SCP-3333

登録日:2021/08/09 Mon 15:41:38
更新日:2025/01/13 Mon 02:07:38
所要時間:約 31 分で読めます





真の暗闇と恐怖を前に、人は逆戻りさえ許されない。

SCP-3333 - (Tower)


SCP-3333とは、SCP Foundationが確保しているオブジェクトである。
項目名は「Tower/塔」。
オブジェクトクラスSafe→Keter

まずはじめに、このオブジェクトは本部のSCP-3000コンテストの応募作の一つである。
SCP-3000コンテストのお題はホラーという、言うならば怪奇創作コミュニティという原点に立ち返ったというべきものである。

その分、応募作も色々とエグいものだらけである。
3000ナンバーを勝ち取った人の記憶を喰らい、そこから記憶処理剤を作り出す大ウツボを筆頭に、財団の秘密兵器の裏にあるスクラントン博士の壮絶な最期仕留めそこなった人類を探すべく何処からか送られてくる知ってはいけないメッセージ終末が訪れる前に自殺しようとなる凶悪なミーム災害…。
もちろんこのSCP-3333もこれらに負けず劣らずのエグいオブジェクトである。
いや、むしろ百戦錬磨のアニオタ支部職員であれば、
…と清々しいまでに一式揃っている時点で、もはや「嫌な予感しかしない、という言葉がそのままオブジェクトになったような代物」だと察する方も少なくないだろう。
その期待を裏切らないオブジェクトである、とは保証しておこう。

特別収容プロトコル

SCP-3333につながる跳ね上げ扉はいかなる場合でも施錠されることとなっている。
また、扉のダメージの兆候は毎日確認されている。
出入りを防ぐために最低一人のスタッフが、SCP-3333の下に駐在している。
機動部隊ラムダ-1「マクスウェルの悪魔」が、SCP-3333の収容を補助するために創設された。

どうだろうか。
「入口らしいドアは絶対に鍵かけといてね。あと、ぶっ壊されてないか毎日チェックしてね」
「最低一人の警備員を配置してね」
「このオブジェクトを収容するためにスペシャルチームを結成したよ」という、財団職員であれば嫌な予感しかしないと言わんばかりの内容である。

説明

SCP-3333はアメリカ・ワシントン州のベーカー山、スノコルミー国立公園にあるサントップ監視所からアクセスできる空間異常。
財団世界の国立公園の管理所ってのはこんなのばかりか。
ベーカー山はカスケード山脈を構成する火山の一つ。某コーヒーでおなじみのレーニア山(マウントレーニア)も、カスケード山脈を構成する山の一つである。
SCP-3333は、サントップ監視所の天井にある跳ね上げ扉から入ることができる。
で、跳ね上げ扉の先がどうなってるのかというと。

さっきいたサントップ監視所のコピー、つまりまたサントップ監視所に出てくる。

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
 『俺は アメリカの国立公園にある監視所の屋根裏に上ったと思ったら そこもさっきの監視所だった』
 な…何を言ってるのかわからねーと思うが 俺にもわからねえ
 頭が変になりそうだった
 吹き抜けた階段とか 逆行階段とか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
 もっと恐ろしいSCPの片鱗を味わった気分だ…」

もちろん、この「監視所」の天井にも跳ね上げ扉があり、そこを入るとまた監視所(のコピー)に出てくる。
無限ループって怖くね?いや、このオブジェクトの本質は無限ループなんかよりも恐ろしい代物なのだが…
監視所のコピー、つまりSCP-3333周囲の環境はオリジナルの監視所の周辺環境と「ほぼ」そっくりだが、
人間を始めとした動物、植物といった生物は存在していない。
SCP-3333を登るごとに、物理的な高度も上がることが確認されている。

SCP-3333はレーニア山近辺の火山活動の後に行われた、サントップ監視所の修復の後に発見された。
起源?そんなものわかるわけないじゃん。修復を担当した公園職員も、「こんなのあったのか?」と首をひねっていたらしいし。
当初、SCP-3333の入り口である跳ね上げ扉は南京錠でロックされていたため、財団は扉を無理やり開ける必要があったようだ。
ちなみに、南京錠の鍵は発見されていない。

探索ログ

さて、ここからが問題の探索ログである。
このオブジェクトはSCP-5000と同じく、「おまけが本編」のタイプである。
こういったオブジェクトは、ときに怪奇創作の範囲を超えたようなものも少なくないため、人によって好みが分かれるタイプと言えそうだが、
SCP-3333は要注意団体や背景設定、カノンハブなどは一切登場せずストレートに「怪奇創作」「ホラー」で殴りかかってくるタイプであるため、ログの長ささえ乗り切れるならばそこそこ誰にでも勧めやすいかもしれない。
(そもそもタグからして「3000」*1「Keter」「建造物」「異次元」と非常に少ない、そういう点からしてもシンプルなオブジェクトの部類である)
では。




SCP-3333の頂上を探索した方は追記修正をお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示


この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。







































 

メッセージ:2039/04/02受信

補遺Ⅰ

探索Ⅲのイベント群に続き、SCP-3333内に潜んでいた、SCP-3333-1と指定された実体群がベースキャンプに出現、その場に居合わせた全人員を殺害、そして彼らに擬態した。
SOSは発信されず、探索Ⅲに関するデータも事後レポートが完成するまで送信はされなかった。
ベースキャンプにいた人員に擬態したSCP-3333-1達はSCP-3333内の観察と探索を実施しているフリをし、よりにもよって一ヶ月に渡り人員と装備を財団本部に要求し続けていた。
だが、一人の差し入れ担当者がSCP-3333-1の毒牙にかかる前に非常メッセージを送ることに成功し、ようやくSCP-3333の本性が明らかになった。
再収容チームがSCP-3333に到着した際は、施設は完全に放棄されていた模様。
…ここまでに、50人以上の職員が失われていた。

SCP-3333内にいた「何か」=SCP-3333-1が基底世界のベースキャンプを襲撃し、人員を殺害・擬態。
さらに一ヶ月に渡って「援軍」を要請し続けた。
これが何を意味するかはもはや嫌でもわかるだろう。

SCP-3333-1が、基底世界に解き放たれてしまった可能性が濃厚なのだ。

財団職員に擬態していないものも含め、多数のSCP-3333-1が開放されたと想定されたため、
これらを調査・捜索、そして無力化するためだけのスペシャルチーム・ラムダ-1「持つもの/持たざるもの」が組織された。
ラムダ-1という名前からすると、おそらくは特別収容プロトコルにある「マクスウェルの悪魔」を改組した組織なのだろう。

補遺Ⅱ

2039/04/02、ウィリアムズ博士の携帯電話から、暗号化されたメッセージが受信された。
正確な場所は特定されてはいないものの、内容からするとSCP-3333内部から送信されたという可能性は高い。

メッセージには以下に記す、ウィリアムズ博士のログが含まれており、彼女が機動部隊Mod-0から逃走していたことはほぼ確実と思われる。補足として、このメッセージを添付する。読者は思慮されたし。

アードマン博士



引用だらけであり、尚且冗長すぎるのは、作成者の文才の限界ということで見逃して欲しい。

機動部隊が、スペシャリストが、そしてウィリアムズ博士までも、
SCP-3333の内部に潜む「何か」=SCP-3333-1に喰われてしまった。
SCP-3333の本質は単なる空間異常ではない。その内部に潜む「何か」、すなわちSCP-3333-1だったのだ。
しかもこのSCP-3333は、単にそこにいる人間を喰らい、皮膚を奪って擬態するだけではない。
犠牲者の知識や記憶までも正確にコピーできることが、そして財団を騙し増援=餌を送らせるという知能すら有することが、補遺から読み取れるはずだ。
しかも、この実体は、既に基底世界に放たれている可能性が濃厚なのである。

とある動画でSCP-3333が紹介された際、「実はSCP-3333という空間異常の中に、危険な実体たるSCP-3333-1を封じ込めたがゆえに、当初は鍵がなかったのでは?」というコメントがあったが、
飽くまで本記事の作成者の勝手な想像でしかないと付け加えた上で書くならば、作成者個人としては逆の可能性もあり得ると思う。

説明の項目をよく見ると、そもそもSCP-3333への入り口=監視所の天井裏に行くはずの跳ね上げ扉が発見されたのは、監視所の修復のときだったが、当時の修復スタッフや公園のスタッフ曰く「起源はわからない」そうである。
これはもしかすると、「昔はなかったが、ある時突然出現した」のかもしれない、と想像することもできるだろう。
もしかしたら、この「入り口」は、SCP-3333-1が仕掛けた「罠」だったのかも知れない。
餌たちに自ら地獄への門を開かせるための。

そして、不覚にも財団が開いてしまった結果、内部に潜んでいたSCP-3333-1が基底世界に少なくない数解き放たれてしまったのだ。


類似するオブジェクト

◆SCP-093-JP「生還可能な廃トンネル」
日本版SCP-3333。
とある私鉄の廃トンネル。
過去に大事故が起こって以来、新線の供用開始もあって廃線となったが、反対側の出口が消失している。

かつては単に「内部で空間異常が発生しており、入ってもそのまま進むといつの間にか出口に戻されるトンネル」という、下手すればAnomalus扱いされてもおかしくないオブジェクトであったが、その実態は「トンネルに入った人間が、容姿も特徴もそっくりな別の何かに入れ替わって出てくる」というものである。
…そう、侵入者と入れ替わった「人型の何か」が、一般社会に少なくない数放たれているのだ。


あなたの知人、本当に昔のままですか?
特に研究職の方、知人の中にあなたのことをある時からいきなり「ドク」と呼ぶようになった方がいたりしませんか?

なにより衣擦れのような、サラサラという音が聞こえてきたのなら…


ドク、SCP-3333の記事の追記・修正をしておきました。

CC BY-SA 3.0に基づく表示


SCP-093-JP - 生還可能な廃トンネル
by Porsche466
http://ja.scp-wiki.net/scp-093-jp

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最終更新:2025年01月13日 02:07

*1 SCP-3000コンテスト出品作のタグ

*2 化学反応で光るライトの一種。アニオタ的にはライブ会場で振るあれとか、ディズニーランドの夜のパレードで観客席の前に張るロープにくっついているあれだと思えばいい。