獣人(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)

登録日:2022/10/02 Sun 00:00:08
更新日:2025/04/08 Tue 19:43:42
所要時間:約 19 分で読めるというお話





【注意】この項目には『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』本編中盤以降の重大なネタバレしかありません。閲覧は自己責任でお願いします。





























































獣じゅうと

人    




獣人が…獣人が来る!!


獣人(ジュート)とは、スーパー戦隊シリーズ第46作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』に登場するキャラクター、及び種族である。


【データ】

身長:197cm(鶴の獣人)
体重:78kg(鶴の獣人)
むかしむかし:獣人たちは脳人の世界・イデオンで人間の波動に代わる安定した資源を供給するものとして生み出されたが失敗作とされ、長い間獣人の森に封印されていたそうな…。


【概要】

ドン9話にて、ソノイの口からその存在が明かされた。
しばらくは詳細不明の謎の生物として扱われていたが、ドン27話にてついにその正体が発覚する。

それはかつて脳人達の故郷である異世界・イデオンを統治していたドン王家が生み出した人工生命体。
イデオンは人間から発生する波動から作られ、同時に維持されているのだが、その波動は人間の抱く欲望によって不安定になってしまい、そうなればイデオンも存在を確立することが難しくなる難点を抱えていた。
そのため、脳人の大半は人間の欲望を否定し、人間達を一種の資源として管理することを考えているのだが、ドン王家の者達はそんな脳人達の中で唯一「人間との共存」を掲げていた。
そんなドン王家が人間に代わる新たな波動の発生源として生み出した命こそ、獣人だったのである。

しかし、その甲斐も虚しく目論見は失敗(この点については後述)。
脳人達によって獣人は異空間「眠りの森」に封印され、人間界へと通ずる道は桃井陣が守ることになったのだが、彼らの知らない「新たな扉」を使って復活を果たすと人間界に降り立ち、物語の裏で暗躍を重ねていく。


眠りの森(獣人の森)

獣人達が幽閉されていた異次元の樹海。「獣人の森」とも称される場所。
謎の子守歌が鳴り響く陽の光が差さない鬱蒼とした暗い森であり、内部には大量の折り紙状態の猫がウジャウジャいる。
獣人にコピーされた人間が幽閉される場所でもあり、オリジナルとなった人間は森の中で蔦に縛られた状態で樹に吊るされたり縛られた状態で眠り続ける。

本来ならば陣によって封印されているため、通常では侵入できないはずだが、現在ではなんらかの原因によって生じた華果村の門――すなわち水面に映った月からのみ出入りすることができる。
その他だと獣人が人間を森に引きずり込む際に開く空間の穴を使えば入ることはできるが、これはイレギュラーな手段なのでその手段での侵入は困難。

また、この森のどこかには「許しの輪」と呼ばれる、ヒトツ鬼化してしまい脳人に消去された人々を元の世界に帰すためのアイテムが隠されている。


【生態】

全個体共通の特徴の一つとして、「人間に成り代わって世界を侵食する」というものがある。
この「侵食」とは人間に成り代わって個体数を増やしていくことを意味する。
服装ごと姿は完全に擬態し、記憶もある程度写し取る模様。擬態時も身体能力は高く、超人的な跳躍力で街を駆け抜けダッシュでオートバイに軽々追いつく程。
獣人にコピーされたオリジナルの人物は眠りの森に閉じ込められると共にコピーした獣人と一蓮托生の間柄になり、その獣人が命を落とすと一緒に絶命してしまう。
作中の様子を見るに、ランクが上がるとコピー能力が深みを増していく。

この他にも「周囲にある紙で折り紙を折る」という習性もある。
また、獣人の種類ごとに折る物も決まっており、現段階ではを折る「Bランク」、鶴を折る「Aランク」、ペンギンを折る「Sランク」の3種類が確認されている。
こうして獣人に折られた折り紙は、人間の体内に入ることでその人間に異常な高さの発熱をもたらし、やがて昏睡させてしまう。
そうしてオリジナルの人間が行動出来なくなった隙を突いてその人間の姿をコピーしている。
ただし、唯一『適合者』と呼ばれる存在は、この折り紙が体内に入っても自意識を保つことができる。
現状、体内の折り紙を取り出すことができるのは獣人かその生み主であるドン王家の者だけである模様。
他にもその折り紙を武器にすることも可能で、劇中では手裏剣のように扱う個体も散見されている。

生命体である以上、彼らも食事を摂るのだが、その主食は脳人の戦闘員・アノーニ
アノーニを見つけるや否や凄まじい吸引力を持って彼らを取り込んでしまうため、彼らにとって獣人は天敵そのものであり、その存在に戦々恐々としている者も少なくない。
他にも人間の食べ物も問題なく摂取できる上、更には人間を食べている疑惑まで出たが、結局この部分については曖昧なままで終わった。


不可殺の肉体

獣人を厄介たらしめる最大の特性。脳人一般には「不可殺の存在」とされている。
獣人同士では多少傷付くが本気の殺し合いには至らず、それ以外の者達ではいくら獣人を攻撃しようとも倒すどころか重傷すらも与えられない無敵の生命力と難攻不落の防御力を誇る。
その分攻撃力に関してはそこまで飛び抜けて高くはなく、中盤のドンブラザーズや脳人の実力なら攻撃面では割と互角に戦えていた。

現状彼らを無理矢理駆除することが出来るのは対獣人用兵器として生み出されたドンムラサメ……厳密にはその本体であるニンジャークソードのみ。
それでもこの手段で駆除した場合は上記の通りオリジナルも死んでしまう。

唯一の穴はこの不死性もオリジナルと一蓮托生の関係であること。
眠りの森に監禁されているオリジナルの人間が人間界に帰還することができれば不死性は消滅し、該当する獣人はムラサメ以外の人物でも犠牲を出さずに駆除可能に。
そしてオリジナルの人間が寿命を迎えた場合でも不死性は失われ、その獣人も命を終えることになる。


このように驚異的な生命力の高さや周囲の人物を巻き込んで蔓延っていく厄介さから、陣を以てして獣人の復活は「人間の世界と脳人の世界が地獄と化す」と称されている。


【一覧】

獣人ごとの個別名は今のところ明かされていないため、便宜上コピーした人物の名前と肩書で区別する。
頭部の差異以外は基本的に同じ青い体表の体と複数の目を持ち、黒い陣羽織を羽織ったかのような風体となっている。

Sランク:ペンギンの獣人

ペンギンを折る獣人。
現状、獣人の中で最も高い地位にある存在。
王冠に似た形状の鶏冠のような額の角と、翼のように広がった鬣、金色の四対八個の眼が特徴の頭部を持つ。
長らく表舞台に登場していなかったが、ドン45話で遂に降臨を果たす*1
ペンギンが司るのは「王家の象徴」とされているが、厳密にどのような特徴・役目があったのかは不明。
最高ランクの存在だけあってコピー能力は鶴や猫と一線を画しており、コピー元の記憶を引き継ぎ、人格に至るまでほぼ完璧にコピーする
コピーが完璧なだけに、それが弱点となってしまうことも…(後述)。
公式サイトの解説で「人のように見える鳥」「人をかたどっている鳥」「飛べない人鳥」と形容されている事や、本編での動向から察するに、獣人が産み出される理由となった「人の代わりになるもの」が特徴なのかもしれない。

なおドン39話桃谷ジロウがペンギンの折り紙を折っていたが理由は不明。単に寺崎に教えて貰った折り紙を折っていただけなのかもしれない。


  • 寺崎
演:一三
ジロウの故郷・華果村の駐在所に勤める警察官でジロウの育ての親。
正体はドン王家の生き残りであり、不可殺の命を求めて自らペンギンの獣人となった男。
元々は眠りの森への扉を守る番人だったが、自分を獣人に変えて人間界に来訪すると1人で管理人業務を遂行し続けていたが、100年の時が経ったことで遂にオリジナル*2の寿命が尽きてしまい不可殺の特性が消失。
そんな折、偶然ジロウが人間界に落とされ拾い上げたことでジロウを自身の後継者とすることを思いつくと、後継者育成のためにジロウを養育。
更にジロウの寂しさを紛らわせるためにジロウに幻を見せ村に住民がいるように錯覚させて「華果村」という偽りの村を完璧に創り上げた。*3

個体ではオリジナルと遜色ない理性と感情を持ち合わせており、森の番人をしていたのも「獣人を生み出してしまった事への贖罪と責任感」という倫理的には比較的善良な人物。
しかしオリジナルの寿命が尽きたせいなのか管理業務は上手い事行っていなかったようで、結果的に鶴・猫の獣人が人間界に漏れ出してしまったようである。
最終的にタロウの獣人への処罰の宣言を聞き届けた直後に現れたソノイが許しの輪を回し、今まで脳人達が消去してきた人間を一斉に解放するその行動から脳人も変わったことを察すると力尽き、穏やかな顔で静かに消滅した。


ご存じ我らが絶対王者。
ドン45話でジロウの代わりにペンギンの折り紙を呑み込み、一体の勇敢なペンギンの獣人に成り代わられた。
実は眠りの森に行く方法を知るために仕組んだタロウの作戦だったが、当初は獣人の自我が優先され、配達のために王苦市に向かう。
そこで鶴の獣人=みほと接触するが、真意に気付いた彼女の平手打ち*4により、コピーが完璧過ぎたことが仇となりオリジナルのタロウに人格を乗っ取られる
華果村に戻った後、犬塚を連れて眠りの森に向かい、オリジナルのタロウと合流。オリジナルのタロウがペンギンの折り紙を吐き出したことで獣人の姿に戻り、逃げ去っていった。
……という事で、獣人の頂点という如何にもボスっぽい設定で終盤にようやく登場したこととは裏腹にジロウと犬塚に突進していっただけで一切誰とも戦うことがないまま出番が終わるという中々類を見ない展開となった。
ついでに30分前には爆弾を配達する怪人が登場したので合わせてネタにされたりもした。


Aランク:鶴の獣人

鶴を折る獣人。
中間に位置する者達。
頭部は首を上げた鶴を思わせる形で白い木編みのオブジェのような見た目であり、赤色の三対六個の眼を持つ。
武器としてタンチョウを象った二本の剣「ツルサーベル」を携え、鶴の折り紙を無数に操って一度に多数の敵を攻撃する。
戦い方も人間顔負けの無駄のないしなやかな体術を用いたものとなり、正面からの戦いであれば猫獣人を容易に一蹴可能。
加えて人間と遜色ない知性と社会性を持っており、流暢な会話はちろん、人間の仕事も難なくこなすことができるなど、一切の違和感なく人間になりきることができる。
反面猫からは露骨に嫌われ敵視されているが、他の鶴も猫に嫌われているのかは不明。

このランクの特徴として「物語を紡ぐ」という役割があるが、具体的な詳細は不明。
雉野みほの行動や「みほは夏美の夢」というみほの台詞や公式HPの解説から考えると、「オリジナルが望む理想の役(人生)になり切る役者」といったところだろうか。
本人の人格はコピーできないが、空想の自分という非実在の人格ならコピー可能という所だろう。
そして鶴が成り代わっている間の生活や人生はオリジナルも「眠っていた時の夢」という形で追体験することになるので、オリジナルの心境にも影響を及ぼすことになってしまう。


  • 雉野みほ/倉持夏美
演:新田桃子
あのキジブラザーこと雉野つよしの愛妻。
ただしコピー元のオリジナルは犬塚翼の失踪中である恋人・倉持夏美という面倒な関係。
なので「雉野みほ」という人間は鶴が演じる架空の存在に過ぎない。
普段は彼と平穏な結婚生活を営んでいる彼女だが、夫の預かり知らぬところでは獣人としての本性を露わにし、猫達に対して度々制止と牽制を行っている。
だが擬態と演技も完璧とまではいかず*5、時折倉持夏美としての人格が表出する場合がある。その際はみほとしての記憶は一時的に失われる。
総じて犬塚とつよしの諸問題(通称「なつみほ問題」)を発生させた全ての元凶。

ドン王家や脳人に対しては彼らの事情を理解しつつも、だからこそ「ドン家の身勝手で生み出された自分達獣人に罪はない」と考えており、彼らや人間と折り合いをつけて生活していくべきだとしている。
その為、獰猛な猫の獣人とは反対にある種の穏健派。
ドンブラザーズや脳人と積極的に敵対するような素振りは見せず、猫に対する一種の妨害も不必要に人間達と衝突して軋轢を生まない為であり、タロウにも自分達獣人の性質を明かしている。
ただ自分たちを生み出したドン家に不快感を抱いているのも事実で、ドン家の末裔であるタロウへの好感度は低い。

タロウがペンギンの獣人にコピーされた際は、宅配業を行っていたタロウの姿を見た途端、一目でそれを見抜いて平手打ちをかました結果、タロウの意識が復活。
その後復活したタロウの活躍で眠りの森に捕らわれていた人々が解放され、余波で自身も不可殺の特性を喪失。そのまま大量の猫に襲われ全身が傷ついてしまう。
そして夏美が目を覚ました同じ頃、犬塚とつよしの人生を弄んだ報いと言わんばかりに川に流されながら誰にも看取られないまま静かに消滅するという悲しい最期を迎えたのだった……。


Bランク:猫の獣人

猫を折る獣人。
最下層に位置する者達で獣人の代名詞的存在。みほからは「猫」と呼ばれる。
ライオンに似た骸骨のような白い頭を持ち、青色の三対六個の眼を持つ。
左腕に背伸びをする白猫を模した大きな鉤爪「ネコクロー」を装備して武器とし、一部の個体は鶴のように折り紙を手裏剣のように飛ばす攻撃も扱う。
個体数は最多であり、眠りの森の中には夥しい数の猫の折り紙の姿をした獣人がひしめいて群れを成している。

このランクの特徴として「気ままに遊ぶ」と称されるが、実態は荒れた野良猫の如く悪い意味で自由奔放かつ野生の本能に忠実。
おまけに目の前に脳人やドンブラザーズを確認すると問答無用と言わんばかりに襲い掛かる非常に荒い気性が目立つ。
知能もお世辞にも高いとはいえず、人間界に出現した当初は人間の言葉も満足に話せず唸るばかりであったり、食事の摂り方も食べ物を見るや否や手づかみや犬食いでそれを貪ったり、その食事も他者の物であっても一切の躊躇なく奪おうとし、躊躇いなく飲食店で暴飲暴食をして食い逃げするなど、その挙動は完全に野生動物そのもの。
一応成長能力はあるらしく、ドン30話以降ではややたどたどしいながらも人間と会話できる程の言語能力が身についていたが、それでも食事の摂り方や気性の荒さまでは変化しなかった。
また上位に位置する鶴とは犬猿の仲。鶴に対してはかなり敵対心を有しており、度々徒党を組んで襲撃を行う。
そのせいで人間界では警察で問題視されるほどに度々騒動やトラブルを引き起こしており、みほ(鶴)はその見境のなさに頭を悩ませている。


演:杉本凌士
犬塚を追いかけるベテラン刑事。
ドン5話でヒトツ鬼に憑依されて警察鬼に変貌した後、ドンブラザーズに倒され解放。その後ドン9話にて、とあるバス旅行に参加した際に獣人に成り代わられてしまった。
最終的にドン28話にて警察を退職したことが犬塚を追いかけた刑事によって語られた。

獣人としての本能を発揮して積極的にアノーニを襲ったり、各所で食事の強奪のようなトラブルを起こし続け、更にはオリジナルの狭山の記憶に影響されているのか、犬塚に激しく執着して彼を追い回すなど物語の裏を引っ掻き回してきた。
多少知性が身についても根っこの凶暴さは変わらず、喫茶どんぶらで運ばれてくる料理をお盆の上のまま貪った挙句、代金の支払いをその場にいたドンブラザーズに押し付けて帰る始末であり、あまりの横柄さにタロウからも難色を示されている。
理性が高まったことで、自分達の命を奪えるムラサメを抑えようと考え始め、徒党を組んで鶴に襲撃を仕掛けるようにもなっていった。
そしてドン40話では偶然ニンジャークソードを手に入れた犬塚の不可抗力の一撃を食らい消滅。
これに伴い眠りの森にいたオリジナルの狭山も死亡したと思われる。

  • バスガイド
演:三輪晴香
オリジナルの狭山も乗っていた観光バスのガイド。
狭山に比べると寡黙で冷静だが、それでも獣人としての野性的な仕草を度々見せる。
ドン29話で町中でアノーニを襲っていた所をムラサメに見つかり、ニンジャークソードの一撃を受けて落命した。

ドン35話にて、アノーニを吸収する狭山に突撃した際、そのまま眠りの森に飛ばされ、そこで成り代わられてしまった。通称「もう犬なんだか猫なんだかよくわからない犬塚翼さん(25)」
人間界に来て間もなかった為、AIが描いたラーメン食べるイラストの真似したり初期の狭山達のように行動は野性的だが、オリジナルの犬塚の記憶の影響なのか、狭山獣人も訪れた食堂に突然現れて客や店員をその店に監禁すると、唐突に料理を作って監禁した人々に食べさせるという奇行を見せた*6
なお、オリジナルからサングラスも奪っており、救急鬼が出現した際にはそのまま現場に招集された上に、トラドラオニタイジン極の合体に駆り出された。ついでにこの回は正式な名乗りがあったが、結局グダグダに終わってしまった。
だが、椎名ナオキ(=別時空の未来の鬼頭はるか)に助けられた*7オリジナルの犬塚が帰還するとサングラスも自然と元の持ち主へと帰っていき、負けじと本来の姿になって襲い掛かるも、イヌブラザーの手裏剣を胸に突き立てられて爆散した。
しかし獣人の犬塚が散々食い逃げをしでかしたことで、オリジナルの犬塚はドン43話まで再び指名手配される羽目になった。


ランク不明

未だ詳しいランクが明かされていない者達。

  • 謎の獣人
CV:???
本編の1年前に犬塚と夏美が所属する劇団の前に現れた獣人。
人語を自在に操れることからAランク以上であることは確かと思われるが、その他詳細は姿含めて不明。
遠征公演後の彼らの元に現れると、次々と劇団員達の口に折り鶴を入れていき、その中で唯一『適合』した夏美に目を付けるとブラックホールを展開して彼女をどこかへと飛ばしてしまった。
また、その際に偶然折り紙から逃れた犬塚に対し、「このことを口外しなければ、1年後にもう一度夏美に会わせる」という強迫染みた密約を結ばせており、彼にとっては自分の人生を狂わせた全ての元凶と言える。
結局最後までその正体は語られなかったが、一部からはみほ/夏美の獣人の本来の人格ではないかと考えられている。

  • 花村静香
演:阿部瑞歩
はるかの元彼である花村ひとしの母親。
雰囲気は上品なマダムといった具合だが、スーパーで売られている生肉を手に取った瞬間に目の色を変えてかぶりつく暴食ぶりはやはり獣人であることを窺わせる。
振る舞いとしては猫の獣人に近いが、他の猫と比べると割と理性的に振舞ってはいる。
しかし、最後までその正体は明かされなかったため、本当に獣人なのかは不明。 


【考察:獣人封印の経緯について】

先述の通り、ドン王家の計画の元に生み出された獣人だが、結局のところその計画の失敗という理由から封印されている。
今のところ計画失敗の具体的な要因や理由は明かされていないが、彼らの本編中での行動を観察していると、2つ程の理由があることに気付くことができる。
まずは単純に気性が荒くて制御下に置けなかったことだろう。
Bランク獣人の行動パターンと、「欲望で波動を乱す人間の代替品」という元々のコンセプトから考えて、獣人は「生存本能以外の欲望を一切持たない命」として生み出されたと予測できる。
それ即ち、我々の世界にも生息している野生動物そのものと言えるだろう。
だが、そのせいで獣人は到底簡単には手懐けることのできない存在となってしまい、ドン王家も手に負えなくなった可能性がある。
実際、脳人や人間を突如として襲撃したり、同じ獣人同士でさえ争っている描写があるのだから、ドン王家にも十分に反旗を翻していたのは確かだろう。

もう一つは食性そのもの
言うまでもないが、その主食であるアノーニも立派な脳人であり、ドン王家に取っても保護するべき対象である。
ただでさえ制御できない上にアノーニを生命維持のために食べるとなれば、そんな危険生物を飼育し続ける訳にもいかないだろう。
しかも、ドン王家にとっての共存対象である人間にすら手を出しかねず、それはドン王家にとっては決して看過できるものではないだろう。
何故このような食性になったのかは不明だが、流石にドン王家が意図的に備えさせたとは思えず、恐らくは獣人が成長や適応の過程で身に付けたものと思われる。

このように人間にとっても脳人にとっても、あまりにもデメリットばかりの存在であった為に、獣人は封印されたのだと考えられる。
しかしながら、こうした性質はある意味生物ならごく当たり前の性質とも言える。
この何もかもが異質な命に対し、脳人やドンブラザーズはどのような結論を出すのだろうか……。


【顛末】

みほ(鶴)の助けもあり、自身の獣人に犬塚を眠りの森に連れて来させることに成功したタロウ。
襲い掛かる獣人の群れを前にゴールドンモモタロウに変身すると、黄金のオーラで獣人の折り紙を悉く燃やし尽くし、囚われていた人々を解放する。


聞けぇい!獣人ども!

お前達の存在に罪はない。

だが、人間を襲うという罪を犯した!

二度と同じ罪を犯すな。

お前達は、永遠にこの森で暮らせ。

外に出る事は許さない。

文句がある奴は、俺が相手をしてやる!


上記のゴールドン演説*8説教に恐れをなした獣人は森の奥へと逃げていき、眠りの森ごと永久に封印される。
素体となった人々が人間界に帰還したことで不可殺の特性は消失し、犬塚は遂に夏美をこの手に取り戻すことができた。


【獣人が遺した爪痕】

こうして獣人を巡る問題はようやく解決したが、その代償としてジロウは育ての親と帰る場所を一気に失い、つよしは自分の知らない所でみほと死別するという結果となった。
しかし後にジロウは己の心と向き合った末に哀しみを乗り越え、つよしはみほが獣人である事実を認め、彼女以外の誇れるものを見出す。
また、犬塚もうんぬんかんぬん様々な要因が重なった末に夏美と破局することとなったが、本人に悔いはなく、誰かの愛のために戦う道を選んだ。

獣人の遺した爪痕は深かったが、いずれもプラスの結果に終わった事は幸いと言えよう。


【余談】

  • 公式読本「抱腹絶桃」においてデザイナーの篠原保氏が語ったところによると、獣人のモチーフは「毛のあるヒーロー」で統一されており、猫獣人は「快傑ライオン丸」、鶴獣人は「(メガロンファイヤーを放つ)メガロマン」、ペンギン獣人は「プロレスの星 アステカイザー」がそれぞれモチーフになっているとのこと。

  • 「人間をコピーして成り代わる(=アカウント乗っ取り)」「折り紙を人間に押し付ける(=スパムメール)」「人間を住処に閉じ込める(=ダークウェブ)」と言った性質から、全体のイメージはコンピュータウィルスと思われる。

  • 寺崎の設定は後付けだが、実はセリフもなかった初登場回のドン14話の時点で一三氏がキャスティングされている。この時点では脚本上では名前も設定されていないモブ同然の役だったらしいが、ドン14話を担当した渡辺監督が「この人はタロウにおける陣さんのポジションだから、しっかり出来る人にお願いしておきましょう」と後々重要人物になることを睨んでキャスティングを行ったことが語られている。


追記・修正は、折り紙を折ってからお願いします。

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最終更新:2025年04月08日 19:43

*1 因みに姿の御披露目自体は本編よりも先にドン43話からの放送前のジャンクション映像で登場しているのが初。この映像ではオールバック姿のジロウの正体がペンギンの獣人かのようなミスリードがされていた。

*2 軍服らしき衣装を着用している。

*3 椎名ナオキ=別の未来から来たはるかが残した漫画の原稿には獣人のヒントが隠されており、「ガガ村」は華果村の事を指す。

*4 公式曰く「大事な大事な分岐点ビンタ」。

*5 ペンギンの獣人をみるに鶴の中でも格が高いともとれる。

*6 なお、料理の味はその食堂のものよりは美味しいが、オリジナルの犬塚には及ばないらしく、事情を知らずに口にしたタロウからは「不味い」「腕が落ちたな」と、点数すら付かない酷評を叩きつけられた。

*7 ドン43話で判明。

*8 本来ならゴールドンモモタロウの状態でセリフを言っていたが、井上氏が「この台詞を樋口自身に言って欲しい」と提案し、樋口氏がメット無しの状態で演説した。