チーター(動物)

登録日:2024/05/30 Thu 16:28:21
更新日:2025/03/09 Sun 18:32:39
所要時間:約 6 分で読めます




チーター(学名: Acinonyx jubatus)とは、食肉目ネコ科に属する哺乳類である。
チー↓ター↑ではなくチー↑ター↓です。



【概要】

体長約1.1~1.5m・体重約30~70㎏になる大型のネコ科の猛獣。
全体的にスマートな体形に黄色い体色に黒いまだら模様が特徴。
ケニアやタンザニア等アフリカ大陸に広く生息しているが、アジアにもイランに僅かだが生息している。
かつては、中東やインドといったアジア圏にも今よりも更に広い範囲に生息していたが、現在では絶滅してしまっている。

《他のネコ科の大型獣との違い》

チーターと同様に体に斑点を持つ種には、ヒョウやジャガーが存在する。
ただ、彼らの模様はオレンジ色の点の周りに黒い点が花弁のように囲まれている(梅花紋)に対して、チーターは黒一色の点なのが特徴。
また、ヒョウやジャガーが主にジャングルに住み、樹上生活・夜行性なのに対して、チーターはサバンナのような平原で昼行性の生活を営んでいる。
更に前述の二種はヒョウ属*1に属しているのに対し、本種はチーター属に属する動物である。
そのため、ヒョウ属の特徴である「ガオー」といった咆哮は出来ず、鳴き声は「ピャ」や「キャン」といった可愛い甲高いものになっている。

また他のネコ科の動物にはない特徴として、チーターの顔には目元から口元にかけて独特の黒いラインが存在する。
これは『ティアーズライン』と呼ばれ、太陽光の眩しさを軽減する役割を持っているとされている。
野球選手やアメリカンフットボールプレイヤーが目元に黒いステッカー(アイブラックと呼ばれる)を貼っているのはこのティアーズラインからの着想だが、
眩しさ軽減の効果のほどについては科学的に証明されていない。


【スピード】

本種の最大の特徴は何といっても陸上哺乳類最速と評される程の驚異的なスピードにあるといえるだろう。
最高速度は実に時速100~130㎞にもなり、加速力も走り出してから2秒で時速70㎞に達する程。
それでいて一秒で約時速20㎞程にもなる減速力とこれほどのスピードで走行しながらも急な方向転換も可能な機動力も兼ね備えている。

風の影響を受けにくい小さな頭と手足の長いスマートな体形の割に大きな心臓と肺を持っていることから心肺機能が高く、更に酸素を取り込むための鼻孔も大きい。
そしてチーターのスピードを生み出す最も大きな源となっているのは柔らかく強靭な背骨であり、走る際には強力なバネとなって足の力以上に強い力を生み出し、歩幅は7~8mにもなる。
またネコ科では珍しく爪を引っこめることが出来ないが、これは走行の際にスパイクの役割を担い高いグリップ力を生み出すためと考えられている。ちなみに肉球もかなり硬い。
更に長い尻尾は回転させることで高速で走行中でも急な方向転換をさせる舵の役割を担っている。

まさに高速で走るために出来ているような体の構造となっているが、
全速力での走行は大体20~30秒、長くても60秒が限界で距離にすると通常で300m未満・最大で600mほど。*2
更にスピードに特化した分パワーがないことから他種との闘争に弱いという弱点があり、
折角狩りに成功してもライオンやハイエナ等の他の捕食者に奪われたり、最悪捕食されてしまうことも。
これに関連して、争いのリスクが高まることからか、チーターは死骸を食べないという。
また非力ゆえ人を襲おうとしても反撃されてあっさりと逃げ出してしまうため、いわゆる「ビッグキャット」の一角に数えられ、
実際にチーターによる人への被害はほとんど報告されていない。

基本的には単独で生活するが、オス*3はネコ科では珍しく群れを形成するものもおり、中には血縁関係のない個体も加わっていることもある。
一方メスは縄張りを持たないとされていることからオスと比べて広い行動範囲を持つ。
寿命は野生では10~12年ほどで、飼育下では15年生きたという記録がある。

狩りは身を隠しながら獲物までの距離を100~300m程まで詰め寄り、
自慢の走力で一気に接近して前脚でひっかいて転ばせたり、喉を噛みついて窒息させて仕留める。
獲物はウサギやインパラやガゼルなどのレイヨウ、シマウマの幼体等の約60㎏以下の動物を襲うが、
群れで協力して行う場合は成体のシマウマやヌー等の通常は狙わない大型の動物を襲うこともある。
狩りの成功率は40~50%と言われており、リカオンやハイエナといった70%以上を超える程の捕食者には及ばないものの、
せいぜい20~30%程のライオンやヒョウを上回っており、全体的に見るなら狩りが得意な方に分類されるだろう。

《体温上昇について》

身体を冷却する役割を持つ汗腺等を持たず、それでいて上述のように「陸上生物最速」と言われるスピードで走るため、
全速力で走るとあっという間に体温が急上昇して脳が焼けてしまうと言われており、これがチーターが長い距離を全速力で走れない原因だと長年言われている。
これは1973年にランニングマシンの上にチーターを走らせたところ、狩りを中断するのは体温が上がりすぎるためではないかという結果が示唆されたことからである。

一方近年の研究によりこの説に待ったをかけた新説が登場している。
それは四頭の野生のチーターを調べたところ、狩りの成否に関係なく、全速力で走行中も体温は比較的安定していたことが明らかになったからである。
また狩りを成功させた場合は途中で諦めた場合よりも体温の上昇幅が大きいという結果も出た上に、
更に被検体のうちの一頭が怪我で狩りに参加出来ず、他の個体から餌を分けてもらった際には、
その被検体は狩りに参加しなかったことにもかかわらず、狩りをした個体と同じくらい体温が上昇したという結果が出たのである。

この研究により実はチーターの体温が上がる本当の原因はストレスによるものではないかという結論が出ている。
前述の通り、チーターはライオンやハイエナ等に獲物を奪われたり、場合によっては自分も襲われてしまうことがあることから、
獲物を捕らえた後は他の捕食者を非常に警戒しており、急激な体温の上昇はこの時に起こる強いストレスが原因であると考えられるようになったのである。*4


【人間との関係】

毛皮としての利用や農地開発等による環境破壊により、アジアに生息していたチーターをはじめ生息数は減少している。
一方大型の動物は襲わない傾向から人間を襲った例はまずなく、
古代アッシリア・エジプト・シュメールなどはチーターを飼育していたことがわかっており、飼いならして狩猟に用いられていたこともある。
中でも南アジアにあったムガル帝国を治めていたアクバル一世は治世中の49年間で9000頭ものチーターを飼育していたとされている。


【主なチーター】

原生では一種であり、更にアジア・アフリカ大陸北部~西部・北東部・東~南部の4亜種に分けられている。
一方アジアチーターとアフリカチーターの二種のみに分ける説も存在する。

  • アジアチーター
現在はイランにのみに生息していることからイランチーターとも呼ばれている。
現在は僅か数十頭しかいないほど数を減らしてしまっている希少種であり、アフリカのものよりも更に頭が小さく小柄な体形をしている。
近年ではかつて生息していたインドにチーターを再導入されている。

  • キングチーター
チーターの突然変異であり、種類自体は通常のチーターと同じである。
通常のチーターとは異なり斑点が大きく、更に背中は三本の黒い帯状の模様になっているのが特徴。

  • アメリカチーター
かつてアメリカに生息していたチーター…ではない。
姿はチーターとよく似ていることからこのような名前が付けられているが、
こちらはピューマに近い動物からの収斂進化によって誕生したと考えられている。

  • ジャイアントチーター
約350万年から100万年前にヨーロッパからアジア東部とユーラシア大陸に広く生息していたチーターの近縁種。
体長200㎝と原生のライオンにも匹敵する巨体を誇る史上最大のチーターで、
細身の体形なため体重では劣るもののそれでも100㎏以上にも達していたと考えられている。
一方その体重と原生よりもがっしりした体格から走行速度は原生のチーターよりは遅かったと推測されている。


【動物占いにおけるチーター】

作中ではカタカナの「チータ」表記。
太陽グループで、状況対応型。チータの人には以下の主な特徴がある。

  • 精神段階は小中学生のサイクルである為、子供の精神性を持つので、外見も若々しい人が多い(こじか、猿も)。
  • とにかく前向きで超プラス思考。後ろ向きな考え方や、愚痴を嫌う。
  • 焼肉好きが多い。
  • せっかちでスピードに拘り、即断即決。思ったらすぐに行動するタイプ。
  • プライドが高い為、プライドを傷つける行為が許せない。
  • 異性に目が無い上、モテるので恋愛では浮気に悩まされる事が多い。
  • 金遣いは荒い方であり、思ったらすぐに買ってしまうタイプなので、貯金が貯まらない事が多い。


【創作においてのチーター】

やはりモチーフがモチーフなだけに高いスピードを武器にすることが殆ど。
2005年には少年とチーターの交流を描いたベストセラー児童書を映画化した『ドゥーマ』が公開されている*5

キャラ名等 登場作品名等 備考
セシャト エジプト神話
アポロ・ヘラクレス・アリエス チーターマン チーターの三兄弟がDr.モービスに遺伝子改造手術を受けて誕生した。
チーター・キングチーター けものフレンズ 姉妹設定で登場する事が多く、キングが姉。
クロウハウザー ズートピア ただし肥満のため全く走れない。
フーリ ライオン・ガード
アザード
ガオグランナーチータ トミカ絆合体 アースグランナー
ライトニングサイクス ゾイド
グラビティサイクス ゾイド
チータス ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー 原題での名前は「チーター(Cheetor)」
チータス トランスフォーマー サイバーバース ↑のリメイクキャラ。声優や語尾も同じ。
チーター トランスフォーマー ビースト覚醒 ↑↑のリメイクキャラ。声優や語尾も同じ。
チーターモズー/チーターコング 大戦隊ゴーグルファイブ チーターの遺伝子から製造された合成怪獣
ゲキチーター 獣拳戦隊ゲキレンジャー
レッドバスターチダ・ニック 特命戦隊ゴーバスターズ
レッドチーター 動物戦隊ゴーバスターズ パラレルワールドにおける桜田ヒロム
特命鬼 暴太郎戦隊ドンブラザーズ
ラトラーターコンボ 仮面ライダーOOO 仮面ライダーオーズに登場するコンボ形態の一種(ライオン+トラ+チーター)
チーターカタツムリ スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号 チーターとカタツムリの合成怪人。
ラッシングチーター 仮面ライダーゼロワン 仮面ライダーバルキリーの基本フォーム
劇中には登場していないが、ゼロワンの変身形態版が「今週のアイテム」に掲載されている。
チーター・デッドマン 仮面ライダーリバイス
レディ・チーター パウ・パトロール カーレース大作戦 Go!Go! チーターをイメージしたレーシングカーとレーシングスーツが特徴の為、そう呼ばれる。
ジャスパー ジュエルペット
ヂートゥ HUNTER×HUNTER
チーター河村 クレヨンしんちゃん 本名:河村やすお
中西獲座 キリングバイツ
ネコチーター にゃんこ大戦争 災?轣スもたらすセ薙とし囚われ封印された迚ゥ?怪物 規律を破壊する者の前に現セ薙るといわれセ繧 怪物を従える諤ェ??自らも怪物になら閾ェよう注意
ちー子 だめっこどうぶつ
キミチーター(ボクらはヒョウ) むしまるQゴールド ABBAの「Chiquitita」を元にした楽曲


【余談】

歌手の水前寺清子の愛称は「チーター」と勘違いされやすいが正式には「チータ」。由来も本名の林田民子と小柄な体格から作詞家の星野哲朗が「小さなたみちゃん」と呼んだことによるもので動機のチーターは一切関係ない。



追記・修正はチーターの如きスピードでお願いします。

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最終更新:2025年03月09日 18:32

*1 ライオントラも含まれる

*2 このため「スタミナがない」と思われることが多いが、あくまで「全速力で走行した場合」の話であり、持久力に定評のあるヒトでも無酸素運動での距離は400m未満で持続時間も40秒程である。

*3 特に親離れしたばかりの若い個体。

*4 既存の研究でも鹿やインパラが恐怖によるストレスで体温が上昇することがわかっている。

*5 「ドゥーマ」はスワヒリ語で「チーター」の意味