JR東日本E231系電車

登録日:2025/02/03 Mon 13:04:30
更新日:2025/03/13 Thu 09:44:42
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E231系とは、JR東日本の一般型直流電車である。



導入経緯

老朽化した国鉄通勤形・近郊型車両の置き換えを目的に導入された。
それまで導入された形式はストレート車体の通勤形(209系)・拡幅車体の近郊形(E217系)と別々に区分されていたが、拡幅車体は通勤型でも混雑緩和の役に立つと判断から、
いっそ基本仕様は統合して、線区ごとにカスタマイズすればよくね?
と、そんな軽い言い廻しだったかは分からないが統合することとなり、以降同社では普通列車用の電車は「一般形車両」とカテゴライズすることとなった。

また、コストダウンと快適性、ライフサイクルコストを両立させた車両性能の高さから首都圏の私鉄各社でも本形式の技術を導入した新車が登場するようになった。
この背景には、同時期の私鉄で高度成長期に導入した車両が老朽化を迎えており、従来の導入方式では置き換えが進まなくなる可能性もあったからである。

本形式の導入がきっかけで、日本鉄道車両工業会は新たに「通勤・近郊電車標準仕様ガイドライン」を制定。
以降、私鉄・JR問わず一般型電車はこのガイドラインに沿った設計で登場している。

2001年鉄道友の会ローレル賞受賞。

車両解説

本稿では800番台以外の共通事項を基本に解説する。

車体

車体はE217系で採用した4ドアの拡幅車体となり、正面はFRP式の非貫通となった。
近郊タイプのみクラッシャブルゾーンが設けられている。
灯火類は通勤タイプが前面窓下、近郊タイプは前照灯が窓上の左右、尾灯が窓下にそれぞれ設けられている。
固定式を採用した209系と異なり、側窓は車端部など一部を除き原則開閉可能となっている。
また、乗務員室部分の扉はラインカラーで塗られている。

車内

基本的には209系・E217系と同じだが、クッション材がポリエステル製になった。
そのせいかは知らないがとりわけ初期の導入ロットの座席はクソ固い。
さすがに苦情が来たのか、常磐快速線以降のロットでは柔らかいものへと徐々にシフトしている。
余談だが当時は鉄道事業者全般でバケットシートの方向性を探っていたのか、他社の新車でもE231系、それ以上に固い座席の車両が出ており、その成果「新型電車の座席は固い」という頭が固い鉄ヲタ特有の論調も時折見かけられる。
窓ガラスはスモークから緑色のUVカット式へと変更されている。

機器類

JR東日本の車両では本格的にIGBT-VVVF制御を採用し、定格出力95kWのMT73型を主電動機とする。
歯車比も通勤・近郊タイプともに1:7.07に統一されており、最高速度は120km/h。

制御・伝送系システムにはTIMSが初めて採用された。
TIMSとは1本のケーブルで加減速の指令など運転に関する制御から、空調や車内放送といった車内サービスに関する制御まで行える装置である。

番台別概説

本稿では新造車・改造車順に解説する。

  • 900番台
1998年に209系950番台として導入された。
見た目はほぼ0番台と変わりないが、乗務員室の扉が量産車と異なり無塗装なのが違い。
また、先頭車の側面窓は固定式で後年2段窓への開閉改造を実施している。
VVVF装置は三菱電機・日立製作所製をユニットごとに変えて搭載している。
登場から一貫して中央・総武緩行線で運行されていたが、2020年にVVVF装置を更新・仕様を統一し、8両化したうえで武蔵野線へと転属した。

  • 0番台(総武線用)
2000年から103系・201系等置き換え用として導入された。
最終増備分は2006年で、一部の設計は後継車種のE233系に先駆けて導入したものがある。
5号車に6ドア車のサハE230を連結している。
E231系500番台の導入に伴い一部の編成は他線区に転出しており、残存する編成もMMユニットを組み込み500番台に準拠した6M4T化されている。
転属先は武蔵野線・常磐線快速・後述する3000番台の3種類に分けられるが、総武線→常磐線→武蔵野線と移ったMU22編成は常磐線時代に取り付けられた自動解結装置を持つ異端児となっている。

  • 近郊タイプ
113系・115系・211系の置き換え用として、宇都宮線高崎線東海道線系統に導入された。
見た目はすべて同じだが、
○2000年に登場した椅子の硬さに定評のある初期型(宇都宮・高崎線用)
○2004年登場した中期型(東海道線用)
○2006年に登場した後期型(宇都宮・高崎線用)
に大別される。
もちろんグリーン車も連結されている。

塗装はすべて湘南色だが、緑の帯が従来よりも明るい緑色(JR東日本のコーポレートカラー)となっている。
中期型以降は一部マイナーチェンジしており、椅子が柔らかくなったほか車内案内表示器が次述の常磐線と同じく2段式となった。
また、運転台機器がデジタルメーター化されている。
中期型の登場及び湘南新宿ライン・宇都宮・高崎線系統へのグリーン車連結に際し編成組み換えが実施され、初期型のサハ2両は中期型に編入されている。

番台区分がかなり複雑で、全車耐寒耐雪使用のため1000が附番され(そのため本グループを1000番台と呼ぶ人もいる)、先頭車及びトイレ付中間車は+5000、セミクロスシート車は+2000、両車で座席形態の違う電動車ユニットおよびトイレ付きのクハE231は+500の法則で附番される。
まあ、めんどくさいし事実上一系統しか導入されてないんで近郊タイプと呼んでる人が多いんですがね

湘南新宿ライン及び上野東京ライン開業に伴い、北は群馬県、西は静岡県という200キロ越えの車両によってはお尻が地獄を見る長距離運用につくことになった。

2002年3月より運用開始。
長らく103系しか運用されてこなかった快速線久々の生え抜き新車である。
基本設計は総武線向けと同じだが前面のFRPとスカートが白になっている。
落成当初はエメラルド帯一色だったが、誤乗防止のために営業運転開始までに黄緑の帯が追加された。
車内案内用LED表示器が2段にされて、自動放送が初めて本格採用された。
マト139編成は2021年4月から半年間、成田線開業120周年を記念してスカ色帯で運用された。

  • 500番台
山手線へのD-ATC導入、および205系置き換えのために2002年に登場。
加減速性能向上のためにMT比が6M5Tとなり、統一後は山手線一周60分とキリのいいスピードアップも実現した。
前面デザインが独自のものとなっており、「ガチャピン」の愛称がある。
当初は7・10号車に6ドア車が連結されていたが、ホームドア設置のために4扉車サハE231形600番台・4600番台に置き換えられ、このうち10号車のサハE231形4600番台は一部を除き後年E235系に編入された。
E235系の導入に伴い2020年1月に全車撤退し、10両編成となって中央・総武緩行線に転属。

  • 800番台
地下鉄東西線直通で使用されていた103系・301系の置き換え用に導入された。
車体は209系1000番台と同じストレート構造で貫通扉付き、塗装はメトロ車に合わせた青の濃淡となる。
東西線の数ある形式の中で運転士が一番運転しやすい車両だとか。

  • 3000番台
八高川越線の209系3000・3100番台置き換えのために導入された0番台の改造車。
埼玉県有数の寒冷地帯を通るためか、ドアは半自動ボタン式を採用しワンマン運転用に監視カメラが増設されている。

派生形式

本項では明確に「E231系をベースとした」ものを取り上げ、車体だけ採用したものについては割愛する。

  • E531系
常磐線中電の415系・E501系置き換え用に導入された。
開業間近だったつくばエクスプレスへの対抗で「特別快速」を設定する関係上、最高速度は130km/hに引き上げられた。
基本設計はE231系近郊タイプに準じているが、E231系で改善が求められた箇所を中心に、仕様が改められている個所も多く結果E233系との橋渡し的ポジションとなった。
常磐線へのグリーン車連結が決まり、2006年から中間車組み換えが行われた。
0番台のほか、ワンマン対応・耐寒設備を搭載した3000番台が存在する。
最近赤電リバイバルカラーも登場した。

  • 東急5000系
2002年に登場。
当初は田園都市線向けだったが、東横線(5050系)・目黒線(5080系)にも導入され、同社の一大勢力となった。
また、大井町線用の6000系、池上・多摩川線の7000系等の派生形式も登場し、車両組み換えの関係で6000系の一部中間車は5080系に編入されている。

  • 相鉄10000系
2001年に登場。
それまでの相鉄の変態…じゃない独自設計から大きく舵を切った車両で、導入時には大きな話題を呼んだ。
8両編成と10両編成があり、このうち10両編成には加速性能を満たすためにE231系には存在しない1M車(モハ10300)が連結される。

  • 東京都交通局10-300形(初期車)
都営新宿線の10-000形置き換え用に導入された。
E231系800番台をベースとしており、顔がパタリロに似ている。
派生形式として車齢の若かった10-000形の中間車を組み込み、10-300形を先頭車と組んだ変態編成10-300R形も存在した。
新造車の8両編成は10両化に伴い後期型に置き換えられている。


関連作品

2000年代から2010年代中盤まで、首都圏主要路線の第一線で活躍していたこともあり、町の背景として描かれることも多い。

2003年頃より、800番台および転属で初めてE231系が導入された路線を除いた各線のE231系が販売された。
中央・総武線の0番台および近郊タイプはサウンド機能付き、山手線の500番台に至ってはドア開閉機能付き、セット品のものはドア開閉に連動したアナウンス機能付きの豪華仕様。
なお、常磐・成田線の0番台および中央・総武線のE231系は限定商品であり、2025年現在は公式での入手手段はないレアもの。

電車でGO!3通勤編では、中央総武線にて209系950番台時代のE231系900番台が対向車両として登場。
電車でGO!FINALでは山手線でE231系500番台が運転可能、中央線では900番台、0番台が対向車両として登場。
2017年アーケード版では山手線、中央総武線でE231系500番台が運転可能。2025年3月1日のオフライン化後も遊べる。
なお、2017年アーケード版の筐体はE231系500番台(山手線)を模したデザインとなっており、運転台もそちらに準じた形となっている。


追記・修正はE231系の120km/h走行の爆音を聞きながらお願いします。

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