呉一族(ケンガンアシュラ)

登録日:2020/05/10 Sun 17:31:00
更新日:2023/10/06 Fri 00:00:14
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「呉」の中には、鬼が棲む



呉一族とは、『ケンガンアシュラ』及び『ケンガンオメガ』に登場する一族である。

概要

禁忌の末裔」の名で知られる暗殺集団の一族。飛鳥時代から1300年続く非常に古い歴史を持つ。
長い歴史の中で高名な武芸者の才女と契りを交わす・優秀な外部の種を取り入れ続けた結果、生まれながらにして強靭な身体と戦闘力を持つ。また、外部から優れた戦闘技術を常に取り入れ続けたことで、戦闘から鍼治療に至る様々な秘伝の技術を持つ。
同業者の雷心流とは1200年にわたるライバル関係にある。

そのルーツは神が存在していたといわれる5000年も前に及び、作中の中国地方の口伝によれば突然地の底から湧き上がるように現れ、人、獣、神、鬼を殺しつくし夥しい返り血で眼を黒く染めた「それ」が始まりと言われている。
それから本編開始より1300年前に「」との全面戦争に完敗したことで一族は以下の三つに分かれている。
  • 中国に留まった「(ウー)
  • 西洋へと進出した「征西(せいせい)
  • 日本に流れた「(くれ)一族」。

呉一族の一門からは優秀な暗殺者や闘技者を輩出しており、拳願仕合では拳願絶命トーナメントを含めて歴史上4回しか敗北していない。

本家の所在は京都の地方都市「呉の里」
本業が絡まなければ基本的には気の良い一族なので、周辺住民との関係は良好。
食事も一族が集団して取るなど団欒としている。会話の内容は極めて物騒なのは内緒。暗殺業も本職としているのは一部でほとんどは兼業しているようである。

名前の由来はブラジルの柔術一族「グレイシー一族」。

身体的特徴

白目と黒目が反転した目が特徴であり、一族の人物は例外なくこの風貌をしている。
上述したように幾世代にわたって遺伝子改良を繰り返してきたため、あらゆる身体機能が現生人類の範疇を大きく上回っているため、痛み・ダメージの耐性も肉体自体の耐久力と20種に及ぶ脳内麻薬の異状分泌によって、とんでもない深手にも耐えてしまう。
正に、生まれながらにして人を凌駕する戦闘特化の新人類と言える。

呉一族秘伝の技

呉の技は大きく分けて暗殺に特化した「一族伝」と格闘技術に特化した「呉家伝」の二つに分類されている。

  • 秘技・外し
脳のリミッターを意図的に外すことで、潜在能力を解放し、パワーとスピードを向上させる呉一族固有の能力。同じルーツを持つ宗家の呉氏(ウー)の一族では鬼魂(グイフン)と呼ばれている。
いわゆる「火事場の馬鹿力」。
本来、人間は脳にリミッターをかけることで力をセーブし、身体の崩壊を防いでいるが呉一族は1300年にわたる品種改良によってそれに耐えうる肉体を手にしており、リミッターを解除することで人知を超えた力を発揮する。
引き出せる潜在能力の解放率は個々の資質に依存し、50%解放できれば優秀な部類に入る。最大解放の100%に至っては長い歴史の中で極わずかな者しか到達できていない。
「外し」自体にデメリットは無いが、非常に体力を消耗するため長時間維持し続けると発動できなくなってしまう。
秘伝という性質上、当主の許可がなければ使用は禁じられている。
二虎流の「憑神/前借り」はこの技に対抗するために作られたと言われている。
発動自体は基礎とコツさえマスターできれば呉一族でない者でも可能だが、常人が使えば脳への負担に体が耐えきれず死亡してしまう。

  • 回生(フイシュン)
一族が三つに分化する前に代々引き継がれていた宗家のみに伝わる、日本語で「生き返り」を意味する「擬似的な転生」を目的とした秘伝中の秘伝。
語り部と繋ぎ手とされる「受け」の2人がそろって成される術で、繋ぎ手はできるだけ幼く、血縁関係にあるものが相応しくされる。
語り部が自分自身が死亡するまでの数十年の間に繋ぎ手の人間に自身の半生の大小全てを何度も何度も繰り返し吹き込むというもので、その結果繋ぎ手の人間は語り部の半生が自分ものと錯覚する*1、早い話が洗脳術。
聞き手となる人間が語り部とある程度認識がある状態であれば、語り部が半生を語っている録音声でも代用可能。
極端な話一族全員に使えば一人の語り部の人格を大量に造れるが、同じ人格が複数存在することになるため統率が取れず組織が崩壊するリスクがある。
三つに分かれる過程で(ウー)氏宗家と呉一族はこれを封印しており、引き継いでいるのは征西派のみ。

  • 獅子咬(シシガミ)
ケンガンオメガで雷庵が使用した技。首の骨を折るのではなく、骨を外す技らしい。

  • 無明(ムミョウ)
相手の眼に向けて手を払うように眼球を引っ掻き視力を奪う技。

  • 仏殺(ブッサツ)
喉仏に向けて放つ肘打ち。

  • 剛当(ゴウタイ)
背中を打ち付ける鉄山靠のような技。

  • 破山(ハザン)
頭と腹部を両の拳で同時に打つ技。空手でいう「山突き」に近い。

  • 蹴突(シュウトツ)
爪先で鋭く相手を突く後ろ蹴り。

  • 秘技・衣外し
16巻カバー下。

呉一族の一門

CV:千葉繁
身長:165cm
体重:54kg
年齢:91歳
誕生日:11月2日
好きなテレビ番組:笑点
異名:強魔

現呉一族の当主。
御歳91歳と年老いているが年齢に見合わない戦闘能力と迫力を持つ。
一族の長としての風格と落ち着きを併せ持つが、一族を舐める者や侮辱する者は決して許さず、そういった者たちに対しては一族を動かし報復を行う。
曾孫のカルラのことを溺愛しており、カルラの周囲に男の影が少しでもちらつくだけで錯乱してしまう。
カルラが王馬に惚れてからは王馬のことを嫌っており、その事を知った際には、「次にカルラに近づいたら毛髪一本残さずこの世から消し去る」『外れかける』程激怒した。


  • 『天魔』(くれ) 迦楼羅(かるら)
CV:黒沢ともよ
身長:154cm
体重:45kg
年齢:16歳
誕生日:12月13日
高校の部活:吹奏楽部
好きな本:グラスホッパー
異名:天魔

恵利央の曾孫。
「呉の里」ではなく東京在住の女子高生。
「宗家の役目は強い子を産むこと」と教えられてきたため、王馬の実力を目の当たりにして一目惚れし、出会い頭に寝技を仕掛けて求婚を迫った。
以後王馬には会う度に子作りしようと追いかけ回しては逃げられている。
王馬と戦った際には打撃が“軽い”と言われてしまったが、あくまでそれは「外し」を使用しないでの話。
呉一族でも異端の存在と言われており、「外し」の解放率は16歳という若さにもかかわらず85%も解放でき、その強さは一族内で彼女を知る者からは「実力の次元が違う」と恐れられている。
仮に女性のみの絶命トーナメントが開かれれば圧勝するとまで言われおり、東洋電力によるクーデターが発生した際には、単独で複数の守護者を瞬殺していた。
続編のケンガンオメガでは進学し大学生となった。王馬にゾッコンなのは相変わらずである。


CV:松岡禎丞
身長:188cm
体重:94kg
年齢:21歳
誕生日:7月26日
特技:ムカつく奴を殺すこと
趣味:ムカつく奴を殺すこと
異名:魔人

呉一族最凶の男。
容姿は若かりし頃の恵利央に似ている。
「蹂躙」を至上の喜びとする極めて好戦的な性格であり、あくまでも依頼を受けた標的のみを確実に殺害する呉一族の中で、ただ独り無差別に欲望のままに殺戮と「蹂躙」を行うイレギュラーな存在。
「蹂躙」の為に平然と許可なく「外し」まくり、身内であるはずの呉一族に対してすらも平気で噛みつきまくり、恵利央や妹の風水に対しても「殺すぞ」と吐き捨てるほどの問題児だが、恵利央は自身の若いころに雷庵を重ねているのか、特に咎められたりはしていない。こんな所でも親バカである


  • 『鬼哭童子』(くれ) ホリス
CV:松田健一郎
身長:180cm
体重:82kg
年齢:31歳
誕生日:5月9日
最近の悩み:趣味がないこと
異名:鬼哭童子

堀雄の甥であり、呉一族でも有数の実力者。
恐ろしい見た目とは裏腹に、癖の強い一族の中では珍しく礼儀正しい性格。そんな性格のおかげなのか、本来ならば因縁深い雷心流の当主である御雷零とも旧知の間柄であり、御雷が女のために一族の掟を曲げたと知った時には驚愕していた。
「外し」の解放率は80%と高く、滅堂も当初はホリスがトーナメントに出場すると思っていた。

実力者ではある筈だが、まともに戦うシーンが描写されたのは続編の『ケンガンオメガ』から。
当初は戦闘シーンが王馬とのスパーリング位しかなく、漸く訪れた戦闘シーンも対戦相手がよりにもよって作中屈指の化け物スペックのエドワードだったせいで終始押されっぱなしなまま、エドワードから有象無象扱いされたまま地に倒れてしまったため、明確な強さが未だにはっきりしない可哀想な?キャラでもある。


  • 『金剛鬼』(くれ) 玲一(れいいち)
CV:高橋良輔
身長:191cm
体重:105kg
年齢:26歳
誕生日:7月24日
好きな音楽:ジャパニーズハードコア
異名:金剛鬼

恵利央の又従兄弟の曾孫に当たる。
「外し」の解放率は50%。
飄々とした性格で、カルラがらみで錯乱する恵利央を見て面白がってはホリスに窘められている。
呉一族で一番のナルシストだが、一番影が薄い。
一族でも有数の実力者の一人で、拳願絶命トーナメントでは雷庵をサポートすることになる。ただし雷庵の実力こそ認めてはいるものの、その性格をかなり嫌っている。
まともな戦闘シーンはホリス同様『ケンガンオメガ』のエドワード戦。怪力の持ち主という個性を持っていたようだがエドワードにしてみればは有象無象の1人でしかなく、自慢の怪力をフル活用しても赤子の手をひねるように一蹴されてしまった。


  • 『鬼牛』(くれ) 堀雄(ほりお)
CV:徳本英一郎
身長:182cm
体重:122kg
年齢:55歳
誕生日:10月17日
持っている資格:税理士・普通自動車免許
異名:鬼牛

恵利央の大叔父の玄孫。
小太りな体型だが一族でも有数の実力者の一人で、海外でも仕事を請け負っている。「外し」の解放率は65%。
劇中での明確な戦闘シーンは王馬とのスパーリング程度しか無いが、
過去にあの拳願試合のようなルールのある環境ではなく、なんでもありの軍隊格闘技を解禁したムテバ・ギゼンガと交戦して五体満足で帰還している時点でその実力は察するべきである。


  • 『魔弾の射手』(くれ) 風水(ふうすい)
CV:鈴木美園
身長:164cm
体重:49kg
年齢:19歳
誕生日:6月18日
特技:狙撃、射撃、尾行
趣味:水泳
異名:魔弾の射手

雷庵の妹で、一族でもどんな仕事もこなせる優等生として知られている。格闘マンガには禁じ手の狙撃手キャラでもある
自分の兄を「イカレてる」と評するなどドライな性格。カルラ同様、東京に在住しており、歳も近いため仲が良い。普段は皇桜学園に通う大学生。
遠い親戚の変造とは仲が良く、恵利央から依頼主である山下健蔵を監視するよう命じられた時は一緒に行動していた。
ケンガンオメガでも拳願会と関わっており、呉一族の窓口担当をしている。
「外し」の解放率は28%。劇中では、格闘マンガの定義が崩れるせいか「魔弾の射手」に相応しい狙撃能力は未だに見せた事は無い


  • 『狩鬼』(くれ) 変造(へんぞう)
CV:広瀬裕也
身長:174cm
体重:64kg
年齢:31歳
誕生日:9月29日
職業:鳶職
弱点:高所恐怖症
異名:狩鬼

普段は東京ではなく本拠地の呉の里に住んでいる。呉一族の中では数少ない常識人で殺しにやや否定的な考え方を持っている。
有給を使ってほかの一族の面々と共に上京するが、健蔵を監視する風水のサポート役を決めるためのジャンケンで負け続けているため一人だけ東京観光ができずにずっと彼女と行動していた。
「外し」の解放率は19%。職業が鳶職の癖になんで高所恐怖症なんだとか、そんなんで暗殺の仕事はこなせるのかとか色々とツッコミ待ちのキャラである

  • (くれ) 陸斗(りくと)
ケンガンオメガに名前だけ登場。
次期当主候補筆頭に選ばれるほどの実力の持ち主。
しかし「蟲」の頭領を追う過程で征西派の裏切りに逢い殺されてしまった。

CV:大原さやか
身長:167cm
体重:55kg
年齢:34歳

ダンベル何キロ持てる?』の登場キャラクターだが、後に『ケンガンオメガ』に登場。皇桜女学院で教師を務めている。
恵利央の孫でカルラの実母。冷静沈着でおっとりとした人物だが、意外と毒舌。


  • (くれ) 半次郎(はんじろう)
年齢:46歳
初出は『ダンベル何キロ持てる?』の設定上だったが、後に『ケンガンオメガ』にて一コマのみ登場。
夜叉の夫にしてカルラの父であり、恵利央の婿養子。武器は銃を使うようで、願流島チームに居ない事から戦闘能力はまぁまぁであると思われる。
恵利央の事は「お義祖父(じいさま)」と呼んでおり、キレさせていた。
しかし第一子である娘の年齢と逆算した場合、18歳の夜叉を孕ませてカルラを出産させ、あの血気盛んな恵利央の粛清から逃れ、なおかつ婿養子と認めさせた上に、本人の前に現れて「お義祖父」と呼ぶとんでもない豪胆な人物になってしまう。この事から、実は半次郎強キャラ説がまことしやかに囁かれている


  • (くれ) 沙楼羅(さるら)
年齢:15歳
こちらも初出は『ダンベル何キロ持てる?』の設定上で、後に『ケンガンオメガ』の呉一族の集まりで一コマのみ登場。
カルラの弟だが、残念ながら特出すべき才能は受け継がれなかった様子。姉より優れた弟など存在しない
母である夜叉に泣きつく恵利央の姿を見て呆れており、「曾孫馬鹿馬鹿爺」と呼んで馬鹿にしていた。
服装からしてナイフを用いて相手を一瞬で十七分割して暗殺しそうではある

ルーツにあたる一族

(ウー)の一族

中国大陸に存在する暗殺者一族で呉一族は呉氏の分家にあたる。

  • (ウー)(ヘイ)
5000年前の中国大陸に誕生し、突然地の底から湧き上がるように現れ殺戮の限りをつくしたと伝えられている「最初の(ウー)」その人。
当然ながら当人はとうの昔に逝去しているが、彼の半生の記憶は回生によって5000年もの間、征西派の人間に何世代にも渡り継承されている。
だが、エドワード曰くその人格は回生で人に使われるのに向いていないらしい。
また回生で呉黒の人格を宿すには鬼魂の解放率が100%であることを始めいくつかの条件があり、現時点の継承者はアラン・呉とされていたが、実際はエドワードに継承され、アラン他4名が「予備」として継承されている。

  • 『夢幻道士』(ウー)(シン)
身長:190cm
体重:84kg
年齢:27歳
誕生日:11月19日
トラウマ:納豆
こだわり:隠し武器は手作り

(ウー)の一族の宗家。恵利央とは交流関係がある模様。
先代宗家や幹部たちが征西派との戦闘で死亡したため若くして宗家となったが、鬼魂の解放率は100%と優れた才能を持ち、宗家というだけあって呉の歴史に詳しい。
ただしフィジカルでは征西派に勝てないと理解しているため、隠し武器や搦め手に力を入れている生粋の暗殺者。
蟲に寝返ったエドワード達を毛嫌いしている。*2

征西(せいせい)

西洋へ進出した呉氏の分家。
現在は「蟲」と協力関係にあり、大金と引き換えに術の基礎を「蟲」やその協力者に提供しており、そのため呉氏からは裏切り者扱いを受けている。
寒冷地に移ったことにより、ベルグマンの法則によって大型に進化を遂げており、平均身長は190cmと呉一族の中でも大柄な雷庵よりも上。
現在のトップは蟲の最高幹部の1人エドワード・呉
詳細はエドワード・呉の個別項目を参照。



【余談】

同じく世界観を共有している作品、求道の拳では、主人公の因縁の相手として、「凶帝」早鍬(はやくわ)左馬斗(さまと)が登場するが、彼は呉一族から派生した一族の末裔という設定がある。
「外し」に酷似した技「殺戮モード」を使えるのはそのため。
左馬斗の事を呉一族も知っており、左馬斗も呉一族の事を知っているらしいが、今の所は敵対もしていなければ、声をかける必要もない為に互いに不干渉を貫きあっている。

なお、左馬斗はあの呉雷庵と互角にやり合える程の実力をもっており、もし両者が激突した場合はどちらが勝利するかは不明である。

またブラジルのシウバ柔術は100年以上前に呉一族に連なる人物が技術を伝えたことが始まりとされ、現宗家はその人物の直系とされるが、既に呉の血が薄まっている関係で左馬斗と異なり外見は一般人と変わらないものとなっている。



さて…ここからが本題じゃが…

追記・修正には誰を派遣しようかの…?

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最終更新:2023年10月06日 00:00

*1 星曰く、語り部の魂が宿る

*2 エドワードを「我が一族の裏切り者」と称し、恵利央にアランの事を聞かれた際は、あからさまに嫌な表情をしていた。