この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
ある日ある日、おじいさんとおばあさんがいました。おばあさんは川で洗濯しています。おばあさんは洗濯にこだわりがあるらしく、独自ルートで仕入れたらしいあらゆる汚れ・穢れ・邪気・怨念・呪いを祓い落す万能の洗剤を使用しています。
おじいさんは本を熱心に読んでいます。おじいさんは幼少期にまともに教育を受けたことがありませんでしたが、ここ数年、ふと思い立って本を読むようになりました。おじいさんは本を一日2ページ読むことを習慣としているらしく、読み終えるといつも「桃先生のお言葉はいつも物事の本質をついている。桃先生の深い知識にはいつも感銘を受けるよ」と満足そうに感想を話します。
ある日、白ヤギさんからお手紙着いた。
読まずに食べることは出来ないので読んでみることにした。
それによると桃先生のセミナーが近くであるそうだ。参加費は5万円だが行くしかないと思いました。
しかし、おばあさんは「そんな捕まってないだけの詐欺師の話聞いてどうするの」と反対気味です。
これを聞いて憤怒したおじいさんは、「絶対行くぞ」と決心して、吉備団子を自分で作り腰に携え、太陽の十倍の速さで駆けだしました。
しかし、セミナーまで行くのに一人だけで行くのは非常に大変です。
おじいさんは道中仲間を集めることにしました。

おじいさんは道中でギガントスピノサウルスラピッドサービスに出会いました。
ギガントスピノサウルスラピッドサービスはおじいさんを見て、言いました。
「そんなに急いで何処へ征くのだ」
おじいさんは言いました。
「桃先生のセミナーへ行く。邪魔者は全員殺す」

おじいさんは一日2ページの読書習慣をなんとなくで続けてきたわけではありません。その圧倒的な解読スピードは高速SSDの領域に達しており、あらゆる状況を瞬時に判断して最適な行動をとることができます。桃先生の持つ天才的な発想力、機転、そして文章力を受け継ぎ、ギガントスピノサウルスラピッドサービスの懐を目指します。

「オレ、オマエ、キライ、オマエ、ナカマ、チガウ、!」

『桃先生直伝!世界の真実とノストラダムスの大予言との関連性 ~世界の陰謀に立ち向かうための新常識88選~』のうち、45番目に出てきた秘儀を使い、ギガントスピノサウルスラピッドサービスの頭を吹き飛ばしました。目まぐるしい成長です。吹き飛んだ頭はまるで世界に降り注ぐ終焉の雨のようですが、アルミホイルの帽子をかぶる「選ばれし男」おじいさんにはそれが一切無効でした。

「なかなかやるようだが、そう簡単にはここは通さん」

ギガントスピノサウルスラピッドサービスの中から、謎の声が聞こえてきます。

頭を飛ばされたはずのギガントスピノサウルスラピッドサービスの首元から、一つの影が見えます。
そこからに出てきたのは、なんと前におじいさんが退治したはずの酒呑童子でした。
そう、おじいさんは実は摂津源氏の源頼光の老いた姿だったのです。
「オレ、オマエ、コロス!」
復讐の念に満ちた酒呑童子は、懐から桃太郎先生の「世界は操られている!~ロックフェラーとイルミナティの存在と真相~」を取り出し、呪文を唱えました。

酒呑童子は口角を上げ、老夫を睨めつけた。

「我々、鬼カルテルはお前のような男を見逃さない」
「いや、いきなり普通に喋ってんじゃ――」

 おじいさんがそう言いかけた瞬間、彼の首元にビッ――っと鋭い痛みを感じ、手を当てる。その手には鮮烈な赤が滴っていた。

「貴様……アノマリーの使い手だな」
「その言葉を知っているということは、お前も昔話実現機構への反逆者ということだな。クリアランス・インフラレッド、お前が知るべき情報じゃない」
「――!?」

 その瞬間、異様な雰囲気がおじいさんを襲う。黒い影、ピンクのマーク、世界の陰謀に立ち向かう識者としての顔はそこにはなく、あるのは己の願望を実現する確固たる執念と、それゆえの相手を威圧する圧倒的「洗濯力」――

「おばあさん……家で洗濯させていたはずなのにどうしてここに」
「簡単だ。桃先生の手下がこの言葉を知っているとわかった以上、かたっぱしから始末していくしかなかろう。酒呑童子は仕事をきちんと成し遂げられなかったようだな」

おばあさんの左手が怪しく光りだす。料理や掃除では一切使わず、右利きとして生活してきたはずのおばあさんが、イルミナティの力を解放し、強烈な電磁波を放出する。「選ばれた男」のアルミホイルをもってしても、これを受けて正気を保つのは難しい。しかしこれでも、おばあさんの力は最大出力ではないようだ。

「いままで楽しかったですよ、『夫婦生活』ごっこ」

おばあさんの左手の光が白から薄い青に変わる。桃先生に出会うまでもう少しだったというのに。桃先生の言葉に導かれて、桃先生に力を授けてもらい、もう少しで世界の陰謀に打ち勝つことができるはずだったのに、こんなに身近に「敵」がいたなんて。

「おばあさん、あんたが――」

おじいさんが言葉を言い終わる前に、おばあさんの最大出力のイルミナティがおじいさんを襲う。昔話実現機構の最高指導者に立ち向かうためには、『桃先生直伝!世界の真実とノストラダムスの大予言との関連性 ~世界の陰謀に立ち向かうための新常識88選~』と『世界は操られている!~ロックフェラーとイルミナティの存在と真相~』の2冊だけでは足りない。ここからさらに4冊の真実本を読破し、10冊の課題レポートを提出し、なおかつファウンダーズ・サファイア以上の階級に就任しファウンダーズ・トリプル・ダイヤモンドの真理探究者の下で修業した経験と、ファウンダーズ・プラチナム以上の探究者を導く必要がある。今のおじいさんの実力では、足りない。

「The peach world, the better world. 世界の真理探究を諦めたら、そこでおしまいですよ、『おじいさん』」
「!?」

閃光に身を包まれるその瞬間、その閃光は風の前の塵のように消え去った。

奥に見えたのは、私の会うべき存在「桃先生」が立っていた。

「おばあさんは、裏で世界を牛耳るロックフェラー家の血筋なのです。私はその世界を変えたい。おじいさん、私とともに協力して世界を邪悪な秘密結社から救いませんか?」
そういって、桃先生の渾身の新著「世界の真理~あなたはこの世界で生きていると認識しているプログラムに過ぎない~」を取り出し、今までの本を組み合わせた。
全てで700ページほどだろうか、辞書に匹敵するほどの内容があったことに衝撃を受けるが、そんなことを気にせず、桃先生は途中のページを開いて、叫んだ。

「ゾルタクス・ゼイアン!」

その言葉の後、眩い光が本から現れ、桃先生の前にいくつもの影が現れた。
それは、大層衝撃的な物だった。

なんと、UMAや亡くなった(とされているが実は生きて世界を牛耳る)有名人の数々、最後に後ろからはピラミッドに目のマーク。
おじいさんは気づいた、私は無知だった、崇高なる存在は「桃先生」だった、と。

そして、あの顔...どっかで見たことがある...
「おじいさん、世界は私たちが変えるのです。パンドラの箱は既に空いているってわけ、信じるか信じないかはあなた次第です」
そう、彼は関〇夫だったのだ。
テレビでみたあの姿...ずっと昔から私たちに警告していた存在。

今ここで、召喚された者たちが動き出し、おばあさんへと向かう。

おばあさんは必死に抵抗しながらも、打ち勝てはしない。
おばあさんは倒され、ピラミッドに目のマークが書かれた存在が天から降りてきて、おばあさんを攫っていった。

世界は救われたのだ。

世界は秘密結社の陰謀から免れ、平和を取り戻した。

「信じるか、信じないかは、”あなた”次第です」
最終更新:2024年10月21日 01:27