一撃必殺!居合いドロー

登録日:2021/02/26 Fri 18:37:53
更新日:2021/03/06 Sat 10:30:23
所要時間:約 9 分で読めます





アニメ「遊戯王デュエルモンスターズGX」に登場したカード。

登場したのは第91話「ワンターンキルの死神」。

一撃必殺!居合いドロー
通常魔法
フィールド上のカードの合計枚数だけ自分デッキからカードを墓地へ送る。
その後カードを1枚ドローする。
そのカードが「一撃必殺!居合いドロー」だった場合、そのカードを墓地へ送り、フィールド上のカードを全て破壊する。
破壊して墓地に送ったカード1枚につき相手プレイヤーは1000ポイントのダメージを受ける。
このカードが発動した時、魔法、罠、モンスターの効果で破壊、
及びこのカードの効果を無効化することはできない。

フィールドのカードを全て破壊し大ダメージという厨っぽさロマンを感じるカード。
アニメ版の世界のルールでは初期ライフポイントは4000ポイントなので、自分と相手合わせて(発動した「居合いドロー」自体は除く)4枚以上のカードがフィールドに存在していれば勝利できるということになる。
しかし、そのためにはフィールドのカードの枚数分デッキトップから墓地に送った後で同名カードを引き当てなければならない。考えずともこれが簡単なことではないことは分かるだろう。


橘一角


くらえ!!ワンターンキルゥ!!!

CV:中田和宏

デュエルアカデミアにて開催された大会「ジェネックス」に参加した「死神デュエリスト」の異名を持つデュエルアカデミアノース校の生徒。
死神に憑りつかれて以降は目の下に深いクマができた人相の悪い風貌。
ぶっきらぼうな声の演技もあってどこか声のかけにくさを感じさせる人物。

だが、元々は効率や勝利よりも「夢とロマンに溢れたデッキを皆に披露したい」というデッキへの愛情をメインにデュエルに取り組んでいたファンデッキガチ勢。
一角もこのカードにロマンを感じデッキに採用、ワンターンキルコンボを成功させるべく工夫を凝らしてデッキを構築していた*1のだが、
いくら工夫や努力を重ねても引きに恵まれず、周りからも小馬鹿にされ苦悩する日々を送っていた*2

そんな彼はとうとうノース校に封印されていた「死神のカード」と契約し、自らの魂を犠牲にドローパワーを強化するという禁じ手に出てしまう。そうして死神のドローパワーの宿った右手で1ターンキルを確実に成功させ、ジェネックスを荒らし回っていた。

その最中、死神デュエリストの噂を聞きつけた十代達が現れる。主人公補正「天然ドローパワー」を持つ十代の存在を知っていた一角は嫉妬心から激昂し、十代にデュエルを挑む。

死神の力により後攻1ターン目にして早くも「居合いドロー」を成功させる一角だったが、「破壊して墓地に送ったカードに応じてダメージ」を与える効果であった故に破壊されても墓地へ送られないカード「ヒーロー・メダル」*3によって1ターンキルを回避されてしまった。
さらに返しのターンでは十代が持ち前の天然ドローパワーで「融合」を引き当て、すぐさま反撃を許してしまう。これを見た一角は

いいよなぁ・・・ドローに恵まれてるやつはよ・・・

と恨み言を零す。
デュエルを見ていた万丈目からは死神と契約し、魂を犠牲にしてまでジェネックスで勝ちたいのかと非難される。

だが、対戦していた十代は非難せず、むしろ一角が「魂を賭けるほど自分のデッキを愛している」こと、「勝利が欲しかったのはデッキを認めてほしかったから」だということ、そして「対戦相手をワクワクさせたくてデッキを構築していた」ことを見抜く。
そして十代は「お前ほどデッキを愛しているなら、デッキは応えてくれる」と言葉を贈り、それにより一角は自分がどんな想いでデッキを構築していたのかを思い出す。

そうだ・・・俺はただ、夢に溢れたデッキを作ることに真剣だったんだ・・・
この、愛するデッキをみんなに見せたかっただけなんだ!

十代の言葉を受け、自分のデッキが応えてくれることを信じると決めた一角は首から下げていた死神のカードを引きちぎり、さらにデュエルディスクを付け替えて死神の力が宿っていない左手でドロー、見事「居合いドロー」を引き当てることに成功した。

アリガトウ、オレノデッキ!

不器用な人間の、だが確かな愛情を感じるシーンである。


ファンデッカーのあり方やその苦悩、デッキとの絆・向き合い方を描いたこの回はGXの人気回の一つであり、このカードもOCG化を望む声は多かったが、単発のゲストキャラの使用カード故に長らくそれは叶わなかった。
しかし、PSPゲーム「TAG FORCE」シリーズでは一部のアニメオリジナルカードが使用可能となっており、「一撃必殺!居合いドロー」も「TAG FORCE 2」から登場した。
こちらでは初期ライフがOCGと同じく8000ポイントのため1ターンキルの難易度はアニメ以上に高かったが、墓地を肥やしてドローできるというだけでも十分に強力であり、専らそちら目的で利用されることが多かった。その性能をスタッフもしっかり危惧していたようで、TF版のこのカードには発動時に手札1枚を捨てるコストがつけられた。

OCG化


アニメでの登場から12年、「COLLECTORS PACK 2018」にて遂にファン待望のOCG化が実現した。

一撃必殺!居合いドロー
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札を1枚捨てて発動できる。
相手フィールドのカードの数だけ自分のデッキの上からカードを墓地へ送り、
その後自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認する。
それが「一撃必殺!居合いドロー」だった場合、
それを墓地へ送り、フィールドのカードを全て破壊する。
その後、この効果で破壊され墓地へ送られたカードの数×2000ダメージを相手に与える。
違った場合、自分はこの効果でデッキから墓地へ送ったカードの数だけ、
自分の墓地のカードを選んでデッキに戻す。

ダメージがOCGの初期ライフに合わせて倍化したため、アニメと同様に1ターンキルも狙いやすくなった。
だがそれに加えて墓地肥やし+ドロ―という性能がやはり危険視されたか、TF版同様に手札コストが付けられた。
また、「居合いドロー」のドローに失敗した場合、墓地のカードをデッキに戻す効果が追加された。ただし、こちらは戻すカードが「居合いドロー」の効果で墓地に送ったカードである必要はなく、墓地に置いたほうがいいカードとデッキに戻したほうがいいカードを選択できるのでこれはこれで利用価値がある。
なお、トークンやペンデュラムモンスターは破壊されても墓地へ送られないため、デッキトップからの墓地送り枚数にはカウントされるがダメージにはカウントされない(アニメでの「ヒーロー・メダル」と同様)。効果破壊に耐性を持つモンスターもやはりダメージ源の方にはカウントされない。


運用方法

当たり前だが、考えなしに発動しても成功率は極めて低い。
「デッキの一番上のカード」を操作するカードはそれなりにあるが、このカードの場合は最初にデッキトップのカードを墓地に送るため、1ターンキルを狙うなら「デッキの上から5枚目以降のカードを居合ドローにするコンボ」が必要となる。

ただ、あれから12年の間にカードプールも変化し、ディフォーマー森羅など、デッキトップ操作を戦術に組み込めるデッキも登場した。

また、この手のロマンカードには珍しく、外れてもドローしたカードを捨てるなどのリスクはなく、負うディスアドバンテージは1枚ぶん。
そのため「相手フィールドのカードの数まで、デッキトップのカードと墓地のカードを入れ替える」カードとみなすこともできる。
ライトロードならめくれた魔法を回収しつつモンスターを墓地に送ったり、ヴォルカニックならバレットやバックショットを回収しつつ、マガジンが落ちればラッキー、みたいな運用も可能。
この場合、極端な場合はデッキに1枚しかなくても意味のあるカードになる。夢とロマンェ……

ただし墓地肥やしとして見た場合は、枚数は手札コストの1枚しか増えない点、相手依存で不安定な点は注意が必要。

このように、まずまずの確率で1ターンキルを成功させることもでき、失敗しても墓地操作として利用できる等、案外悪くない評価を受けていた。
その他、「ゴブリンのやりくり上手」等、デッキボトムを操作するカードと組み合わせ、デッキを掘り進めまくって確実に「居合いドロー」をドローするという戦法も考案された。
総合すると1キル特価カードにありがちな「1キルしかできなくて嫌われる」要素が意外と少なく、
むしろ1キルも狙える面白いコンボカードでありながら、原作再現もできる良カードになっている。

そうしてリアル橘一角らの研究の元、ロマンカードとして愛されていた。


日本では。



未界域との遭遇

OCGでの「一撃必殺!居合いドロー」の登場から少し後のことである。
海外の遊戯王TCGでは「Danger!」というシリーズカードが登場していた。
後に日本で「未界域」と名付けられたこのカード群はデッキ圧縮・墓地肥やし・大量特殊召喚に優れた凶悪なデッキとして環境を席巻した。
そしてこの「未界域」のデッキ圧縮力と、デッキボトムを操作できる「鎖龍蛇-スカルデット」との組み合わせ(加えて日本版OCGとのカードプールやリミットレギュレーションの違い)により狙ってドローすることが容易となり、「一撃必殺!居合いドロー」は文字通りの一撃必殺の強カードとして猛威を振るうようになってしまったのである。
その結果、なんと2019年1月に海外のリミットレギュレーションで制限カード入りをしてしまった。
このカードでダメージを与えるにはほぼ必然的に2枚以上デッキに投入することが求められるため、事実上1ターンキルが封じられたことになる。
何らかの方法で発動後チェーンして「居合いドロー」をデッキに戻してやれば一応可能にはなるが、狙ってやるのは極めて難しい。

後に「未界域」は日本でもOCG化されたが、このコンボを警戒されたのか*6、来日直後に「鎖龍蛇-スカルデット」が制限カードに指定された。他にも「未界域」と相性がいい「ソウル・チャージ」が禁止カードに指定されている。
海外とはカードプールが違うためあちらほど「未界域」が猛威を振るうことはなく、コンボ自体は危険視されつつもロマンカードの部類に収まっている。




追記・修正は死神の手を借りることなく自力でワンターンキルを達成してからお願いします。
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最終更新:2021年03月06日 10:30

*1 彼のデッキにはデッキトップのカードの順を並び替えられる「大王目玉」や、「居合いドロー」を再利用するための「魔法再生」や「デスグレムリン」「現世と冥界の逆転」といったカードが投入され、彼なりの工夫がされていることが確認できる。

*2 作中の描写を見るに、ファンデッキ制作時にありがちな「あれもこれも入れたくなってコンセプトが迷走する」病に罹っていた様子

*3 破壊された後、墓地へ送られずデッキに戻り、その後ドローする効果を持つ罠カード。なお、このカードはOCG版では墓地に送られた後でデッキに戻る効果に変更された

*4 魔法カードの発動に対して発動し、自分フィールドのカードを全て除外する。その後カードを1枚ドローし、除外したカードの中にドローしたカードと同じ種類(モンスター・魔法・罠)のものが存在していればその中から1枚をフィールドに戻すことができる効果

*5 ただし、OCGのルールだとこの場合、チェーン処理が完了するまで「緊急回避」はフィールドに残ってしまい、「居合いドロー」の効果で破壊されそのダメージで十代は敗北してしまう

*6 「居合いドロー」がなくともそもそも相性自体はいい