ヌー

登録日:2020/07/07 Tue 14:30:04
更新日:2025/10/04 Sat 15:45:55
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ヌーとは、哺乳類の一種。アルマジロの鳴き声ではないぞ
アフリカのサバンナにおけるみんなのオカズである。


概要

動物界
脊索動物門
脊椎動物亜門
哺乳綱
鯨偶蹄目
ウシ科
ヌー属

サバンナに生息する大型の草食獣で最も繁栄している哺乳類のグループであるレイヨウ類の一種
(シカによく似たウシ科のグループ トムソンガゼルやエランドなどが有名)
いつも見るオグロヌーと野生絶滅種のレアなオジロヌーがいる。
後者はドラえもんが「タイムホールとタイムとりもち」で捕まえたことがあるので絶滅したと思っている読者も多いやもしれないが、
現在は保護下に置かれ、徐々に野生に戻されている。

平成に入って現地語のヌーという名が周知されるまでは和名のウシカモシカ,英名のワイルドビースト,オランダ語のウィルドビーストの名で呼ばれることも多かった。

見た目はレイヨウ類らしくウシ日本のカモシカを足した感じで、茶褐色の体色と黒い角が特徴。幼体は角が真っ直ぐである。
雌雄の見分けは難しいが、オスに比べてメスはツノが細く 逆にオスはツノが太い。

オグロヌーには幾多の亜種が知られ

  • シロヒゲオグロヌー
(ケニア タンザニアに生息 大移動で知られるのは本種)

  • クロヒゲオグロヌー
(アンゴラから南アフリカに生息 群れを作らないので海外での飼育が多い)

  • ザンビアオグロヌー
(ザンビアに生息)

  • シロオビオグロヌー
(モザンビークに生息)

  • タンザニアオグロヌー
(タンザニア北部に生息 シロヒゲオグロヌーと区別が付かない)

が存在する

同じ大型草食獣のシマウマとは共生関係にある。
多産かつサバンナで最も繁栄した生物であり、シマウマ以上の総数100万頭以上の個体数を誇る。
乾期にはヌーの大移動と言われる川渡りを行い我々に感動をもたらす。
体長2メートル、体重200キロの巨体での体当たりでライオンすらも撃退することもある。
名作アニメ『ライオン・キング』で主人公の父・ムファサが悪役スカーの策略でヌーの大移動に巻き込まれて死んだのは記憶に新しい。

ヌーの交尾と出産は群れ全体が同時期に行いヌーの群れ総出の一斉出産は感動する見物であり、
難産に苦しみ胎盤を垂らしなら出産するとされ
これが後述の持続的な飼育の難しさに繋がっている。

たまに雄のブチハイエナやリカオンの群れに襲われた雌の妊婦ヌーが膣に鼻先と頭を突っ込まれて無理やり胎児を引きずり出されて強制出産させられることがある。
実に自然界の厳しさを思い知らされる。


飼育の難しさ

ヌーを表すのはなんといってもその不遇さであり、一見すると貧相でガリガリの体故に、
シマウマが多くフィギュア化されているのに対しヌーはまともにフィギュア化されるのが少ない。
(確認できるだけで海洋堂 ミニチュアプラネット papo Safariのみ)

更に動物園でもシマウマに比べて飼育数がはるかに少なく

日本では伊豆アニマルキングダムにケニアに生息する亜種
シロヒゲオグロヌーのメスが一頭いるのみで継続的な飼育が絶望的な状況。
自然に近い姿での飼育を謳う動物園でも、シマウマと同居させるのはヌーでなく人気者のキリン 同じレイヨウ類でもエランドか生息地が被らないシロオリックスが多く飼育されるという始末。
サバンナでは同僚なのにこの差はいったい?。

と言うのも、ヌーは群れで大移動する性質や
繁殖時の「鳴き交わし」を行う生態を持つため
それらの環境を整える事は不可能ではないが、
アフリカのサバンナばりの環境を動物園の限られたスペースの中でやるのは大変厳しく
持続的に飼育をすることが出来ないとされており
日本より広大なスペースを用意できる欧米諸国の動物園でもヌーは減少傾向 あるいは避けられる傾向にあるせいとされている。
(また、ヌー同様にサバンナの代表的なレイヨウであるトムソンガゼルやインパラも同様の理由で世界的に飼育が少なく こちらは日本の動物園で飼育されていない)

みんなのオカズ

ヌーといえばアフリカの肉食獣の大切な食料源であり、おかずもといおやつとして常に狙われている。

シマウマが普通に撃退し、肉食獣としては非力な筈のチーターにすら捕食され、
ライオン、ブチハイエナ、ヒョウ、リカオン、ナイルワニ、現地の先住民
さらに弱体化個体や幼体はジャッカルやサバンナヒヒにすら普通に捕食され 時折 草食であるはずのカバからも弱った個体が襲われるケースもある。

立派な角があるが、蹴りを武器にし体重の重い同僚のシマウマより戦闘能力は劣り、シマウマと違いチーターとは同居できない。

その為、サバンナに行くとしょっちゅう死骸が転がっており、それも直ぐにハゲワシやジャッカル、ハイエナなどに掃除される。

ある調査ではワニに食われることにより死骸の残骸がタンパク源となりナイル川の生態系すらも潤している事が証明された。


人間との関係

ペット用に不人気(というか物理的に飼育することが出来ない)、上にほぼ人畜無害なので 古くから適切な数を狩猟してきた先住民意外の人間からはほぼノータッチ。おかげでサバンナで最も繁栄した生物となれたわけだが。

見た目のせいで人間からは人気が無いが、サバンナの貴重なタンパク源であり、アフリカで最も繁栄し今日も必死で生きていく、それがヌーなのである。

しかし近年では、行き過ぎた観光業による生態の乱れや貧困からくる食糧難のため食肉として密猟の標的にされるなどの問題も指摘されている。

ヌーをモチーフとしたキャラ

以上。

キャラではないが、LinuxディストリビューションKing Gnuで良く聞くGnuとはこのヌーのこと。




ヌーディストビーチと勘違いし幼少期にヌーの出産に興奮し萌えた人は追記・修正。

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最終更新:2025年10月04日 15:45