ウェーブストライカー(デュエル・マスターズ)

登録日:2015/11/24 (火) 02:01:16
更新日:2023/04/27 Thu 12:36:32
所要時間:約 26 分で読めます







目指した場所が天国だとは限らない。




ウェーブストライカーとは、TCGデュエル・マスターズ」のキーワード能力である。


解説


DM-11からDM-13のみで登場した常在型能力。どういう能力なのかというと

バトルゾーンにウェーブストライカーを持つクリーチャーが他に2体以上いる限り、このクリーチャーはWS(ウェーブストライカーアイコン)以下の能力を得る。

という効果。

要は、バトルゾーンに同じウェーブストライカー(以下WS)が一定数揃えば、能力を発動させることが可能となる。
なお、テキストの都合上相手のバトルゾーンのWSも含ませることも可能。
後述するが、これを利用できるカードもいくつか存在する。

またテキストにもあるように、WS持ちはカードの左枠に独特なデザインのアイコンが記載されている。
例えるならば、サバイバーや進化クリーチャーのアイコンをイメージしてもらえると分かりやすい。
サバイバーのように、カードイラスト内のクリーチャーにもこのアイコンが描かれている。

登場した期間は長くないが、ギミックの面白さで数多いファンを持つのがこの能力。

WS持ちは、一見普通のクリーチャーだが、能力が起動すると爆発的な強さになるというギャップを持っている。
WSが持つその驚異的なスペックの上昇力に魅力されたデュエリストは多い。
聖拳編時期にしか姿を見せず、以後のシリーズでは姿を見せていないが復活を望む声は非常に多い。
最後の登場から10年以上経過した現在でも使い手がいるというのが、WSの強さと人気を表している。

しかし、背景ストーリーでは全滅扱いとなってしまっている。
このような全滅した設定や元々の誕生理由から考えても、今後の背景ストーリーでの再登場は厳しいと見られていたが、同じように絶滅した設定だったサバイバーが後付設定で復活出来たりしたから、希望は残ってはいると見える声もあった。
特にDMの背景ストーリーではパラレルワールドの設定が積極的に用いられるようになったため、従来の超獣世界とは違う次元のドラゴン・サーガ世界のような別世界なら復活できる可能性もあるのではないかとも言われていた。

ちなみに、DMR-16極・真ではWSに似たシステムを持つ遊撃師団というカテゴリーが登場している。
この遊撃師団は、同じ特徴を持つクリーチャーが一定数揃うと能力を発動できたりする。
WSと非常に似た仕組みであることから、遊撃師団はWSを参考に作られた可能性がある。
前弾であるDMR-15のパラスのシステムもサバイバーに似た設計なので、その流れを汲んでWSが参考にされたのかもしれない。
ともかく、開発側もWSの存在は決して忘れているわけでもなさそうである。

最後の登場から15年後の2020年、DMEX-08で《炎舞闘士サピエント・アークGR》が久々の新規WSとして登場した。
WSとしては初のGRクリーチャーともなったが、あくまでも既存のWSクリーチャーのGR化なので完全新規とは言いにくい面がある。

そして2022年、DM22-EX1「黄金戦略!!デュエキングMAX 2022」において、ついに本格的に復活。
新規カードと既存WSの一部のツインパクト化によるインフレへの対応が行われ、久々にWSのカードプールが広がることになった

後、念のために言っておくがWSは決して種族では無いので勘違いしないように注意。
割とサバイバーと混同してしまっているファンも少なからず見当たる。スペック的に共通点があり、アイコン持ちなどデザインも似た部分があるので仕方ないと言えば仕方ない間違いではあるが。
WS持ちはマイナー種族である事が多いのであまり種族サポートには期待できないのでそこはネックか。

有名なウェーブストライカー


火文明

炎舞闘士サピエント・アーク C 火文明 (3)
クリーチャー:ドラゴノイド 2000+
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーのパワーは+4000され、タップされていないクリーチャーを攻撃できる。

WSデッキにおいて、序盤の主力であると同時に切り札の一枚。

WSが起動すると、パワー6000のアンタップキラーという驚異的存在に。
序盤~中盤辺りの相手クリーチャーならば高確率で潰していくことが可能。
小型進化クリーチャー相手でも相討ちが狙えるなど、バトルでの活躍の機会は多い。

インフレの進んだ現在でも、最高レベルのパフォーマンスを持つクリーチャーと断言できる。

デュエプレ版ではレアリティがアンコモンに昇格。
WSに「W・ブレイカー」の追加と「アンタップキラー」が「攻撃されない」に変更された。
性質が大きく変わっており、従来のコントロール能力からビートダウン向けに。
この変更は色々と物議をかもしたが相手にパワー6000以上のクリーチャーがいても殴り返しを恐れずに殴りに行けるようになった。*1
尚、W・ブレイカーの追加は他のコスト3のWSと共有の能力である。

詳しくは個別項目を参照。

水文明

アドラス SR 水文明 (7)
クリーチャー:シー・ハッカー 4000
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、各プレイヤーは、バトルゾーンにある自分自身の「ウェーブストライカー」を持つクリーチャー1体につき1枚カードを引く。

WS唯一の記念すべきスーパーレア…にして、DM-11屈指のハズレア。

能力は各プレイヤーのWSの数だけドロー出来るという物。
相手にも能力は及ぶが、WSデッキとミラーマッチする可能性は低いのであんまり問題は無い。
…あんまり見られないが、WS対策としてこのカードを用いる(疑似山札破壊)という手段もあるが。

そんなに馬鹿にされるほど悪い能力では無い(最低でも3ドロー)し、パワーの低さもパンプアップが得意なWSにはあまり関係ないがアドラス自身のコストが重いのがネック。
小型を並べるWSの戦略とは噛み合わず、同コスト域にWS最強フィニッシャーのキルスティンがいるのも痛い。
また、このコストのドローカードなら、WSと共存できて安定したドローソースが普通にあるのも辛い。
もう少し軽かったら……と思わざるを得ないカード。

このように酷評しかされていないカードだが、北米版デュエルマスターズ「Kaijudo」では何故か看板クリーチャーに大出世することに。

デュエプレ版ではパワーが1000下がった代わりにコストも2下がり大幅に使いやすくなった。
コストが軽くなっているため目の上のたん瘤の存在だった、キルスティンとの共存も可能に。
だが他の青WSにそこまで強いカードがいないのと本人のレアリティの高さから結局採用率は然程高くない。
ただ、公式大会で唯一ベスト8まで残ったWSは、その環境では珍しいドロマー型だったので採用されていた。

詳しくは個別項目を参照。

自然文明

シェル・チャーチ R 自然文明 (4)
クリーチャー:コロニー・ビートル 2000
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手はバトルゾーンにある自分自身のクリーチャーを1体選び、持ち主のマナゾーンに置く。

ハザリアのマナ送り版とでも言うべきカード。

ハザリアの方が優先されやすく知名度も高いが、こちらは相手のpig持ちなどを安心に除去できる。
ハザリアとは使い分け、もしくは共存が図られるだろう。

デュエプレ版ではS・トリガーが追加され選べるクリーチャーがアンタップされているクリーチャー限定になった。
能力自体がS・トリガーと噛み合っており、更にアンタップされているクリーチャーに限定されたことで追撃を防ぎやすくなった。
ただし、場合によっては能力が不発になる可能性がある(相手クリーチャーの最後の攻撃でトリガーした時とか)。

アラーム・ラディッシュ C 自然文明 (2)
クリーチャー:ワイルド・ベジーズ 1000
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目を自分のマナゾーンに置く。その後、クリーチャーを1体、自分のマナゾーンから自分の手札に戻す。

WSで、マナブーストと同時にマナからクリーチャーを回収できる。

自然入りWSの序盤の展開要員であり、マナ回収担当。
普通に使うと、実質的な1コストパワー1000のクリーチャーであり、手札消耗も事実上ない。

マナに置いたWSを回収できるため、自然がWSデッキで採用されやすい原因を作っている良カード。

デュエプレ版ではレアリティがレアに昇格。
マナ回収が探索(指定されたゾーンからランダムで3種類のカードが選ばれその中から対象を選ぶ)に変更されたため、狙ったカードを回収できるとは限らなくなった。
マナシステムが本家とは違うためマナブーストで多色カードが入らない限りは、何を回収しても使用可能マナが確実に1増えるので回収したカードをそのまま召喚しやすくなった。

光文明

堅防の使徒アースラ C 光文明 (3)
クリーチャー:イニシエート 2000+
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーのパワーは+4000され、「ブロッカー」を得る。

WSによってパワー6000のブロッカーと化すクリーチャー。

序盤では相手の小型クリーチャーを軒並みブロックできるのが強み。
ラメールやサピエント・アーク同様、序盤のWS展開を助ける一枚。

デュエプレ版ではレアリティがアンコモンに昇格。
WSに「W・ブレイカー」が追加され強化された。

予言者ラメール UC 光文明 (2)
クリーチャー:ライトブリンガー 1500+
ウェーブストライカー
WS-バトルゾーンにある自分のクリーチャーすべてのパワーは+1000される。

WSによって+1000の軽いパンプアップを行える。

上記のサピエント・アークやラメールなどの強化要員として使われることが多い。
特にサピエント・アークに関しては、+1000でも仕留められる範囲が増えるので相性が良い。

ラメール自身のパワーも1500なので、パワー1000にギリギリ勝てるのもイケメン。
ローズ・キャッスル》も耐えるほか、パンプアップ後は《ノーブル・エンフォーサー》をすり抜ける。

デュエプレでもそのままの性能で実装され、レアリティの変更もなし。
どうでもいいがライトブリンガーとして初めてCVが設定されたクリーチャー(他のライトブリンガーは機械音等が設定されていた)。

星雲の精霊キルスティン VR 光文明 (7)
クリーチャー:エンジェル・コマンド 5000+
ウェーブストライカー
WS-バトルゾーンにある自分のクリーチャーすべてのパワーは+5000され、「ブロッカー」と「W・ブレイカー」を得る。

現在までにおけるWSデッキのフィニッシャー。

パワーの大幅なパンプアップ、W・ブレイカー及びブロッカー追加など爆発的な強化を味方に行える。
このカードによって大型クリーチャーと化したWS軍団で殴りに向かうのが、WSの基本的な戦法。
非WSクリーチャーへの強化も行えるという点にも地味に注目。

ただし、相手のS・トリガーによるブロッカー破壊などには注意を払おう。

デュエプレ版ではコストが1低い6になり、付与するものが「W・ブレイカー」から「パワード・ブレイカー」に変更された。
コストが低くなった為使いやすくなった。
パワード・ブレイカーへの変更は基本的に強化ではあるが、何らかの要因でパワーを下げられると元のままよりもブレイクできるシールドの数が減る可能性がある。
逆にラメール1体を絡めればコスト3のWSはパワー12000に到達しT・ブレイカーを獲得すると本家にはない芸当が可能。
何だかんだ最後の詰めとして優秀なので、ジャギラなどで戦況をコントロールしながら繋いでフィニッシュを仕掛けたい。
レアリティが高いのと、3コスト帯のWS全員がW・ブレイカーを取得するようになったため採用しない構築も存在する。

詳しくは個別項目を参照。

闇文明

邪口虫ラフレシア・ワーム C 闇文明 (3)
クリーチャー:パラサイトワーム 2000+
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーのパワーは+4000され、「闇ステルス」を得る。

WSによってパワー6000のステルス持ちになるというクリーチャー。
闇を入れたWSデッキでは、序盤の攻撃要員としての働きが期待できるか。
闇はスレイヤー持ちやpig所持のブロッカーが多いため、意外とステルスも役に立つだろう。

何故か闇クリーチャーなのに闇ステルス所持という不思議なカードでもある。
(深読みするならば、闇文明を持った多色獣に対する皮肉とも考察できる)

デュエプレ版ではレアリティがアンコモンに昇格。
WSに「W・ブレイカー」が追加され「闇ステルス」が「スレイヤー」になった。*2
とはいえバトルゾーンに数を維持することが重要なWSにおいて道連れ前提のスレイヤーはあまり相性は良くない。
相手のアタック牽制やタップさせて大型クリーチャーを処理するなど悪い訳でもないのだが。

略奪秘宝ジャギラ  UC 闇文明 (5)
クリーチャー:パンドラボックス 3000
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手の手札を3枚見ないで選び、捨てさせる。

何だこの性能!?

WS能力起動によって、5コストで3枚までハンデス可能というクリーチャー。
インフレの進んだ現在のDMにおけるハンデスカードの大半も縮こまるほど異常なコスト設定とハンデス枚数。
多分、WS専用でなかったら許されなかったカードであろう。

このすさまじい性能からWSデッキにおいては絶対に投入すべき切札の一枚となっており、多くのWSデッキが闇をタッチするのはほぼこいつを使いたい故である。
5コスト域でハンデスすることにより、相手の終盤での大型獣の降臨を許すことをしない。

現在においてもWSデッキへの敗者を作っている原因の一枚であり、対WSでは存在を頭に入れた方が良い。

デュエプレ版ではレアリティがベリーレアに昇格。
5コストで登場する3ハンデスはこちらでもえげつないのでヘブンズ・ゲートなどの対策で使われる。

薔薇公爵ハザリア  R 闇文明 (4)
クリーチャー:ダークロード 2000
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手は自分自身のクリーチャーを1体破壊する。

WS効果で、相手に選ばせてクリーチャーを破壊させることが出来る。
選ぶことはできないが、アンタッチャブル持ちを破壊できるため悪くは無いだろう。
WSではそこそこ貴重な確定除去手段であり、コストも軽いため闇入りWSでは投入したい。
というよりも闇のWSでは上記のジャギラと並んで高性能なため大体セットで投入される。

背景ストーリーでは無限軍団の中心人物であり、何らかの秘密も抱えていた様子。
プロモのアルトアート版では傍らに小さな勇者ゲットがいるのが確認できるが無限軍団に参加していたのだろうか?
デュエプレ版ではレアリティと能力の変更はなし。

詳しくは個別項目を参照。

爆輪男 R 闇文明 (4)
クリーチャー:ヘドリアン 3000
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、クリーチャーをすべて破壊する。

WSであると当時に、WSのメタカードでもあるという異色なカード。

WS効果によって、敵味方問わず場を壊滅状態にさせる。
その効果とWSが相手のWSも対象にするという都合上、WS対策用のカードとしての側面を持つ。
ただ、今現在はWS自体を見かけることが少ないので、非WSデッキには入らない。

むしろ、現在このカードが活躍できるのはWSデッキかもしれない。
WSでも対策出来ないような大型クリーチャーを出されて追い込まれたときには、リセットカードとして機能する。

デュエプレではWS能力が自分で3体並べないと機能しないため、メタカードとしての存在意義がなくなったのが原因か収録されていなかった。
しかし次弾である「永遠の戦渦-VORTEX OVERLOAD」で収録された。
WSではなくなり、WSが2体以上いればクリーチャーを全て破壊と能力が変更されている。
WS能力の仕様変更もあり、ほぼWSメタ全振りな性能となっている。

骨折人形トロンボ R 闇文明 (2)
クリーチャー:デスパペット 1000
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、クリーチャーを1体、自分の墓地から自分の手札に戻してもよい。

クリーチャーを墓地から一枚回収できる軽量WS。

軽いコストでWSの展開を助け、手軽に破壊されたWSを回収できる便利屋。
フレーバーテキストが示唆するように序盤では能力が発動しにくいが、展開要員としてはあまり問題では無い。
闇入りのWSデッキでは必須の一枚と化している。

ちなみに、DM-13で収録された唯一のWSであり、このカードが現在最後のWSでもある。

デュエプレ版では墓地回収が探索に変更された為、狙ったカードを回収できるとは限らなくなっている。

詳しくは個別項目を参照。

多色

電脳奇面アンギラー P 水/闇文明 (6)
クリーチャー:リキッド・ピープル/デビルマスク 6000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
ウェーブストライカー
WS-このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、「ウェーブストライカー」を持つクリーチャーを1体、自分の墓地から自分の手札に戻してもよい。
WS-このクリーチャーはブロックされず、「W・ブレイカー」を得る。

唯一の多色WSであり、二つのWS能力を持つというWSの中でも異色なカード。

WS持ちを回収できるという気軽さと、アンブロッカブルのW・ブレイカー化はフィニッシャーの一枚として魅力的。
闇と水が入るWSデッキならば、投入が検討できるカード。
ただ、WSデッキでは水が軽視されて入らないことが多く、このカードがプロモなので入手しにくいという難点も。

また、このカードの未だに議論される謎は『多色のWS』ということ。
後述するが、WSは多色獣への反抗心で誕生した集団であり、多色獣が存在すると設定的におかしい。
そのため、このカードが背景ストーリーではどのような存在だったのか気になるところではある。
WS持ちが多色の力に目覚めたのだろうか、もしくは多色獣がWSの力を手に入れようとしたのか……。
結構珍しい基礎パワー6000なのにW・ブレイカーを持たないクリーチャー。

デュエプレでは数少ない収録されていないWSの内の1枚。
デュエプレで現在収録されていないのは、これと時代がかなり後な上にデュエプレでは実装されていないGRクリーチャーである炎舞闘士サピエント・アークGRの2枚のみである。


ウェーブストライカーデッキ


デッキの特徴・構築

ウェーブストライカーを用いたデッキについて解説する。

WSの効果の性質上、序盤は小型WSを少しでも早く並べることが重要となる。
こうしてWS能力を起動させて、場をコントロールしながら終盤で一気にフィニッシュに持っていく。

WSは全文明に存在するため、デッキ構築の際の色は好みや戦い方によって変化する。

一番主流となっている色構成は、光、火、自然、闇を投入するタイプ。
光はラメールやキルスティン、火はサピエント・アーク、自然はアラーム・ラディッシュやシェル・サーチなどが主力候補。
闇に関してはジャギラやハザリアなどの良質なカードが揃っており、DM22-EX1以降は《漂流大陸の復活》という強力なサポートカードが登場したことにより、重要度が大きく上がることになった。

水は上記の四文明よりも爆発的な能力を持つWSを欠くためか、色的な調整などもあって投入されにくい。
それでもアンギラーやトリックスターなどは性能は別に低い訳でもなく逸材が揃っているため、十分活躍できる。
一方でDM22-EX1では水のWSは新規追加や再録を逃すなど不遇な扱いを受けており、公式としても水を除いた4色のWSデッキを推奨していると考えられる。

このように水がやや不遇な傾向にこそあるが、全体的に見ればWSデッキはどの色で構成しても一定以上に戦えるデッキにはなる。
ただし、やはり一番強力かつ今でも勝てる可能性のあるデッキタイプは、光・火・自然・闇の4色構成だろう。

注意点としては、WSの数が少ないために投入する文明色は必然と多くなる。
3色以上の投入になると色事故の可能性は当然上がりやすいので、一応そこには注意したい。
ツインパクトWSを用いればデッキスペースの圧縮などで多少は色事故を防ぐスペースの余裕は出来るが、ツインパクト自体は弱点が無い訳でもないので一応注意しておくべき。

また、WSは上記でも述べたように展開力が重要となってくるので、非WSカードで展開の手助けをしてやりたい。
組み合わせると面白いカードの候補はいくらかあるが、その中でもオススメは下記のカード。

補助要員の候補 備考
雷鳴の守護者ミスト・リエス WSを大量に並べるためのドロー
《ハッスル・キャッスル》 同上。リエスと違って殿堂カードでは無いので搭載しやすいか
《アクア・ジェスタールーペ》 軽量WSを連鎖で踏み倒せ
《復活のトリプル・リバイブ》 軽量WSをリアニメイト・即刻能力起動

この辺りのカードを投入することで、WSの展開を多少助けることが可能。

長所と弱点

WSの長所としては、WS能力起動による爆発力がある。

上記で記載したが、WSによって起動する能力はどのカードもコスト設定を無視したレベルで強力な性能が多い。
激しいインフレが起きた聖拳編の影響と背景ストーリー設定を受けたためか、多色カードを上回るほど。
一部のカードに関しては、インフレの続く現在でも恐ろしい性能を所持していると言える。
カード数こそ少ないWSだが、能力のバリエーションはなかなか多いことにも注目。

そのため、WSの大量展開に成功した場合は一気に戦況を優位に持ち込めることが多い。
コントロールやビートダウンなど、速攻以外の様々な戦略を行える器用さも長所。
大量展開のために小型クリーチャーが多いことから、大量展開向けのカードのサポートも受けやすい。

弱点としてはその展開力を重視する特徴であり、一定数クリーチャーを揃えないとWSの力は発揮することができない。
つまり、小型獣を揃えていかないといけない都合上、火力による全体除去は天敵となる。
全体除去でなくとも、ちまちまと除去を行われるとなかなかWS能力の発揮まで辿りつかない。
デッキ構築の際には、何らかの除去対策や高速でクリーチャーを並べられる補助カードは欲しいところではある。

特にWSは条件が達成できないと実質パニラ以下のスペックになってしまうという設計のカードが多い。
しかもWS能力がcipのクリーチャーの場合はWSが発動できない条件で出すと腐りやすいが、状況次第では後続に出てくるWSの数を揃えるために出さねばいけないことがあるというジレンマを抱えている。

また、速攻など速めにゲームエンドに持ち込むデッキタイプも得意とはしない。
速効に限らず、インフレが進むほど環境のデッキは展開が速くなるため、WSデッキではその勢いに対抗しにくい。

そしてある意味最大の弱点はWSの入手のしにくさで、現在WSのカードは一部を除いて絶版状態にある。
かつてサバイバーも似た状態にある中で復活を果たしたが、考えてみるとあちらは種族である。
ツインパクト版などで事実上の再録を果たしている現状では以前よりも入手難易度は低下しているが、水文明入りのWSデッキや非ツインパクト版によるWSデッキを構築するとなると面倒。
そういう場合はネット通販を使うなり、近所の中古ショップのストレージを探すなどの努力が必要となるだろう。

このように分かりやすい弱点や初登場から長い年月が経過した古いシステムという事情こそ抱えているが、それを苦としない楽しさがあるのがWS。
WSに興味があるならば、是非ともデッキを組んでみる価値は存在する。
今のインフレの進んだ環境では戦いにくい面も多いが、上手く使えれば今でも勝てる可能性はあるだろう。
現在進行形で相性の良いカードも増えているので、地道に強化されていってるとも言えなくはない。
その強化のスピード以上に環境のインフレのスピードが激しすぎるのだけれどね。
DM22-EX1において多くのWSのツインパクト化・新規の登場などで強化を受けたが、現代のカードパワーに追いつけているかと言うと微妙なので今後の流れに注目か。


デュエル・マスターズ プレイス


DMPP-04 第4弾「混沌の軍勢 -REBELLION SYMPATHY-」にて登場し、敵対色多色カードと共に同弾の目玉コンセプトの一つとなっている。
基本的に本家のWSクリーチャーをそのまま輸入しているが、能力的には調整を加えられたクリーチャーが多い。
現在本家に存在する22枚中19枚と殆ど収録されている。
それに加え、ゲームオリジナルの水文明のWSクリーチャーとして水文明のサイバーロードのパワー3000で、WSで相手のクリーチャー1体をバウンスできる《ピリリパ》が新規登場している。

能力が実は微妙に変化しており、WS能力発動条件における対象のWSが自分のクリーチャーのみに変更された。
そのため、WSデッキ同士がマッチしても能力が発動しまくる混沌とした状況は発生しない。

SRが2種類、VRが1種類と設定されているがこれらを使わずともランクマッチで戦える構築もあり、また構築も4弾のWSが大半になるため安くて強いデッキとして活躍できる。

背景ストーリーでの設定


背景ストーリーでのWSは聖拳編で登場。

実は、WSのカードには背景ストーリーでの状況を示すカードは殆ど存在しない。
そのため、WSの状況が説明されているのは当時のDM関係の書籍などだったりする。

デュエプレでは、大幅にフレーバーテキストが追加されており、WSの状況が分かりやすくなっている。
一方でプレイスの背景ストーリーは本家の背景ストーリーとはやや違った展開が描かれており、本家の背景ストーリーにもそのまま設定が反映できるかは怪しい点もある。

また、プレイスではサバイバーが収録されなかった影響でサバイバーの背景ストーリーでの要素を多少吸収したのか、各文明への侵略者的な側面が強くなっている。
一応、プレイスでの描写は多色軍側の視点と解釈できなくもないが。

EP世界での活躍

まず、WSが生まれた理由としては聖拳編の世界観が影響している。
聖拳編では、基本セットから続いた文明間争いによってどの文明も疲労状態にあった。
辛い状態にある世界の状況で、異文明の融合によって能力を強化し、この世紀末を乗り切ろうとする風潮が表れる。

こうして文明間において、融合技術を支援しあう行動が活性化。
その中で、多くの多色クリーチャーが世界に姿を現していった。
やがて異文明間の融合技術は、クリーチャーの肉体だけでは無く呪文の融合にも成功した。

融合しあう多色獣や多色呪文は、世界各地で強力な力を見せつける。
もはや、誰の目にも『多色化』の新時代であることは目に見えて明らかだった。


だが、この時代の波に乗り遅れる者は必ず存在するのが世の中。


一部のクリーチャー達は、多色化に馴染むことが出来ない者もいた。
全方位カードファイルが語るには、取り残された者達は「他所の文明の生き様は尊敬するが、だからと言って混じり合わない」というプライドを持っていた。
しかし、そのような者は「時代遅れ」として時代の動きに取り残され、自分たちの居場所を失う。
居場所すら無くしてしまった彼らが、多色獣に憎しみを向けるのも当然の流れだった。

居場所を失いながらも、自分の文明に誇りを持ったクリーチャー達は徒党を組む。
他文明の者同士であろうと呉越同舟で徒党となった彼らは、多色獣を理由なく無差別に襲撃を開始した。
無差別に多色獣を攻撃していくこの徒党は、『無限軍団』という名前を自称する。

無限軍団の中でも闇の復権を掲げた《薔薇公爵ハザリア》は、徒党の中でも異彩を放っていた。
ハザリア指揮下の無限軍団は、「軍隊」として極めて強固な組織へと形成された。

こうして無限軍団は構成員達の間で非常に強い繋がりを持つこととなる。
この繋がりが絆の力として変化し、無限軍団は『ウェーブストライカー』と呼ばれる力を手に入れる。
新たなこの力は多色獣の力をも上回る強力な合体能力であり、強大な力を手に入れた無限軍団は、各所で多色クリーチャーを撃退していった。
よくよく考えると、WSが異文明間での力の受け渡しが得意になっている点は皮肉でもあるのだが…。

ところが、ここまでが無限軍団の全盛期だった。

無限軍団という脅威に対して、レインボー軍は緊急に会談を行い更なる協力体制を確約。
レインボー軍は研究を重ね、複数の種族からの進化を可能とする新技術・『デュアル進化』を開発。
周辺種族の進化を可能としたことで、レインボー軍は驚異的な奇襲能力を獲得。

デュアル進化獣で「5大将軍」と呼ばれた《超機動魔獣ギガランデス》率いるレインボー軍団は「無限軍団」を劣勢へと追い込む。
飛ぶ鳥を落とす勢いはどこへやら、無限軍団は見事に壊滅したのだった。
(DM-13でも一体のみWSが登場していることから、デュアル進化が登場したDM-12では全滅していないようである)
無限軍団に協力していた単色クリーチャーは敗者として従うしかなく、風向きを気にしながら虚しく生きていくのであった…(全方位カードファイルによると《風車男》がそうだったらしい)。

無限軍団が壊滅した後、レインボー軍団は内ゲバを開始。
デュアル進化獣は、無限軍団から攻撃対象を『非進化の多色獣』へと変更。
皮肉なことに、無限軍団への対抗の為に生まれたデュアル進化獣によって、
普通の多色獣はかつての無限軍団の置かれた立場と似たような状況に置かれたとさ。

やがてデュアル進化獣の恐怖政治体制が確立するという寸前に、今度は五体の王が出現。
五体の王は、圧倒的な力で争い合っていた支配者連中を瞬殺。
この五体の王の前に、普通のクリーチャーやレインボー軍団は完全に沈黙。
壊滅状態に追い込まれていた無限軍団も、何もできずに沈黙したのだった……。

この後、五体の王に対して敵対色多色獣や第六の王が戦いを挑むのはまた別のお話。

聖拳編以降の背景ストーリーでは無限軍団及びWSの力は登場していない。

聖拳編の次シリーズである転生編では文明間戦争に回帰している。
再び多色獣が登場した極神編は、聖拳編から見て最低でも1万200年以上経過している。
これだけ月日が流れていれば、無限軍団の事を覚えている存在も少ないだろう。
特に多色獣と単色獣の対立も起きていないし、無限軍団のような存在が登場できる口実は見当たらないと言える。

DS世界での活躍

本来の超獣世界とは異なる世界であるドラゴン・サーガ世界では生まれていたのかは不明。
そもそも、この世界観において無限軍団及びWSの力が登場したのかは知る余地が無い。
深読みするならば、DSシリーズの大陸では《龍世界 ドラゴ大王》率いる火文明による独裁体制などの事情があり、
元々文明間の敵対意識が激しく、多色獣が少ない世界観なので生まれてなさそうではある。
革命編の舞台であるランド大陸は争いのなかった場所なので、ここでも生まれている可能性は限りなく低い。

しかし、超獣世界の終焉を止めようとするサイバーロード《アカシック・ゼノン》はランド大陸で「ツインパクト計画」を行っていた。
アカシック・ゼノンは計画の実験台として過去に多色軍と戦ったWSの能力に目を付け、無限軍団をEP世界からランド大陸のあるDS世界に呼び込む。
かつて敗れ去った無限軍団のメンバーはツインパクトの力を与えられ、将のキルスティンに至っては実質的に多色化してしまった。
計画の成果を試そうとしたアカシック・ゼノンは《仙界一の天才 ミロク》が主催する第1回デュエル・マスターズに強化された無限軍団を派遣し、キルスティンによって無限軍団は再び率いられることになった…。

新章世界での活躍

唐突に現れた超GR化したWSクリーチャーの《炎舞闘士サピエント・アークGR》は背景ストーリーと絡んでいるのかは不明。
EP世界でも新章世界の影響を受けてGRが出現したことが明かされているが、時系列的は無限軍団が殲滅した後。
そうなると、GR化したサピエント・アークは何者なのか謎である。まあBBP出身のカードなので深く考える必要性もないと言えばないのだが…。
上述のアカシック・ゼノンによって復活を果たしたサピエント・アークが変貌したか、もしくはフレーバーテキストから見て無限軍団が生き残っているパラレルワールドの存在と考えるのが妥当な所か。

デュエル・マスターズ プレイス版での活躍

登場経緯に関しては本家の背景ストーリーと同じであると見られる。
本家では関連書籍でのみ語られた《薔薇公爵ハザリア》のリーダー設定なども、こちらでもしっかりと採用されている。
しかし、本家の背景ストーリーでは敵対色多色獣の登場が五体の王の影響だったのに対し、こちらでは無限軍団の影響であるとされている*3

無限軍団の将は《星雲の精霊キルスティン》であり、彼は多色の殲滅だけでなく各文明の支配を企む。
一部マーフォークも無限軍団の力に魅力され、海底の秩序を荒らすという行為に出た。
自然文明ではワイルド・ベジーズが無限軍団を構成することになり、偵察や暗殺などの活動に従事。

多色を憎む無限軍団は、その象徴である《無双竜機ボルバルザーク》の撃破を計画し、火文明の無限軍団を送り込む。
《炎舞闘士サピエント・アーク》がボルバルザークを襲い、多色が世界を制覇するという空気を一変させた。

無限軍団は各文明に侵略を開始し、キルスティンが率いた軍勢が光文明を3日で制覇。
闇文明も《薔薇公爵ハザリア》の活躍で制圧され、ハザリア軍は以降は各文明へと散らばる。
そして小さな海域の主だった《アドラス》が無限軍団の力を得たことで世界への逆襲を行い、世界の海も占領状態となった。

地上の侵略を目指す無限軍団に対し、水文明と自然文明が連合軍を設立。
水文明は無限軍団への対抗策としてアカシック計画を再始動し、フィオナの森の住人の多くの反対を受けながらも実行に出た。
その戦いの最中にエンジェル・コマンドとデーモン・コマンドの融合獣が出現し、《悪魔聖霊アウゼス》の圧倒的な力によって空を包囲していた無限軍団は壊滅した。



追記・修正は、ウェーブストライカーを発動してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • DM
  • デュエル・マスターズ
  • 聖拳編
  • WS
  • ウェーブストライカー
  • 無限軍団
  • 徒党
  • 常在型能力
  • キーワード能力
  • 全滅
  • デュエル・マスターズ プレイス
  • 復活希望の声多数←ツインパクトになりました
  • ツインパクト計画

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年04月27日 12:36

*1 デュエプレは何故か高パワーアンタップキラーに非常に厳しく、エターナル・フェニックスのアンタップキラー付与もcip火力に変更されている。

*2 デュエプレではステルスやセイバー、サバイバーといったキーワード能力がスルーされ実装されていない。

*3 本家でもサバイバー関係の背景ストーリーでの設定がDMEX-01において過去描写とかなり違和感のある経緯にされていたりもするので、本家でも今後そのように設定される可能性も否定できないが