登録日:2022/12/15 (木) 08:00:00
更新日:2025/02/20 Thu 00:00:03
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ディズニーが贈る奇妙な“白黒3D”ワンダーランド!
禁断の実験で甦った、フラン犬。
彼の名は、スパーキー。
自分が“ヘン”なことに、気づいていない…。
「ずっと君と一緒だよ」
みんな、みんな、生き返る。
概要
『フランケンウィニー』(原題:Frankenweenie)は、2012年10月5日に
アメリカで公開された
白黒3Dによるストップモーションアニメ映画。
日本では2012年12月15日に公開。インスパイア・ソング「WONDER Volt」を木村カエラが手がけている。
監督は
ティム・バートン。意外にも長編ストップモーションアニメ映画で単独での監督作は初となる。
また、スピンオフで『キャプテン・スパーキー対 空飛ぶ円盤』も作られている。
本作は、バートンがディズニーのアニメーター時代の1984年に手がけた同名の実写短編作品の
セルフリメイクとなっている。
しかしオリジナル版は、当初『
ピノキオ』のリバイバル上映時に併映される予定だったのが、刺激が強すぎるという理由でPG指定を受け
お蔵入りにされたといういきさつがあった。
一方『ピノキオ』はG指定。指定の違う映画を同時に封切ることはできないため、このような措置になってしまったのだ。
「ちょっと待って、直接的な暴力描写なんてないでしょ?!」
「おとぎ話はかわいらしい子供向けの話だと言うけど、そんなもんじゃないんだよ!『ピノキオ』だって強烈な瞬間がいくつかあるし、この試写でも子供が泣いてたっていうのに……」
すっかり失望したバートンは、やがてディズニーを退社することに……
ところがオリジナル版は映画祭などでひっそりと上映されていたらしく、業界内では口コミでその評判が広まっていった。
さらにバートンの知り合いの女性がこれをワーナー・ブラザーズの人に見せたことがきっかけで、長編デビュー作『
ピーウィーの大冒険』を撮る機会に恵まれる。
「もしあの時『フランケンウィニー』をアニメで撮っていたら、アニメ界から脱出できなかっただろう。あれで実写を経験したから、その後もまた実写で映画を撮るチャンスをもらえたんだ」
つまり、
この作品なくして今のバートンは存在しなかったと言えるほどの
超重要作なのである。
その後彼の存在が映画界に知れ渡るようになるとオリジナル版は日の目を見るようになっていき、日本では『
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の公開時に東京・大阪のみで同時上映された。
現在では、『ナイトメアー~』のVHS・DVD・BDの特典映像やDisney+での配信にて容易に視聴できるようになっている。
これだけでも十分奇跡的な話だが、こうして長編映画としてリメイクまでされたのだから本当にドラマチックな話である。
――お蔵入りという作品としての“死”から、かつてこの作品を否定したディズニーによって、長編映画として堂々の復活。それはまるで、本作のスパーキーのように。
きっとバートンも、長年の溜飲を下げる思いだっただろう。
しかもその手法が命なきものを動かす「ストップモーションアニメ」ということを考えると、色々と象徴的と言える。
そして本作はバートンの子供時代の思い出、特に愛犬との思い出がベースとなっている。
子供の頃の原体験を語る彼の言葉は、犬を飼ったことのある人にとっては頷きたくなるものばかりであろう。
「子供にとってペットとの最初の関係は最初の愛の体験なんだ。それは特別なもので、無限で無条件の愛なのさ。人間同士の愛とは違う」
「例えば、1日出かけて帰って来ると、もう3年も会っていなかった気分になってしまう」
「そして……人間より寿命が短いから、初めてのピュアな絆だけでなく、初めての永遠の別れも経験することになる……」
「初めて飼ったうちの子ペペは、ジステンパーにかかって長生きできないって言われたのを覚えてる。よくわからなかったけど、とにかく不安だった。僕は空想の世界に逃避し、どうすればこの子の運命を変えられるか考えたんだ……だけど、思った以上に長生きしてくれた」
そこに、科学者が生命を甦らせる『
フランケンシュタイン』の物語を中心に、怪奇映画や怪獣映画のオマージュを絡めて生まれたのが本作なのである。
あらすじ
ほぼ毎晩雷雨の街、ニュー・オランダ。
そこに住んでいる科学が大好きな少年・ヴィクターの隣にはいつも友達の代わりに、最高の相棒にして愛犬、スパーキーがいた。
しかしある日、不慮の事故でスパーキーは死んでしまう。
その死を受け入れられないヴィクターは、科学の授業をヒントに、誰にも内緒でスパーキーを蘇生させようと試みる。
――実験には見事成功し、スパーキーは甦った。ツギハギだらけの“フラン犬”として……
自分が一度死んだことに気づいてないスパーキーは、屋根裏部屋から家の外に出てしまい、その存在がクラスメイトや家族に知られることに。
ヴィクターの秘密を知ったクラスメイトたちは科学展の優勝目当てに次々と、ペットや動物を生き返らせる実験に着手し始める。
そしてそれが、街を大混乱に陥れることになるのだった……!
登場人物
(CVは原語版/吹き替え版)
【フランケンシュタイン家】
・ヴィクター・フランケンシュタイン
(チャーリー・ターハン/吉永拓斗)
本作の主人公。10歳。
科学オタクの少年で、趣味は映画撮影。そのため、いつも屋根裏部屋にこもって発明や映画作りに没頭している。
ある日フシギちゃんからお告げを受けるが、後日野球の試合での事故により愛犬スパーキーを喪ってしまう。
オリジナル版ではボールを追って車に轢かれるだけだったが、本作では彼がホームランを打ったことが死の引き金になるという、さらにトラウマが深まりそうな展開が追加された。
このエピソードは、元プロ野球選手の父親に野球を押しつけられていたバートンの原体験から来ているとのこと。どんだけ野球が嫌いだったんだ……
愛犬の死を受け入れられなかった彼は、ジクルスキ先生の授業にヒントを得てその日の晩、ペット用墓地からスパーキーの亡骸を掘り出し、フランクリンの実験の要領で蘇生を試みる。
実験は見事に成功するも……秘密は早々に周囲に知られてしまうのだった。
名前の由来は、メアリー・シェリー作『フランケンシュタイン』の主人公の名前から。
・スパーキー
ヴィクターの愛犬のブルテリア。もちもちした質感がかわいい。
デザインは、バートンがキャラデザを担当した『ワンワン騒動記(別題:いじわる家族といたずらドッグ)』(原題:Family Dog)を参考にしている。
好きなことはボールを追いかけることや、ヴィクターの映画に出演すること。
ところが野球の試合での事故により、帰らぬ犬になってしまう……
後にヴィクターの実験によって甦るが、その姿は生前とは色々違っていた。
全身ツギハギだらけとなり、背中には水玉模様の布が縫い付けられている。かわいい。
首にはボルトが埋め込まれ、そこから充電したり放電したりできるようになった。
一方で水を飲むとツギハギから水漏れを起こし、尻尾や耳は簡単に取れてしまう。
おまけにハエにたかられてる描写もあることから、体の腐敗が進んでいるものと思われる。
が、本犬は元から能天気なこともあって、一度死んだ事実に気づいていない。
その後、家に侵入したおヒゲくんを追い出そうとして屋根裏部屋から飛び出してしまう。
このことからその存在が周囲に知れ渡ってしまい、街ぐるみの大騒動へと発展していくのだった……
両親に復活したことを知られたスパーキーは、再び家を飛び出し行方不明に。
家族総出でスパーキーを探しに行くが、その隙にクラスメイトたちが家に侵入。蘇生の秘密がついに知られてしまう。
一方スパーキーは逃げ出す直前に鏡に映った自身の姿を見たせいか、自分の墓のそばで眠っていた。
……おそらく自分の境遇に、ようやく気付いたのだろう。
その後ヴィクターに保護されるが、他の墓が荒らされていることに気づく。事件はすでに起きていたのだ!
その後ヴィクターたちは復活した怪物をあらかた退治したものの、ペルセポネが怪物化したおヒゲくんにさらわれてしまう。
スパーキーは、助けに向かったエルザが落とした被り物の一部を咥えて、ヴィクターの両親に危機を伝えようとするが……
運悪く町長に見つかってしまい、
その誤解から町民たちから命を狙われる羽目に。
風車小屋に追い詰められたエルザとペルセポネの元にヴィクターと共に駆け付けるスパーキーだったが、町長の持っていた松明の火が
風車に引火。
一人と一匹はエルザとペルセポネの救助に成功するも、ヴィクターはおヒゲくんに襲われ気絶してしまう。
風車小屋も崩れ始めている。まさに絶体絶命のピンチだ。
そんな中、スパーキーはヴィクターを風車小屋の外に引きずり出し、周囲からの誤解も解ける。
これにて一件落着……と思いきや、おヒゲくんはまだ生きており、スパーキーが燃え盛る風車小屋に引きずり込まれてしまった!
二匹が戦う中、おヒゲくんは
崩れた木材で串刺しとなり死亡。スパーキーも風車小屋の崩落に巻き込まれる。
……ヴィクターは、愛犬の二度目の死を目の当たりにしたのだった。
その後改心した町民たち総出で、車のバッテリーから来る電流を使ってスパーキーを蘇生させようとするが、スパーキーは目覚めない。
「もういいんだよ。戻って来なくていい……ずっと心の中にいる」
ヴィクターがついに愛犬の死を受け入れた……その時。
かつて自身の死の原因となった車の力で、スパーキーは息を吹き返したのだ!
皆で復活を喜び合う中、ペルセポネと鼻を合わせ、「THE END」の形の火花が飛び出す所で物語は幕を下ろす。
・エドワード・フランケンシュタイン
(マーティン・ショート/
平川大輔)
ヴィクターの父で、旅行代理店に勤めている。
ちなみにバートンの父親も非常勤の旅行業者として働いていたため、よく旅をしていたという。
内向的で友達がいないヴィクターのことを心配しており、科学展の参加と引き換えに自身がコーチを務める野球チームの試合に出場させるが、それが最悪の事態に繋がってしまう。
ラストの台詞は「パパの仕事は真ん中を探すことだよ」の言葉を踏まえると、複雑な考えが内包されていたことがうかがえるはず。
・スーザン・フランケンシュタイン
(キャサリン・オハラ/湯屋敦子)
ヴィクターの母で専業主婦。
彼女も同じくヴィクターには人間の友達を作ってほしいと願っているが、彼の探究心を大らかに見守っている。
小説版によると、彼女もまた子供の頃は息子と同じく人見知りで、部屋で本を読んだり一人で過ごすことが多かったらしい。
【クラスメイト】
ヴィクターの隣の家に住む、もの悲し気な雰囲気の少女。
彼がスパーキーを喪った時は誰よりも同情していた。
威圧的な叔父の町長に委縮気味であり、「オランダ・デー」にいやいや参加させられる。
名前の由来は、『フランケンシュタインの花嫁』で怪物の花嫁やメアリー・シェリーを演じたエルザ・ランチェスターと、『吸血鬼ドラキュラ』のエイブラハム・ヴァン・ヘルシング教授から。
小説版によると両親は考古学者で、発掘の旅に出ている間は叔父の家に預けられている。
しかし両親のことはあまりよく思われておらず、悪口ばかり聞かされているらしい。
・エドガー・"E"・ゴア
(アッティカス・シェイファー/関根航)
クラスの中でも浮き気味の、せむしの少年。
本人はそのことを気にせずいたってマイペースだが、科学展では才能あるヴィクターと組みたがっていた。
後に甦ったスパーキーを目撃し、ヴィクターに蘇生方法を教えないと周りにバラすと脅迫。
金魚の死骸で同じ実験をさせ、全身透明になったとはいえ成功するも、結局そのことをトシアキたちにバラした。
しかもナソルに脅された時に瓶の中から金魚が消えたことが発覚。
周りから透明金魚消失の件で詰められたとき、ついにスパーキー蘇生の件もバラしてしまうのだった……
名前の由来は、フランケンシュタイン博士のせむしの助手イゴールから。
クラスメイトたちに詰められた後も実験を諦めておらず、学校のゴミ箱の中にあったネズミの死骸を実験台にする。
その結果、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の狼男を彷彿とさせる怪物に変貌。
エドガーだけでなくエルザも襲うが、助けに入ったスパーキーのボルトを噛んで感電し、元の死骸の姿に戻った。
・トシアキ
(ジェームズ・ヒロユキ・リャオ/島﨑光)
負けん気が強い日本人の少年。科学展の優勝を目指し、ヴィクターをライバル視する。
ペットボトルロケットの実験では、ボブが転落して大怪我を負ってもお構いなしにカメラを回す冷徹さを見せている。
所属している野球チームでのポジションはピッチャー。
フシギちゃんのお告げでは完全試合を達成しており、珍しくよい結果となっている。
また、原語版では日本訛りでしゃべり、さらには日本語を発する場面もある。
スパーキー蘇生の秘密を知った後はペット用墓地に忍び込み、自身のペットだった亀のシェリーを復活させる。
……その結果、シェリーは
某亀型怪獣を思わせる巨大な姿に変貌、「オランダ・デー」で盛り上がる遊園地を襲撃し始める。
ボブと共にヴィクターに助けを求めるが、それでも彼は懲りずに暴れるシェリーの姿を撮影し続けていた。
しかしシェリーは飼い主さえも襲い始め、ヴィクターによって感電させられる。
感電する姿さえも撮影し続けていたが、やがて元の死骸に戻ったのを寂しげに見つめるのであった……
シェリーの名前の由来は恐らく、『フランケンシュタイン』の作者、メアリー・シェリーからだろう。
・ボブ
(ロバート・キャプソン/中村一葵)
トシアキと一緒にいることが多い、ふくよかな体系の少年。
フシギちゃんのお告げではマンホールに落ちている。
トシアキにペットボトルロケットで人を飛ばす危険な実験に駆り出され、左腕骨折の大怪我を負う。
この事故が、ジクルスキ先生が解任されるきっかけになってしまう。
スパーキー蘇生の秘密を知った後、トシアキとは別行動を取っており、家のプールでシーモンキーを実験台にしていた。
その結果、シーモンキーは
グレムリンを彷彿とさせる怪物の群れに変貌。遊園地を襲撃し始める。
しかしポップコーンを食べた途端、体が爆発。
シーモンキーたちが真水の中で復活させられたことを知ったヴィクターは、塩分が弱点であることを突き止め、ボブと共にポップコーンの屋台に彼らをおびき寄せて退治することに成功した。
・ナソル
(マーティン・ショート/小倉史也)
陰気で悲観的な言動の少年。こちらも科学展の優勝を目指している。
所属している野球チームでのポジションはキャッチャーで、トシアキとバッテリーを組んでいる。
フシギちゃんのお告げではデッドボールで意識不明となっている。
見た目のモチーフは、フランケンシュタインの怪物を演じたボリス・カーロフから。
トシアキと共にペット用墓地に忍び込み、自身のペットのコロッサスを復活させる。
その墓は立派なお堂の中にあり、さぞかし大きな生き物だったのだろう……と思いきや。
正体はハムスターであり、復活したその姿はミイラ化した芋虫のような姿という、
他のクラスメイトと比べて明らかにショボいものだった。
トシアキのペットのシェリーに立ち向かわせるが、まったく勝負にならず、
あっさり踏みつぶされた。
そればかりかナソル自身も、シェリーに吹っ飛ばされて旗やらコードやらが巻き付きミイラみたいな姿になった挙句、マトリョーシカ型のケースに閉じ込められてしまった。
ちなみにコロッサスの意味は「巨大な彫像」。その正体を考えるとギャップがデカすぎる。
・フシギちゃん
(キャサリン・オハラ/宮本侑芽)
その名の通り、不思議な言動の少女。原語版では
Weird Girl。
授業の時以外は常に白猫の「おヒゲくん」を抱きかかえている。
特技はおヒゲくんの「夢のお告げ」を伝えること。
お告げと言っても、あくまで当人の身に何か大きなことが起きるのが分かるだけで、具体的な内容は本人にも分からない。
そしておヒゲくんが「夢のお告げ」を見るのは、
対象のイニシャルの形をしたフンを出した時。
しかもその出したものを見せびらかすため、周りから引かれている。
モデルはバートンの絵本『
オイスター・ボーイの憂鬱な死』に登場する「ステアガール」だと思われる。
科学展のことには興味なさそうだった割に、クラスメイトたちがヴィクターのアイデアを盗む時には
なぜかしれっと同行。
おヒゲくんが咥えてきたコウモリの死骸を実験台にするが……
落雷のタイミングでおヒゲくんは再び死骸を咥えてしまい、
コウモリと融合した怪物の姿に。
暴走し部屋から飛び去っていくおヒゲくんを、彼女はただ見つめることしかできなかった……
その後彼女は遊園地でおヒゲくんをなだめようとしていたが、それも空しくおヒゲくんはペルセポネをさらってしまう。
まさかの
ラスボスポジションとなったおヒゲくんであるが、実験台の中では唯一生きたペットかつ、変貌したのも偶発的な事故が原因なことから、その末路は賛否両論となっている。
【その他のキャラクター】
・ジクルスキ先生
(マーティン・ランドー/壤晴彦)
ヴィクターたちが通うニュー・オランダ小学校に赴任してきた科学の教師。言葉に東欧訛りがある。
死んだカエルの脚を電流で動かす実験を見たことが、スパーキー復活のヒントとなった。
その熱心な姿勢とユニークな教え方から生徒たちの評判は良かったが、エドワードが庇うのも空しく大人たちからは理解されず、さらに歯に衣着せぬ物言いから解任されてしまった。
別れ際にヴィクターにかけた言葉は、本作のテーマを象徴していると言える。
「皆科学の恩恵を受けたがるが、質問を嫌う。科学が問いかける質問をな」
「科学を考えるのは(頭を指さし)ここ。だが大事なのは(胸に手を当て)ここもだ」
「科学には、いいも悪いもないのだよ。だが両方の使い方ができる。だから、常に気を付けなければならないのだ」
つまり、蘇生実験を心からスパーキーを愛し再会を願って行ったヴィクターと、科学展での優勝という利己的な動機から行った他の子供たちでは大きな違いがあったのだ。
モデルは恐らく、戦後を代表するホラー俳優にしてバートンの憧れでもあるヴィンセント・プライスだろう。
スパーキーを取り戻したい一心で研究を行ったヴィクターの蘇生術は、魂や肉体の安定度が他の子供たちのそれとは段違いのものだった。
一方で、エドガーの脅しで嫌々蘇生させた金魚は暴走こそしなかったが、肉体の透明化や消滅という失敗に終わった。
そして他の子供たちは、「結果だけを求めて愛情を疎かにした」ためあのような事態を招き、恐怖体験に加えペットをもう一度失う罰を受けることになった。
蘇生という禁断の行いをしたヴィクターも罰は受けたが、それでもあの最期を迎えられたのは、愛する心があったおかげだからなのかもしれない。
・体育の先生
(キャサリン・オハラ/近藤春菜)
解任されたジクルスキ先生の代行として、科学の教師も兼任することになった体育教師。
しかしその高圧的かつ科学を軽んじる態度から、生徒たちの評判は悪い。
自分は誰よりもまともな存在だと思い込んでいるが、生徒たちが引き起こした大事件により初めて悲鳴を上げることに……
・ブルゲマイスター町長
(マーティン・ショート/赤星昇一郎)
フランケンシュタイン家の隣人で、ニュー・オランダの町長。
権威的で気難しい性格で、常にヴィクターやスパーキーの行動に目を光らせている。
「オランダ・デー」の成功に命を懸けているが、事件が起きた時には真っ先にトイレに逃げ込むヘタレ。
元ネタは、1970年に放送されたクリスマス特番『サンタが街にやってきた サンタクロースの秘密』の悪役から。
・ペルセポネ
エルザの飼い犬で、アフロヘアのプードル。スパーキーとは相思相愛だった。
そのため、スパーキーの死には心から胸を痛めていた。
後にスパーキーは復活し共に再会を喜ぶが、首のボルトに触れて感電したことで稲妻型のメッシュが入る。
名前の由来は
ギリシャ神話の
死と再生を司る冥府の女王から、髪型の元ネタは『フランケンシュタインの花嫁』から。
オリジナル版ではラストで
唐突に登場するのみだったが、本作ではかなり出番が増やされている。
余談
〇スパーキーが埋葬された墓地には
“Goodbye Kitty”と書かれた墓標が立っている。
この墓標はオリジナル版にも登場しており、何なら近所の女の子の部屋に
ハローキティのポスターが貼られていたりする。
〇ヴィクターが墓地からスパーキーを掘り出した後、両親が見ている実写映画は『
吸血鬼ドラキュラ』。
クリストファー・リーはこれを含めると、バートン作品に6回出演したことになる。
〇クライマックスの風車小屋のシーンは、『フランケンシュタイン』だけでなく、ディズニー短編アニメ『風車小屋のシンフォニー』へのオマージュでもある。
バートン自身この風車小屋のシーンがよほど気に入っているらしく、『
スリーピー・ホロウ』などでもオマージュされている。
〇第56回ロンドン映画祭の開幕作品となった本作。
作品の背景が背景なだけに、ここではディズニーをクビになったことへの質問も出た。
「『お前はクビだ!』みたいなことはなくて、そこはディズニー・フレンドリーで……」と答えるバートンに対し、
すかさずマーティン・ショートが
ミッキーマウスの声色で
「キミはクビだよ♪」と横から混ぜっ返して会場を沸かせる一幕も見られた。
〇バートンが来日した時、なんと
ニャンちゅうがインタビュアーを務めていた。
Q:
「ティム監督は子供の頃、どんな少年だったんですか?」
A:
「子供の頃パペットが怖くてたまらなかった。……すみませんね。しかしモンスター映画は好きで、犬に対するのと同様にモンスター映画に対する愛も、とてもリアルなものだったのです」
……ニャンちゅうは泣いていいよ。
追記・修正は、愛するペットを甦らせてからお願いします。
- 吹き替えには六花やニカ姉の人も出てたのか -- 名無しさん (2022-12-15 09:56:18)
- 木村カエラの主題歌と今の時代に白黒で映画やるんだという印象を抱いた作品。まだ見てないからこれを機に見てみようかな。 -- 名無しさん (2022-12-15 19:29:04)
- ニャンちゅうェ・・・ -- 名無しさん (2022-12-15 21:25:02)
- 以前ナイトメアー・ビフォア・クリスマスのVHS版を持ってたから、そんなに貴重な存在だったとは知らなかったな -- 名無しさん (2022-12-16 00:32:43)
- もしも実際に雷のショックで死体を生き返らせる技術を発明できたら、『小学校の科学展で優勝』どころか、『ノーベル賞取れる』くらい凄いのに何故誰もそれに気づかないんだろう………? -- 名無しさん (2022-12-28 20:48:32)
- おヒゲくんが何をした…(泣)にゃんこ好きだから悲しすぎる -- 名無しさん (2023-05-15 21:30:49)
最終更新:2025年02月20日 00:00