現在の「大雪山おろし」は「敵を振り回して竜巻を起こし、敵を上方向に巻きあげ放り投げる技」というイメージが強いが、
実は1974年のアニメ第1作目の大雪山おろしはそのイメージとは全く別の技である。
1974年のアニメ版の劇中では、武蔵とゲッター3が使う大雪山おろしは相手を振り回してから、
主に横方向に投げ飛ばして地面に叩き付ける技であり、 ジャイアントスイングかハンマー投げのような投げ技のイメージに近い。
ゲッター3がメカザウルスに対して使う場合には、この投げ技で相手を叩き付けた後に、
追い打ちのゲッターミサイルを叩きこんで止めを刺す事も多かった
(この点は『スパロボ』でも踏襲されつつあり、特に『チェンゲ』の真ゲッター3の場合はミサイルを大量にぶっ放すミサイルストームが使われる)。
また1974年のアニメ版ではゲッター3の 腕が長く伸びるという描写は一切無く、
むしろ蛇腹状ではあるが太くて力強い腕という側面が強調されている。
だが、後年の『スーパーロボット大戦』シリーズの初期の作品での戦闘シーンで、
竜巻を発生させて相手を上方に投げる技として「大雪山おろし」が表現される。
まぁ、当時のスパロボ(コンシューマー機の容量)では投げ技を表現出来なかったのでしょうがない
(それこそ ゲシュペンストキックと同パンチが両方とも同じモーション(体当たり)だった時代である)。
そしてその演出が逆輸入されたOVA版のゲッターロボにおいてさらに腕が伸びて竜巻状になる演出が付加され、
1974年のアニメ版とは全く別のイメージの技となった。
この技を元に後のOVAやゲームでは大雪山おろしが表現される事になり、現在の大雪山おろしのイメージとなっている。
ちなみに石川氏の少年サンデー連載の漫画版では先述のようにゲッター3が大雪山おろしを使うシーンは無いが、
武蔵本人が大雪山おろしを使うシーンは有り、その中には竜巻で上に相手を巻き上げているように見えるものも存在している。
またOVA版以降の描き下ろし漫画では比較的現在のイメージに近い演出で大雪山おろしが描かれている。
この技はあくまで武蔵個人の技能のため、当然後任者である弁慶には使用出来ないのだが
(そもそも武蔵は柔道家、弁慶は高校球児と 本来畑違いもいいとこである)、
『第4次スーパーロボット大戦』では「特訓!大雪山おろし」という わざわざステージ一つ使って弁慶に習得させている。
隼人曰く、大雪山おろしを使えないようではゲッター3を使いこなせているとは言えないらしい。
(ちなみにこのイベントで弁慶は ジャ○ビニ流星打法(原文ママ。元ネタは『アストロ球団』)を提案したものの、流石に流された。
ゲッター3は バットを持って無いし… そもそも誰がゲッター3にボールを投げるんだ?って話だし)
このイベントのインパクトが強かったのか、その後のシリーズでも何の説明も無く弁慶が大雪山おろしを使用出来る事は多い。
というかぶっちゃけ (武蔵より出番が多いので)弁慶が使う事の方が圧倒的に多い。
なお、『新』の武蔵坊弁慶も実質武蔵と弁慶をニコイチしたキャラであるため、こちらも 何の説明もなく大雪山おろしを使う。
また、アンソロジーコミックで、百鬼帝国によって鬼として復活させられた武蔵が、
痛め付けるフリをして無理矢理大雪山おろしを伝授する話が描かれたり、
OVA『真ゲッターロボ 世界最後の日』でも弁慶が「直伝・大雪山おろし」として使用するなど、公式も含めて結構受け入れられている模様。
なお、『第2次Z』までスパロボで武蔵が真ゲッターに乗る事が無かったため、
真ゲッター3の「大雪山おろし二段返し」は弁慶が大雪山おろしを彼なりにアレンジした技と思われる
(発表順では後になる『がんばれ!ムサシ!!』では武蔵がよく似た技「大雪山おろしパンチ」を使っているが)。
一方、『Z』では'75年版の『ゲッターロボG』の本来の設定を重んじた形になり、大雪山おろしを覚えていない。
ゲッターポセイドンのフィンガーネットで捕獲した敵を大きく振り回して投げるという演出は、
むしろ本来の大雪山おろしを踏襲しているとも言えそうだが……。
ゲッター3系列でしか再現出来ない技のようで、
「特訓!大雪山おろし」での説明によると隼人もこの技を伝授されているが、ゲッター2などが使う事はまず無い。
まぁ、普通のマニュピレーターがあるライガーならともかく、片手がドリルであるゲッター2や真ゲッター2の場合、
「敵を両腕で掴む」という事が出来ないので仕方ないが。
また前述の小説ではゲッター1、2、3、ゲッター號、翔、凱、そして真ゲッター1、2に武蔵のクローンが乗って登場するが、
大雪山おろしを使ったのはゲッター3だけである。
唯一、ゲッター3系列以外で大雪山おろしを使ったのは『第2次スーパーロボット大戦α』のブラックゲッターであるが、
イベントで使用したのみであり、通常の武器としては使えない。
なお、大雪山おろしの派生技として上述したように 「大雪山おろし二段返し」「大雪山おろしパンチ」が存在。
「大雪山おろし二段返し」は『スパロボ』シリーズのみに存在する真ゲッター3の技で、
いつもの大雪山おろしに加えて他の技を仕掛けるというものだが、タイトルにより、
体当たりしたり(これも作品によっては投げる前の場合や投げて地面に叩き付けた後の場合とが存在)、
落下中の所をミサイルストームで追撃したり、 一度放り投げた相手を受け止めてもう一度放り投げたり、
通常の大雪山おろしと何ら変わりなかったりと各タイトルで異なっている。
「大雪山おろしパンチ」は『がんばれ!ムサシ!!』で披露された技で、
大雪山おろしで放り投げた 相手が落下している所を渾身のパンチで殴り付ける技となっている。
全くの余談になるが、『 大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズの プリンが「たつまきなげ」なる上投げ(64版のみ前投げ扱い)を使用しており、
名称も内容も大雪山おろしを想起させるが、スタッフが明確にオマージュしていたのかは不明。
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