永遠の闇

登録日:2009/05/29 Fri 21:36:30
更新日:2025/08/22 Fri 18:11:58
所要時間:約 6 分で読めます





※ゲーム『ファイナルファンタジーIX』のネタバレを含むため、閲覧注意。

























ここはおまえたちの世界とは別の次元、

そして私は永遠の闇……


「永遠の闇」とは、ゲーム『ファイナルファンタジーIX』(『FF9』)のラスボスである。


概要


種族:飛行
出現場所:絶望の丘
Lv:69
HP:54100
MP:9999
発生させることができるステータス異常:スロウ、ヘイスト、シェル、プロテス、リフレク


因縁の敵、トランス・クジャを倒した後に現れる謎の存在。


だが、



ジタン「だ、誰だ!?」
画面の前のプレイヤー「だ、誰だ!?」



その存在や登場に関して、一切の伏線・前振りと言えるものが存在しない。


RPGのラスボスとしてこうした概念的な曖昧な存在が出てくることはそこまで珍しくもないが、
にしても本当に一言たりとも匂わされることなく、無から湧いて出るあまりにも唐突なぽっと出のラスボスなのである。
一方でクジャは物語序盤から暗躍して多くの因縁があり、個性も強く、大悪党だが終盤になると同情の余地も示されたりと、RPGの黒幕枠としては存在感の大きいキャラであることも拍車をかける。

ただし、本当にただ出てきて戦うだけというわけではなく、この後にはラスボスっぽい問答をジタンと繰り広げてから戦うのだが(後述)、
誰だよてめーは いきなり現れて好き勝手言ってんじゃねーぞ」という心境になって聞き流してしまうプレイヤーも少なくないだろう。



何気に火属性強化の能力を持っている。

筋骨隆々の屈強な青白い体に目がない顔という特徴的な容姿をしており、ペプシマンにそっくりと散々にネタにされた。
因みにPS時代の荒いグラフィックではわかりづらいが、乳房のような膨らみがあるため、両性具有的な存在なのかもしれない。


使用攻撃一覧


・グランドクロス
16種類のステータス異常※を各1/8の確率で引き起こす。
(※戦闘不能、混乱、バーサク、ストップ、石化、沈黙、暗闇、迷惑、ゾンビ睡眠、ヒート、フリーズ、死の宣告、ミニマム、残りHPを1~10にする)

・青の衝撃
残りHPを強制的に1にする

・ニュートンリング
全体に高威力の物理攻撃

・その他に使用する魔法
フレア、ホーリー、メテオ、ファイガ、ブリザガ、サンダガ、ケアルガ、シェル、プロテス


永遠の闇の行動ペースは早く、最大4連続で行動する…ように見えるが、
実は本体以外に攻撃対象に選択できない見えない敵が3体いるという扱い。
MP切れても魔法打ってきたり有り得ないペースで攻撃してきてるように見えるのはそのためである。

「グランドクロス」「青の衝撃」「ニュートンリング」は使用順番が決まっており、
青の衝撃→グランドクロス→ニュートンリング→青の衝撃→青の衝撃
の順番で繰り返し行動する。
屈強な肉体をしている割に物理的な技は一切使ってこない。


また、パーティー内の元気なメンバー(行動不能または瀕死状態でないメンバー)の人数によって、使用する魔法の種類が変化する。

  • 元気なメンバーが4人の時
…フレア、ホーリー、メテオ
  • (〃)3人以下の時
…ファイガ、ブリザガ、サンダガ
  • (〃)2人以下の時
…ケアルガ、シェル、プロテス

元気なメンバーが少ないほど強力な魔法は使用されなくなるが、かといって戦闘が楽になるというわけでもない。


FF9終盤の難易度は状態異常への対策をどのくらい行っているかどうかで大きく変わり、対抗策をきちんと用意できたプレイヤーからはかなり弱いと評される事も多い。
特に最大HPがかなり低いという弱点があり、数値的には最終ケフカにも劣る低耐久力*1
そのためカンストダメージを叩き出す手段があれば戦況を崩される前にあっさり沈む事で知られている。弱点となる属性も多い。

だが、いくらキャラクターを強化していても油断は禁物。
メテオのダメージ量とグランドクロスの効果は完全にランダムであるため、運が悪ければ即全滅ということが十分にありうるからだ。
(厳密に言えば、永遠の闇が放つメテオのダメージ量は1~4600の間でのランダムなのだが、最大HPを伸ばすことが難しい今作では十分脅威となるダメージ量である)

また、本作のカンストダメージ手段はやり込みや攻略知識に依存し、それらを利用するか否かで味方の火力にかなり差がある。
そのため、初見プレイでやり込みもせず順当にここまで到達した場合などは自然と長引いてしまうため、凶悪な攻撃の数々が牙を剥く
特定のアイテムでしか解除できない状態異常、回避不能な即死系状態異常が何度も飛んでくるため、FF屈指の強ラスボスにすらなり得るのである。
また本体以外のユニットは味方に戦闘不能が出ると順次休止状態になるのだが、これに気付かないと隙の無い攻撃に断続的に苦しめられる事になる。

このようにプレイスタイルと運によって、その強さの評価は大きく分かれている。
前作のラスボスにも言えることだが、寄り道せずストーリーを楽しみたいプレイヤーと育成をこなして攻略するプレイヤーとでは全く違う手応えになるため、「楽に勝てた」という意見を鵜呑みにするのは危険である。*2
負けたくないプレイヤーはきちんと準備を怠らないように。



活躍と考察


劇中では、敗れたクジャが悪あがきに発動させたアルテマによりジタンたちが吹き飛んだかと思われたところで、彼らを自らの存在する世界『絶望の丘』に引き込み登場する。

死への恐怖に負け、クリスタルを破壊することで宇宙全てを消し去り救われようとしたクジャの行動から、宇宙に存在するもの全てのものの目的は滅びるためにあるとする独自の“答え”を結論付け、クリスタルすら生まれることのない無の世界に全てを還そうとする。

作品内ではその素性について直接的にわかる要素は一切ないものの、
自分のパーソナリティについて長々と語ってくれるせいで威厳が損なわれている節もある。つーか何だよ「そして私は永遠の闇」って……ため考察の余地はあり、
ファン内では「“生きるものの死への恐怖”が具現化した一種の召喚獣である」との見方が多い。

これは、FF9の世界における召喚獣は「人々の想いや伝承」から生まれるものであること。
そして永遠の闇自身が「私はいつでも復活する」「この世に生あるもの、そして死が存在する限り……」と、自身が生あるものと死から生じた存在であることを示唆しているからである。


『ファイナルファンタジー 20th アニバーサリー アルティマニア File:1 キャラクター編』には
「野望達成を目前に余命わずかと悟ったクジャの、恐怖や絶望、憎悪が呼び覚ました存在」
と記述されており、クジャのファイナルアタック→召喚により呼び出されたようなものとも言える。

「私は、誰かがその答えを導き出すのを待っていた」
など自身の存在する理由、為すべきことを探していたような言動があり、はるか昔から存在していたにもかかわらず、これまで行動は一切してこなかった模様。

自分語りしつつもジタンの疑問・質問には律儀に返答してくれるが、
「おまえこそ、自分の存在理由が欲しかっただけじゃないのか!?」
という質問は図星だったのか完全スルーしているところからして、彼?の心境も中々に複雑らしい。


要は

(´・ω・`)俺って何のために生まれたんだろう……

(`・ω・´)きっと生きるものが死への恐怖から、自ら滅びたいと思った時のために生まれたんだな。
     よし誰かが全てを滅ぼす答えを出すまで、自分を必要としてくれるまで待ってよう

自分の出番キタ━━━━ヽ(゚∀。)ノ━━━━!!

といったところか。


FF9では「命」がテーマであり、特に黒魔道士やクジャ関連での流れを見れば解るように「死」というキーワードは特に重要なものとして扱われている。
テラの民が星を存続させるために他の星を取り込ませてきたのも、元はと言えば滅びという「死」に対する恐怖心からだろう。


そのように考えてみれば、「死」そのものの具現である永遠の闇は、FF9の世界観におけるラスボスに相応しい存在であるとも言えるだろう。


プレイヤーからの評価


……とまあ考察すればそれなりに色々見えてくるところはあるのだが、
実際にゲームをプレイしている時、しかも最終決戦の最中にここまで感じろというのも無理な話だし、
繰り返し言うようにストーリーの流れとしては何の説明もなく唐突に登場した何処の馬の骨とも知れない輩であることは考察しようがしまいが厳然たる事実である。
そのため、プレイヤーからの扱いは「意味がわからない」「ぽっと出ラスボス」と叩かれたり「ペプシマン」と嘲笑われてしまっているのが専らである。

というのも誕生の経緯が、スタッフの「クジャをラスボスにしたくない」という意見から急遽追加されたから、らしい。
これは別にクジャ贔屓とは言えず、命僅かでヤケクソになったクジャをボコっておしまいというのはプレイヤー目線でもイマイチ後味悪く爽快感に欠けるというのは尤もなので、難しいものである。

因みに元々は本作の裏ボスの1体であるハーデスがラスボスとしてデザインされていたらしく、絶望の丘の設定画にはハーデスが描かれている。




何故自ら消去依頼をしようとしない……

追記・修正しようとする意志とはかくも強大なものなのか……

だが、これで終わりではない……

私はいつでも自治をする……

この世にWiki篭りの者達と、建て逃げ項目が存在する限り……

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最終更新:2025年08月22日 18:11

*1 なんならDISC4で戦うボスの中で最もHPが低い。

*2 今作は特に育成を突き詰めなくても進めることは十分可能なので、大雑把な育成のまま対面する事も十分にあり得る。