ミニ四駆レッツ&ゴー!! POWER WGP2

登録日:2024/08/30 Fri 12:10:36
更新日:2025/03/07 Fri 20:16:44
所要時間:約 20 分で読めます




『ミニ四駆レッツ&ゴー!! POWER WGP2』は、爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGPを原作とするゲーム。
ハードはスーパーファミコン。1998年発売。
開発元はジュピター、発売元は任天堂


+ 目次


概要


SFCで発売されたミニ四駆のゲームといえば、1996年に発売された『ミニ四駆シャイニングスコーピオン 〜レッツ&ゴー〜』がおそらく最も有名であるが、本作もファン人気の高い隠れた名作として知られる。
「ホビーとしてのミニ四駆の再現」を目指した『シャイニングスコーピオン』に対し、本作『POWER WGP2』は「原作・アニメの忠実な再現」を目指した作品となっている。

ミニ四駆ゲームの代表作である『シャイニングスコーピオン』と本作を比較してみると、
項目 POWER WGP2 シャイニングスコーピオン
世界観 アニメの世界観にかなり忠実
烈や豪といった原作キャラを操作し、
世界各国のライバルチームと戦う
ゲーム独自の世界観を持つ
ゲームオリジナル主人公を操作し、
原作キャラはライバルとして登場する
パーツ 架空のパーツが登場する
RPGのようにレベルアップでマシンが成長
高性能なパーツ集めとマシン育成が重要
現実に存在するパーツが登場する
コースに合わせたセッティングが重要
一部のパーツは消耗品で性能が低下していく
レース コースにレーンという概念がない
道幅の広いコースを複数のマシンが一斉に走る
GPチップというAIによって、
マシンはカーブを自動で曲がる
プレイヤーはマシンをある程度操作可能
マシン同士の接触も頻繁に発生する
コースはレーンごとに壁で仕切られている
1レーン1台が走り、マシン同士は接触しない
(イベントシーンでは接触することもある)
レース中、プレイヤーは基本的に眺めているだけ
コースアウトが存在する
総括 アニメWGP編を再現したRPG的な作品
WGPをゲームで表現することを重視している
シナリオにも力が入っている
ミニ四駆シミュレーター的な作品
現実のホビーとしてのミニ四駆に近い、
リアリティのあるセッティングやレースを重視している

それぞれこのような特徴があり、同じSFCのミニ四駆ゲームながら、その方向性の違いは非常に分かりやすい。


■ストーリーについて

本作のストーリーは原作・アニメの追体験型ではなく、“第2回WGP”を舞台にした続編となっており、TRFビクトリーズが第1回WGPを制した後のifストーリーを描いている。
生き生きとしたキャラクター描写やユーモア溢れる会話シーン、ホビーアニメの王道を行く熱い展開は、ゲームオリジナルストーリーながら原作・アニメに見劣りしない素晴らしい出来映え。

鉄心先生のワガママで烈が女装するハメになったり、Jとチイ子の人格が入れ替わったり…といったユーモラスな展開が多く、時には海外チームも巻き込んだ騒ぎにも発展する。
また、前回大会を経てレースの楽しさに目覚めたイタリアのカルロや、劇場版で登場したXTOリボルバーズの再登場等、ファンなら楽しめるシーンが目白押し。
佐上ジュン、こひろまこと、黒沢太といった原作国内編のキャラクターとの交流も多く描かれるため、彼らのファンにとっても楽しめる作品。
さらに、爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAXの主人公・豪樹と烈矢もゲスト参戦しており、彼らと対決できるサブイベントも存在する。
一部、ゲームオリジナルキャラクターも登場するが、シナリオの完成度の高さから全く違和感なく世界観に馴染んでいる。

総じて、スタッフの原作・アニメへの愛の深さ・理解度の高さがうかがい知れる一作で、キャラゲーとしての完成度は極めて高い。


■難易度について

本作のゲームとしての難易度はかなり低め。
上述のとおり、本作は“ホビー・模型としてのミニ四駆”を再現したものではないため、パーツやセッティングのリアリティはない。
そのため、基本的に「より性能の高いパーツを入手して、タイムアタックでタイムを縮めて経験値を貯め、マシンをレベルアップさせる」というルーチンを繰り返すだけで攻略できるようになっている。
「ミニ四駆なのにセッティングの楽しさがない」というのは本作の欠点でもあるが、一方でこれは「複雑なセッティングを考える必要がなく誰でも遊びやすい」という長所でもある。

上述の『シャイニングスコーピオン』が複雑なセッティングシステムや消耗品パーツの管理などで難易度が非常に高かったことを考えると、どちらが良いのかは一概に言えない。*1
本作は小学生向けのキャラゲーとして「多くの子供がクリアでき、ストーリーを楽しめる」という作品を目指したが故の低難易度設定なのだろう。



ゲームシステム


■ストーリー進行

ストーリーは全10章で、各章はアニメのAパート・Bパートのように前半・後半に分かれている。

前半パートではビクトリーズのメンバーの誰かが主人公となり、町の人々と触れあったりライバルと出会ったりしてストーリーが進行する。
大抵の場合、話の流れでライバルからレース勝負を持ちかけられるので、自身のマシンを鍛えてライバルとのレースに勝てばクリア。
アイキャッチが挿入され、後半パートに進む。

後半パートでは、始めに土屋博士から「次の対戦相手」「対戦ルール」が発表される。
その後、ビクトリーズ5人全員が操作可能になり、次の試合に備えてマシン5台分を鍛えていく。
準備ができたら土屋博士に話しかけていざ試合へ。
試合には勝っても負けても次の章に進む。ただし、負け数が増えすぎるとゲームオーバーになる。

なお、ビクトリーズの対戦相手は基本的に「前半パートで絡んできたチーム」になるため、前半パートでの因縁を後半パートで昇華していく、というのが各章のシナリオ構成になっている。
この「前半で絡んできたチームが次の対戦相手になる」という流れはストーリー終盤にもなると半ばお約束としてビクトリーズ内にも定着しており、土屋博士が対戦相手を発表する前にメンバーが「もう知ってる」的な反応を見せるという、思わず笑ってしまう場面も。

Aパート・Bパートには様々なサブイベントが用意されている。
これらをこなすことで強力なオプションパーツが手に入ったり、試合で一度だけ使えるレースアイテム*2を入手できる。
サブイベントはギャグ寄りの内容も多い。

+ サブイベントの例
レースアイテム『ハダカおどり』のサブイベント
  1. 算数の成績が悪かったことを理由に、校長から追試を迫られる豪
  2. 絶対に追試を受けたくない豪は「俺が追試に合格したら、次の試合で校長は裸踊りで応援しろと無茶な要求をする
  3. 突然の要求に面食らう校長だが、「あの豪くんが合格するわけがない」と考え、裸踊りをまさかの快諾
    結局、追試を受けることになり焦る豪
  4. 算数のミニゲーム*3が始まり、クリアするとレースアイテム「ハダカおどり」を入手
    校長「とんでもないことになってしまった…」
  5. 次の試合(サバンナソルジャーズ戦)でレースアイテムを使うと、校長の裸踊りによってマシンの性能が一時的にアップする
    豪「マジでやりやがった…!」


レースアイテム『黄色い声援』のサブイベント
  1. 鉄心先生がフランス代表『レ・ヴァンクール』の人気レーサー、ディアナのサインが欲しいと言い出す
  2. 「ディアナは可愛い女の子にしかサインしない」とのことで、鉄心はジュンにサインを貰ってくるよう頼み込む
    豪「(可愛い女の子限定なら)ジュンじゃ無理だろ」
    ジュン「は!?」
  3. ストーリー前半パートでディアナの変人ぶりを知っていたジュンは鉄心の依頼を拒否
    代わりにビクトリーズがサインを貰いに行くことに
  4. ビクトリーズは男しかいないため、案の定ディアナにサインを断られる
  5. 「誰かが女装してサインを貰いに行く」という話になり、豪が「それなら烈兄貴だろ」と提案する
    烈「何でそうなるんだよ!」
  6. 鉄心に恩義のあるリョウが「俺が(女装して)サインをもらってくる」と言い出し、慌てるビクトリーズ一同
    藤吉「…烈くん!」
    J「烈くん!!」
    豪「烈兄貴!!!」
    烈「…分かったよ!!」
  7. 烈が女装するハメになり、藤吉の家で働くメイド・マキの力を借りて美少女に変身
    しかし、メイクが完璧すぎてビクトリーズ一同が烈と分からなくなる事態に
    可愛い女の子「じゃあ、行ってくる」
    豪「誰だアイツ?」
    藤吉「さあ?チイコの友達じゃないでゲスか?」
    J「可愛い子だね」
    藤吉「そうでゲスなぁ///」
  8. 無事サインを入手し戻る烈
    可愛い女の子「貰ってきたぞ」
    ビクトリーズ一同「…!!」
  9. ディアナのサインと引き換えに、レースアイテム「黄色い声援」を入手
    レ・ヴァンクール戦で使うとマシンの性能が一時的に強化される


■レースシステム

アニメで描かれたWGPのように、レーン仕切りのない広いコースをマシンが一斉に走る。
基本的に「相手より先にゴールすれば勝ち」だが、チーム戦の場合はルールによって勝敗の決め方が異なる。

+ 試合のルール設定について
  • ポイント制
    • 各チーム5台ずつ、全10台のマシンが一斉にスタートする
    • 1位から順番にポイントが与えられ、合計ポイントの高いチームが勝利する*4
  • リレー制
    • 各チーム5台の走行順を予め決めておき、1台ずつ順番に走る
    • 2台目・3台目…と交代していき、アンカー(5台目)が先にゴールしたチームが勝利する
  • 4トップ制
    • 各チーム5台ずつ、全10台のマシンが一斉にスタートする(ポイント制と同じ)
    • 自チームの5台中、先に4台のマシンがゴールしたチームが勝利する*5

コースについては、スタートとゴールが同じ場所になっていてグルグルと何度も周回するタイプのコースもあれば、スタート・ゴールの位置が個別に設定されていて周回しないロングコースもある。

レース中、プレイヤーは任意のタイミングで爆走ポイントを消費してマシンを加速させたり、自機の位置取りを調整したり…といった操作が可能となっている。
原作やアニメで定番の「いっけぇぇぇマグナーーム!!」と叫んだら加速する、という現象をゲームにきちんと落とし込んでおり、またレース中に相手チームのレーサーとの会話が頻繁に発生*6したりと、原作・アニメのWGP編の雰囲気を楽しめる。

マシン同士が接触すると互いにダメージを受け、耐久力が0になるとマシンが走行不能になりリタイアとなってしまう。
また、一部のレースでは敵がバトルレースを仕掛けてくるため、積極的にぶつかってきたり、こちらの耐久力を削る技を使ってくる。
相手とのレベル差があるほどダメージ量が変化するため、必要以上にこちらのマシンを鍛えていると、別に相手を壊すつもりはなくともちょっとした接触から相手のマシンが大破してしまうことも。


■パラメータ

マシンのパラメータは次の7つからなる。
基本的にPWが最も重要。(SPとPWは意味が逆な気もする)

項目 説明
SP スピード。加速力を意味する。
この値が高いほど最高速に達するのが早くなる。
CN コーナリング性能。曲がりやすさを意味する。
この値が高いほどカーブを鋭く曲がり、最短距離で走行できる。
PW パワー。最高速度を意味する。
この値が高いほどマシンが速くなる、最も重要なパラメータ。
DF ダウンフォース。
上り坂・下り坂での速度に影響する。
WT ウェイト。マシンの重さを意味する。
重いほど加速力が悪くなる。
DP ダメージポイント。耐久力を意味する。
この値が高いほどマシンが壊れにくい。
BP 爆走ポイント。
この値が高いほど爆走(=一時的なダッシュ)が長く持続する。


■パーツの入手

パーツは土屋博士の研究所で研究員に勝利することで入手できる。
パーツの種類はモーター・ギヤー・タイヤ・バッテリー・バンパーの5種類。
研究員ごとにどのパーツをくれるのかが決まっているので、欲しいパーツがもらえるまで同じ研究員とひたすら戦うことになる。

登場するパーツは「マーキュリーモーター」「ヴィーナスギヤー」など架空のパーツとなっている。
また、パーツ名の末尾には「PW+2」「CN+4」などの表記があり、これは該当ステータスにボーナス値が加わったパーツであることを意味している。*7
+値は1~4で、数値が大きいほど高性能。

研究員とのレースでは、研究員に勝った人数分だけパーツがもらえる。
例えば、5人全員を一斉に走らせて全員が研究員に勝利すれば、5個のパーツを一気に入手できる。(研究員が走らせるマシンは1台だけ)
パーツにはレアリティがあり、高性能なパーツ(パーツ名末尾の+値が高いパーツ)ほど入手しにくい。

研究員から貰える基本的なパーツの他に、『オプションパーツ』という特殊なパーツもある。
オプションパーツは主に各章のサブイベントをこなすと入手できる一品もので、各マシンに一つだけセットできる。
マシンのパラメータにさらなる味付けができるので、長所を伸ばしたり弱点を補うようなパーツを選んでつけよう。


登場人物・出場チーム


TRFビクトリーズ

ご存知、我らが日本代表チーム。前回大会の優勝者。
マシンが統一されておらず、それぞれがユニークな性能を持つのが特徴。

星馬 烈

ビクトリーズのリーダー。豪の兄。
真面目で誠実な性格。そしてミニ四駆にかける情熱は人一倍強い。
ストーリー中、烈が単独主人公になる章が存在せず*8、そういう意味ではやや扱いが悪いが、チイコ絡みでサブイベントが豊富なのが救いか。

使用マシンはバスターソニック
コーナリング性能が高めのマシンだが、育ち方によっては直線でもけっこう速い。
爆走ポイントもそこそこ多く、目だった弱点がない優秀な性能。
コースを選ばず走れるので、序盤から終盤まで頼れる1台。


星馬 豪

烈の弟。明るく、直情的な性格の熱血漢。
なんだかんだでビクトリーズのエース。土壇場では一番頼れるかっ飛び野郎。

使用マシンはビートマグナム
ストレート重視のマシンで最高速度に優れ、さらに重量が軽いため加速も良好。
爆走ポイントが非常に多く、育ってくるとコースの大半を爆走状態で駆け抜けることができるようになる。
しかし序盤はコーナリング性能が劣悪で、頻繁に壁にぶつかるのでややコースを選ぶ。
3章でまことから貰えるオプションパーツ「MGコーティングローラー」でコーナリング性能を補強すれば第一線で戦える。


三国 藤吉

三国コンツェルンの御曹司。お調子者で、猿の着ぐるみをよく着ている。
コミカルな性格のためギャグパートでもよく活躍する。
フランス戦では「ビクトリーズの中では低レベルなレーサー」と言われてしまう悲しい場面も…。

使用マシンはスピンバイパー
コーナリング性能に特化したマシン。加速力も高め。
しかし最高速度が明らかに低いため、なかなか活躍させづらい。
オプションパーツで補強するのが望ましいが、PWを高めるオプションパーツはメンバー内で取り合いになりがちなのが辛いところ。


J

おだやかで優しい性格の少年。金髪で色黒。
元々は大神研究所に所属するバトルレーサーだったが、現在は改心して土屋研究所のお世話になっている。
本作では彼が単独主人公になる章が何気に2回もあり、出番が優遇されている。*9

使用マシンはプロトセイバーEVO
ややストレート寄りだが、全体的にクセのない性能のバランス型マシン。
パラメータに穴がなく、コーナーも直線も走れるので非常に扱いやすい。
5人がそれぞれ別のセクションを走る「セクションリレー」形式の試合では、どんなセクションでも任せられる安定感からバスターソニックと並んで頼りがいがある。


鷹羽 リョウ

寡黙だが、しっかり者で頼りがいのある少年。
普段は弟のニ郎丸と共に、山にテントを張って生活している。
サバンナソルジャーズの沖田カイや、アストロレンジャーズの紅一点・ジョーと仲が良い。

使用マシンはネオトライダガーZMC
ストレート性能に特化したマシン。最高速度はビクトリーズでも随一。
しかしマグナムと同じく序盤はコーナリング性能が低めで、スピードが速いのも手伝ってよく壁にぶつかる。
しかもマシンの重量が重いため加速力に難があり、壁に衝突するとタイムロスが大きい。
序盤で「ミステリーウェイト」というオプションパーツを入手でき、これを装備するとマシン重量がかなり軽くなるので、本機が扱いやすくなる。
爆走ポイントが低くあまりダッシュできないが、素のスピードが速いのでそこはあまり気にならないだろう。


■NAアストロレンジャーズ

アメリカ代表チーム。リーダーはブレット。
ドイツ・イタリアと並んで強豪と言われるチーム。
「前大会優勝者は皆から追われる立場にある」ことをビクトリーズに理解させるため、星馬兄弟に野良試合を挑む。
彼らなりのやり方で、ビクトリーズの気持ちを引き締めさせた。
ストーリーでは最初の対戦相手となる。こちらのマシンが育っていない時期なのでやや手強い。

使用マシンはバックブレーダー
アクティブサスペンションやパワーブースター等のシステムを搭載したハイテクマシン。
本作ではさらに『サテライトエネルギーチャージャー(S.E.C)』なる新システムを搭載している。
これにより、人工衛星からエネルギー供給することでパワーブースターを1試合で2回発動することが可能になっている。
ビクトリーズ戦では天候不良のため本機能は使えなかった*10ものの、最終予選においてついにヴェールを脱ぐ。
アストロレンジャーズはレース開幕からパワーブースターを発動して他チームを圧倒、その後S.E.Cでエネルギーを補給しレース終盤に再度パワーブースターで加速するという荒業で全員の度肝を抜いた。
外部装置からのエネルギー供給って反則じゃないのかというツッコミは禁止


■サバンナソルジャーズ

アフリカ代表で、メンバー全員が女性という異色のチーム。
リーダーはジュリアナ。また、かつてビクトリーズと戦った沖田カイがコーチを務めている。
ストーリーでは2章および8章の対戦相手となる。

使用マシンはビークスパイダーゼブラ
カイが使用するビークスパイダーをベースとした姉妹機。
オリジナルと違い、空気の刃で攻撃したりはしてこない。

沖田カイ

サバンナソルジャーズのコーチを務める少年。
元は大神研究所のバトルレーサーだったが、現在は改心している。

使用マシンはビークスパイダー
元は大神研究所で作られたマシンで、大神の元を離れてからも彼の愛機となっている。
空気の刃で敵のマシンを切り裂くという恐ろしい能力を持つが、現在はこの機能を封印している。


■CCPシルバーフォックス

ロシア代表チーム。リーダーはユーリ。
個人の実力はさほどでもないが、卓越したチームワークに定評がある。
ストーリーでは3章および9章の対戦相手となる。
どちらの章も主人公を務めるのはJ。9章では藤吉の友人としてユーリが三国邸に招かれるが…?

使用マシンはオメガ
寒冷地でも走れるように設計されているらしいが、それ以外に目立った個性がない、やや地味なマシン。


■XTOリボルバーズ

ペルー代表チーム。リーダーはリオン。監督はリオンの父・クスコ。
劇場版作品『爆走兄弟レッツ&ゴー!! ~暴走ミニ四駆大追跡~』に登場したチームで、監督のザビー・クスコは土屋博士や岡田鉄心の知り合い。
GPチップの開発遅延から第1回WGPには参加できなかったが、今大会から念願の出場を果たす。
ストーリーでは4章で登場。ひょんなことから土屋博士・岡田鉄心・クスコ博士の大人げない戦い*11が始まり、ビクトリーズとリオンが巻き込まれる。

使用マシンはガンブラスターXTO
GPチップはクスコ(X)、ボディ形状は土屋博士(T)、素材は岡田鉄心(O)がそれぞれ手掛けている。
フロントモーターを採用した珍しいマシンで、走行中は『空気の鎧』を纏うことが可能。


小四駆走行団 光蠍(しょうよんくそうこうだん ごんき)

中国代表チーム。リーダーはリー。ストーリーでは5章で登場。
前回大会ではホワァンを除く4人は空龍(クーロン)というマシンを使用していたが、今大会では新マシンを引っ提げて参戦する。

使用マシンはシャイニングスコーピオンおよびシャイニングドラゴン
ホワァンが使用するシャイニングスコーピオンは、岡田鉄心が過去に製作したZMCマシン。
他の4名が使用するシャイニングドラゴンは本作のオリジナルマシンで、一言で表現すると「量産型シャイニングスコーピオン」。
見た目は単なる緑色のシャイニングスコーピオンで、ボディはZMCではなく強化プラスチックとなっている。
性能的にはスコーピオンの劣化版だが、ベース機がベース機なので基礎性能は高い。


■レ・ヴァンクール

フランス代表チーム。リーダーはディアナ。
原作やアニメには登場しない、本作オリジナルキャラクターによるチーム。
ただしレッツ&ゴーのファンであれば、「アーム」というレーサーには見覚えがあると思われる。*12
アームを除く4人はリアクションがいちいちおおげさで、常に芝居がかったセリフ回しをする。
美形できらびやか、華のあるメンバーが揃っているため、作中では女性ファンが非常に多い。
ストーリーでは6章で登場。鋭いコーナリングが持ち味の藤吉に対し、まさかの超ロングストレート勝負を挑んでくる。

使用マシンはシュヴァリエ・ド・ローズ*13本作のオリジナルマシン。
レ・ヴァンクールは序盤こそさほど速くないものの、レース後半になると怒濤の追い上げを見せる“革命レース”を得意とするのだが、その秘密は本機の能力にある。
このマシンはなんとハッキング能力を備えており、レース中に相手チームのマシンのGPチップをハッキングすることで走行データをコピーしている。
これにより、ハッキングが完了するレース後半に走行の質が上がる特性を持つため、これが「革命」のタネとなっている。


■ロッソストラーダ

イタリア代表チーム。リーダーはカルロ。
原作・アニメではバトルレースを仕掛けてくる印象的な悪役チームだったが、本作でもその傾向は大きくは変わらない。
ただしリーダーのカルロのみ、前回大会を経て純粋なレースの楽しさに気づいたため、バトルレースなどの反則行為からは足を洗っており、そのことで他のメンバーとの不和が生じている。*14
ストーリーでは7章で登場。豪とカルロがタッグを組み、バトルレースを仕掛けてくるルキノたちと戦うという熱い展開が見られる。

使用マシンはディオスパーダ
アメリカやドイツのマシンに並ぶハイテクマシンで、リヤステアリング機能により高速でコーナーを曲がれるのが特徴。
レースマシンとして素直に優秀な性能なのだが、ビクトリーズ戦では(カルロを除いて)やっぱりバトルを仕掛けてくる。
混戦になるとロッソストラーダからのアタックでこちらのマシンが破壊されかねないので、爆走を積極的に使って距離を離すことが重要。
カルロ以外の4人はさほど速くなく、かつポイント制ルールなので2~3台が混戦から抜け出すことができれば十分勝てるだろう。
サブイベントをこなしていればレースアイテム「愛の声援」を入手でき、チイコの応援でマシンの耐久力が回復するので、ダメージがある程度積み重なったタイミングで使っておきたい。


■アイゼンヴォルフ

ドイツ代表チーム。リーダーはミハエル。
アメリカ・イタリアと並ぶ強豪で、優勝候補と目される。
本作では唯一、ビクトリーズとの直接対決が存在しない。
一応、ストーリー中盤で練習施設を利用している彼らと交流できる機会がある。
また、ストーリー最終話ではそれまでのビクトリーズの成績が全勝だった場合に限り、ミハエル / シュミットの2名が予選の対戦相手として登場する。*15

使用マシンはベルクカイザー
左右非対称のボディが特徴の風変わりなマシンで、R型・L型の2種類が存在する。
R型・L型が並走し加速する必殺技『ツヴァイ・ラケーテ』も本作では再現されており、上述の予選における彼らはこの技で1・2フィニッシュを狙ってくる難敵となっている。


■エンシェントフォース

エジプト代表チーム。リーダーはラー。
フランスと同じく、本作のオリジナルキャラクターによるチーム。
メンバー全員が寡黙で、いろいろと謎が多い。
2章では沖田カイをつけ狙う姿が描かれ、さらに8章ではサバンナソルジャーズのミシェルを負傷させるという暴挙に出てコーチのカイを選手として引きずり出した。
ストーリーでは最終話の決勝戦にて登場。大観衆の前でも臆せずバトルレースを仕掛けてくる。

使用マシンはピラミタルスフィンクス。本作オリジナルマシン。
科学と古代の力の融合により実現した『テレポーテーション』を行うことができる。
この技術力をミニ四駆以外にも応用してほしい

+ 以下、ネタバレ

「久しぶりだな、土屋の犬ども…」

エンシェントフォースを裏で操っているのは、あの大神博士
このチームのレーサーは全員が催眠にかかっており、自らの意思を失い、大神を“主”と崇めている。
ピラミタルスフィンクスは『オートモード』を起動すればレーサーの命令を聞かなくなり、マシンを大神の意思でコントロールできるようになるらしく、そういう意味でもラー達はほとんど飾りに等しい。

エンシェントフォースが沖田カイを執拗に付け狙っていたのは、大神研究所を去った裏切り者である彼を粛清するためであった。
大神博士と土屋博士は思想の違いから長年対立しており、これまでの因縁もあってビクトリーズとは敵対関係にある。

最終的にエンシェントフォースは決勝戦でビクトリーズに破れる。
しかし、なお諦めない大神はラーのピラミタルスフィンクスをオートモードに切り替え、マシンを暴走させビクトリーズに攻撃を仕掛けようとする。

「役立たずめ…こうなったら私自ら、奴らを葬ってくれるわ!」

大神の暴挙を止めるべく、ビクトリーズと戦ってきた各国のエース達がマシンを走らせ、ピラミタルスフィンクスを取り囲む。

ミハエル「そうはさせない!」
ブレット「見苦しい真似はよせ、レースは終わったんだ」
カルロ「奴らを倒すのはこのオレだ おっさん、テメェはお呼びじゃねぇんだよ!」
リオン「よく頑張ったな、ビクトリーズ」
ユーリ「後は我々に任せろ!」
ホワァン「大丈夫アルか!?」
ディアナ「よくも我らのWGPを汚してくれたな!」
カイ「これ以上、勝手な真似は許しませんよ!」*16

エース達はピラミタルスフィンクスを押さえ込もうとするが、それでも暴走は止まらない。
しかし、洗脳が解けたラーが大神の命令に背き、そしてラーの“マシンを信じる心”がピラミタルスフィンクスのコントロールを取り戻したことで、ついに大神の野望は砕け散る。
ビクトリーズ、そして各国のエース達が肩を並べて走る場面で烈が高らかに「行こう、みんな!ウイニングランだ!!」と宣言し、本作の物語は幕を閉じる。


余談


速すぎるビークスパイダー

8章「特訓!ビークスパイダー!」では、エンシェントフォースとの練習試合で負傷したミシェルに代わり、カイがサバンナソルジャーズのメンバーとなる。
ミシェルを故意に狙ったエンシェントフォースに対し、「ビークスパイダーの空気の刃を使ってでも仇を取る」と復讐に燃えるカイだが、ビクトリーズの説得により冷静さを取り戻す。
その後、打倒エンシェントフォースに向けてレースのカンを取り戻すためカイはビクトリーズの協力を得ることとなり、この章ではなんと沖田カイが操作キャラクターとなる。

8章前半パートは上述のとおり沖田カイが主人公となるが、後半パートの試合ではいつも通りビクトリーズを操作しサバンナソルジャーズと戦う。
この時、相手チームのビークスパイダーはプレイヤーがカイを操作し鍛えた時と同じ速さに設定されており、そしてビークスパイダーはマシンとしての基礎性能が非常に高いため、場合によっては最強の相手となる。

この章のビクトリーズのマシンの想定レベルはおそらくLv11~13程度なのだが、前半パートのカイ操作時にビークスパイダーを徹底的に鍛え上げた場合、ビークスパイダーはLv17~20程度にまで上がることがある。
ちなみに、本作でマシンがレベルアップするためには、「練習用コースで自身のベストタイムを更新する」ことで経験値を取得する必要があるため、いくら走り込んでも無制限にレベルが上がることはない。
つまりビークスパイダーの凄いところは、まだ9章・10章で手に入る最高ランクのパーツが未解禁の状態であるにもかかわらず、8章時点のパーツでLv17以上にたどり着けるほど各コースのベストタイムをガンガン更新できる基礎性能の高さにある。*17

ここまで鍛えると、8章時点のビクトリーズではビークスパイダーに追い付くことができなくなってしまう。
というか、レベル差がありすぎるせいで、下手したらビークスパイダーと接触するたびにこちらが大ダメージを受けてしまい、マシンが大破しかねない。
やっぱり大神博士のマシンは優秀だったのだ。

ビークスパイダーの性能がやたら優秀な理由は不明。
おそらく、8章前半パートのクリア条件が「ビークスパイダーでビクトリーズ全員に勝つ」であるため、これを達成しやすいように意図的に高性能に設定されているものと思われる。


個性豊かなモブキャラクターたち

本作は、街に点在するモブキャラ一人一人に名前と個性付けが行われており、それぞれ妙にキャラが立っている。
ストーリーが進むたびに台詞も細かく変化するため、章ごとにこまめに話しかけていると、次第に愛着が持てるようになっている。

本作の代表的なモブといえば、やはり女子中学生のやよいだろう。
彼女がミニ四駆に興味を持ったことがきっかけとなり、本編中では女子中学生の間で徐々にミニ四駆ブームが到来する。
最初こそ、やよいがひとりでミニ四駆にハマっているだけで実力も素人レベルだが、シナリオが進むごとにやよいの影響でゆり・よりこ・りえ・るみこといった女子中学生レーサーが増え、確かな実力を身に付けていく。
そしてストーリー中盤、女子中学生チームは原作キャラである黒沢・まこと・ジュン達と互角に戦うまで腕をあげ*18、終盤ではなんと黒沢軍団を負かして*19ビクトリーズの前に立ちはだかる*20…という壮大なサブストーリーが用意されている。

ちなみに、やよいの使用マシンは『ギャラクティカセイバー』で、ギャラクティカトルネードなる必殺技を使用する。
やよいの友達もそれぞれが『プリティセイバー』や『キューティーセイバー』といった独自のマシンを持ち、“キューティースピンターン”だの“スーパーダッシュ”だのの必殺技を使うらしい。

他にも、「GPチップがなくても叫べばマシンが加速する」と信じてレース中ひたすら叫んでいるおさむ*21や、女の子を取り合ってミニ四駆で戦うことになるたつやけんいち、毎回ビクトリーズに対戦相手の女性レーサーのサインをねだってくるつよしなど、印象深いモブが多い。



このアニヲタの知識力と古代の力が融合した最強のミニ四駆、
ピラミタルスフィンクスの真の力で追記・修正してくれるわ!!



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最終更新:2025年03月07日 20:16

*1 インターネットが普及し攻略情報がすぐ手に入る現在では、シャイニングスコーピオンをクリアするのもさほど難しくはないが…。

*2 試合中にレースアイテムを使うと、ビクトリーズのファンや特定のキャラによる応援が一度だけ発動し、マシンが加速したり耐久力が回復したりなどの有利な効果が得られる。

*3 簡単な四則演算だが、制限時間がある。

*4 1位が5点、2位が4点、3位が3点、4位が2点、5位が1点、6~10位は点数なし。

*5 たとえば、こちらが1~3位を独占した(=3台がゴールした)としても勝利は確定せず、その後相手チームの4台が連続してゴールした場合、先に4台ゴールしたのは相手チームとなるため、相手チームの勝利となる。1~2台のエースだけでは勝てない、チームの総合力が問われるルール。

*6 たとえば後方から追い上げてくる敵マシンの進路を塞ぐように自機を操作しブロックすると、一瞬画面が停止し「邪魔だ!」「行かせない!!」といった会話が発生する。

*7 例えば、「マーキュリータイヤPW+2」なら他のマーキュリータイヤよりPW値が少し高い、といった具合。

*8 操作キャラを任意で選択できる一部の章で烈を選べば一応単独主人公になれるが…

*9 ただし、内1話は「Jとチイコと人格が入れ替わってしまう(=プレイヤーはチイコの姿をしたJを操作する)」というギャグ回。真面目に喋るチイコ(中身はJ)がロシアチームを困惑させ、ハイテンションなJ(中身はチイコ)が「烈様~~!!」と叫びながら烈に抱きついたりと、いろいろと凄まじい回。

*10 ビクトリーズ戦での彼らの会話から、新システムの存在を察することができるようにはなっている。

*11 ガンブラスターXTOは、この三人がそれぞれ専門分野を担当して仕上がったマシンであったため、3人が互いの手柄を自慢しあってケンカに発展してしまった。

*12 アームは仮面で顔を隠しており、その正体は明言はされていないが、ビクトリーズを知っている口ぶりや髪形、そして「シュヴァリエ・ド・ローズの開発は、とある日本人が提供したマシンがベースとなった」という情報から、その正体は土方レイと推察できる。

*13 鋭利なデザインから、ベース機はレイスティンガーと思われる。

*14 もともとメンバー間の仲が良いチームではないが、本作ではカルロvs他4人という対立構造になっている。カルロ以外の4人については復帰したルキノを中心として徒党を組んでおり、ビクトリーズを挑発したり反則行為を仕掛けてくる。

*15 この予選は、10チームをA・Bブロックの二つに分け、各チームの代表2名が走るという特別ルールとなる。ちなみにビクトリーズの成績が全勝だった場合の予選の対戦相手は、ドイツ・アメリカ・イタリア・フランス。

*16 カイは直前の予選でエンシェントフォースに自分のマシン(ビークスパイダー)を破壊されているため、チームメンバーから借りたと思われるビークスパイダーゼブラで参戦している。

*17 ちなみにLv17というのは、最終話付近の相手に余裕で勝てるくらいのレベル。

*18 女子中学生との対戦時、黒沢チームにはまこと・ジュンの他にモブキャラから「おさむ」「たつや」が参加しており、叫ぶと速いおさむはさておき、実力不足のたつやはかなり足を引っ張っていることがゲーム画面や本人の台詞から見てとれる。

*19 女子中学生と黒沢軍団の対決時、画面上では他より明らかに速い黒いマシン(ブラックセイバー)が確認できるため、黒沢個人だけ見れば女子中学生には決して負けていなかったと推察される。チームとしての敗北だったのだろう。

*20 女子中学生側がビクトリーズより先にスタートする、というハンデマッチで実際に対戦する。

*21 ストーリー序盤では分かりにくいが、ストーリー中盤~終盤でおさむに話しかけると画面上のおさむのマシンが明確に加速していることが分かる。また、いつも叫んでいるおさむを見て「叫んでも速くなるわけがない、意味がない」と言っている女の子がいるが、彼女も次第に考えを改め、最終話ではおさむのごとく叫ぶようになる。