで負った傷が癒えぬうちにファルコも後を追うが、現れた名も無き修羅に完敗し、さらなる深手を負う。

もはや余命が幾許も無いと悟ったファルコは、後からやってきたケンシロウに「殺活孔(せっかつこう)*2を突くように懇願。

その力で修羅を撃破したが、遂に力尽きてしまう。


最期は元斗の伝書鳩によって、恋人であるミュウの胎内に自身の子が宿っている事を知り、
元斗皇拳が絶えず受け継がれていく事を喜び、ケンシロウに看取られて安らかに逝った。



【キャラクター性】

外見は映画『ロッキー4』でソ連のボクサーを演じたときの「ドルフ・ラングレン」に似ている。

天帝として生まれたルイとリンの双子の姉妹を「天帝は2人も必要ない」と、ジャコウにリンを殺すように命ぜられるが、
その愛らしさ故に殺す事が出来ず、叔父夫婦に密かに預けるなど、北斗の拳の登場人物の中では数少ない人格者であり、先見の明もある優秀な人物である。

しかし、前述のジャコウ抹殺のエピソードのように非情になりきれない部分もあり、そのせいでさらなる悲劇を生み出してしまっている。
こういったところはかつてジャギを見逃したばかりにシンの暴走を招いたケンシロウと似ている。


【元斗皇拳】

ファルコが操る拳法であり、本来は北斗神拳と共に天帝のために同じ道を歩む星の下にある。

その性質は北斗神拳にも存在する「闘気」を発して、敵の肉体を細胞レベルで焼き尽くし滅殺するというもの。
トンチキ拳法ばかり出てきた本作の中でも特にぶっ飛んでいるというか、もはや異能か魔法のレベル。

また、ファルコは目にも留まらぬ光速の蹴りを主体とした打撃戦も行う。
因みに北斗神拳とは異なり一子相伝という訳ではなく、他に使い手が登場している。
(紫光のソリア、赤光のショウキ、さらにアニオリでは青光のボルツ、緑光のタイガが元斗皇拳の使い手)


【奥義】

  • 闘気(オーラ)
北斗神拳伝承者が使うものに似ている。
並の人間なら触れるだけで身体を細胞レベルで焼き尽くされたり、凍りついたりする。
ジャコウは、わずかに闘気を発したファルコの右手に頭を鷲づかみにされただけで跡形もなく消滅した。
また、ケンシロウに秘孔「()(けつ)」を突かれた際には、これで自身の体の細胞を焼いて秘孔を無効化する「北斗封じ」の荒業を披露した。

  • (げん)()白華弾(はくかだん)
両の手に闘気をまとわせ、連続の貫手突きを繰り出す。
作品によっては、闘気の弾を飛ばす技になっていることもある。気弾を連射する「白華連弾(はくかれんだん)」という派生技もある。

  • 天衝舞(てんしょうぶ)
相手が突き出した拳に飛び乗り、攻撃を封じる。

  • 元斗皇拳奥義 (しょう)(りん)
ファルコ曰く「これを受けて立てた者は1人もいない」という元斗皇拳の最大奥義。
両腕を縦に大きく回し、巨大な輪の形に展開した二つの闘気を相手に叩き込む。
パチンコファンからの通称は「シャネル」。
台車に乗せて押していけば殲滅力アップ。

  • 元斗皇拳奥義 滅凍黄凄陣(めっとうこうせいじん)
手から闘気を放出し、対象物を凍結させる大技。
名も無き修羅が砂に潜って姿を隠した時、ファルコは周囲の地面を凍らせるのに使用。
これにより修羅は出現地点を見破られ、捕まえられた。
なんというか…「闘気って万能過ぎない?」という感想しか出てこない技でもある。

  • (げん)()猛天掌(もうてんしょう)
闘気を纏わせた手による張り手。

  • 元斗皇拳秘奥義 黄光刹斬(おうこうせつざん)
ファルコが生涯で最後に放った技。
闘気を纏わせた手刀で相手を切り裂く。
名も無き修羅はこの技で腹部から体を真っ二つにされた。
それまでの魔法染みた技と比べるとかなり地味


【イチゴ味にて】

原作のパワーバランス準拠の当作においては当然原作同様の強キャラで登場する。
が、ギャグ漫画ゆえにキャラ崩壊していて、ラオウに対して脚ではなく尻を差し出そうとした
しかしキャラ崩壊したのは最初くらいで、その後は原作とほぼ同じ寡黙でシリアスな人物として描かれている。

サウザーがほかの四星を率いて帝都侵略に来た際には、シンシュウの同時攻撃を闘気で押し返し、レイの飛翔白麗を腕だけでガード、だが意識が上を向いた隙にユダに足払いをかけられ、無防備になったところにサウザーの天翔十字鳳を受けて倒された。
と、敗れはしたものの南斗五星が束になってやっと勝てるというほどの、元斗最強拳士の強さをまざまざと見せつけた。

だがこの後南斗五星によってルイが無事救助され、ルイはサザンクロスに預けられジャコウ・ジャスク親子は排除される。
以降はこの恩義もあってかサウザーに引っ張られる形で修羅の国への侵略に参加させられ、あの名も無き修羅とのリベンジマッチに挑むというファン感涙の展開が実現した。しかもこの時のファルコは無傷で万全なため、名も無き修羅を文字通り一蹴した
その後も修羅たちを圧倒して進撃を続けたものの、さすがにラスボス・カイオウには手も足も出ずに他の面々ともどもボコボコにされてしまった。
以降は帝都の復興に尽力していたが、修羅の国から群将カイゼルが攻め込んできたために交戦。
カイゼルに技量ではひけをとらなかったが、目的のために手段を選ばないカイゼルに苦戦。腕を折られて取り逃してしまう。

これらのことを総合すると、ファルコの実力は修羅の国でも十分に通用するものであるが、最上位の実力者に及ぶものではないと言えるだろう。
残念ながら、原作で仮に万全な状態で修羅の国に入れても、羅将の相手はケンシロウに任すしかなかったと思われる。


【余談】

1988年に、金の鬣をなびかせていることからファルコが名前の由来になった馬トウショウファルコ(1986年生まれ)がデビュー。
その美しさからむしろ北斗より「走るベルばら」なんて呼ばれ、某漫画でも北斗ネタが全スルーされつつもトウショウファルコは重賞2勝を挙げる活躍を見せ、引退後は東京競馬場の誘導馬として働き2005年にこの世を去った。




このファルコ、追記・修正への最後の門と心得いっ!!

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最終更新:2025年03月20日 15:20

*1 アニメ版ではジャスクが登場しないので、アニオリの元斗闘士「緑光のタイガ」がこの役割を果たす。

*2 一瞬の剛力と引きかえに、命を削る秘孔