おとぎ銃士赤ずきん

登録日:2011/02/09(水) 20:41:27
更新日:2025/07/01 Tue 15:05:36
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『おとぎ銃士赤ずきん』とは、コナミが企画したメディアミックス作品。
元々はフィギュアニメ(フィギュア付アニメ)の企画だったのが派生してOVA、TVアニメ、漫画、小説、ドラマCDなどに展開した。

原案は熊坂省吾氏で、これの後に『セイントオクトーバー』『スカイガールズ』の原案も担当した。
ちなみに熊坂氏は日本の童話をモチーフにしたゲーム、『かってに桃天使!』の開発プロデューサーだったりする。




【概要】

科学が発達した世界エルデ(現実)と魔法が発達した世界ファンダヴェーレの二つの世界を舞台に、
三銃士が魔女サンドリヨンの刺客から『エルデの鍵』鈴風草太を守るべく戦う冒険の物語。

グリム童話がモチーフで、赤ずきんをはじめとした様々なキャラクターやギミックが登場する。

また「本当は怖いグリム童話」を描いてるらしく鬱設定が多いが、
原作のエログロ表現は皆無なので、まだマシなストーリーであるようだ。
ちなみにOVAとTVアニメはPlayStation Storeで配信されていた。
残念ながら現在は終了しており、当時のDVDでしか見る手段がない。


【各メディアの特徴】

OVAとTVアニメは何れもマッドハウスが制作を担当。

●OVA

2005年2月に発売。全1話。
TVシリーズとは、キャラ設定や細かい部分に差異があり特に繋がりはない。
「現代を舞台にファンタジーなキャラが活躍」といったギャップ性や、美麗な作画などで概ね評価が高い。

●TVシリーズ

2006年7月から2007年3月までテレビ東京系にて放送。全39話。
キャラクター原案は、後に『メイドインアビス』などを手掛けるつくし卿ことつくしあきひとが担当している。

毎週土曜日朝9時の時間帯で放送されていたのだが、前番組は同じくコナミがスポンサーを務めていた東宝の特撮ドラマ『超星神シリーズ』の最終作『超星艦隊セイザーX』だった。
そのため、男の子向けのヒーロー作品からいきなり女の子向けのファンタジーアニメに切り替わったギャップに驚いた視聴者も多かった様子。
その上『深夜アニメの企画だったのを玩具を売りたいがため朝の時間帯に変更した。』などといった噂まで流れる程だったが、明確なソースは見つかっていなかったりする。

また、『超星神シリーズ』は本来第4作目が企画されていたのだが、玩具の売上不振によりお蔵入りになった事が後年になって明かされているため、これを根拠に一部の視聴者からは『4作目が中止になって空いた枠を埋める為に急遽本作が後番組にあてがわれたのではないか?』という推測も建てられているが、こちらも公式からの言及がないため同シリーズと本作の関係性は不明瞭な点が多い。

元が深夜アニメだったかどうかの是非はともあれ、朝番組らしからぬダークな雰囲気や欝要素から子供受けはイマイチだったらしいが、主にオタク層からは好意的に評価されており、内容そのものは決して悪くはない。

●漫画

全3巻、コミックブレイド連載。基本TV版と同じだがこちらはエルデ編が長い。
終盤の展開がTV版を補完しているのでセットでどうぞ。

●小説

全2巻。時期的にはOVA版の後日談だが特に繋がりはない。
内容は一番初期設定に近い。

●CD

キャラクターミニアルバム3巻、ドラマ&サントラ3巻。
TVアニメのこぼれ話やボイスドラマなども収録。キャラソンの出来が良い。

【登場人物】

赤ずきん
CV:田村ゆかり

本作の主人公であり、三銃士の一人。

三銃士の中で火を司るが、結界が張れないぐらい魔法には疎い。
代わりに三銃士最強の剣士であり、同じ剣士であるグレーテルが扱うのに苦労した大剣をものの数秒で使いこなすほどの実力。

どう見てもヘルメットだが、赤ずきんらしい。
また、肉球らしきものが付いた靴を履いており、歩くと独特な音が鳴る。

普段は明るく能天気な性格だが、戦うときは容赦なく、全力を出し切るタイプ。
口癖は「じゅぅ~すぃ~」「ずっきゅ~ん」。

実は、故郷が狼族の焼き討ちで壊滅し、
両親を亡くすという悲惨な過去を持っており、普段の明るさはその裏返しだったりする。

中盤、白雪姫といばら姫の力を得てライザーシロガネ……もとい、赤ずきんプリンセスモードにパワーアップする。

どう見ても小学生以下にしか見えないがこれでも14歳らしい。

白雪姫
CV:立野香菜子

三銃士の二人目。白いチャクラム(蛍光灯ではない)を使った魔法のエキスパート。
水と風の魔法に長けている。

眼鏡をかけた優等生で、最初は草太の学校で教師として潜入したこともある。
性格はおしとやかのように見えるが、実際はけっこう気が強いお嬢様で、自分を可愛いと評するほど自信過剰な部分がある。
非常に口が達者で、りんごとよく口喧嘩をするが本当に仲が悪いわけではない。

幼少期は、名前通りとある国の姫で、穏やかな父と暮らしていたが、ある日サンドリヨン配下の魔女が継母になり、父も冷酷な性格に変貌。
国を乗っ取られ天涯孤独になってしまった。そのため、サンドリヨンとの戦いの後、自分の生まれ故郷を取り戻すための戦いを始めた。

いばら姫
CV:沢城みゆき

遅れてやってきた三銃士の最後の一人。大地の魔法を使う鞭使いのエルフ。

姫の名に偽りはなく、エルフの国のお姫様である。

起きているときは大体寝ぼけており、いつもふわわ~と眠そうにしている。
しかし、戦う時や強制的に起こされたときはしっかり目を開く。
その際は凛とした性格になる。

ダジャレなのか、茨城弁を喋れる(というか、両親も話している)。

幼少期は、寝ぼけることはなかったが、睡眠時に無意識に魔力が暴走し、自分が大切にしていた四葉のクローバーや
故郷を攻撃したことがトラウマになり眠らなくなった。いつも眠そうなのはそのためである。

鈴風草太
CV:くまいもとこ(OVA版及びTVアニメ版25話まで)→三瓶由布子(TVアニメ版26話以降)

エルデの鍵の少年で、それが理由でサンドリヨンから狙われており、三銃士の保護対象になっている。

草花と話ができるという能力の持ち主で、エルデ(科学世界)にいたころでも彼が話しかけると花がみるみる元気になったり、花が身を挺して彼を救おうとするなどしていた。優しい性格だがちょっと天然で、人目を気にせず草花と話すため周囲の人間(りんごや両親除く)からは変人だと思われていた。

幼いころに失踪した母親が聞かせてくれた『二つの世界の物語』の続きが気になっていて、そのおとぎ話の話になると周りが見えなくなり、何度か危ない目に遭った。

その境遇や能力、性格から、りんごはもちろん三銃士にも愛されている。

OVA版では、赤ずきんを見て頬を赤らめたりする普通の中学生だったが、TV版では悟りを開いたような聖人になっていた。

木ノ下りんご
CV:釘宮理恵

草太の幼馴染。 とても世話焼きで、(色々な意味で)危なっかしい草太の世話を焼くツンデレ
特技は料理(特に肉じゃが)で、他にも家事全般が得意。語尾に「~ゾ」を付けて話すんだゾ。

モチーフは『毒林檎』なので、白雪姫とは草太を巡って犬猿の仲。
草太の事が心配で冒険の旅についてきた。料理で一行を支えている。
もちろん戦闘力は皆無の一般人なのでお荷物になることも多いが、草太たちの心のよりどころになっている…? 

グレーテル(静森えりか)
CV:矢作紗友里

サンドリヨンの刺客。ミッシンググレイブと呼ぶ大剣を武器にしている。
本来は戦闘能力も持たないただの少女だったが、愛するお兄様・ヘンゼルのため自らも重力魔法を操る魔法剣士となった。

お兄様から褒められようとエルデの鍵を狙い、三銃士と幾度なく戦うがいつも負けてしまう。
その結果、独房行きになったり、敵前で高熱に倒れるなど、苦労が絶えなかった。
さらに危うくお兄様の手によって殺されかけるも、赤ずきんたちの助けもあり間一髪で脱出。その後仲間入りし、赤ずきんたちの手を借りつつもようやくお兄様を取り戻すことができた。

ポケットの中にヘンゼルの似顔絵を隠しているほどお兄様愛が強く、ヘンゼルから捨てられるのを極度に恐れている。
あまりの健気さに赤ずきんたちのほうが悪魔に見えた人がいるとかいないとか…。

彼女の愛称には、グレ子・静森さん・シチューの具材があるが、
「静森さん」は、学校に潜入していた時の偽名・静森えりかから。
「シチューの具材」は、よいこは調べてはいけない※元ネタがR18-G

ヘンゼル
CV:平川大輔

グレーテルの兄で、サンドリヨンの刺客。箒を使う黒魔導士。
感情が希薄で、妹を歯牙にもかけないが、それはサンドリヨンに洗脳されているため。
元々、妹を守るために恩人であるサンドリヨンに暗黒魔法を教わっていたが、それが原因で洗脳されてしまった。
サンドリヨンの命令で、裏切ったグレーテルを消そうと襲い掛かるが
最終的にグレーテルの必死の訴えで洗脳が解かれ、感情を取り戻すことができた。
以降は仲間になり、妹との関係も良好なようである。

漫画版では、自らの妹を手にかけたことに罪悪感を覚え、妹の前から姿を消している。

ランダージョ
CV:小林晃子

サンドリヨン配下の「長靴をはいた猫」。エルデで売られているおでん缶が好物で、別名:おでん缶猫。サンドリヨンの命令でエルデの鍵を狙う。サンドリヨン軍での役割は、魔族をナイトメアリアンへと変化させること。いわゆる怪人製造である。三匹の魔族の音楽仲間がおり、彼らからなるブレーメン遊撃隊を率いている。
しかし、失敗続きでサンドリヨンからはほぼ見放されており、苦労が報われないやつである。
最後までサンドリヨンに尽くした結果、エルデに取り残された挙句、戦いが終わったことを草太達に告げられるまで知らなかった。
告げられた後はがっくりと項垂れるも、一行と一緒に温泉旅行を楽しむなど、敵味方の関係を捨てたようだ。

サンドリヨン
CV:渡辺美佐

三銃士と敵対する伝説の魔女。ラスボス
モチーフは「シンデレラ」であり、サンドリヨンとはシンデレラのフランス読みである。

本名はマレーン(CV:桑島法子)という。彼女は昔、エルデから来た少年と恋に落ちたが、ファンダヴェーレで過ごすうちに
いざこざがあり少年は元の世界へ帰ってしまう。また会いたい一心でエルデへ行く方法を見つけるも、少年は既に別の女性と結ばれていた。
それを知ったマレーンは絶望し、暗黒魔法を復活させて各地で悪事を働き始めたが、ある日、その少年が突然自分の目の前に現れ
悪事はやめて自分と一緒にエルデに来てほしいと頼まれるも、今更止められない、と突き放そうとした際に誤って少年を消滅させてしまう。
全てを失ったマレーンはサンドリヨンとして覚醒、鍵の力で二つの世界を滅ぼそうとした。

TV版では散々和解できそうなフラグを立てたにもかかわらず、結局和解を拒否したために
最終決戦で巨大化したサンドリヨンを全員で袋叩きにして封印、という救いのないオチに。
しかし、封印された本人は穏やかに微笑んでおり、少しは救われたのだろうか…?

漫画では草太の優しさの心に圧されて改心。野望を捨て、どこかへ消えていった。
ちなみに小説で担任の先生に化けるというおちゃめな一面を見せている。


ヴァル
CV:檜山修之

赤ずきんのパートナーである喋る狼で、銀狼ヴァルとも。(犬じゃねえ!)
幼いころから赤ずきんを知る一匹で、戦闘時は草太・りんごの避難を手伝ったり、、赤ずきんとの合体攻撃(というか、踏み台?)を魅せている。
ドラマCDでは、三銃士の面々にボコボコにされたり、なぜかりんごの部下だったり、(普段もそうだが)苦労人。

正体は赤ずきんの幼馴染「カイン」で、彼を追ってきた狼族により赤ずきんの故郷は滅ぼされてしまった。
赤ずきんに不幸な運命を背負わせたことに責任を感じ、正体を隠してずっと赤ずきんの力になると決意した。
そのため、赤ずきんのピンチには身を挺して攻撃を庇う。

通称は「僕らの狼王」。でも敵を光にしたりはしない。
ちなみに赤ずきんとは勇者王時代からの縁。(中の人的に)


ハーメルン
CV:野島健児

赤ずきんたちと同じく四ツ葉騎士団の一員で、元傭兵の少年。巨大な角笛「エンバーテリオン」を使った音声魔法を使う。
フェレナンド王が投降した後も王の命令で、草太が来るのをずっと待っていた。
ちなみに、赤ずきんとは小さい頃からの幼なじみ。

三銃士一行とは別行動の為、活躍は意外と少ないのが残念。


フェレナンド
CV:田坂秀樹

ファンダヴェーレの世界の王様。心優しく穏やかな性格の持ち主で、三銃士や民からも慕われている。
ファンダヴェーレの鍵を持っており、それを狙ったサンドリヨンによる侵攻の際、民を守るため自ら投降。
そのままサンドリヨン城に幽閉される。

キュピ
CV:矢作紗友里

フェレナンド王のペットで、彼とともにサンドリヨン城へ囚われていたが、三銃士の道案内にと王の魔法で脱出させられる。
その後はどうにか三銃士と合流するが、まったく役に立たなかった。

メタ的には、『女児向けだからマスコットが欲しい』という考えで作られたウサギのキャラクター。
特に能力などはなくただいるだけ、というかグレーテル不在回も中の人出演してるね。とただそれだけの存在。


【用語】

  • エルデ
科学世界。草太やりんご達が住む世界で、OVAとTV版序盤の舞台。現実の世界に近い。
元々は魔法世界のファンダヴェーレと一つの世界だったとされている。

  • ファンダヴェーレ
魔法世界。赤ずきんをはじめとする三銃士や、ヘンデル・グレーテルなどが暮らしていた世界。
フェレナンド王による治政が行われていたが、魔女・サンドリヨンの軍勢によって、王国は降伏、荒廃しつつある。

  • 二つの世界の物語
草太の母が失踪する前に草太に読み聞かせていた物語。
元は一つの世界が、万能な青年が自らの力を誇示したことが原因で、魔法と科学の世界に分かれてしまったというお話。
この作品の重要なキーワードでもある。

  • 四ツ葉騎士団
フェレナンド王を守る兵士たち。
その精鋭が赤ずきん・白雪姫・いばら姫といった三銃士。
サンドリヨンの侵攻の際に団長の裏切りに遭い、エルデにいた三銃士と、フェレナンド城に囚われたハーメルンを残して壊滅した。

  • ブレーメン遊撃隊
猫のランダージョ・鶏のアレクトール・犬のカーネ・ロバのエセルの魔族四匹からなるサンドリヨン配下の非正規部隊。
音楽学校への入学を断られたことをきっかけにサンドリヨン側についたが、サンドリヨン軍にも入れなかった。
フェレナンド城を守っていたが、三銃士と復活したハーメルンに撃破されてしまった。
その後、ハーメルンに音楽のセンスを認められ、戦争が終わった後に演奏会を行うことを誓いあう。

  • エルデの鍵
鈴風草太が持つといわれる鍵で、サンドリヨンが執拗に狙っている。
鍵の持つ力は絶大で、争いを呼ぶものとして忌避されたこともあった。

  • ファンダヴェーレの鍵
フェレナンド王が持つ鍵。エルデの鍵とは対の関係にある。
二つの鍵が揃い、力が解放されるとエルデとファンダヴェーレの世界は一つになる。
エルデの鍵の力が解放されると、共鳴するようにこちらも解放される。

  • ナイトメアリアン
サンドリヨン軍の魔族が強化された姿。首輪を引きちぎることで変化する。
サンドリヨン城のプラントで強化されるが、魔族であって適合しなければ命を失うことさえある。

  • 狼族(ライカン)
OVA版ではサンドリヨンの配下、TV版では同盟を結ぶ種族。
人間の姿と狼の二つの姿になることができ、戦闘能力も強い。
ヴァル曰く、「気高き種族」

【主題歌】


  • 童話迷宮
歌・田村ゆかり/作詞・畑亜貴/作曲・編曲・太田雅友

前半OP。おとぎ銃士赤ずきんを知らない人でもこの曲を知っている人は多いだろう。


  • Princess Rose
歌・田村ゆかり/作詞・三井ゆきこ/作曲・編曲・橋本由香利

主要メンバー勢揃いの後半OP。赤ずきんのプリンセスモードが披露される。


  • Clover
歌・作詞・作曲・編曲・marthy

序盤ED。
OVA版でもこの曲がEDに用いられている。

  • 笑顔の宝物
歌・田村ゆかり・立野香奈子・沢城みゆき/作詞・石山タカ明/作曲・編曲・橋本由香利

三銃士が歌う中盤ED。

  • CROSS ROAD
歌・作詞・作曲・編曲・marthy

草太が道をひたすら歩く、終盤のED。

  • Ever-Never-Land
歌・田村ゆかり/作詞・コトワカエデ/作曲・編曲・太田雅友

OVA版のOP。

【余談】

TV放映中にNintendoDS用のゲームが出たが…。内容や評価はお察しください。

ブレーメン音楽隊のアレクトール役が杉田智和だったりする。
非常に高音で演じており、僕だと判別できる人はすごい、と本人ブログでコメントしている。

OVAの赤ずきんの箸の持ち方が悪い。TV版ではちゃんとした持ち方になっている。

TVアニメ版終了から約17年後の2024年3月、フクヤから同作の新規書き下ろしイラストによるラバーマスコットを同年夏頃にカプセルトイで販売することが発表され、おとぎ銃士ファンが歓喜した。つくし卿もX(旧Twitter)にて久々の商品化を喜ぶポストを綴っている。


追記・修正は冒険の扉を開いてからお願いします。


この項目が面白かったなら……\じゅぅ~すぃ~/

最終更新:2025年07月01日 15:05