ドン・キラー(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)

登録日:2022/12/11 Sun 00:03:52
更新日:2025/03/16 Sun 17:14:23
所要時間:約 9 分で読めるというお話




※推奨BGM:「Don't Boo!ドンブラザーズ」


じか~い、次回。

お前達、まさかそのスイッチを押したのか……?


最強(さいきょう)(てき)ドン・キラー(あらわ)る!


来るぞ、『ドン・キラー』が……。

終わりだ。ドンブラザーズの運命は…決まった。


ドンザー崩壊(ほうかい)危機(きき)!?


ドン39たなからボタンぽち


……という、お話。





ドン・キラーとは、スーパー戦隊シリーズ第46作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』に登場する敵キャラクターである。

演:樋口幸平



【概要】

ドン39話「たなからボタンぽち」に登場。
かつて脳人達の故郷である異世界・イデオンを統治していた王族にして、ドンブラザーズの装備を開発した「ドン王家」が科学の粋を集めて生み出した戦闘用アンドロイド。

ドンブラザーズが本来の使命を忘れて暴走した際、彼らを抹殺する為に行動するという、ドンブラザーズに対する一種の安全装置であり、
普段は何処かで休眠状態になっているが、五色田介人が持つバスの停車ボタン型のスイッチを押す事によって起動する。

その姿はドン王家の生き残りである桃井タロウと瓜二つ
理由は不明だが、タロウは「かっこいいからだ」と推測している。
服装は蛍光グリーンの近未来的な装いで、両目の瞳も緑色になっている他、顔には内部の回線を思わせる銀色のラインが走っている。


【スペック】

見た目こそ生身の人間と大差ないが、完全なロボットである上に自我もほぼ無いに等しく、一度起動したら最後ドンブラザーズを殲滅するまで永遠に止まらない。
一方、必要に応じて情報収集をする事もあり、その際には文章を読み上げる程度の事は出来る他、少なくとも味覚も備わっている模様。

そして、その戦闘能力は劇中最強。
前述のようにドン王家の科学の粋を集めて生み出されただけあって、その実力はそれまでほとんど苦戦知らずだったドンモモタロウすらも容易に圧倒し、ドンブラザーズの初期メンバー5人が同時に立ち向かってもまるで歯が立たないというチートレベルもの。

主な武器は両目と口、そして掌から放つ様々な種類のビーム
また、口からは周囲の敵に向けて拡散するミサイルを発射できる。
こうした武装面だけにとどまらず、徒手空拳での肉弾戦においても無類の強さを発揮し、ザングラソードをいとも簡単に受け止める他、戦士1人分の体なら片腕で持ち上げてしまう怪力ぶりも備えている。
防御面においても相当に高く、ゼンカイザーブラックによるギアトリンガーの連射を受けてもびくともしない硬さを以て、あらゆる攻撃を無力化してしまう。

結局TV本編において、単純な基礎スペックだけでドンモモタロウを最大限に追い詰めてドンブラザーズを崩壊寸前まで追い込んだのは、後にも先にもドンキラーだけであった。


【劇中での行動】



西暦2022年3月6日に発足したドンブラザーズは、同年12月4日、壊滅しようとしている。

何故そうなったかと言うと───


その日の朝、鬼頭はるか猿原真一雉野つよし桃谷ジロウの4人は、日ごろ世話になっている介人へのお礼として内緒で喫茶どんぶらの大掃除に取りかかっていた。

その最中、はるかは何やら怪しげな金庫を発見。
さも当たり前のようにはるかは自身の誕生日である「0525」を入力。
更に好奇心に駆られた猿原や、その場の流れに乗せられたつよしも、それぞれの誕生日「0306」「1103」を入力する*1と、なんと開錠。

中からドン・キラーの起動スイッチが出てくると、残ったジロウが「押すな」という警告文をガン無視してそのスイッチを押してしまった事でドン・キラーが起動してしまう。
なお、ジロウは直後に帰ってきた介人を見るや否や、スイッチをつよしに押し付けて逃げるように帰郷していった。

永い眠りから目覚めたドン・キラーは、早速仕事中だったタロウの目の前に降り立つ。
タロウもまたドンモモタロウに変身し、「何者かは知らんが、その姿が気に食わない」と嫌悪感を示して応戦が、ドン・キラーはそんなドンモモタロウを一蹴し、脳人レイヤーのドアの向こうに飛ばしてしまう。

その後、空中からドンブラザーズを探していたところ、邪鬼と戦闘中だった彼らを発見し、そのまま乱入。
周囲の建物を破壊しながら猛威を振るい、ドンブラザーズの面々も必死に抵抗するが、これまでに戦ったどの敵とも桁違いの強さの前に成す術がなく、ドンブラザーズは撤退を余儀なくされた。
だがこの時、イヌブラザーだけは他のメンバーと合流せず、独り別方向に逃げてしまう。


何なんだ奴は!?

だいたい、何故桃井と同じ姿を…?


と、またしても何も知らないせいで柱の影で1人疑問を口にするイヌブラザーだが、その背後にドン・キラーが出現。


最悪だあああああ!!


逃げようとするも、時既に遅し。超高速で地面に何度も叩きつけられて声にならない呻き声を上げるしかなかった。
一方、残りの4人はなんとか逃げ切ったものの、あまりの圧倒的な戦力差に絶望を見せていた。
戦う事も逃げる事も叶わないと悟ったタロウは、彼らに「腹を決めろ。残りの時間、悔いのないように生きろ……」と、事実上の降参宣言をしてしまう。
タロウのかつてない程の暗い姿を前に、3人も事の重大さを嫌でも実感するのだった。

時を同じくして、当のドン・キラーはドンブラザーズ探索の過程で喫茶どんぶらにやってくると、おもむろに手にしたメニュー表でバナナパフェを注文。
介人は変わらず冷静な雰囲気で注文されたパフェを運んでくるが、実はその中にはささやかな抵抗として練りからしが大量に入れられていた。
そのからしによって、町中で動作不良を起こしていたところをソノイ達脳人三人衆が立ちはだかる。
ソノイはライバルであるタロウを他者に倒させまいと、「手を出すな」という彼の言葉を無視し、自分達の手でドン・キラーを倒そうと目論んでいた。
ソノザは元老院からのお咎めを危惧するが、「私が責任を持つ」と約束したソノイの一声で3人は出陣。
ソノイには「ドン・キラーはドンブラザーズを倒す為にプログラムされており、ならば関係のない自分達には手を出してこない」という仮定による勝算があった。

……のだが、ここで介人のささやかな抵抗が裏目に出た。
練りからしでエラーを起こしたドン・キラーは襲い掛かってくる彼らにも普通に攻撃を加え、特にソノザには連続パンチを見舞って返り討ちにしてしまう。
続けざまにドン・キラーは目からビームを連射し、3人を撃退。
たまらず彼らはソノイの一言を受け、全力疾走で逃げていくしかなかった。


判断ミスだ。やはり関わり合うのはやめよう。

お…おい!

ま、待て!

\チュドーン/

うわぁぁぁっ!?

私を置いていくなっ!

約束は守ったぞ、桃井タロウ!!


しかも、この戦闘でからしの除去まで完了してしまい、ドン・キラーは再度ドンブラザーズの捜索に乗り出すと、次々に彼らを襲撃。
みほへの遺書を執筆するつよしや、海辺で辞世の句を詠む猿原の前に現れては、変身されても反撃する隙を与えず、イヌブラザーの二の舞い、三の舞で、連打技を繰り出し、両腕や両脚を粉砕骨折させてことごとく病院送りにしていった。

そして、今度は山奥で漫画を描いている最中だったはるかとタロウの前に降り立ち、彼らを纏めて葬ろうとする。


やはり気に食わない……。その姿は俺だけのものだ!


途中ゼンカイザーブラックも2人に加勢するも悪あがきにすらならず、もはや万事休すと思われたその時、謎の赤い光がその場に降り……


【ドン・キラー・キラー】



なんで…!? 教授、そっくり……!

あれがまさか、『ドン・キラー・キラー』……?


演:別府由来

突如としてやってきた謎の赤い光の本体。
その正体はドン・キラーが暴走した時、それを止めるべく生み出された更なる安全装置であるアンドロイド。
しかし、その存在は介人も当初は認知しておらず、それを教えた桃井陣ですらも「噂の域を出ませんが……」と半信半疑であった。

例によって休眠状態に置かれていたが、帰郷したジロウが寺崎巡査の駐在所の仏壇に供えられていたスイッチを押した事で起動した。

その姿は猿原と瓜二つ。
瞳の色と服装は緑を基調としているドン・キラーとは正反対に、補色となる赤系統のものであり、その上からショッキングピンクの縁取りが入った透明なコートを羽織っている。
「何で猿原さんの顔なんでしょう!?」「あ~……それは、かっこいいからか?」「流石です」

戦闘能力はドン・キラーと同等以上であり、同じ武装を持っていると思われる。


【キラーVSキラーの行方は?】

一種の本能で敵と判断したのか、ドン・キラー・キラーにも攻撃を仕掛けるドン・キラーと、それに対応するドン・キラー・キラー。

激しい攻防戦は決着が付かず、両者は地球を飛び出し、宇宙を飛び回りながらも攻撃の手を緩めなかった。
だが、そのまま彼らは地球からどんどん遠ざかって行き、決着も付かない千日手の状態に陥ったため、戻ろうとする事もなかった。

そんな彼らを見て、ゼンカイザーブラックはこうつぶやく。


あの2人は、恐らく……

未来永劫、果てしなく、戦い続けるだろう……。


こうして、ドンブラザーズ最大の脅威はあまりにも予想外過ぎる形で去ったのだった。


【余談】


  • 起動スイッチがバスの停車ボタン型なのは、「思わず押したくなる」というコンセプトに由来しているとオーディオコメンタリーで明かされている。
    また、このエピソードの放送後に「子供が本当の停車スイッチを押せなくなりそう」という旨のツイートも見られた。
    • 実際、停車ボタンのオモチャを見て大泣きした子供がいた模様。まぁ劇中とおんなじシチュエーションになっちゃうもんね。



  • ドン・キラー・キラーの直球すぎて二重に意味の重なるネーミングから「ニュートロンジャマーに対するニュートロンジャマーキャンセラー」を連想する視聴者が少なからずおり、この日一切関係なかった『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ関連のこの単語がトレンド入りする珍事が発生した。
    おまけに同日の夕方に放送された『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では、主人公機のガンダム・エアリアルGUND-ARM無効化する装備を更に無効化する機能を発動させるという、謎のシンクロニシティが起こることとなった。
    ちなみに、対抗措置への更なる対抗措置が「あまりにド直球過ぎる」命名になっている例は普通に実在する。
    例えば、妨害電波の様な電子装備への対抗措置「ECM(エレクトロニックカウンターメジャー)」への更なる対策は「ECCM(エレクトロニックカウンターカウンターメジャー)」である。


  • ドン・キラー・キラーが着ていたコートは、『仮面ライダービルド』第40話で氷室幻徳クソダサ「親しみやすさ」Tシャツと共に着用していたものと同じだが、使い回しなのか、それとも同じものを新たに購入したのかは不明。




あの2人は、恐らく……

未来永劫、果てしなく、追記・修正し続けるだろう……。


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最終更新:2025年03月16日 17:14

*1 この誕生日は猿原以外の2名は演者の本当の誕生日である事が東映特撮ファンクラブで配信されているオーディオコメンタリーバージョンで明かされている。なお、猿原の誕生日は「猿」の語呂合わせと思われる。