旧名はカツ・ハウィン。一年戦争の戦火に巻き込まれ、ホワイトベースに乗り込むこととなった戦災孤児のひとり。
おとなしい性格で、一年戦争後はホワイトベースクルーの ハヤト・コバヤシに引き取られ、彼の養子となった。
ぶっちゃけて言えばカツ・レツ・キッカの戦災孤児組は3人ひとまとめ的な部分が強く、彼単独で特に何かがあるわけではないのだが、
漫画作品『THE ORIGIN』では年長者としてレツやキッカをたしなめ、まとめるシーンもある。
「僕らにとって、いえ、母にとってはアムロさんはヒーローだったんです。 そんなことを言わずに、『地下にモビルスーツが隠してある』とくらい言ってください!」
その7年後のグリプス戦役では、アムロや養父のハヤトと共にカラバへ参加。
初登場時には上記の台詞でアムロを叱咤し、半ば自暴自棄になっていたアムロを再び再起させるという重要な役割をになっていた。
ただしこの台詞自体は、かつてのヒーローであってもご都合主義的には動けないという『Zガンダム』を象徴する台詞であるとも言える。
後年のゲーム作品では本当に地下にガンダムを隠していたこともあったり、そもそもアムロの挫折が描かれない作品も多いが。
高いニュータイプ特性を持っているものの、パイロットとしては半人前もいいとこで、
前作の大人しかったが真面目な性格はどこへやら。感情の起伏が激しく、独断専行、命令違反の常習犯となってしまった。
カツが登場して以降、それまでアーガマの 問題児だったカミーユが
カツをいさめる側に回る
、といえば彼の素行の酷さが明らかになるだろうか。
監督を務めた富野由悠季氏は彼について、
「7年の歳月は子供を十分に変えてしまう長さ」
「(育っていく過程において)自制心(の涵養)が足りなかったのだろう」
と述べている。
また、後にティターンズの少女兵士、サラ・ザビアロフと接触した際には敵味方を越えた恋心が芽生えるが、
それによって突発的行動が更に加速してしまい、更にサラは心酔するパプティマス・シロッコの元に戻ってしまい、
裏切られたカツは人間不信に陥ってしまう。そして、終盤では怒りに身を任せてシロッコを討とうとするが……。
そして最終的には、ヤザン率いるハンブラビ隊との交戦中に、
無謀にも
ほとんど戦闘能力を持たない
コクピット・ブロックで突入し、小惑星に激突して命を落とすという悲惨な最期を迎えた。
死の際にはかつて愛したサラの幻影を見ている。死ねばサラに会えると思った時点で、彼は生きる気力を完全に失ってしまったのかもしれない。
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小説版では |
監督の富野由悠季氏が執筆した小説版Ζガンダムでは、
ヤザンのハンブラビ相手に苦戦するエマとの間に割って入り鮮やかな合体・分離を行ったため、
この技能を危険視したヤザンにスーパーガンダムになったエマ機そっちのけで追跡・捕縛され、
小惑星に叩きつけられて最期を迎える。
直接の死因はTV版とは変わらないが、能力の高さそのものは評価されていたのかもしれない。
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「サラ…また君に会えるんだね」
彼の最初で最後の、本当の意味での活躍の場面は
死後に訪れた。
戦いの中で散っていった死者の魂を集めてシロッコに挑むカミーユの前に、シロッコを守りにサラの魂が現れる。
そしてカツの魂がサラの心を動かし、守りを失ったシロッコにカミーユが特攻する事で最後の攻撃を成功させたのである。
異論はあるだろうが
カツがいなかったらサラの妨害のせいでカミーユが負けていたかもしれないのだ。
まあ、カミーユならサラごとまとめて粉砕した可能性は大きいが
よく「サラはカツの事は無視してシロッコ一筋であり、それどころかカミーユといい雰囲気になった事さえあるのに、
カツとは本気で何事もなかった」と評されているが
最後の最後でサラはシロッコを捨ててカツを選んだのである。
……両者死後だが。天国では心安らかに結ばれたと信じてやりたい。
その素行、反動的な言動は、明らかに幼少期の彼があこがれたエースパイロットの アムロ・レイを模しており、
そしてその結果は
凡人が英雄を真似ることがいかに悲惨な結果をもたらすか
というシニカルなテーゼとして視聴者へと突きつけられている。
作中のサラとの関係も、かつてのアムロ、シャア、ララァの悲劇を再び再現したものであることからそれはより一層ハッキリしているだろう。
作中ではカミーユと同じく作品の「若さ」を担当するキャラであり、そのせいか彼に対しても批判意見はかなり多い。
その立ち位置から、後年の 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』におけるハサウェイ・ノアと比較されることもある。
しかし、そうした意見以上に、彼もまたZガンダムという物語に必要不可欠なキャラクターであることは言うまでもないだろう。
ちなみにキャラデザを担当した安彦良和氏は「こんなに活躍するならもっと手を入れるべきだったかもしれない」と割と酷いことを述べていたりする。
その死後も魂の状態で結構再登場しており、前述の通り、カミーユとシロッコの最終決戦で意思の状態でカミーユを援護したり、
続編の『機動戦士ガンダムZZ』でもハヤトがカミーユと対面した際に、カミーユを媒介にカツの意思が現れたこともあったほか、
ジュドーとハマーンの最終決戦においても、ララァ・スンやフォウ・ムラサメら女性達と共に幻影となって姿を見せている。
しかし、他のメンバーが女性ばかりなのに
何故カツがそこにいるのか
と余計な疑問を抱かずにはいられない。
冷静に考えると味方側の男性NTで死んでるのはカツだけなので問題ないはずではあるのだが
物語中の女性的感性の一翼を担う象徴的存在とのことだが、意味深なメッセージだと思えばいいのか、笑えばいいのか……。
ちなみに養父であるハヤトは、続編の『機動戦士ガンダムZZ』で、ブライトにかつてカツが使用していた部屋を見せられるまで、
フラウや他の子供達にはカツの戦死を告げていなかったり、(ただし一部の漫画作品では逆にハヤトより早く知っていたこともある)
その後、ラカン・ダカランのザクⅢに、搭乗しているドダイ改を撃墜されて戦死する際に
その最後の言葉が
「カツ…」
だったことからも、カツ達に対して血のつながりを超えた強い愛情を持っていたことが伺える。
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『スーパーロボット大戦』シリーズでは… |
スーパーロボット大戦シリーズにも幾度と無く登場している。
Gディフェンサーが未登場の(もしくはフォウ辺りに取られた)場合はネモやジェガン、ヘビーガンといった量産機に搭乗することが多い。
原作に比べると、アムロなど周囲に頼れる大人が多いためか、ちょっと拗ねた子供程度にまで性格は落ち着いている。
更に、死亡イベントが全く採用されないため、基本的に最後まで生存する。こいつにイベントを割く時間がないとか言ってはいけない。
そのぶん扱い的には割と空気であり、『F』では味方増援としてきたら
「アムロ達じゃない」
とがっかりされて不貞腐れたり、
『α外伝』ではアムロ達と共に軟禁されていたのを助けてもらったら、ジュドーに
「いたのか」
などと言われたこともある。
しかし、一部作品ではサラを説得することで仲間に出来るため、重要な扱いをされることもある。
ただし、サラを仲間に出来るのは『第四次』と『Z』だけなのだが……。その他の作品でもサラの死亡描写は少ないだけマシだと言えるが。
しかし、よりにもよってサラが仲間になる第4次ではEDで別れている。
(正確にはカツはエピローグで連邦軍でパイロットをしているのだが、サラはフォン・ブラウンで静かに暮らしており、繋がりが見当たらないのである。
まぁ、似たようなのに、パイロットをしているカミーユと看護士を目指しているファそしてカミーユと一緒にいるフォウとかあるけど)
性能に関しては昔から二軍パイロットの代名詞とされており、回避能力が致命的に低い場合が多い。
昔であれば大人しくスーパーガンダムの複座にでも座ってろ的な扱いが多く、多くのスパロバーにその性格も相まって弄られてきたのだが、
近年ではサポート役として優秀な精神コマンドを多く割り当てられたため、むしろサポートに関しては優秀な立ち位置となることが多い。
扱いとしても 地球潰しをしようとするかつての上司やラスボスに対し専用の戦闘台詞が設定されるなど優遇され始めており、
更に、声が劇場版の浪川氏に変わった『Z』では、低いなりに素の性能が底上げされているため、
リ・ガズィやガンダムMK-II(黒)辺りに乗せると思わぬ活躍をすることもある。伊達にNTではないのである。
参戦した作品の都合上、カットインアニメを貰えたのが歴代ガンダムキャラでもかなり遅かったが
ただし、前作である『機動戦士ガンダム』が、ZやZZと共演させるために意外と原作再現の機会に恵まれないためか、
カツ・レツ・キッカの三人組の一員である、カツ・ハゥインとしての出番は
スパロボでは一切ない。
貴重な原作再現の機会だった『GC/XO』でも、『未来ロボダルタニアス』の戦災孤児グループがその代わりを務めている。
一方で、『第三次』では養父のハヤトが一年戦争時代の少年なのに対し、カツがグリプス戦役時代の姿で出てきたこともある。
ハヤトが序盤で抜けるため両者の邂逅は無かったが、一体どういうことなんだろう。まあ、アムロやシャアが一瞬で7年ぐらい老ける作品なんだけどね
なお、カツのファンからの弄られっぷりについてもっと知りたい方は「 吉田創」で ググる?ことを推奨。
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