ヴィッシュ・ドナヒュー

登録日:2025/04/08 Tue 12:00:45
更新日:2025/05/08 Thu 13:23:45
所要時間




「戦争を楽しもう。平和が怖い」(小説上巻、彼の愛機のグフに書かれていた落書き)


ドリームキャストの 「機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…」に登場するキャラクター。

所属 ジオン公国軍
性別 男性
階級 中尉

CV:平田広明


【人物像】


オーストラリア駐屯軍アリス・スプリングス支隊のモビルスーツ部隊隊長を務めるジオン公国軍軍人。
『荒野の迅雷』の異名で知られるエースパイロットであり、優れた操縦技量と状況把握能力を持つ。
金髪で右目に眼帯をしている。


が、このドナヒューは「周囲から羨望の眼差しを向けられるほどの腕前を持ちながら、それに驕ることはなく自軍が必要としている案件を的確に把握し私情を捨てそれを最優先で堅実に実行する」というジオン公国では少数派な堅実な軍人タイプ。
戦い方もド派手に動いて少しでも多く敵を倒すよりも味方の損害を減らすことに主眼を置いており「通常の3倍の時間戦える」という粘り強い戦いで殿も得意としていた。
また、小説版では『上記のエースパイロットたちに触発されてスタンドプレーに走り自滅するパイロットがジオン公国には多い』ということを憂慮しており、自ら率先して部下たちにMSの操縦だけでなく実戦での連携も教えるという訓練教官も兼ねていた。

政治的スタンスも『ジオン公国を治めるザビ家に表立って反抗はしてはいないが人類への犠牲を屁とも思わない独裁的な立ち振る舞いには否定的』というザビ家ではなく公国そのものに忠実な公僕というもので、無駄な戦火を広げようとしたり自身の保身のために部下を盾にするタイプには容赦しない。
そして、必要とあらば自軍の運営に必要不可欠な物資の安全な輸送と都市部への壊滅的な損害の回避のためにホワイト・ディンゴに停戦と都市の無血開城を通達したこともあったほど。なんとこの際に停戦が嘘でないことを示すためにホワイト・ディンゴ隊の目の前で自らの武器を地面に置き仁王立ちで身構えるという荒業までやってのけている。

このため部下だけでなくジオン占領下にある任地の住民にまでも慕われるほどの人格者で、時にはアリス・スプリングスの子供達に絵を描いてあげたりしており、子供達からはアンクル・ドナヒューと呼ばれ親しまれるほどであった。
彼の宿敵であるホワイト・ディンゴからもその技量と高潔な立ち振る舞いから畏敬の念を持たれている。一方ドナヒューの方も「見事なチームワークだ、部下にしたいほどにな」と彼らの連携能力と都市部への損害を抑える戦い方を高く評価していた。

これで上官がサイクロプス隊のように思想に酔いながら安全な場所に居座り視野狭窄な作戦を無理強いする無能なタイプなら道義的には最悪でも任務に殉じざるを得ない哀しき敵役といった立ち位置になっていたであろうが、幸いにして彼の上官のウォルター・カーティス大佐は『ザビ家と距離は取りつつ戦略での合理性から無用な殺生や破壊は控える堅実派の方面司令官』というドナヒューと波長が合うタイプだったため、時には無茶ぶりを強いられながらも作戦の根幹には理解を示して的確に任務を遂行し、時にはジョークを掛け合うという良好な関係を築いていた。
この辺りは腕と立ち振る舞いを信用しているがゆえに「吉報を期待している」と作戦通達を締めくくることで難しい任務に就かせ、達成した暁には彼らをねぎらい時には優先して隊に新型MSを手配するという、彼のライバルであるホワイト・ディンゴと上官のスタンリー・ホーキンス大佐の関係と似ている。
作戦が気に入らないと平気で上官をぶち殺すニムバスとは真逆である。

【作中後半での顛末】

そうしてオデッサ戦役以降日々劣勢になるオーストラリア方面軍の中心人物の一人として部隊をやりくりしていた彼だったが、そこにマッチモニードという特殊部隊の皮を被ったザビ家の私兵連中がアスタロスという環境破壊兵器を携えてキャリフォルニヤ基地から脱出してきて、オーストラリア方面軍と接触。
ザビ家の威光を笠に横柄にふるまう上に「戦争を続けるためにアスタロスを届けたいのでHLVを手配しろ」というカーティス大佐ら穏健派のオーストラリア方面軍には到底呑めない条件を突き付け、更には自分たちに秘密で連邦軍基地に秘蔵されていた核兵器まで強奪しようという暴挙に出たため、方面軍はこれ以上の戦火の拡大を防ぐためにマッチモニードの排除を決意。
丁度愛機のグフが酷使による限界に達して大破したのを契機にゲルググに乗り換えたところでこれを上層部から知らされたドナヒューは、基地の奪還に向かったホワイト・ディンゴを影ながら援護。小説版では僚機に機を取られている隙にジャイアント・バズで狙撃してやろうというセコイ動きをしたドムにツッコミを入れながらゲルググのビームライフルで狙撃して撃破している。その際、残りのドムはホワイト・ディンゴ隊が順調に撃破していったので逸る部下を抑えつつ彼らに事態の収取を任せて名残惜しみしながら撤退していった。

だが、マッチモニードはMS隊は壊滅させられながらも一部の部下を囮にしながら生きながらえていた。そして彼らを拒絶したオーストラリア方面軍(とザビ家以外の人間)に逆切れした部隊のリーダーのニアーライト少佐は戦争を少しでも長引かせるためにアスタロスを自分の意思でばらまくためにHLV打ち上げ基地を占有し管制塔とHLVを乗っ取る。
それに気づいたドナヒューは、(HLV基地に連邦軍を引き付けその隙に少しでも多く同僚を船で逃すという目標のために)ホワイト・ディンゴと交戦しながらアスタロスを搭載したHLVのある発射台におびき寄せる。ホワイト・ディンゴ側も途中からドナヒューの意図を察し、損害を抑えながらHLVの撃破に成功。
それを見届けたドナヒューはニアーライトの籠城する管制塔にビームを撃ち込み彼らを抹殺すると、ホワイト・ディンゴ隊隊長のマスター・P・レイヤーと死闘を繰り広げ、最後の船が連邦の監視の目をかいくぐり海上に脱出したことを知ってからあえて隙を作りレイヤーの駆るジム・スナイパーⅡに撃破された。

その直後にア・バオア・クーが陥落しジオンと連邦の間に終戦協定が結ばれたことから、レイヤー中尉は「もう少し早く戦争が終わってくれたらよかったのに!」と顔を合わせれば親友になれたかもしれない男の死を悼みながら慟哭したのであった。

尤も、ドナヒューにしてみれば、「任務とはいえ多数の部下を死なせてしまった以上自分もおめおめと生き残るわけにはいかない」と思っていたかもしれないが・・・。

【機体】

乗機のシールドには「眼帯をした髑髏と2枚の羽根」のパーソナルマークが描かれている。

グフ

一般機とほぼ同じカラーリング*1だが、肩部スパイクに白いラインが入っているのが特徴。
両腕がグフ・カスタムのものに換装されており、シールド裏には3連装ガトリング砲を装備している。
ジオン的には僻地のオーストラリアでは満足な整備も難しいので、構造の複雑なフィンガーバルカンはオミットしたのだろう。

ゲルググ

全身モスグリーンに塗装された陸戦型ゲルググのオーストラリアカスタマイズ。
ビームライフルやビームナギナタに加え、グレネードランチャー(左腕)とアームガトリング(右腕)に換装。
小説版ではホワイト・ディンゴ隊側が相手がビーム系携帯兵器を持っていると想定していなかったため不意打ちを喰らい、マイクのジムスナイパーⅡの左腕を吹き飛ばされている。


HGUCではこの乗機2体セットがプレバン限定で発売されたのだが、何故か一般機の単なる色違いで上記の独自カスタマイズは再現されていない手抜き同然の残念キット
なので完全再現したい場合は改造必須。
ちなみにグフのHGUCは2種類あるが、このドナヒュー専用機はそのうち古い方のキットがベースなので現在の目で見ると可動面がだいぶ不自由*2
塗装の腕に自信があるなら、REVIVE版グフとグフ・カスタムを買ってニコイチするのもいいだろう。


【ゲームでの活躍】

ギレンの野望シリーズ

ジオンの系譜とアクシズの脅威と新ギレンの野望に登場。
ジオン独立戦争記では何故かBD関連とコロ落ち関連シナリオが登場しなかった。

ローカルエースということもあってか、赤い彗星ランバ・ラル黒い三連星といったTV版エースと比べるとだいぶんマイルドな数値になっているが、Sクラスの射撃16は大変頼もしい。


「いつかまた追記修正しよう。出来るなら平和な時代に…。」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダム登場人物項目
  • 一年戦争
  • ジオン公国軍
  • グフ
  • ゲルググ
  • 眼帯
  • 機動戦士ガンダム外伝~コロニーの落ちた地で…
  • オールドタイプ
  • 軍人
  • 理想の上司
  • 宇宙世紀キャラクター項目
  • 平田広明
  • ガンダムライバルキャラ
  • ライバル
  • 荒野の迅雷
  • ヴィッシュ・ドナヒュー
最終更新:2025年05月08日 13:23

*1 後述するプラモデルではやや彩度を落とした渋めの青になっている。

*2 一応造形やプロポーションに関しては古い方が初代アニメのイメージに近かったり、こちらにだけザクマシンガン(しかも貴重なグレネードランチャー付き)が付属してたりと悪いキットではないのだが。