ミラベルと魔法だらけの家

登録日:2021/12/13 Mon 19:00:44
更新日:2025/08/29 Fri 20:14:47
所要時間:約 23 分で読めます


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魔法の世界を救えるのは───魔法の使えない女の子。


概要


『ミラベルと魔法だらけの家』(原題:Encanto)は、2021年11月26日より公開されたディズニー製作のCGアニメ映画である。
監督は『塔の上のラプンツェル』や『ズートピア』のバイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ。
音楽は2021年公開作品だけで『ビーボ』、『イン・ザ・ハイツ』、『チック、チック…ブーン!』と次々に傑作を手がけた天才リン=マニュエル・ミランダ。
日本語版主題歌はナオト・インティライミが手がけた「マリーポーサ~羽ばたく未来へ~」。本作の劇中歌「2匹のオルギータス」のカバーである。
ディズニー長編アニメーションとしては記念すべき60作目で、新作オリジナル・ミュージカル作品としては『モアナと伝説の海』以来4年ぶりとなる。

本作のテーマは「家族の絆」であるが、それを負の側面から徹底的に切り込んだ物語が展開される。
普遍的かつ深く共感できるものとして「家族のややこしさ」について描くことになり、
リサーチを重ねるうちに「誰もが思っていたよりも自分の家族を知らない」という事実に行き当たったことが、本作製作のきっかけとなった。*1

もう一つのテーマは「マジックリアリズム」*2
ぶっちゃければディズニー版『百年の孤独』と言える内容となっている。
事実、シャリース・カストロ・スミス共同監督も

私はガブリエル・ガルシア=マルケスのマジカル・リアリズムにとてもインスピレーションを受けていました。
『百年の孤独』は読んでいましたし、『コレラの時代の愛』が大好きなんです。
それからイザベル・アジェンデの『精霊たちの家』も。この作品をつくる過程で多くのマジカル・リアリズムに着想を得ました。

と語っている。


同時上映は『ツリーから離れて』(原題:Far from the Tree)
近年では珍しい2D作品であり、一見のどかなビーチで過ごすアライグマの親子が描かれる。
監督のナタリー・ヌリガットは「『魔女の宅急便』『もののけ姫』を見たわ。スタジオジブリからは大きな影響を受けている」と語っている。*5
本作と同様に家族の在り方をテーマにしているが、「危険に満ちた世界からわが子を守る厳格な親」と「好奇心旺盛で思いっきり遊びたい子供」のせめぎ合いという、
短編らしからぬハードな内容に驚かされた人も多いかもしれない。
そして、親の立場になったかつての子供は親の心を理解しつつも……

あらすじ


今から50年前、アルマとペドロの夫婦は国中で起こった争いにより故郷を追われ、人々と共にジャングルに逃れていた。*6
しかし川辺でペドロは追っ手から皆をかばい、命を落としてしまう。
悲嘆の中、アルマは夫から託された蝋燭を目の前に置き、魔法と共存するコロンビアの大地に祈りを捧げた。
すると蝋燭の炎は輝きを増し、大地は割れ、切り立つ山がそびえ立ち……やがて安全な谷間と、人々が暮らすための家が授けられた。
───こうして魔法の町「エンカント」と、魔法の家「カシータ」が誕生した。

町の創設者一族、マドリガル家は代々5歳になると、魔法のギフトを授かるための儀式を受けることになる。
孫の代のミラベルも、他の家族と同様に儀式を受けようとしていた。
「あなたは素晴らしい子よ、ミラベル・マドリガル……どんな力だとしても、あなたと同じように、特別なものよ」
しかし彼女にだけギフトは与えられず、その日以降周囲からの扱いが一変してしまう。
それでも家族の誇りになるためたくましく生きていた彼女だったが、いとこのアントニオの誕生日、蝋燭の火が弱まり、「カシータ」に大きな亀裂が広がるのを目撃する……

用語


  • エンカント
コロンビアのジャングル奥地にある魔法の町。
マドリガル一家の祖父ペドロの犠牲によって生まれた場所であり、周囲は魔法で作られた高い山に囲まれている。そのため、侵入はほぼ不可能。
一年中果物がたわわに実り花を咲かせる楽園であるが、逆に言えば魔法に完全に依存する形で成り立っているため、マドリガル一家から魔法が失われることはこの町の死活問題となる。

  • カシータ
エンカントと共に誕生した、マドリガル一家の魔法の家。
アルマの部屋の窓辺には、魔法の力の源である蝋燭が安置されており、一家を見守り続けている。
意思を持ち、床のタイルや鎧戸を動かしてコミュニケーションを図ったり、自力でドアや引き出しを開けたり、階段を変形させて滑り台状にしたりできる。
後述のギフトを授かった一族の者には個人の部屋が与えられ、ドアには光でギフトの内容が肖像画として描かれる。
その部屋の内部は異空間が広がっており、各々のギフトに合わせた内容となる。不便そうとか言ってはいけない
しかし、ギフトを授からなかったミラベルは子供部屋のままとなっている。

  • ギフト
マドリガル家に生まれた者は、5歳になるとカシータで魔法の力、即ちギフトを授かる儀式を受ける。*7
一族は町の創設者であるため、エンカントにとってこの儀式は一大イベントで、盛大なパーティが執り行われる。
そしてギフトを授かった者は、その力を使って一家やエンカントのために奉仕することを義務付けられる。


マドリガル家の人々


(CVは原語版/吹き替え版)


  • ミラベル
CV:ステファニー・ベアトリス/斎藤瑠希

本作の主人公で、フリエッタの三女。15歳。メガネっ娘属性持ち。
マドリガル家の生まれで唯一ギフトを授けられなかったはぐれ者的存在であり、周囲から冷ややかな目で見られている。
その冷遇っぷりは、

  • 近所の子供からの「ミラベルのギフトって、現実逃避かも」という無邪気かつエグい発言
  • 仕事を手伝おうにも、他の家族はギフトで仕事をこなせるため半ばいらない子扱い
  • 家族写真で彼女だけ写っていないのに誰一人気づかない

など、腐らなかったのが不思議なレベルの境遇に置かれている。
そのため前半は、家族から認められたいのに空回りし続ける苦悩や、儀式を控えたアントニオへの葛藤と、持たざる者の苦しみが生々しく描かれた。

アントニオがギフトを授かった後、カシータに大きな亀裂が入り蝋燭の火が消えそうになっているのを目撃し皆に警告するが、なぜか元通りになっていたため軽くあしらわれてしまう。
それでも彼女はめげることなく独自に一家やカシータの調査を始めるが、見えてきたのは完璧さにとらわれ疲弊した一家の実態だった……

上記のように肩身の狭い思いをしていながらも快活で、家族の危機にいち早く気づき行動する意外とアグレッシブな性格。
さらに特筆すべきは他者への共感力や包容力
トラウマを抱える身でありながら儀式の失敗を恐れるアントニオに寄り添い続けたり、色々と抱え込んでいた姉二人の本音を引き出したりと、バラバラになっていた家族の心を救っている。



  • ルイーサ
CV:ジェシカ・ダロウ/ゆめっち(3時のヒロイン)

フリエッタの次女。19歳。
筋骨隆々たる大柄な女性で、ギフトの内容は力の魔法。シンボルはバーベル。……魔法?
しかしその汎用性は非常に高く、一度に5頭のロバを担ぎ上げ、煉瓦で出来た橋さえ軽々と持ち上げるほどのパワーの持ち主。*8
常に鍛錬を怠らず、どんな力仕事も引き受ける真面目で責任感が強い性格で、誰からも頼りにされている。
しかしミラベルに魔法の力の弱体化について心当たりがないか聞かれた時、明らかにいつもと違う様子を見せるのだった……


  • イサベラ
CV:ダイアン・ゲレロ/平野綾

フリエッタの長女。21歳。
誰もが見ほれるほどの美人で、周囲から「全てが完璧」と称えられる一家のアイドル的存在。要するにディズニープリンセス的な立ち位置。
性格はお高くとまった女王様タイプで、ミラベルのことは露骨に見下している。
一方で家族でタブー視されているブルーノについては、人生の夢が叶うと予言されたらしく、珍しく好意的。
町一番のイケメンかつ富豪出身のマリアーノと婚約の話が進められていたが、プロポーズの日にミラベルのヴィジョンの件が白日の下に晒されたことでご破算に。
この件でミラベルは完全に嫌われてしまったのだが……?

ギフトの内容は花の魔法。もちろんシンボルは花。
どこにでも美しい花を咲かせられる能力で、魔法の部屋の内部はピンクや紫の花で彩られた庭園のようになっている。
ちなみにコロンビアでは切り花の出荷が世界トップクラス。これを踏まえると、国の主要産業にガッツリ関わる重要な能力ということになる。


  • フリエッタ
CV:アンジー・セペダ/冬馬由美

ミラベルたちの母で、アルマの三つ子の長女。50歳。
ギフトの内容は癒しの魔法。シンボルはすり鉢。
手料理を食べさせることでどんな傷や病気も治せるという、これまた便利な能力。
裏設定によると、先天的な病や、かなり重い病にも対応できるらしい。*12

家族の中で道を見失ったブルーノの件もあって、ミラベルに同じ道を歩まないように精一杯に愛情を伝え、守ろうとしている。
自身のアイデンティティに悩むミラベルに「あなたも姉さんたちと同じ、特別な存在よ」と諭すが、当のミラベルは一家での扱いもあり、そのことを実感できないでいる。

初期構想によるとミラベルはアルマでなく、フリエッタと対決する予定だったらしい。*13


  • アグスティン
CV:ウィルマー・バルデラマ/関智一

ミラベルたちの父で、外部から婿養子として迎えられた。
おっちょこちょいな所があってよく蜂に刺されており、いつもフリエッタに治してもらっている。

外部出身でギフトを持たないため、自分のことを超凡人だと感じている。
その一方でアルマからヴィジョンの件を問い詰められたときに「僕は娘のことを考えてるんだ!」と、真正面から啖呵を切る場面も見られた。
外の家から来た人間故に、ミラベルとはまた違う視点でマドリガル家の歪みが見えていたのかもしれない。

裏設定によると、三つ子より少しだけ遅生まれらしい。

  • ペパ
CV:カロリーナ・ガイタン/藤田朋子

ドロレスたちの母で、アルマの三つ子の次女。50歳。
お天気屋で、感情を抑えるのにいつも苦労気味。そのためフェリックスやカミロに支えてもらっている。
一家でタブー扱いされるブルーノのことを特にタブー視しており、結婚式の日、快晴だったのに雨が降りそうだと言われて、実際大嵐になったことを根に持っている。

ギフトの内容は天気の魔法。シンボルは雲と太陽と雷。
気象操作ということでポテンシャルは高いのだが、いかんせん効果範囲が狭い上に感情でコントロールするという非常に癖の強い能力。
彼女自身の気性が元々不安定なのもあってなおさらである。

  • フェリックス
CV:マウロ・カスティージョ/勝矢

ペパの夫で、アグスティン同様外部から婿養子として迎えられた。
陽気な一家のムードメーカー的存在。
実際、結婚式の日に大嵐に見舞われたことを嘆くペパに対し、(原語版で)「What a joyous day(なんて楽しい日)」と言えるほどのポジティブシンキングの持ち主である。
それくらいの方が、天気屋な彼女と上手くやっていけるのだろう。

裏設定によると、三つ子より少しだけ早生まれらしい。

  • ドロレス
CV:アダッサ/大平あひる

ペパの長女。21歳。ミラベルのいとこの一人。
ギフトの内容は聴力の魔法。シンボルは音波。
要するに地獄耳であり、相手からすると秘密を持つことがほぼできないが、彼女自身も気苦労の多そうな能力。
実際、皆の汚れた面を知っているという
さらに花火が打ち上げられたシーンでは耳を塞いでおり、大きな音に弱いというデメリットがあると思われる。
ブルーノについては怖がっており、「ずっと夢見た人は、他の人を愛している」という予言を聞いたらしい。
そのため、夢については叶わないと悲観的になっている。

ルイーサの異変にいち早く気づいた一方、ミラベルとアグスティンがブルーノのヴィジョンについてやり取りしている所を聞いてしまう。
しかもよりによってマリアーノの一家との食事会というタイミングで隣のカミロにバラし、やがて伝言ゲーム方式で家族中に広まって……
ぶっちゃけイサベラの婚約を台無しにした元凶である。

ちなみに、ペパの家族の衣装は黄色で統一されているが、彼女のみを基調としたものとなっている。
赤はアルマの色であることや、ギフトの内容をを考えると……

裏設定によると、同い年のイサベラの二か月後に生まれており、ずっと彼女の影に隠れた存在だったらしい。*14


  • カミロ
CV:レンジー・フェリズ/畠中祐

ペパの長男。15歳。ミラベルのいとこの一人で同い年。
ギフトの内容は変身の魔法。シンボルはカメレオン
実際カミロという名前自体も、カメレオンが由来となっている。*16
変身できる対象は自分の知っている人間限定だが、必要に応じて体の特定の部分だけ変化させることもできるので応用も効く。
ただ精神が不安定になると変身も安定しなくなる。そこは母親似と言える。

面倒見のいい性格だがいたずら好きで、その能力を駆使してよくふざけている。
特に「秘密のブルーノ」吹き替え版における怪演は必見。

と、愛嬌があったりインパクトが大きかったりで人気が高いキャラだが、実はギフトを持つ家族の中では物語に直接絡む場面が突出して少ない。
というかその出番は正味わずか5分半程度(絵に描かれている分などを含めても6分17秒)しかない。

裏設定によると、ミラベルより早生まれで、彼女がギフトをもらえなかったことにショックを受けていたという。*17
また、彼の能力は、アイデンティティが不安定で様々な役柄を試しているティーンエイジャーを表すとのこと。


  • アントニオ
CV:ラヴィ・キャボット=コニャーズ/木村新汰

ペパの次男。5歳。ミラベルのいとこの一人。つまりペパは、45歳という超高齢でこの子を産んだことに……
シャイな性格で、ミラベルにとって数少ない理解者の一人。彼女のことを実質姉と見なしているらしい。
物語開始時点ではまだギフトを授かっておらず、ミラベルと一緒の部屋で暮らしていた。
儀式の失敗をとても恐れているが、それだけギフトを授からなかった者への仕打ちを理解している証だろう。

授けられたギフトの内容は動物の魔法。シンボルは様々な種類の動物。
どんな動物とも意思疎通ができすぐに仲良くなれる能力で、魔法の部屋の内部はジャングルが広がっている。
付き添っている動物たちにもそれぞれオオハシのピコ、カピバラのチースピー、ジャガーのパルセと名前がついている。
ギフトを授かった後も、新たなヴィジョンを見るのに広い空間が必要*19だというミラベルやブルーノに自分の部屋を貸すという協力的な姿勢を見せた。

  • ブルーノ
CV:ジョン・レグイザモ/中井和哉

ミラベルたちのおじで、アルマの三つ子の末っ子。50歳。*20
ギフトの内容は未来を見る魔法。シンボルは砂時計。
魔法の部屋の内部は遺跡のようになっており、切り立つ崖に作られた長い階段など、過酷な環境となっている。
そのモデルになったのは、独自の風景を持つコロンビアのエストラケス国立公園。
しかし現在は行方が分からなくなっており、部屋のドアも光を失っている。

家族からも近所からも不吉な予言をするという理由で、マドリガル家最大のタブーとして扱われている。
さらに絵本版では「おばあちゃんは もともと ブルーノの みる みらいを きらっていました」とまで書かれている。
魔法弱体化の謎を探りに部屋に来たミラベルは、苦労の末に最深部にあったヴィジョンのレリーフの破片を拾い集めるが、その内容は……
ひび割れたカシータの前に立つ自分自身という恐ろしい内容だった。
さらにその件がマリアーノの家族との食事会で暴露されたことからミラベルは窮地に立たされる……
本作の数か月前に配信されたピクサー作品といい、二作連続でブルーノは不吉な存在である。*21


  • アルマ
CV:マリア・セシリア・ボテロ/中尾ミエ

ミラベルたちの祖母で、マドリガル一家の家長にして魔法の町エンカントの創設者。75歳。シンボルは蝋燭。
波乱万丈な人生を送っており、三つ子を授かった直後に故郷と夫を失っている。
そうした過去のため、家族やエンカントのために最善を尽くし続けており、一家や町民から最も敬愛されている。
カシータに亀裂が入った件も実はすでに知っていて、亡き夫に祈りを捧げていた。

一方で厳格な存在であり、常に一家の者たちに「家族の誇りになること」を要求し続けていた。
そのため、ミラベルがギフトを授からなかった日以降態度が一変し、彼女が何をやっても認めなくなってしまった。
さらに他の家族も家族で、その能力故に多大なる義務やプレッシャーを背負い、神経をすり減らしていた……
皮肉なことに、使命感の強さのあまり、かえって家族を疲弊させ、家族間の溝を生じさていたのである
そして一家の実態を知ったミラベルは、自分を認めないばかりか、起きた異変を全て自分のせいにしてくる祖母に対し、姉たちの思いや自分の胸の内をぶつけるのだった……

───その時、ついにカシータは崩壊を始めた。


余談



エンドクレジットに「Let it go」と書いてあるが、「奇跡はここに」の原語版でしっかりと歌詞に含まれている。よーく聴いてみよう。


劇中歌「秘密のブルーノ」は、家族や町民たちがブルーノとの関わりや印象を歌い上げる、作中屈指のスルメ曲。
2022年1月8日付の全米シングルチャートで初登場50位だったこの曲は徐々に順位を上げていき、1月31日にはついに1位を獲得。
これは大ブームを巻き起こした「Let it go」(最高5位)すら成しえなかった記録であり、『アラジン』の「ホール・ニュー・ワールド」以来29年ぶり2度目の快挙でもある。*25
また、ブルーノは元々オスカーという名前だったが、この歌の歌詞に合わせる形で現在の名前に変更された。


ブルーノの趣味はボール紙で作ったネズミ用の舞台で芝居を楽しむこと。
その演目の中に「おばとの禁断の愛のメロドラマ」があるが、これは『百年の孤独』のアウレリャノ・バビロニアとアマランタ・ウルスラの恋が元ネタだろう。
この二人の恋が実りブエンディア一族百年の歴史で初めて愛によって子供を授かった時、衰退していた一族とマコンドはトドメを刺されることになる。


戦乱で故郷と夫を失ったアルマ。
この悲劇からは、コロンビアの負の歴史が匂わされている。
保守党・自由党の二大政党の暴力的衝突や貧富の格差などから19世紀から内戦が繰り返され、1899年に起きた「千日戦争」では最大で15万人もの死者が出たとされる。
さらに1946年以降の10年間は「暴力の時代」と呼ばれた。死者は10万人から20万人にも及んだ。
そして1960年代にはコロンビア革命軍などの左翼ゲリラが台頭。2016年まで実に半世紀以上も内戦状態が続いていた。*26
マドリガル家の家風が極端に保守的だったりするのも納得である。




荒らされたら書き直せばいい、大丈夫、アニヲタがいる~♪


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最終更新:2025年08月29日 20:14

*1 https://eiga.com/news/20211130/13/

*2 非日常を日常的なものとして描く表現技法

*3 同名の高級焼酎もこれが由来

*4 ちくま文庫『エレンディラ』P193

*5 https://www.disney.co.jp/movie/mirabel/news/20211112_01.html

*6 パンフレットの衣装の解説や、ルイーサのミュージカルパートでタイタニックらしき船が出ていることを考えると、本作の舞台はおそらく1912年以降と推測できる。よって、この事件が起きたのは19世紀後半と思われる

*7 逆に一家の者と結婚した外部出身者は儀式を受けられない。そのため、アグスティンやフェリックスもギフトを持たない

*8 その体格は主にハンマー投げや砲丸投げの選手がモデルとなっている

*9 https://www.instagram.com/p/CXt5eAyvEO-/

*10 サボテンの花言葉は「枯れない愛」「燃える心」「温かい心」など。和解のシチュエーションにぴったりと言えるだろう

*11 ドロレス曰く、マリアーノの家族は5人の子供を欲しがっていたとのこと。結婚を望んでいない身からすると恐怖以外の何物でもなかっただろう

*12 https://twitter.com/thejaredbush/status/1477838709298905092

*13 https://www.instagram.com/p/CXjhaFiPLd7/

*14 https://twitter.com/thejaredbush/status/1468685739969814528

*15 フォローしておくと、原語版では「I……just have so much love inside……(“誰か”を愛したいんだ)」と歌っている。つまり、イサベラに未練があるわけではない

*16 https://twitter.com/thejaredbush/status/1465136801815924740

*17 https://twitter.com/thejaredbush/status/1468685741769125888

*18 https://twitter.com/thejaredbush/status/1484928881375150083

*19 ブルーノの部屋に広い洞窟があったが、ミラベルが探索した時に崩壊してしまった

*20 三つ子の生まれた順番はジャレド・ブッシュ監督のツイートで明らかにされたが、小説版ではフリエッタの兄と書かれている

*21 実はフリエッタも、綴りや発音が違うだけでジュリアと同じ由来の名前である

*22 脚本でもこうした言動について「OCD(強迫性障害)」と書かれている

*23 小説版では、乱暴者に絡まれた時、近くにあった仕立て屋の店主だったペドロに助けてもらったことになっている

*24 アルマの若いころの姿はイサベラに似ていた。つまり、新たなヴィジョンの真の答えは「アルマとの和解」だった可能性がある。さらにマリアーノがペドロにそっくりだったことを考えると、自分の叶えられなかった夢をイサベラに託そうとしていたのかもしれない

*25 https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/108357/2

*26 内戦を終結させたフアン・マヌエル・サントス大統領はノーベル平和賞を受賞した