ツインパクト(デュエル・マスターズ)

登録日:2021/03/11 Thu 23:22:55
更新日:2024/06/22 Sat 15:52:21
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クリーチャーと呪文。

異なる双つの力が極まり生まれた双極の技、それがツインパクトカード!

2つの力を使いこなせ!



ツインパクトとは、デュエル・マスターズのカードの一種。

概要

双極篇から登場した新たなカードであり、そして双極篇の看板となるギミック。ゲームのテキスト上では「ツインパクトカード」と呼称される。

このカードはどういう存在なのかと言うと、1枚のカードに複数の組み合わせを持ったカード。
時には呪文、時にはクリーチャーやもう1つの呪文として1枚のカードをそれぞれ別のカードとして使い分けられる優秀な存在である。

  • ツインパクトカードの例
ガンバG P 無色[ジョーカーズ] (6)
クリーチャー:ジョーカーズ 6000
W・ブレイカー
このクリーチャーは、バトルゾーンに出たターンの間、相手プレイヤーを攻撃できる。
ガガン・ガン・ガガン P 無色[ジョーカーズ] (2)
呪文
ジョーカーズを1枚、自分の墓地からマナゾーンに置く。

エターナル・ブレイン R 水文明 (2)
呪文
自分の山札の上から2枚を見て、好きな順序で戻す。
この呪文を唱えた後、墓地に置くかわりに手札に戻す。
ブレイン珊瑚の仙樹 R 水文明 (8)
呪文
カードを3枚引く。その後、自分の手札の枚数以下のコストを持つ水のカードを、自分の手札から1枚選んでもよい。そうしたら、そのカードをコストを支払わずに使う。

イラスト的にはフルフレームのクリーチャーor呪文が、下半分を斜めに横切る形で呪文のイラストが挿入されるという形式。
クリーチャーと呪文の組み合わせの場合、「上半分でクリーチャーの決めポーズ→下半分で呪文を必殺技のように発動するクリーチャー」という、漫画や格闘ゲームのカットインのような構図が見られる。
このようなデザインの都合から能力欄が従来のカードよりも小さいため、テキストを収納する都合からツインパクトカードは能力が単純になりやすいという影響も出ている。

スマッシュ・バースト輪廻∞など、ツインパクトカードに関係するキーワード能力も存在する。
これらの能力はバトルゾーンのクリーチャーとして存在するツインパクトカードの呪文面も利用可能にする。

多色ツインパクト

青銅のバンビシカット R 自然文明 (2)
クリーチャー:ドリームメイト/ハンター 1000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手とガチンコ・ジャッジする。自分が勝ったら、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
「我が力、しかと見よ!」 R 火文明 (9)
呪文
S・トリガー
相手のパワー12000以下のクリーチャーを1体破壊する。
相手とガチンコ・ジャッジをする。自分が勝ったら、カードを1枚引く。

偽りの名 スネーク VR 水/闇/自然文明 (8)
クリーチャー:アンノウン 11000
W・ブレイカー
自分のクリーチャーが出た時、カードを1枚引き、その後、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の墓地のカードをシャッフルし、山札の下に置く。
アンノウン・プログラム VR 闇文明 (4)
呪文
自分のクリーチャーを1体破壊し、それよりコストが1大きいクリーチャーを1体、自分の墓地から出す。

音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ SR 光/水文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン/ドレミ団/革命軍 7000
革命チェンジ:光または水のドラゴン
W・ブレイカー
このクリーチャーが出た時、次の相手のターンの終わりまで、相手は呪文を唱えられない。
「未来から来る、だからミラクル」 SR 光/水文明 (6)
呪文
カードを3枚引く。その後、コスト5以下の呪文を1枚、自分の手札からコストを支払わずに唱えてもよい。

両面とも単色だが異なる文明or片面が多色カードor両面とも多色カードのツインパクトカードも存在する。
こちらはDMRP-08「双極篇 第4弾 超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」から登場した。

マナゾーンに存在する場合などのカード単体としては多色カードとして認識されるため、マナに置く際のタップインのルールや発生する文明なども多色のルールに準する。
しかし、クリーチャーや呪文として使う際には使用する面の文明しか参照されないため、コストを支払う際には利用する面の文明のマナだけあれば良い扱いになる。
単色カードの使用をロックする能力に直面した場合は、残念な事に多色カードとしては扱えないのでロックはすり抜けられない。

多色ツインパクトの登場以降はツインパクトカードの能力欄の狭さの都合からなのか、多色カードのタップインのテキストがマナシンボルに簡潔な文章で記載されるようになった。
この変更で多色のタップインが「クリーチャーの能力」という扱いではなくなり、これまでは準バニラとして扱われていた多色クリーチャーがバニラ扱いに変更されるという事態に繋がったとされる。
多色ツインパクトの存在は地味にデュエマのルールの上でも予想外の大きな裁定変更をもたらしたのである。

ツインパクト化

ボルシャック・ドラゴン P 火文明 (6)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン 6000+
W・ブレイカー
攻撃中、自分の墓地にある火のカード1枚につき、このクリーチャーのパワーを+1000する。
決闘者・チャージャー P 火文明 (3)
呪文
自分の山札の上から3枚を表向きにする。その中から、《ボルシャック》と名前にあるカードをすべて手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。
チャージャー

遣宮使 ネオンクス VR 水文明 (8)
クリーチャー:ムートピア/サイバー・コマンド 9000
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、あるいは名前に《ブレイン》とある呪文を唱えた時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置く。それが呪文なら、コストを支払わずに唱えてもよい。
ネオ・ブレイン VR 水文明 (4)
呪文
S・トリガー
カードを2枚引く。

既存のカードをツインパクトの一面に導入し、新たなツインパクトカードとしてリメイクすることを「ツインパクト化」と呼ぶ。
上記は《ボルシャック・ドラゴン》や《ネオ・ブレイン》がツインパクト化した一例である。
ツインパクトの性質を得たことで、元のカードでは考えにくかった動きやデッキへの投入が可能となる。

元のカードは当然の話ではあるのだが、ツインパクト化された時点で基本的には下位互換に成り下がる。
ただし、ツインパクトになったが故のデメリットも発生するので、元のカードが完全下位互換と化したとは言い切れる訳ではない。
それでもデメリットよりもメリットの方がずっと大きいため、決定的に使い分けられる差別化となっているかと言われると微妙だが…。
ツインパクト化したカードとその元となったカードは別名のカードとして扱われるため、墳墓避けや8枚体制などの共存も可能ではある。

ツインパクト化をメインコンセプトにした特別拡張パックとして、DMEX-04「夢の最&強!!ツインパクト超No.1パック」が存在する。
DMEX-04ではファンの要望に応じる形で、多くの有名な既存カードがツインパクト化を果たした。
また、DM22-EX1「黄金戦略!! デュエキングMAX2022」ではウェーブストライカーを始めとした絶版カードを多数ツインパクト化。
この様に、ツインパクト化は過去のカードを再録しつつ、現環境でも使用できるようにするメリットも有している。

ちなみに『デュエル・マスターズ プレイス』では、TCGにおいてツインパクトだったカードが一面のみ独立する形で輸入されるというツインパクト化とは真逆の現象が起きている。

メリット

実質2枚のカードが1枚に詰め込まれたツインパクトは、従来のカードには存在しないメリットがある。

両方のカードタイプを参照できる

墓地やマナゾーンではクリーチャーとしても呪文としても参照の対象にできるため、墓地回収やマナ回収とも非常に相性が良い。
呪文を回収するカードでクリーチャーを回収、その逆も可能なので、ツインパクトが相手ならば回収できるカードタイプの範囲が疑似的に広がる。
墓地やマナゾーンのカードの枚数を参照にする際にも、呪文として使ったツインパクトを墓地ではクリーチャーとしてカウントするといったことが可能。以下、その相性の良い一例。

自分の墓地のクリーチャーの数が6体以上だとG・ゼロで召喚が出来るカード。
低コストのツインパクト呪文を唱えれば、実質的に呪文を唱えただけでクリーチャーを墓地に置いたことになるので条件達成のカウントに使いやすい。

召喚コストを墓地の呪文の数だけ下げ、アタックトリガーのパワー低下能力が墓地の呪文の数だけカウントされるクリーチャー。
こちらもツインパクトのクリーチャーが墓地に置かれれば、実質的に呪文が墓地に置かれたことになるのでフェルナンドVII世の呪文参照のサポートになる。

コストの参照を切り替えられる

カードのマナコストを参照にする能力が起動した場合、能力を使った側が2つのコストのどちらを参照するか決められる。*1
《ロック“SPK”スピーカー》などのカードのコストの合計数を用いるカードに関しては、合計数を上手く調整することが可能。

地味にガチンコ・ジャッジにも強く、勝負時に山札からツインパクトがめくれた場合はめくった側が使うマナコストを決められる。
これはジャッジ時において実質2枚のカードをめくったのと同意義であり、デッキ内のツインパクトの数が多ければ多いほど勝負に勝てる可能性は高くなる。
ガチンコ・ジャッジを使うデッキの安定性を上げる補助にもなるし、逆にガチンコ・ジャッジを使うデッキのキラーになるとも言える。

極端に偏ったデッキを構築しやすい

デュエマでは「クリーチャーカードしか投入しない」フルクリーチャーデッキなどの偏った構成のデッキも開発されてきた。
超神星ビッグバン・アナスタシス》の大量の踏み倒し展開を考慮した40枚フルクリーチャーデッキの【アナスタシスフルクリーチャー】や、クリーチャーのマナコストを統一させることで真価を発揮する《ガチャンコ ガチロボ》の【ガチロボ】などが有名だろう。
しかし、このようなデッキは状況に応じた臨機応変な挙動をしにくかったり、特定のロックカードを出されると詰みやすいなどの欠点があった。

このようなデッキタイプもツインパクトによって「呪文を投入したフルクリーチャーデッキ」などの矛盾した存在が成立するようになった。
上述した【アナスタシスフルクリーチャー】でも、ツインパクトの登場以降は呪文を使って相手を妨害する戦略が行えるようになった。
「クリーチャーの召喚をロックするカード」を使われると以前は詰んでいた状況でも、除去呪文持ちのツインパクトを使えば打開可能に。

デメリット

一見すると通常のクリーチャーや呪文に比べて優位に働く部分が多いようにも思えるツインパクト。
しかし、ツインパクトの優れた部分は「能力の参照に出来る範囲が広い」という点が基本である。
この「参照にできる範囲が広い」という部分は、状況次第では「相手の能力の参照に出来る範囲が広い」という弱点に裏返るのだ。
自分のゾーンでクリーチャーとしても呪文としても参照できるという事は、自分のゾーンを相手が参照する際には都合良く使われてしまう。

まずは特定のカードタイプ、文明、コストを参照にするハンデスに弱い。ツインパクトの最大の弱点とも言われる。
相手が参照にするカードタイプやコストを選べるため、例えば呪文限定のハンデスを行うカードでも実質的にクリーチャーを叩き落とせる。
特に呪文限定のピーピングハンデスはコストが軽いカードが多く、ツインパクト登場以降は市場価格が上昇した。
弱点と言っても良いのか微妙な所だが、デュエル・マスターズには数は多くないものの時たまクリーチャーではないカード呪文ではないカードを指定するカードが登場するが、ツインパクトカードはクリーチャーでもあり呪文でもあるカードなため、どちらの指定を満たす事ができない。

相手の墓地やマナゾーンの数を参照にするカード、墓地やマナゾーンの特定のカードタイプをロックするカードなどにも弱い。以下はその天敵となる例。

  • 黒龍王ダーク・ジオス
相手の墓地のクリーチャーの数を参照にしてG・ゼロによる踏み倒しを可能とするクリーチャー。
相手がツインパクトカードで呪文を使用して墓地に置いたカードをクリーチャー扱いでカウントして条件の達成の補助に使える。
ツインパクトの呪文面が低コスト呪文ということで序盤から呪文を唱えまくった場合、カウンター的にダークジオスを高速で召喚される危険がある。

誰もマナゾーンの呪文をアンタップ出来なくなってしまうという敵味方を問わないロック能力を持つクリーチャー。
マナゾーンに置かれたツインパクトカードを呪文カードとしてカウントしてロックすることが可能である。
ツインパクトを多く投入したデッキがこのカードに遭遇すると展開速度の大幅な低下や心理的悪影響を避けられなくなり、状況次第では詰みのような状態に追い込まれる。

評価

臨機応変なプレイングが可能なツインパクトカードの存在は、ゲーム性に大きな変革を与えたことでユーザーから評価された。
片面がそれぞれ貧弱なカードでも、使い分けられるので総合的に見れば強くなる」というカードも登場し、「インフレをしながらもインフレの抑止に繋がる」ことを期待する声もあった。
1枚のカードで2枚のイラストを詰め込んだことで生まれた独特なイラストの演出なども好評を得ている。
双極篇の次シリーズである超天篇でもツインパクトは続投となり、以降も新規ツインパクトが生み出された。

既存カードのツインパクト化に関しても、人気こそ高いが既に使われていなかったカードがツインパクト化で強化されたという点が古参へのファンサービスとしても評価を得た。
「カードパワーが時代遅れのカードでも、2枚組み合わせることで実用的なカードをデザインできる」という例でもあり、ツインパクトの性質の強みを活かしたとも言える。

ただし、ツインパクト化によって既に環境で使われていなかったカードが救済されたという一面があった一方、元々積極的に使用されていた汎用性の高い既存のカードも積極的にツインパクト化された。
これによって有能だったカードでも一瞬にして下位互換に追い込まれたことは、一部から疑問視する意見もある。
新規カードが登場から間もなくすぐにツインパクト化した例も存在し、流石にインフレを加速させすぎなのではないかという声も出た。
ツインパクト化したカードや一部の汎用性の高いカードは高レアに割り振られたことから、デッキを構築する費用の負担も大きくなった。

ツインパクトによるインフレの加速や出費の増加は、双極篇の次シリーズである超天篇がデュエマ史上最凶レベルのインフレ環境に突入する流れの前兆だったと見る考察もある。
原点回帰を掲げた十王篇では通常エキスパンションではツインパクトは登場していない(特別拡張パックでは登場している)が、これはインフレの過激化の助長やルールが複雑化しやすいカードデザインが十王篇の路線に合わなかったからという説が出ている。
続く王来篇~ゴッド・オブ・アビスでも新ギミックのスター進化や新たなカードタイプであるタマシードプッシュもあってかメインセットでの収録はなく、特殊セットで新規カードが収録されるという形だったが、アビス・レボリューションで久々にメインセットに復活。

この頃になると開発も大分作り慣れてきたのか、順当なインフレこそしているものの双極篇~超天篇で見られたあからさまなパワーカードを高レアで収録するという事は少なくなっており、低レアカードは序盤~中盤を固めて終盤も腐りはしないが強いとも言えないぐらいレベルで、高レアカードは種類自体を少なめにし、効果も強力ではあるが汎用性が低めでデッキを選ぶためぶっ壊れとは言えず、専用デッキでも複数枚は必要ないぐらいといった調整がされている。
封入率の低いスーパーレアな上に使うなら4枚必須だったためすさまじく高騰した《支配の精霊ペルフェクト/ギャラクシー・チャージャー》なんかも出たけど。
総じて双極篇~超天篇の反省が上手く活きており、プレイヤーからは好評な模様。


余談

  • ツインパクトはデュエマの兄貴分こと『Magic the Gathering』の分割カードを参考にしたのではないかと推測されている。
    そちらはカードを上下に分割したというレイアウトこそ共通しているが、そちらはシステム上両側ともデュエマにおける「呪文」に相当するタイプのカードしか存在できなかったの対して、こちらはクリーチャーを抱き合わせにしている点で一歩進んでいると言える。*2
    ただし「異なるカードタイプを併せ持つカード」という存在自体は、MTGのみならず競合他社のTCGでも多く見られるカードタイプで珍しくもない。詳しくはカードの種類(TCG)を参照。



追記・修正はツインパクトの能力を発現させてからお願いします。

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最終更新:2024年06月22日 15:52

*1 ただし、これはあくまで「カードの」コストを参照する効果の場合のみ。例えば《インフェルノ・サイン》のような「コスト○以下のクリーチャーを〜」となっているようなカードや《龍素知新》のように「コスト○以下の呪文を〜」となっているものでは、該当する面のコストが条件を満たしていないといけない

*2 なお、MTG側には後によりツインパクトに仕様が近いモードを持つ両面カードが登場している。