バット(北斗の拳)

登録日:2021/04/11 Sun 11:15:47
更新日:2021/05/10 Mon 10:14:08
所要時間:約 13 分で読めます




「よお まってくれよ おれはバットてんだ! よお まてよ~」


バットとは北斗の拳の登場人物である。

CV:
鈴木三枝(現:一龍斎貞友)(TVアニメ版・他)
恒松あゆみ(AC版格闘ゲーム)
浪川大輔(真救世主伝説、リバイブ)
庄司宇芽香(北斗無双)
他にもたくさん。


【概要】

第一話で生き倒れ、村人に捕らわれたケンシロウと同じ檻にいた少年。
まだ子供ながらも既に世紀末に疲れ切っており、窃盗や裏切りは上等、擦れた考えの持ち主で利己的な男となり果てていた。
実際檻にぶち込まれていた理由も、村で盗みを何度も働いたからである。
だがそのような状況においても「生きる事」は諦めておらず、ある意味で世紀末に鍛えられた逞しさは持ち合わせていた。


【作中の行動】

以下ネタバレ注意。














同じ檻に入れられたケンシロウの破格の戦闘力を見た瞬間、失禁してしまうほどの衝撃を受ける。
だが同時に彼が「甘っちょろい性格」であり、他人の為に自らを犠牲にするという性格だという事を見抜き
「アイツと一緒にいりゃあ、食いっぱぐれることはねえぜ!」
という非常に利己的な理由で彼についていく事にした。

当初はケンシロウを飯の種に(本人に無許可で)使ったり、死んだ老人が守っていた種もみを墓に撒いた際「そんなところに撒いたって実りはしねぇよ」と言う等、要するに嫌味だが正論を言う少年の立ち位置。
メタ的に言うと、体一つで何でも解決する強き男ばかりの世界において「一般人視線」を描写するためのキャラであった。
無口で天然気味のケンシロウの代わりにツッコミを入れたりするのは十八番。
また年端もいかぬ少年でありながら一人で生きてきたこともあり知恵や知識はそれなりにあり、世界観設定や解説役としても活躍した。
どこか常識に囚われがちな性格も「驚き役」としては妥当な一面である。

アニメではその辺りが強調され、よりお調子者ながらリアリストな性格となっている。
調子に乗ってリンに怒られるのは日常茶飯事。
ケンシロウの事は心の奥底から信じているものの、それでも戦艦の爆発に巻き込まれた際には「死んだ」と断じ、これからどうするかを考えるなどどこかシビアな一面も見せていた。
だが彼もケンが死んだとは思っていなかったもののそれはそれで、現実的な考えを優先していただけなのである。
実際ケンシロウが生きている事がわかった際には涙を流して喜んでいた。

だが利己的な少年だと思われていた彼も人間の情がないわけではない。それを知らせる大きな契機になったエピソードは本編18~20話に描かれている。
事実一人で盗みを働きながら生きていた理由は、自分たちのような行き場のない子供、そしてそれを世話している老婆トヨの負担になりたくないから出奔したというのが真相。
やがて善人や無辜の民の為に報酬も無くただ悪党と闘い続けるケンシロウに憧れを抱き、いつしか彼を「ケン」「兄」として慕う事となった。
そしてトヨが子供たちを守るために命を散らす際、ケンシロウに「お母さんと呼んでやれ」と言われた頃から、自分たち「弱者」の為に戦うケンシロウの戦いを見届けたいと願うようになる。
と同時に、最初は「喋ることもできない足手まといの小娘」であったリンとも、子供同士ということもあり心を通わせる。
戦えないとはいえリンの為に出来るだけ体を張ったりすることもあったようだ。

ケンシロウは口には出さないがバットの身を案じており、彼が同行することや金儲けの為に自分を使う事には多少の質問をすることはあっても何も言わなかった。
それどころか先述のミスミ老人を助ける前には最後の食料をバットに分け与えていたり、たまに雑用(雑魚を砂漠に捨ててくるなど)を任せることもあった。
だが知恵が回るとはいえ所詮子供であり、危険な場所に行く際は身を案じられ置き去りにされることも多々あったがそれでも無理矢理ついていった
しかし傍観者として、そして未来に生きる男として、ラオウとの最終決戦ではケンシロウ自ら「おまえたちがこの最後の闘いを見届けるのだ」と闘いへの同行を初めて願い出るのであった。


【能力】

普段は臆病かつ戦闘力は皆無であるが、多数の矢に射抜かれても意思一つで危機を伝えに来るなどいざというときのメンタル面は強い。
というわけで彼が活躍するのは戦いではなく、それ以外の知恵方面。
特にアニメ版では機械に強いという設定で、その辺のスクラップからバギーを作ったりもしている。
ちなみにそのバギーを運転することもあるが、ドライビングテクニックはなかなかのものであった。
車は84話に亘って登場していたが最終的に拳王軍に破壊されてしまうが、かなり愛着があったのか涙ぐんでしまう程であった。

またアニメ版では敵の車のパーツを抜き爆殺、ドライビングテクニックで罠にはめて事故らせる等といった活躍を見せることもある。
要するに明確に人を殺しているのだが、相手はモヒカンなのでその事に心を痛めたりしない。
ちなみにリンも手榴弾でモヒカンを爆殺しているのでこの辺りはやはり世紀末の人間なんだろう。
他にもレイアミバの拠点に赴く際にマミヤと共に同行し、北斗神拳の物真似を披露。
アミバの部下が襲い掛かってきた際に、レイは南斗水鳥拳、マミヤは仕込みヨーヨーで応戦していたが、バットは北斗神拳の真似事をしてやり過ごしていた。

バット「はぁ~あたぁーー!」ペチッ

ザコ「うおっ」

バット「お前はもう、死んでいる…!」

ザコ「なにっ?ほんとか!?」

バット「3秒後だ…1、2、3!」

ザコ「うわあぁーーー!!?あれ?」

バット「あたたたたたた~!」(逃走)


だが、自分たちの代わりに血を流すケンシロウやレイの身を案じつつ「俺にも力があれば」と力を渇望する一面もあった。
しかし結局子供である彼に、弱者を守る力が得られるはずもない。
それでも最後には激戦を制したケンシロウの「幸せ」の為に、追いかけたい気持ちを抑えて彼を見送るのであった。





追記・修正は、スクラップからバギーを作り上げてからお願いします。












力を渇望した青年は、力を得た。
「個の力」ではなく「皆の力」として…。


「行こうリン! かれらを解放する!!」


バットとは北斗の拳の登場人物である。
大人になった彼は「一人前の漢」として読者、視聴者の前に戻ってきた。

CV:
難波圭一(TVアニメ版・他)
岸尾だいすけ(真・北斗無双)
浪川大輔(リバイブ)
他やっぱりたくさん。


【概要】

力を渇望し成長したバットはリンと共に、圧政を敷く帝都軍に対抗する「北斗の軍」を組織する。
つまり自分一人の力ではなく、軍として皆で強くなったのである。
弱く生意気な少年が、「北斗の軍」を率いて圧制に反乱している姿は当時の読者には衝撃的であった。
それでなく、今まで北斗の拳に出てきた「軍団」はラオウ率いる拳王軍を始め、暴力だけが絶対の烏合の衆が大半であり、下の物は暴虐を尽くすチンピラばかり。
数少ない善良な軍勢も拳王軍には勝てず、多少モヒカンを殺せはしても結局餌食にされてしまうだけであった。
だが「北斗の軍」を率いるバットは絶対的な力を持っているわけではないが、それでも誰かを導く力においては天性の才を持っていたのである。
そして彼らが率いる軍団もまた今までのモヒカンとは違い秩序を持ち尚且つ力ある集団であり、新たな北斗世界の到来を実感させるに十分であった。

なお少年期のドジなところは青年になっても治らなかったようでたまにコミカルな一面を見せる。
アインと一緒にこっそり敵地に忍び込むはずが、敵のど真ん中に飛び込んだ時とかが分かり易い例だろう。


【作中の行動】

帝都軍から賞金が掛けられており、多数の賞金稼ぎに狙われており、それらから仲間、特にリンを守るために傷だらけとなっている。
それを証明するかのように彼本人北斗や南斗の拳士たちのように滅茶苦茶強いわけではない。
そんじょそこらのモヒカンよりかは強いものの、やはり苦戦もしたのであろう。
子供の頃からは格別に戦えるようにはなったがケンの足元にも及ばないであろう。
それでもそんなバットを見てケンシロウは「男の顔になったな」と最大限の賛辞を贈り、戦いに赴く際にも同行を求めるなど、一人前として認めたのであった。
またこの頃からずっと一緒にいたリンに明確な愛情を抱いてはいたのだが、彼女がケンシロウに憧れている事から口に出すことはなく「仲間の一人」として接していた。

ケンシロウ、そしてアインの協力もあり帝都軍は壊滅するが、その戦いの最中リンが修羅の国へとさらわれてしまう。
更にリンは修羅の国を支配する羅将カイオウの手に落ち、破孔・死環白を突かれる。
これは記憶を失い初めて目にした者だけを愛するというエロ同人御用達の秘孔であり、彼女はそのまま意識を失ったまま野に放たれる。
だがなんやかんやあってリンは真っ先にバットの姿を見てしまい、秘孔に導かれるがまま、彼に惚れ込むのであった。
その時のバットは海を渡って黒王号の背中に乗り込んでおり、かつての彼を知るものからすれば凄くなったものだと実感させられる勇姿であった。

こうして二人は結ばれた。
しかしバットはリンが好きだったもののこんな「偽りの愛」で結ばれたくはない。
死環白で抱いた愛情を否定するかのように、バットは秘孔を突いてリンの記憶を再び奪う。
更に偶然出会ったケンシロウも記憶を失っており、これを好機と見たバットは2人を置き去りに姿を消す。
これにてリンはケンと幸せになれるはずだと信じて。

だがケンシロウはこの時、ボルゲという男につけ狙われていた。記憶を失っているケンシロウ相手には辛い相手だ。
心配の種を残しては幸せになれないと思い、バットは自らを「ケンシロウ」と名乗り身代わりになろうとした。
あれほど怖がっていた自らの死を覚悟したのは、最愛の「兄」と、ずっと一緒にいた「女」の為というのが、また彼らしいと言えるだろう。
その悲しみに満ちた覚悟は、聞いたマミヤは「貴方の為に死ぬ人間がいても良い」と思うほどであった。

「ケン!オレはいつも心の中ではアニキと呼んでたんだ!」

見よう見まねの北斗神拳で善戦するもボルゲには敵わず捕えられ、凄惨な拷問の数々を受ける。
だが声を出せば自分がケンシロウではないとバレる為、悲鳴を上げずに耐え続ける。
だが記憶を取り戻しつつあるケンシロウが来襲。ボルゲの軍勢を瞬殺するも、ボルゲ自身の邪法拳を前に追い詰められてしまう。
もはやこれまでか…と思われた状況を打ち破ったのは、他ならぬバットの心の叫び*1であった。

「死なせはせん… おまえはオレにとって弟だ!!」

全てを取り戻したケンシロウの前にボルゲはもはや敵ではなく、憎しみが肉体を凌駕したそのおぞましい生き様も潰え去り、最後はバットの手によって相打ちで倒された。

結局ケンに続いてリンも記憶を取り戻してしまい、最期の願いとして二人で幸せになってほしいと頼み込む。
バットはいつでもピンチの時には助けてくれる「兄」と比べ、昔から突っ走ってばかりだと自虐する。
「唯一母と呼べる人」トヨを助けてもらったこと、そして彼女を「お母さん」と呼ぶことを後押してくれたことを語りつつ…。
そんな無茶が全て他人へのやさしさの為というのはケンシロウは把握していた。
「し……しかし、オレはおっちょこちょいだな い……いつも自分で勝手に思い込んで勝手に行動起こしちまって
 結局ドジふんじまって ケンやリンやみんなに迷惑かけちまってな 昔から本当におっちょこちょいでしかたねえなあ……」

今際に嘯いたこの言葉が、まさしくバットという人間。
だがそんな「普通の人間」である彼の存在が、世紀末時代が変わったことを実感させるのである。

「そんなことはない この傷も その傷も」

「おまえの受けた傷はオレやリンのために負ったもの おまえのやさしさの証だ!!」

「おまえは すばらしい男だった!!」

かつての自分のように「誰かを守る為」に戦ったを、ケンシロウは決して見捨てなかった。
命が尽きたと思われたバットはケンに秘孔を突かれており、死の淵から蘇るところで、2人の物語は終わるのであった。


【能力】

少年時代のすばしっこさを更に研ぎ澄ましたようにスピードに優れ、また剣の腕もある。
そしてケンシロウから見て学んだ秘孔の知識もあり、そんじゃそこらの雑魚よりかは強い。
少なくとも黒王号がいたとはいえ無傷で修羅の国を旅できる程の実力はあるが、やはり数々の漢達に敵うほど強くはない。

何よりも優れているのはメンタルとカリスマ性である。
元々少年時代から絶望に苛まれようとも生き続けようとする意思の強さと、世話になった人の為宛ての無い旅に出る心優しさは持っていたのだが、成長するにつれてそれは極まる所まで極まってしまったのだろう。
「フッ…おれひとりの命で皆が助かるなら本望だぜ!!」と叫ぶ彼には、最早自分だけが生き残るような打算はない。
彼もまた守るべき物を守る「漢」の1人であり、それこそが最高の能力と言えるだろう。


【余談】

  • 北斗の軍にはあの海のリハクがいる。直接描写は無いもののバットが大軍を率いれているのは本人のカリスマ性もあるかもしれないがリハクの力でもあるのだろう。
  • 様々なギャグマンガにも登場しているが、元々がコミカルキャラかつ読者視点のキャラの為か逆にキャラ崩壊を起こさずツッコミ役に収まる場合が多い。
  • 生意気なだけのガキだったバットが突然筋肉ムキムキの強いリーダーになった姿は衝撃的であるが、トヨ曰く元々彼は他の子どもたちより体格が大きかったらしい。
    また「生き延びる知恵と意思」に関しては最初期から長けており、何よりも強い男達の背中を見て自分も力を渇望していたので、成長後の姿に驚きはするも決して不自然ではない事がわかる。
  • 実は彼、人を見る目に関してはかなりのもの。ケンシロウについていけば生き延びれると感じ結果は承知の通り。
    青年になってもアインのくすぶっていた心を見抜き、仲間に迎え入れていた。
    他人の事情を調べるのも得意なのかリンに関しても、交流も無い時期から喋ることができない事を知っていた。
    …とはいえレイに関しては「極悪人の顔」と断言しちゃった事もあるが。*2
  • リンの事は本気で愛していたが、そのリンはバットよりもケンシロウに憧れていた。
    だが記憶を取り戻し、死環白の効力が切れた時、改めて自分は子供のころからバットに守られてきたことを認識した。
    そして彼の死により自分が幸せになることを望まず、彼の墓と共に寄り添う事を決意しケンシロウへの憧れを断ち切ったのである。
    だが前述の通りバットは生き返っており…。おそらくこの後は2人で幸せを手に入れたと推測される。
  • FC『北斗の拳3』ではマネージャーになるという名目で仲間になる。
    再序盤は素手のケンより強いのは語り草。それ以外は空気。気が付いたら青年バットになってるし。
  • 原作後の世界を描いたFC『北斗の拳4』ではリンをさらわれる役。特に見せ場もなく不遇。
  • SFC『北斗の拳5』に関してはノーコメントで。貴重な青年バットなのだがその扱われ方は余りにも悲惨すぎる。
  • セガサターン版/PS版『北斗の拳』においてはリンと結婚式を挙げたが、ゲーム開始数十秒でリンを攫われる憂き目に遭っている。
    • 以上のように東映動画時代のゲームではリンが天帝の血筋のため過剰にプッシュされるのに対して、損な役どころが多い。
  • 真北斗無双では久しぶりにプレイアブルキャラとなり剣、爆弾、秘孔など粒ぞろいの攻撃法を持つキャラとなっている。
    だが拳法家でないためかそこまで強い技はなくステータス的にはいまいちパッとしない。また、原作最終回が始めて映像化された。
    • 原作の裏をかいた幻闘編ではリンと一緒に過去にタイムスリップして過去の自分たちを救うというトンデモシナリオとなっている。
  • DD北斗の拳』では1部と2部の折衷案のような外見(設定上は大学生)をしており、SD化した他のキャラと違って普通の頭身。CVは森嶋秀太氏。




これでいい、これでオレの記事立ては終わった。あとは追記・修正がこの記事の道を切り開こう。


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最終更新:2021年05月10日 10:14

*1 よく考えると第一話のキーワードが最終章で活きている…

*2 ただしリンやケンシロウも最初は極悪人と断言している為一概にバットが悪いとは言えない。むしろリンが最初に怯えてたし。