愛(ハリー・ポッターシリーズ)

登録日:2020/02/07 Fri 14:35:00
更新日:2024/12/31 Tue 15:49:21
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愛とは、ハリーポッターシリーズにおける最強の魔法である。

…いや、決して比喩や皮肉などの類ではなく、ハリポタにおける「愛」は単なる概念や感情といった者に収まらず、実際に「魔術」や「力」として行使されるものとなっている。


【解説】

本作において最も印象的な「愛」としてあげられるのは、リリー・ポッターが死に際に息子のハリー・ポッターに授けた「愛の加護」だろう。

作中では特定の呪文として解説されることはなく、一貫して「愛」、もしくは「愛の力」「愛の加護」などと呼ばれている。
アルバス・ダンブルドアのみならずヴォルデモート卿までその存在を知っていたことと、「古い呪文」「古代の魔法」「昔からある」などと呼称されていることから、単に「愛さえあれば無条件に発動できる」というモノではなく(それなら同じような条件で発動するケースがあっていいはず)、強い愛情と命の犠牲を条件として、さらに呪文などの発動条件が加わって機能する防御魔法と推測できる。
三巻によぎるリリー死亡時の記憶では呪文を唱えた様子がなかったが、あらかじめ唱えていたのか、呪文以外の発動条件(例えばヴォルデモート肉体再生魔法には呪文はあまり重要ではない模様)があるのかなどは不明。

凄まじいのはその威力(?)である。

何せ当時最も強力な闇の魔法使いであったヴォルデモート卿の死の呪文「アバダ・ケダブラ」を反射し、本人を瀕死の状態に追い込んでいる。
死の呪文には反対呪文が存在しないので、これが死の呪文を跳ね返した唯一の例である(「反対呪文」「跳ね返す方法」が存在しないだけで、「遮蔽物で防御する」「回避する」などの対策は可能)。

持続力もあるようで、ヴォルデモートの魂の欠片を身に宿したクィリナス・クィレルはこの加護によってハリーに触れることすらかなわなかった。
ヴォルデモート本人もこの加護を克服するために、わざわざ復活の儀式の素材にハリーの血を求めたほど。
その行動も後々ハリーの命を救うことにつながってしまうのだが……これもまた愛の力か

結果から言うとリリーの愛の加護は作中終盤に至るまでハリーの命を守り続けており、これが無ければ本作は確実にバッドエンドまっしぐらだったといっても過言ではないだろう。
ダンブルドアがやたらと「愛の力」の大切さをハリーに語るのも無理はない。

ちなみにこの魔法、ある程度は応用が利くらしい。
実はハリーが毎年叔母(リリーの妹)ペチュニアのもとに預けられていたのはそれが原因で、「リリーの血縁者の庇護を受けている限り(つまりペチュニアがハリーを家族として扱う限り)、悪しき者はハリーの居場所を探れない、というような魔法が掛けられていた」とのこと。
このペチュニアを媒介とする「家族の加護」はハリーが成人を迎えると自動失効するとあり、しかしリリーの愛の加護はその後も機能していたため、この二つは別の魔法である。
またこれを施したのはダンブルドアとのことで、それを踏まえると「愛の加護」とは単に愛情ひとつで発動する魔法ではなく、ある程度の技術体系を伴う魔法であることは間違いない。

ただ、これさえ掛ければどんな敵にも無敵、というような魔法ではない。
作中の様子を見る限り、これが発動するのは発動時に想定した相手、すなわちヴォルデモート卿にのみ利くものと思われる。
現に、ヴォルデモートに忠誠を誓うバーテミウス・クラウチ・ジュニアがハリーに触れたり、バジリスクが毒の牙を突き立てたりしているが、この魔法は発動していない。
実現こそされていないが、例えばベラトリックス・レストレンジが死の魔法をハリーに命中させても、愛の加護は発動しないだろう。
「アバダ・ケダブラ」以外にも機能するのかも実は疑わしく、ヴォルデモートがその技を使わずに悪霊の火を放ったり、あるいは岩を叩きつけるなどの物理的な魔法を使ったとしても、うまく機能しないと思われる。
ホントになんであの人はあの技ばかりにこだわるんだろう……


【関係者】

本作における魔法は術者の精神によるところが大きいせいか、リリーほど分かりやすくはなくとも「愛」の存在が、行使する魔法に大きく関わっている者が多い。

ご存知ホグワーツ魔法魔術学校の魔法薬学教授にして、本作最大の漢。
二重スパイとしての過酷な人生の支えとなったのは、幼少期から最期の瞬間まで一途に貫き続けたリリーへの愛に他ならない。
彼の守護霊がリリー・ポッターと同じ「雌鹿」であるのはその象徴。
真っ当な愛と言い難い面もあるが……まあ彼らしいと言うべきだろうか

「これほどの年月が経ってもか?」

「永遠に」


  • モリー・ウィズリー
ご存知ウィーズリー一族の当主の妻。
自身の子供たちは勿論、ハリーら子供たちの友人にまで深い愛情を捧げてきた本作における母性の象徴とも言える人物。
それだけに息子の一人を葬ったベラトリックス・レストレンジには尋常じゃないほどの怒りを向け、最終的に死喰い人の中でも屈指の実力を持つ彼女をタイマンで打ち破った。
強い愛情の前には闇の魔術など無力に等しいということかもしれない。

「謎のプリンス」では前巻と比べて別人のようにやつれたように見え、「七変化」に支障を来たしたり、守護霊が変化したりするなどの症状が出たりするようになっており、ハリーはこれを「トンクスは亡くなったシリウスを愛していたから」と推測していた。
しかし実際に思いを寄せていたのはリーマス・ルーピンの方であったことがのちに判明する。

前述の通りリリーの愛の加護の存在を知っていたせいか、例のあの人やハリーに対してことあるごとに「愛の力」の強さを説いていた。
尚、本人は若いころ、ゲラート・グリンデルバルドへの愛情から道を踏み外しかけた経験がある。
愛がいつでも正しい方向に作用するとは限らないのだ。

ダンブルドアとは対照的に、最期の最期まで頑なに「愛」を否定し、嘲り続けてきた闇の魔法使い。
しかし愛を最強に据える本シリーズにおいて、その末路がどのようなものであったかは言うまでもない。

  • ナルシッサ・マルフォイ
初期から息子にはベッタベタに甘い事をうかがわせていたフォイのおかん。
闇の陣営の一人でありながら息子ドラコへの愛情から、例のあの人を裏切りハリーの命を救った女性。
結果論だが彼女のこの行動がなければ、ハリーたちは完全に詰んでいた。
ちなみにナルシッサに限らず、家族愛にかけてはマルフォイ家は意外と真っ当。
ルシウスも息子は大事に思いつつも教育や躾けについては厳しく*1、本当なら親元からも離して北欧・ダームストラング専門学校に送ろうと考えていたほど。
それでいてナルシッサの説得(ホグワーツ入学を推薦)に折れるなど、厳格であれど家庭内暴君ではない良き父親・良き夫である。
息子ドラコもそんな両親のことを敬愛しており、父母への侮辱は許さない。

  • 無言者
逆転時計や予言の管理を担当する魔法省の部署「神秘部」に属する職員たちの総称。
時間、死といった概念の他に愛についての研究を行っているらしい。
この部署にあるという一つの施錠された部屋の中には、ハリーが多く持ち、「例のあの人」が全く持たない力で満たされているというが、恐らく……。




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最終更新:2024年12月31日 15:49

*1 ハーマイオニーを批判するドラコにハーマイオニーがマグル出身の魔女であり、自身が純血を大事にする一族であるにもかかわらず「それならまず彼女の成績を上回ってから物を言え(意訳」と説教する程