この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

『おしっこみたいな色のオレンジジュース』


「このオレンジジュースは何ですか?」
そう彼は言った。彼の眼の前にはオレンジジュースがおいてある。部室においてある冷蔵庫から出してきたものだが、気に入らなかったようだ。
「おしっこみたいな色ですけど」

ふぁふす

美味しいんですか?これ。本当に飲む気なんですか?え!?え!?!?正気?あなたそれをしたら人の道を踏み外しますよ!!踏みとどまってどうか!やばいって!やばいやばい!誰か助けて!あああああ〜〜〜〜!!!」


人の道を踏み外したってかまわないんだ。
私はためらいなく水道の蛇口をひねり、喉の潤いを感じ取る。するとどうだろう、私がひねったのは蛇口でなく、目の前には花畑が広がっている。

アティレ(本物)

「これはどういう冗談だ?」
「やあ」
眼前に立っていたのは、中肉中背の男だった。
「君は蛇口を捻って、人道を踏み躙ろうとしたんじゃないか?」
「そんな大げさな」
不思議に私は落ち着いていた。

ふぁふす

彼はおもむろにズボンを脱ぎ、パンツを下げた。そこにあったのはペニスでなく、蛇口であった。
「私は事故でペニスを失った。それで蛇口を移植したんだが、それからはオレンジジュースが出てくるようになったんだ」


まるで意味が分からないが、彼の話は続く。
「あと毎日水道局に水道代を請求されるんだが、そのたびにズボンを下ろしてオレンジジュースを恵んでやるのさ。そうするとあたりに花畑が広がって虹がかかるんだぜ?」

アティレ(本物)

「しかし、そんなことをした結果、社会にどんな影響を与えるか分かるかね?」
男は言う。
「変態の蔓延だよ。君がどういう選択をしようとオレンジジュースは絶対だからね」
ふっと男は笑って、視線を反らした。

ふぁふす

「オレンジジュース……オレンジジュース……」
気がつくと、周りは陰部に蛇口をつけた男たちが取り囲んでいた。皆一様に目が虚ろだ。このままでは危ない!


万事休すかと思ったその時、目の前にリンゴマークのマントがたなびく。
「オレンジジュースなど邪道……これからはリンゴジュースだ!」
半裸のリンゴマントは忍び寄るオレンジの悪魔を次々に蹴散らす。

アティレ(本物)

最終的に全ての悪は払われ、世界に平穏が訪れた。
リンゴマント率いる世界政府はこれを「オレンジジュースの乱」と呼び、世界政府の発行する教科書には必ず載せられている戦争となったのだった。めでたしめでたし。

ふぁふす
最終更新:2024年06月23日 01:04