ふういんのトリデ(ポケモンカードGB2)

登録日:2024/09/22 Sun 15:38:33
更新日:2025/03/18 Tue 04:37:12
所要時間:約 15 分で読めます




『ふういんのトリデ』とは、あの不遇の名作と名高いGBCの「ポケモンカードGB2 GR団参上!」で登場する施設である。
作中では第二の島、GR団の島に存在する。(その為、前作ポケモンカードGBには存在しない)


【概要】

初めて訪れることが出来るのはゲーム中盤、GRコインを完成させてGR団の島に渡れるようになった直後。
そこに存在するのは「GR団のキング ビルリッチによって封印された」の張り紙と扉であり、どうあがいてもこの時点では次のフロアに進むことはできない。
初見プレイだとこの時点ではどういう意味か分からないと思うが、少しゲームを進めると他のGR団の多くのトリデがコインで入ることが出来ないという仕組みから、「何か条件を満たせば開く」ことは分かると思われるし、更に言えばそのGR団のトップが「ビルリッチ」であることも分かる。

となればラスボスであるビルリッチが条件に関わっているのは明白であり、一度ゲームをクリアしたら開くのか...と思いきや、それではまだ開かない。
なのでもう一度ビルリッチと対戦して勝利すると、「ふういんのトリデのドアを開いておいた」の一言を貰うことが出来、これによって漸くゲーム中盤に見た扉の奥に行くことが可能となる。

そして、扉の奥には対戦テーブルと9体の並べられた石像が存在しており、近寄るとその石像から謎の男「とびちゃん」が出現する。
ここまでラスボスを2回倒し、GR団の島を完全攻略したプレイヤーにとびちゃんから告げれたのは…



「ようこそ!! 『ふういんのトリデ』へ わたしたちは おそれられしデッキのつかいてです」

「それゆえ このばしょに ふういんされてしまいました」

「もしデッキのチカラを しりたければ わたしたちと 対戦しましょう」



ポケモンカードが強すぎただけで、石像へデッキごと封印されてしまったという、
よくよく考えれば意味が分からなさすぎる話であった。

前置きが長くなったが、本ゲームのクリア後のお楽しみ要素の一つ。
前作でもチャレンジマシン、チャレンジカップなどのクリア後に行える要素は存在したが、
対戦相手が増える訳ではなかったため、クリア後に戦える裏ボスの追加が為されたと言える。

対戦形式は全員がサイドカード6枚戦。一人一人がボス格扱いであるらしく、BGMはボス戦用BGMとなる。
ちなみに使用コインはプレイヤーが使うには通信対戦100勝ボーナスで入手可能なルギアコイン。後述のようにエグイ本作や前作の有名デッキを使うものが多いので環境を荒らしたから封印されたというのか
また、全員に勝っても特になにかあるわけではないが、一応対戦に勝利するごとにブースターからランダムで封入されているプレゼントパックを1パック貰うことが出来る。

「おそれられしデッキの使い手」というだけあって、一人勝つためにメタを張って戦うなら楽でもある奴もいるが、基本的に全員が強敵。
どうしてもCPUなので少し動きが無駄があったりはすることもあるがそこはご愛敬。
シンプルに強い、というだけメンバーだけでなく「GB環境かつ旧裏の面白さ」を仕込んだ感じのデッキもあるので一応強さには差はある。
一つのデッキで全員に勝てるようなデッキを作成したりするのもやり込みとしてはありかもしれない。

【メンバー】

9つの石像、というだけあって9人がデッキと共に封印されている。
全員が石像に封印され幽霊みたいな存在にされているためか、肩書は「ゴーストカードマスター」。
順番は左から並べられているものの順に記載していく。

◆エイジ

「ボクと 対戦するんだね じゃあテーブルについて」
「ボクは エイジっていうんだ よろしくー」

見た目はリュックを背負って帽子を被った少年。恐らくここに封印されている中では最年少であると思われる。
「みんなともだちデッキ」の使い手。
…前作及び本作をプレイしていて、名前の時点で嫌な予感がしたそこのあなたは正しい。
名前の通りあの「ともだちのわ」のプクリンを中心とした本作環境においてもガチガチのデッキの一つ。
しかもプレイヤーがやるような「プラスパワーと突風ガン積み」、「ドローソースもかなり充実*1」とこちらのポケモンをとっとと倒す気満々の構成。
しかもたねポケモンもブーバーストライクエビワラーと所謂「強い」と言われた奴らのみ。
左端に居て子供なので最初に戦うべきかと思いつつ実情はふういんのトリデでも1,2を争う強敵である。


◆マジシャン

「ワタクシと 対戦なさるのですね よろしい、お相手しましょう」
「ワタクシは マジシャン おみしりおきを」

「マジシャン」という名前の通り、シルクハットにモノクルと奇術師そのものな姿をしている。
「ふじみのポケモンデッキ」を使用する。
これも人によってはピンと来るであろうデッキ名であり、要するに「ダメージスワップ」を持ったフーディンと「なぞのかべ」バリヤードのコンボデッキ、その完成形である。
構築だけで言うならば散々強敵とプレイヤーを苦しめたミウラのデッキをより突き詰めた構築になっている。
この2体のポケモンに加え、「おくびょう」を持ったメノクラゲを使用することで
「30以上のダメージを絶対に与えられず」「20以下のダメージは全てメノクラゲによって無効」という形で文字通り「ふじみ」を完成させるというデッキ。
コンボに極端に依存した構築だが、これら以外にもラッキーやストライクを壁として入れているので長期戦になりやすい。
ただし、CPUでここまで複雑な構築を使いこなすのには無理があるのか上手く動かせないこともある多い。とはいえコンボの完成は時間がかかるものの十分狙えるデッキとなっている。
こういう相手には面倒であるならデッキアウトを狙いたくなるが、彼にはあるバグが存在するためデッキアウトを狙うことが出来ない。
夜の廃品回収が彼限定でバグが存在しており、本来戻せないトレーナーカードも戻してしまうため無限ループするためである。
そういう意味でも「ふじみ」にふさわしいかもしれない。

◆トシロン

「オレと 対戦したいんだ? へっ いいどきょうだぜ!」
「オレは トシロン! かんたんには まけないぜ!」

黒い帽子を被った少年で、分かりやすく言うと「目つきを悪くしたサトシ」に見える人もいるかもしれない。
「トレーナーふういんデッキ」という、本作をプレイした人ならやはりピンとくる名前のデッキを使用する。
要するに「ゴースLv13」や「コダックLv15」の技を利用してトレーナーカードを腐らせて時間稼ぎを行いながらかの有名な旧裏の問題児「わるいラフレシア」を降臨させ、
最後はゴーストの「ポルターガイスト」で高火力を叩きこんで〆るデッキ、「わるラフポルター」と呼ばれるデッキである。
また、CPUとしての隙を補う兼わるいラフレシア降臨後のドローソース替わりかわるいゴルダックも投入されており、コンスタントに火力を刻んでも来るのでトレーナーカードが少なくても油断してはいけない。
ある一定以上のプレイヤーなら本作も前作もトレーナーカードをガンガン積んでデッキを回すのはほぼほぼ基本に近いワケだが、その戦術を完全に封殺する構築となっている。
逆に言えばトレーナーカードをあまり入れない構築にしがちな初心者構築だとそもそもトレーナーカードが少なめなので意外な位に簡単に勝ててしまったりする。
あとCPUの思考の問題と揃いきっていないときだとラフレシアを盤面に出したりしてくるのでそこもねらい目か。

◆ピエロ

「うひゃひゃひゃひゃひゃ! 対戦したいんですかァ? ほんとうにィ?」
「あたァしィは ピエロでェーす よろしくねェー!」

その名の通りピエロの恰好をしている。グラフィックから性別を特定できないので性別は不明。
「もえさかるほのおデッキ」を使用する。
デッキ構築としては完全な炎ポケモン単色の重火力デッキ。序盤の壁としてブーバーももちろん投入されており、それでいやらしく攻めた後ウィンディやキュウコンでガンガン殴ってくるデッキである。
炎ポケモンデッキの手札事故を軽減してくれる伝説のファイヤーは投入されていないので、人によってはグランドマスターのヒロコの方が強く感じるかもしれない。
勝ちたいだけなら水単色デッキを組めばわりと何も考えずに戦っても勝てると思われる。
ただし、不確定なドローソースは入っておらず堅実に回してくるデッキであるのでシンプル故の強さは持っており、強烈なコンボこそ導入されているが事故が起こり得るメンバーより時に厄介だったり。

◆トビちゃん

「よりによって わたしと対戦したいのですか?」
「ほんとうによろしいのですね? それでは対戦テーブルに」

概要でも記載した通り、初めてふういんのトリデに入場した時のプレイヤーへのガイド役も務めてくれる人。
見た目は物凄く普通のお兄さんという感じである。
マップ上では名前は「とびちゃん」だったのだが、何故か対戦中は名前が「トビちゃん」に変わる。
「ポイズンストームデッキ」という毒状態にする気満々の草と炎の混色デッキを使用する。
…が、実際にはそんなに毒状態にしてくるデッキではなく*2、壁としてブーバーやストライク、ガルーラを立てながら扱いやすいスペックをしたリザードなどでコンスタントにダメージを与えて戦うデッキである。
裏ボスというには少しインパクトに欠けているが、様々なトレーナーカードでサポートして戦ってくる非常に事故が起こりにくい安定したデッキであるので、ハマると内容以上に厄介だったりする。
逆に言えば安定感こそ抜群だが大技が少ないので、こっちがきっちり大技を叩きこむ強いデッキで戦えばそれほど苦戦する相手ではない。
どっちかというと「ふういんのトリデを攻略できるだけの構成が出来ているか」を試してくる感じな相手ともいえる。
モデルは元ハドソン所属のプログラマーであり、ポケモンカードGBシリーズの主要スタッフとしても参加した飛田雅宏か。
ちなみに飛田は前作ポケモンカードGBの攻略本中のインタビューにおいて、お気に入りのカードとしてブーバーLv31を挙げているが、トビちゃんも実際ブーバーLv31を使ってくる。

◆ディー

「オレっちと 対戦するなら テーブルについちゃあくんねぇか」
「オレっちは ディーっつーんだ よろしく たのむぜぇ」

見た目は青縞の帽子と服で着こんだあんちゃんといった風貌。
口調からして割と軽そうな彼が使うデッキは、「ビッグサンダーデッキ」。…既にデッキ名から何が来るかを想像出来た人は多いだろう。
そう、あのポケモンカードGBにおいてある意味一番有名なゲームオリジナルカード「サンダーLv68」を中心とした、本作を遊んだプレイヤーなら誰もが1度は使ったであろうそれに特化した構築のデッキである。
しかもグランドマスターのスティーブですら自重して通常のデッキに2枚組みこんだだけの形であったのに対して、彼のデッキは裏ボス仕様なのでCPUに扱いきれる前提としての構築であり、
たねポケモンは「HPが最多で使おうと思えば防御技も使えるラッキー」、「ゲームオリジナルカードで技でデッキ内のたねポケモンに変化するメタモン*3」、そして「伝説のサンダー」のみ、かつ全て4積みという非常に割り切った構成。
ご丁寧にポケモン回収やらも完備されているためカミングサンダーもぶっ放しまくってくる他、メタモンが地味にダメージ10技を持っているので「ビッグサンダー相手ならバリヤードで完封」が通用しないため非常に強い。
というかふういんのトリデ最強のゴーストカードマスターであり、ゲーム内でも最強格である。
壁であるラッキーを倒せないうちに、もしくは倒せても無傷のエネルギーが付け終わったサンダーを出されたら最後、プレイヤーも使いまくったビッグサンダーによる虐殺が始まる為どうにか相手のペースに持ち込ませないようにするのが重要。
対策としてはカメックスの高速進化デッキ当たりでどうにか速攻を掛けるか、「オーロラヴェール」の特殊能力を持つフリーザーを使うのが良い。
雷エネルギーを使いまくる相手だが一番有利なのが水ポケモンデッキになるのは突っ込んではならない。

◆マスカレード

「対戦テーブルに つけ…」
「わがなは マスカレード… …サイドカードは 6枚なり…」

「マスカレード」という名の通り、怪しげな紋様の入ったペストマスクをつけており、ひたすら不気味な雰囲気が漂う上にかなり無口と思われる描写がある。
ちなみにGB2では各キャラの顔グラが優勢・劣勢・通常時と変化するのだが、彼は仮面ゆえに表情が動かないので背後にたくさん並んだ「顔」の表情が動くようになっている。
使用するデッキは「あんこくのパワーデッキ」。名前ではピンと来ない感じのデッキである。
実体としては「わるいポケモンを強化して徹底的に殴ってくるデッキ」である。
ガルーラを壁にしながらベンチへわるいポケモンの技威力を強化する「GR団のミュウツー」、わるいポケモンへのダメージを軽減する「わるいピクシー」を並べ、
メインアタッカーの「わるいゴルダック」で殴る、と言った構成。
場合によってはわるいピクシーの「わるいうた」で眠らせながらベンチへも大ダメージを狙ってくることも。*4
進化系が多いことで事故りやすいのでは、と思うかもしれないが事故回避用のわるいハクリューが積まれている上にボスのやりかたなども存在し、わるいピクシーが性質上固いので一度ペースを握られるとかなり厄介。
一応わるいポケモン特有のHPの低さもあるのだが、ピクシーはわるいポケモンにも拘わらずHPが70もある上で催眠及び防御能力があるせいで想像以上に固いデッキである。
ちなみに本作のNPCでGR団のミュウツーを使うのは彼のみである。

◆アンナ

「いらっしゃいませー! おきゃくさまは なんめいですか?」
「おせきに ごあんないしまーす こちらに どうぞー」
「ごしめい いただきました アンナでーす ごちゅうもんは、対戦ですね?」

ウェイトレスさん。台詞がオーダーされたときの台詞でありかわいい。
見切れているので見れないが、メイド服っぽい服を着ておりたまに言及される「GB2の女性キャラの顔グラに異常に力が入っている」の典型例でもある。
使用するデッキは「ダメージだいこんらんデッキ」。
超のGR団のようさいでも戦ったであろう「わるいゲンガー」を中心とした戦略を取るデッキ。
壁役こそそんなに強くないルージュラなのだが、ゲンガーが並ぶとそこそこ面倒なことになってくる。
その特殊能力でダメージを無茶苦茶にした後、ナッシーのたまなげMAXやらを利用して攻めてくる他、ゲンガーのかみかくしで虎の子のポケモンを消されたら目も当てられない。
あと何気にわるいピクシーも投入されているので並んでくると固くなり、とかみかくしを撃つゲンガーを止められないのにダメージがめちゃくちゃにされてしまう。
…とまあ、そこそこ強いと言えば強いのだが、コンセプトがこの中ではいまいち定まり切っていないデッキ構築なのでこの中ではそんなに純粋には強くはない。
ただしハマると面倒になると言った構築なので、速攻で本領を発揮させる前に潰しにに行くようにしよう。

◆ユイ

「はぁーい こんにちは! 対戦よね! じゃあ、対戦テーブルに いこう!」
「わたし ユイ よろしくー 対戦は ひさしぶりだから たのしみだな!」

赤いセーラー服、かつポニーテールといったかわいらしい容貌の少女。こちらが対戦に負けるとウィンクしたり、逆にこちらが勝つと泣き顔になる。かわいい。
そんなかわいいこの子が使うデッキは…「おおあめこうずいデッキ」。…まったくかわいくないデッキである。見た目に反してふういんのトリデの中でもかなりの上位の強さを誇る。
要するにプレイヤーも散々使ったであろうあまごいカメックスのデッキであり、似たコンセプトのデッキであるウッチーのデッキの上位版と考えていただければ問題ない。
しかもアタッカーのフリーザーだけでなく、しれっと伝説のフリーザーが投入されているので使いまわしこそしてこないものの不意に麻痺を撒いてくるので地味に厄介。
一応NPCの思考力に合わせた結果か、プレイヤーが組むよりはドローソースは少な目とはいえ必要どころは揃っているので割と高速でカメックスを立ててくることも多い。
壁役として採用されているのもご丁寧にラプラスなので優秀な壁兼遅延要因として優秀である。
欠点としてはデッキは水単色なのでやろうと思えば電気で弱点を突いて倒せるため、対策を練ること自体は簡単。


とまあ、とてもバリエーション豊かなメンバーがそろっている。
今ではポケモンカードGB2自体がかなり高騰してプレミアゲーとなっている現状、なかなかプレイはしにくいと思うが、
プレイする機会があったら是非とも楽しんでほしい。





追記・修正は石像にデッキごと封印されてしまうぐらい強くなってからお願いします。

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最終更新:2025年03月18日 04:37

*1 これは他のゴーストカードマスターにも言えるが

*2 ビードル及びブーバーのみが毒技を持つ

*3 要するにサンダーの弾を水増しするために投入されている

*4 GR団のミュウツーの特殊能力によるダメージはベンチへ与えるダメージもアップさせる