ホワイト・ディンゴ(機動戦士ガンダム)

登録日:2024/01/28 Sun 07:54:14
更新日:2025/02/27 Thu 13:24:18
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ホワイト・ディンゴは、機動戦士ガンダムシリーズに出てくる、連邦軍特殊MS小隊。
「機動戦士ガンダム外伝~コロニーの落ちた地で…」等に登場する。


【概要】

ゲーム「機動戦士ガンダム外伝~コロニーの落ちた地で…」にてプレイヤーが操作する主人公部隊である。
ちなみに「ホワイト・ディンゴ」が部隊名で「隊」などはつかない。*1
ただしバンダイのプラモデル等では「ホワイト・ディンゴ隊仕様」などとなっている為、「隊」呼びでも間違いではないのだろう。死の旋風隊「ややこしいよね」
それぞれの隊員には「ファング」というコードネームが与えられている…が、基本的に隊員同士は名前もしくはあだ名で呼びあう。
その事から分かる通り隊員同士の風通しはよく、部下が隊長に率直な意見や議論を言うこともしばしば。
更に隊長の下した決定に内心不満があったとしてもそれを表に出さずに遂行するなど、部隊としての練度は非常に高い。

一年戦争時に活躍した地球連邦軍に所属するMS小隊であり、3人のパイロットと1人のオペレーターで構成される。
コロニーが落ちて混乱の中にあるオーストラリア地方で主に活動をしている。
彼らの部隊を動かすための裏方を含めて500人程度のスタッフがいるらしいが、全員がプロフェッショナルと言えるエース部隊
隊長はマスター・ピース・レイヤー中尉であるが、彼はどちらかと言うと現場指揮官であり、実質的な指揮は地球連邦オーストラリア方面軍司令官スタンリー・ホーキンス大佐が行っている。
当初はスタンリーが持つ大量のMS小隊の1つ程度の扱いであったが、次第に彼の信頼を得、代えがたい右腕となっていく。

主な機体はジム系MS3体とホバートラック1台という当時の連邦の一般的なMS小隊の編成であるが、基本的に整備や余暇は近くの基地で行われているらしく、移動をする際は別の部隊のミデア等で運ばれる。
隊員も24時間365日いつでも出撃可能という心構えを持ち、更に「夜中に叩き起こされる任務は」という説明から逆にそういう任務もこなした経験もある、フットワークの軽い部隊と言える。*2
…と同時にこんな腕利きの彼らでも平時はしっかりと休息と取らせている辺り、連邦軍の人的な余裕が見て取れる。
設定上は連邦はオーストリア戦線においては他に主力の部隊がおり、ホワイト・ディンゴはあくまで主力部隊の穴を潰しに行く独立部隊なので
ゲーム的にはあちこちで戦う理由付けだがちゃんと他部隊も活躍している以上は彼らだけが休む間もなく激戦をしていたわけではない。

「ホワイト・ディンゴ」の名前の通り、野犬の如き攻めを得意とする…というわけではなく、オーストラリア方面の連邦小隊は色+オーストラリアの動物の名前が名称というルールがあり、彼らもその流儀に従っているだけである。
だが機体の色は白をモチーフにしたものであり、本物の「ディンゴ」のように連携プレーで敵を倒していくと結果的にだが名は体を表わしている。

描写的には連邦軍屈指の腕利き部隊であり、性能的に勝っているドム部隊を相手にしても、向こうがスタンドプレイに走りがちな事を見抜いたあとは「連携が伴っていない」「戦いやすい」と軽口を叩きながら殲滅できる程。
その名は敵ジオン軍にも知られており「犬の紋章」を見ただけで「オーストラリアの犬と言えばディンゴ=そのエンブレムをかざす敵はホワイト・ディンゴ」と確信され、更にジオン小隊の隊長には「勝つには半数の犠牲が必要*3と絶望的な決意をする程にまで恐れられている。

一年戦争時を連邦視点で書く際にぶち当たる問題であるが0079年11月7日のオデッサ作戦まではまだジムが正式配備されていない設定で、
後付けで10月に初期型ジムや実験機がなんとか試験的に配備されたことになった(08小隊などはこの時期)が
かなり早めに見積もっても9月より先には連邦のパイロットは試験要員以外はMSに触れていない状態であり
この『コロニーの落ちた地で』でこの部隊の編成完了して活動開始したのが11月22日からとなる。
大目に見ても数ヶ月でジムを乗りこなし成果を挙げた彼らは才能があった上に猛訓練をこなした精鋭部隊なのだろう。

隊員の声優キャスティングがまるで洋画吹き替えのようなのも特徴。その意味ではスレイブ・レイスの先駆けと言えるかもしれない。
その事もあってか特に小説版ではアメリカ映画のような小気味の良いジョークがあちこちで頻発する。特にマイクの発言はほぼ全てがおもしろ外国人のそれである。

また、ゲーム作品の主人公部隊には珍しく最後までガンダムに関わらないという特徴を持つ。
なんせ初期の機体が(若干カスタムされているとはいえ)通常のジム、最終機体がジム・スナイパーⅡという男らしさ。
そういう意味では腕利き部隊という前提はあるが「連邦軍の一般的な将兵の描写」としての側面も大きい。
ガンダムに乗ることも、ガンダムに出会うことも…ましてはガンダムという単語を発することもない。

最終的に一年戦争を戦死者0で切り抜けたものの、その後の彼らがどうしたか不明である。
ギレンの野望シリーズでは一年戦争後はアライメントがlawの時のみティターンズ入りしているが、実際の彼らもそうやって戦い続けたのだろうか。
なおエゥーゴのlawプレイではユウ・カジマが加入するため、彼の対になっているとも言われている。

【所属員】

CV:山寺宏一
マスター・P・レイヤー」とも。
ホワイト・ディンゴの隊長。階級は中尉。コールサインはファング1。
ゲーム版においては台詞もなくプレイヤー本人という設定であるが、小説版以降はキャラクターとして確立している。
オーストラリア出身であり元々は戦闘機パイロット。
山ちゃんの声が似合う、金髪の髪を七三分けにしたいかにも真面目な見た目通り、中身も真面目であり「自分を過信せずに常にベストを尽くす」ということを信条に生きている。
MSの操縦の腕は一流であり、同時に仲間思い。
しかも「仲間や司令を信じる事」と「疑う事」の相反する思考を両立できる稀有な存在であり、更にその悩みを決してよそに出さない強い意志の持ち主である。
外見含め如何にも大人のエリート軍人と言った出で立ちであるが、それでも若干青い所や融通の利かない一面も持っており、特に「人心掌握の為に民間人や施設に危害を加えるな」という命令に対し、彼らの被害をもろともせず軍人として反論してしまうシーンは印象深い。
最終的に「敵はいくら叩き潰してもいいけど民間施設の窓ガラス一枚を割らないようにするわけですね?」とジョークを交えつつ納得したが「できれば芝生を踏むのも勘弁してくれ」とジョーク返しされてしまい、結果的に「すまんな」と言いつつ、最低限の被害だと地の文で弁明しながら道路に乗り捨てられた車を何台か踏み潰した*4
他方前述の通りオーストラリアの人間であり、コロニーを落としたはずのジオンに服従せざるを得ない現地の人間には多少の慈悲を見せている。
それと結構ジョークが好きであり、口数の多いマイクに「俺の歌で敵を聞き惚れさせるんですね?」という言葉に「いいや、混乱させるのさ」と返す*5などどこかウィットに富んだ台詞回しも多い。

…一見理想的な指揮官に見えるが、心の何処かには「MSに乗って強敵と戦いたい」という欲望もあり、強敵と対峙した際には「彼らのような強敵はもう出てこないことを祈るばかりだ」と仲間に言いつつも実際には逆のことを考えている事に気付き一瞬狼狽するシーンもある。
それは果たして戦争が彼を蝕んだのか、元々持っている性質なのかは不明である。
特に敵エースである「ヴィッシュ・ドナヒュー」とは親友になれるとも思っていたようだ。
外伝作品主人公に多い「ジオン兵に対しても人間としてみる」性質であるが、彼の場合は連邦の汚いところもジオンの卑劣なところも知っているゆえの結論であるのが大きい。

ちなみに名前のミドルネーム「ピース」の部分は「P」と略されることが多い。
これで「マスターPレイヤー」…つまり彼はプレイヤー自身である事を意味している。
この辺りはユウ・カジマの「YOU」というのと同じ由来。
そのユウとは同じSEGA系ハードのゲーム出身、かつては声優が同じだった事もあるということで、外部作品登場時は「同郷」と声を掛けるシーンも有る。

その他詳細は個人項目にて。

  • レオン・リーフェイ
CV:幹本雄之
ホワイト・ディンゴの隊員。階級は少尉。コールサインはファング2。
どちらかというとインファイトが得意。
元戦車兵の寡黙な男で非常に真面目でクール。だがジョークは得意。
出自不明…どころか彼にしか知らない、その上に妙に具体的かつ信憑性の高い「噂」を知っている等怪しいムーブをするが、その噂は基本的にホワイト・ディンゴの得になることばかりなのもまた胡散臭さを感じさせる。
小説版ではその事と、隊長であるはずのレイヤーに対して強情な程に自分の意見を通そうとする一面*6もあり彼に疑心を抱かせるが、そのわだかまりを解決したのは彼本人による告白であった。
ちなみに「普段から寡黙で真面目」「だが上官相手にも正しいと思えば忠言する」「意外にジョークが得意で砕けたところもある」「声が幹本雄之氏」など、不死身の第四小隊であるチャップ・アデルと共通点が多い。もしかしたら知り合いだったかも?

KADOKAWAコミック版では目つきが狐のように非常に鋭くなっている。


  • マクシミリアン・バーガー
CV:宮本充
ホワイト・ディンゴ隊員。階級は少尉。コールサインはファング3。通称は「マイク」。
今までのホワイト・ディンゴ隊員の例に漏れず彼も元はMS隊以外に所属していたが、それはなんと軍楽隊
その出自も相まってかかなりのお調子者で口数が多く、あまりに喋りすぎるためアニタ曹長に良く怒られている。
しかし一度戦いになると別人のように寡黙になり、忠実に任務を遂行していく。
ロングレンジ攻撃を得意としている。小説版のアリス・スプリングス戦でトーチカ狙撃を担当したのも彼。
連邦軍のラジオのDJジャグリーンの大ファンであり都度話題に出す他、本人も歌うのは大好きらしい。
その事でジムに対して「ジャクリーン」と名付けようとしたら、ボブにより「オーストラリアにあるジムの内、半数がジャクリーンと愛称を付けられている」と返された為に断念した。
ただその歌声はレイヤー曰く「私個人としてもマクシミリアン・バーガー少尉の歌声は遠慮したい」と称される為余り聴き心地は良くないのだろう。元軍楽隊なのに。
とはいえ前述の通り戦闘中はかなりの活躍を見せているのだが何故かギレンの野望でやたら能力値がやたら低い。なんとジーン並である。おもしろ外国人枠じゃねぇんだぞ。
一方でGジェネFでコロ落ちシナリオで登場した時は同僚のレオンと同じぐらいのステータス(マイクが射撃より)に設定されていて、腕は確かなパイロットという表現がされている。

Gジェネ等ではおもしろ白人風の出で立ちだが、KADOKAWAコミック版では茶髪の青年という出で立ちとなっており、特に今までのイメージと外見の差異が激しい。


  • アニタ・ジュリアン
CV:土井美加
ホワイト・ディンゴ隊員。階級は軍曹。コールサインはオアシス。彼女の乗るホバークラフトも「オアシス」と呼ばれている。
勝ち気な女性であり良くマイクと口喧嘩しているが、他の隊員には礼儀正しい。
一方で連邦の正義というものを盲信しており、ジオンに服従せざるを得ないオーストラリアの住民に「容赦の必要はない」とオーストラリア人のレイヤーの前で言ってしまう一面も持つ。
とはいえ「彼らも生きるためには必死だ」という説得に耳を貸す辺り頑迷なタイプではない。
卓越した聴覚の持ち主でコンピューターの扱いに長けている。特に小説版でのトリントン基地の情報戦は見どころである。

  • ボブ・ロック
CV:緒方賢一
ホワイト・ディンゴの整備長。階級は曹長。ボブはボブでもこいつではないしザメルにも乗らない。
名前と見た目から分かる通り職人気質であるが、頑固というわけではなく気さくな一面も持つ。
ゲームではMSや装備に対して色々説明してくれるので部隊で一番話すのが彼になりがち。
後に遊撃特務部隊「ファントムスイープ隊」の整備長も務める。

  • オリヴィア・グラント
KADOKAWAコミック版に登場した地質学者の民間人女性。
オーストラリア出身であるがコロニー落としの際にはパリに行っており難を逃れたが、そのこともあり祖国への想いは強い。
その為に作中では、本来レイヤーが持っていたオーストラリラ思いな点を受け継いでいる。
軍人ではないので厳密には小隊員ではないが、コミック版ではホワイト・ディンゴと同行する。
まだ兵器になる前のアスタロスにも関わっていたらしいが…。



  • スタンリー・ホーキンス
CV:藤本譲
厳密には小隊員ではないが実質的な指揮官なのでここに記載する。
階級は大佐。地球連邦オーストラリア方面軍司令官。
見た目がもう悪役顔(特にGジェネレーションF)であり実際にもホワイト・ディンゴに厄介な任務ばかり押し付けてくるが、それは逆に言うと信頼の証とも言える。
更に多忙だということで各部隊と話せる時間は決まっているらしく、当初もレイヤーとの通信はタイマー付きであった。
だが活躍はしっかりと認めており、このタイマーは後に撤廃されている。
その事もあって一見非情に振る舞っているように見せるが心の奥底では人情家であり、指揮官としてその事を表には出さない…。
がたまに「吉報を期待している(期待する)」という口癖で通信を〆る時がある。
これは「非常に困難な任務である」事を暗示しており、彼なりの精一杯の「アドバイス」と言える。
とはいえ一見簡単そうに見える任務でもその言葉を付け加えたことでレイヤーが慎重になった事もあるが。
逆にその言葉を付けなくても普通に厳しい任務っぽいので「楽な任務なんてないものだ」と心中で愚痴られた事もある。
しかし部下をそういった任務に送るのは苦々しく思っていたらしく、最終局面のとあるシーンでは彼もまた血の通った人間だということがわかる。
ちなみに意外とジョークのわかるおちゃめな一面もある。こいつら全員ジョーク好きだな?


【使用機体】

全体的に薄いグレーと黒に近い濃いグレーを組み合わせたカラーリングとなっている。
一見地味ではあるがリアルの軍用機に近いこともあって、いかにも実戦配備された量産機らしく渋くて良いと言う評判も。

同時期の高級機である陸戦型ジムでもジム・コマンドでもなく、(少なくとも見た目は)ノーマルのジム。
ただしエース部隊用として相応にチューンされており、装備は陸戦型ガンダムに準じたものも運用可能。パイロットたちの腕前もあり、ドムを相手にしても優位に戦っている。
一部ミッションでは大型ターゲット狙撃用に試作ビームライフルが供与される。他ゲームに登場した際はこの試作ビームライフルを持ち込み、手数面の取り回しは非常に悪いが強力な一撃をお見舞いできる武装として個性付けされがち。

初期から選択可能。ジムよりも機動性で劣るが、装甲と砲撃力が強化された機体。こちらもチューンされており、ビームサーベルが装備可能。

中盤のミッションで解禁される。ジム・キャノン同様に機動力は低いものの、二丁マシンガンと両肩のキャノンにより火力が高い。
小説版では登場せず、強化されたジムで終盤まで戦い抜く事となる。

最終盤のミッションで解禁される。ジャブローから直送されたばかりの機体と言う事で他機体と異なり、白と青を基調としたカラーリングとなっている。
このような経緯なので部隊カラーではないはずだが、他に同種カラーリングの機体が登場しないため、他ゲームでの出演やプラモの商品名等では実質ホワイト・ディンゴカラーとみなされている。
塗装よりも性能や武装の調整を優先したようで、バルカンポッドの増設が行われており武装も使いまわせるためほぼジムの上位互換。





こちら、追記1!修正する!!


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最終更新:2025年02月27日 13:24

*1 英語の場合はtheを付けたり頭文字を大文字にすることで一般名詞の「白いディンゴ」とは区別できる。

*2 詳しくは後述しているが「夜中に叩き起こされるのは稀」発言は時系列上はホワイトディンゴ編成から1ヶ月過ぎたあたりの頃であり、通常の任務がちゃんとある中でさらに夜中に突然緊急の任務が1ヶ月の間に何度も起きる…というのは現実の軍隊ではあまり無い。

*3 一見冷酷だがその隊長は死んだ部下を埋める際には涙を流す程度の情は持っていた。だが連れているのが新人ばかりだったということもあった為、そのような残酷な判断をせざるを得ない程絶望的な相手だったと言える。結果「一番出来の悪い部下」を犠牲にしオアシスを狙う戦略を取ったが敵わず、奇跡的に生存した隊長以外は全滅した

*4 KADOKAWAコミックス版ではレオンがうっかり車を潰したことを叱責している

*5 実際はマイクの歌声を色々弄くり回した変な通信を相手に御見舞するという作戦であった

*6 最終的に納得したが、レイヤーの説を「仮説」と言い放つ等、言葉の節々にはトゲがあった