呪胎九相図

登録日:2020/08/12 Wed 12:56:00
更新日:2024/10/03 Thu 20:06:52
所要時間:約 9 分で読めます






壊相は血塗のために

血塗は俺のために

俺は壊相のために生きる



俺たちは三人で一つだ



呪胎九相図(じゅたいくそうず)とは、漫画『呪術廻戦』に登場するアイテム及びキャラクター達である。

●目次

概要

真人が、呪術高専の忌庫*1から強奪した特級呪物「呪胎九相図」1~3番が人間を依代にして受肉した存在。
受肉している(=物質的実体を持っている)ため、呪術に関する素養や能力が無い一般人にも見えるのが特徴。
また共通する固有の特性として、呪力を血液に変換できる特異体質を持つ。これにより呪力が尽きない限り血液も無尽蔵に発生し、失血死もしない。
一方で純粋な呪霊ではないため、反転術式無しに欠損した部位を再生する事は出来ないなどの弱点もある。

受肉後は自分達を復活させた漏瑚達に協力。
しかし受肉の恩義はあるが「人間の代わりに呪いが生きる世界の方が自分達に都合がいい」「受肉の恩義は忘れろ」という恩より理による協力で、彼らを一切信用していない。
高専に保管されている4番以降の兄弟達の開放を目論んでいる。


特級呪物「呪胎九相図」

『史上最悪の術師』『御三家の汚点』として忌み嫌われた、明治時代の呪術師「加茂憲倫」が作成した特級呪物。
呪霊の子を孕む特異体質の女性に対して、憲倫が自分の知的好奇心を満たす為に非道な人体実験を繰り返した結果産み出された。
九度の懐妊と九度の堕胎。それらがどのように行われたのか、彼女の末路はどうなったかなど一切の記録は破棄されている……。

こうして呪胎九相図は呪霊と人間の混血児として生を受けた。
生まれてから150年間、お互いの存在だけを頼りに封印を保ってきたため兄弟の絆は強固で、兄弟たちがお互いの生きる理由である。
ちなみに作者のインタビューによれば特級相当は1〜3番だけで、後の6体は全て無害な死骸の状態とのこと。


人物


脹相(ちょうそう)


壊相!! 血塗!! 見ていろ!!

これがオマエ達のお兄ちゃんだ!!!


「呪胎九相図」1番が受肉し生まれた九相図3兄弟の長男。
厚手の着物を着込んでおり露出は少なく、3兄弟の中では最もビジュアルが人間に近く風貌もイケメン
目の下に横一文字に走る黒い痣があり、術式や感情の変化によって形状が変容するのが特徴。

冷静沈着な性格で、ダウナー気味の陰気な表情を浮かべている。
しかしその中身は、「俺たちは三人で一つ」という考え方の元、弟たちの存在を慈しんでおり弟たちの存在を何より大切に考えているお兄ちゃん。
戦闘スタイルは赤血操術(せっけつそうじゅつ)を使いこなすオールラウンダー。
詳しくは個別項目を参照。

劇中では弟二人を殺害した虎杖釘崎に対して強烈な復讐心を抱き報復を狙っており、その後は渋谷事変に乗じて高専に保管されている他の呪胎九相図の兄弟達の確保と奪取を目論む。



壊相(えそう)


警告です 私の背中を見たら殺しますよ

嗜好・興味:弟
嫌いなもの:背中を見られること、加茂憲倫
CV:檜山修之

「呪胎九相図」2番が受肉し生まれた九相図3兄弟の次男。
モヒカンで筋骨隆々な厳つい大男で、褐色の肌と白目の部分が黒い異様な目を持つ。

しかし最大の特徴は所作が一々女っぽい上に女性物のボディハーネス以外の衣服を殆ど身に着けていない露出狂の変態みたいなファッションをしていること。
具体的には裸体に蝶ネクタイと女性物のボディハーネス、Tバックを着用しただけ。
おまけに登場すると背景に何故か薔薇のエフェクト「ファ~オ♡」という謎の効果音が掛かる。
しかし背中に絶えず血涙を流す悍しくも不気味な第二の貌があり、そこから発する膿んだ臭いと相まって背中そのものが彼最大のコンプレックス。
そのコンプレックスから常に背中を見られないように立ち回る独特の癖がある。

必要性の無い無駄な殺しは行わず、術師に目撃されても交戦の要を認めなければ見逃すことを宣言するなど、見かけによらず性格は冷静で意外にも紳士的。
悲惨な生い立ちにも特に思うことや母親の記憶は無く、また人間や呪術師に特段恨みがある訳でもない。
だが脹相と同じように兄弟への愛情は深く、「兄弟のため、兄弟が望むのであれば自分はそれに殉ずる」を信条に掲げ兄弟の命を第一に考える。
コンプレックスの背中を見られると一瞬でキレて凄まじい殺意を滾らせ、背中の貌を見た者を殺しにかかる激情家の面は長兄譲り。
なおブチキレると「バチ殺し」という良く分からないフレーズを好むが、それがどのような意味なのかは3兄弟にしか分からない。
露出狂じみた変態ファッションの理由は「ムレるから」

戦闘では肉弾戦よりも自身の術式を駆使した遠距離攻撃を得意とする。
また彼の血は強酸のように物質を溶解させる性質を備えている。そのため攻撃に使われた彼の血に命中するだけで体内に血が侵入する。

名前の由来は後述する九相図の2枚目「壊相」。
死体の腐敗が進み表皮が破れ、死体が壊れ始める様を描いた絵を指す。
また、髪型に関しては「背中を見られたくない」という共通点から『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する乙雅三の影響を指摘する声もある。
なおあまりに露出度が高いファッションがTPOに引っ掛かったのか、アニメではタイツ風のズボンが履かされ大幅に肌の露出度が減少した。


血塗(けちず)


なんだぁ? 強いなぁ…楽しくないなぁ

嗜好・興味:兄弟
嫌いなもの:加茂憲倫
CV:山口勝平

「呪胎九相図」3番が受肉し生まれた九相図3兄弟の三男。*2
兄二人とは違い分かり易い人型ではなく、ズングリした胴体からはやや細長い手足が生え、青緑色の肌に顔の下にある大きな2つ目の口がある怪物じみた不気味な相貌。
のような四つん這いで機敏かつ身軽に動き回る。
ただし本来の顔は大きな口の方であり、額にある人面は自身の呪いとしての格の低さから生じた素体の名残である。

一人称は「俺」
不気味な怪物然とした見かけによらずどこか間の抜けた言動が特徴で、楽しいことが何より好きな享楽的な性格。
兄達を「兄者」と呼んで心から慕い、コミカルな所作があるなど愛嬌がある。

パワーや格闘戦能力はそこまで高い訳ではないが、最短ルートで先回りしたとはいえ全力疾走で撤退した虎杖に息を切らすことなく追いついて追撃できるだけの機動力を持つ。
武器は胸にある第2の口から吐く「大量の血液」
単体では目晦まし程度にしか使えないが、血塗の吐く血液自体が壊相の「蝕爛腐術」の触媒となってしまうため、最終的にはに等しい性質を持つ。
後に脹相の血が毒性を帯びたものであったことが判明したことなどを踏まえると、虎杖が浴びたから平気だっただけで血塗が吐く血にも毒性があったと考えられる。それでも壊相ほどの毒性は持ち得ていない。
アニメでは岩盤が煙を上げて溶解している描写が追加されるなど、しっかり毒性があることが強調された。
また劇中では使用しなかったが、設定上は血塗も「朽」を使用可能と、総じて壊相とのコンビネーションで真価を発揮するタイプ。

名前の由来は九相図の3枚目「血塗相」。
死体の腐敗による損壊が更に進行し、融解した脂肪や体液が体外に滲み出す様を描いた絵を指す。


蝕爛腐術(しょくらんふじゅつ)


バチ 殺 し !!


壊相と血塗の操る生得術式。
自身の血液に呪力を込めて操り、傷口や粘膜から血が侵入することで発動するタイプの術。
壊相によれば結果が有毒なだけで血そのものが毒なのではなく、あくまでも本質は「分解」
血が侵入した箇所から相手の肉体の分解を開始し、肉体を腐らせ毒化させることで溶かしてしまう。*3

加茂や脹相と同じく血を操る術式である事から、加茂家相伝の術式の1つ、あるいはその発展系と思われる。
釘崎曰く「当たれば勝ちの術式」
実際凶悪だが、この術と釘崎の術式、何より虎杖の特性と相性が致命的に悪かったことが敗因に繋がる。

  • 極ノ番(ごくのばん)翅王(しおう)
蝕爛腐術奥義。
背中に壊相の血液で象られた大きな蝶の翅を構築し、そこから血液を矢或いは追尾レーザーのように無数に飛ばして相手を攻撃する。
翅から撃ち出される無数の血液は高速で標的を追尾しながら襲い掛かり、触れたものを腐食・溶解させる。
発動中は「朽」と併用できないのが最大の欠点で、壊相自身も「死ぬほど痛むが全身に浴びない限りは死なない」と語るなど朽と比べて致死性は少し低め。
ただ浴びただけでも体が激痛に苛まれる代物だが、そこから後述の「朽」に繋げるのが本領。

なお後述のように「朽」自体は血塗も使用できるはずだが、「翅王」発動中は血塗も使用不能になるのかは不明。
もし二人掛かりなら併用できたとすれば、「朽」で動きを止めて「翅王」で攻撃しつつ追加の血液を送り込む、非常に極悪な連携攻撃になったものと思われる。


  • (きゅう)
蝕爛腐術の本領。
傷口や粘膜から壊相もしくは血塗のどちらかの血が入り込み、二人のどちらかが発動することで作用する特殊な術。
血液の侵入箇所に薔薇の花の紋様が浮かび上がり腐蝕が開始。毒と死ぬほどの激痛で敵を蝕んでいく。
翅王や血塗の吐く血が命中すればこの術に繋がる為、回避するには2人の攻撃に当たってはならない厄介さを持つ。
手順を踏まえる必要があるが、発動すれば一度に離れた場所にいる複数人を術式で蝕み、術式開示を駆使すれば10〜15分以内で敵を死に至らしめる。
並の術師なら毒と激痛で動くことすらままならず、壊相も「朝には骨しか残らない」と豪語する切り札。


活躍

起首雷同

初登場は起首雷同編。
埼玉県自殺の名所「八十八橋」に眠る両面宿儺の指の回収の為、壊相と血塗の2人が出撃する。

八十八橋にて虎杖と釘崎と対峙し、一時は壊相の蝕爛腐術で追い詰めることに成功するが、釘崎の捨て身の戦法の前に形勢が逆転。
更に虎杖に毒への極めて高い耐性があったことも裏目となって追い詰められていき、
激闘の末に黒閃と釘崎の芻霊呪法を立て続けに受けて血塗は戦死。
唯一致命傷を負いながらも行動可能だった壊相は逃亡を選ぶが*4釘崎の術式を読み違えたことが決定打となり逃亡も敵わず虎杖の渾身の一撃を受けて死亡した。

こうして一人残された脹相は、兄弟の仇である虎杖や釘崎に激しい憎悪を滾らせるようになるが……。
その後の活動は脹相の項目を参照。


余談

元ネタは仏教の絵画である「九相図」
屋外にうち捨てられた死体が腐り朽ちていく経過を九段階に分けて描いた代物で、当然ながらかなりグロテスク。検索したい場合は覚悟すること。
死体の変貌を見ることで修行僧の悟りの妨げとなる煩悩を払い、現世の肉体を不浄なもの・無常なものと知るための修行に用いられたという。
元ネタと同じく、本作においての九相図も番号が進むごとに人間離れした姿になる傾向がある。4番以降の名前も元ネタに準じて、上から順に膿爛(のうらん)、青瘀(しょうお)、噉相(たんそう)、散相(さんそう)、骨相(こっそう)、焼相(しょうそう)である。



追記・修正は、兄弟仲良くよろしくお願いします。


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最終更新:2024年10月03日 20:06

*1 呪物の保管庫

*2 劇中描写から受肉自体は彼が最初の模様。元になった肉体は末期まで呪霊を視認できなかった、「マジで才能ない」一般人だった。

*3 少々ややこしいが、劇中の描写から「分解作用を持つ血液が術式によって毒性も得る」という事らしい。

*4 一旦傷を癒してから確実に弟の仇を討つ為