「わたしこそ しんの ゆうしゃだ!!」
「ざんねん!!
わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!!」
1987年にPC用がアメリカで発表され、日本ではケムコがファミコン移植した伝説の死にゲーADV『シャドウゲイト』の主人公。
ケムコが移植担当した『ディジャブ』『悪魔の招待状』と本作を含め「ケムコ三大死にゲーADV」と呼ばれる。
「しんの
ゆうしゃ」は
自称および俗称であり、本名は不明。
どこかの王家の血を引く若者であった彼は、旅の最中、ドルイド僧から予言を授かった。
十二人のドルイドによって封印された魔王ワーロック(
VAではない)が蘇り、タイタンの中でも最も恐ろしい
ベエマスの召喚を目論んでいるというのだ。
彼は世界を救うため、ただ一人で謎多き闇の迷宮、悪魔の城「シャドウゲイト」
*1へと乗り込んでいく。
何故ならば、
彼こそが真の勇者だからだ……!
「しんのゆうしゃ」の由来はしらべる→セルフとコマンドを選んだ際のメッセージ「わたしこそ しんの ゆうしゃだ!!」から。
また、物語冒頭では「わたしの ゆうしゃとしての ちが さわぐ!!」との言葉もある。
続編的存在の『シャドウゲイト64』においてその伝説が語られる、勇者ジェイルこそが彼ではないかと囁かれており、
その伝説によればシャドウゲイト城の冒険を潜り抜けた後、カルトゥーリン国かウェストランド国の王位に就いたようである。
そして後述の『Shadowgate』で25年の時を経て、遂にウェストランドの「ジェイル・カサガー」卿だと確定した。
原作は罠に引っかかって死んだり、謎解きに失敗して死んだり、魔物の類に殺されたりはもちろんのこと、
「常識的に考えれば死ぬと思えるような行動まで実行でき、その行動で普通に死ぬ」のが最大の特徴である。
時には、良かれと思って選択した行動でも死ぬ。
溶岩の中に入ったり、落とし穴に落ちたりすると当然死ぬ。
松明の炎が消えると足を滑らせて、壁に頭をぶつけて死ぬ。
アイテムの武器を
自分に使用すると、自分に突き刺して死ぬ。
アイテムの毒薬を
自分に使用すると、自ら毒薬を飲み死ぬ。
アイテムの松明を
自分に使用し続けると、自分が燃えて死ぬ。
だが、死に際の
状況をうまい具合に解説する精神的余裕はある。もちろん死ぬ。
……というように、死ぬ事にかけて右に出るものはいない主人公。
自身の身長と同程度の高さから落ちても死ぬ
スペランカー先生とは違い、彼の死因は常識的なレベルではあるのだが、
明らかな自殺行為すら躊躇う事なく実行し(
やらせているのはプレイヤーだが*2)、
その言動がネタに溢れているのが彼の人気の理由だろう
(道具を自分に使う「セルフ」という
コマンドが存在する。
前作「ディジャブ」では物語を進める為にあるアイテムを自分に使う事に必須のコマンドで、
本作もマントや手袋を装備する際に使うのだが、むしろ
自殺用のネタコマンドとして有名)。
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原作での無様な死に様の数々 |
- 自ら炎の中に「ホップ ステップ ジャンプ… かーるいす!!」 死ぬ。
- 部屋に入った瞬間、化物に焼き尽くされて死ぬ。
- 鮫のいる湖に足を突っ込んで死ぬ。
- はしごがあると思ったら、途中ではしごが切れていて死ぬ。
- スライムに飲まれて、溶けて死ぬ。
- 穴の中に飛び込むと着地に失敗して腰を折り、そのまま飢え死ぬ。
- 鏡の向こうの真空空間に引きずりこまれて死ぬ。
- サイクロプスに頭を叩き割られ死ぬ。
- 井戸に飛び込んで、全身骨折し死ぬ。
- 黒い犬に体を食いちぎられ死ぬ。
- ボロボロの橋を渡ろうとすると橋が崩れて死ぬ。
- 松明を何度も使い、自分に引火して死ぬ。
- 正体不明の液体を息を止めて飲み、死ぬ。
- 熱い油の中に飛び込み、体が消滅して死ぬ。
- ↑の油に松明で火をつけて死ぬ。
- 強い酸を大量に飲み死ぬ。
- 展望台で金の壺を取ろうとすると、足場が崩れて池のワニに食われて死ぬ。
- 人に変化していた狼に喰われて死ぬ。
- 巨大な岩に押しつぶされて死ぬ。
- 石像に化けていた魔物に氷漬けにされて死ぬ。
- 血迷って溶岩の中に突進していって死ぬ。
- 虚しい叫びを上げながら窓から飛び降りて死ぬ。
- 地獄の犬に喉を食いちぎられて死ぬ。
- 体が長い竜に巻きつかれ死ぬ。
- ガードという名前の魔物に、首をはねられて死ぬ。
- いきなり底無し川に入っていき死ぬ。
- ラスボスの持つ悪魔の棒から発せられた炎に焼かれ死ぬ。
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勿論、
現実世界の私達でもHPなんてものは無いし、頭部や心臓部を打撃以外の
銃や刃物で攻撃されたら
即死亡である
(とはいえ、そのような状況に出くわす事は滅多に無いが)。
このようにデッドエンドが多い為にクソゲー扱いされる事も多々あるのだが、
コンピューターゲームの黎明期であるにも拘わらず、
とんでもない自由度の高さを持ったADVである事は特筆に価するだろう。
死に方が自由自在って言われてもプレイヤーとしては困るが
というか、上記の死亡シーンはアクションゲームなどにはよくある(例:
勢い余ってマグマに落ち即死)事だし…。
それに『シャドウゲイト』はこの時代に多かった所謂
死に覚えゲーであり、
こういうゲームは理不尽に難しいという評価はされてもクソゲーとは言われないのが普通である
(そもそもクソゲーというのは、難易度に関係なく、
まともにプレイする事すらままならないゲームの事)。
事実、高難度好きな本国アメリカでは高評価を受けていた作品である(故に日本上陸と相成ったわけだが…)。
『シャドウゲイト』は豊富なギミックと数多くの蘇生地点によりストレス無く探索が進められるよう、極めて丁寧な配慮が為されたゲームなのだ。
なお彼の余りの死にっぷりから、TOP絵の
死神は
「ゲーム業界一多忙な死神」と呼ばれる事がたまにある
(逆に働かない死神といえば
この人など)。
とはいえ、面白がって変な死に方をさせるプレイヤーが全て悪いのであって、ゆうしゃ自身に非は一切無いのであるが。
実際クリアするには、当然であるが最初から一回も死なずに進む必要があるのだし。
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真面目に解説しておくと |
上記の通り、元々は他のケムコ三部作『ディジャブ』『悪魔の招待状』と共に 海外で開発されたのを翻訳したもの。
さらに言えば、原作に当たる海外版は「ざんねん!わたしのぼうけんは(ry」という記述が、
"IT'S A SAD THING THAT YOUR ADVENTURES HAVE ENDED HERE!!"
(意訳すれば「残念ながら あなたの冒険は終わってしまった!」と言った所か)
「わたしこそ しんの ゆうしゃだ!!」という謎の自負も、
"THOU ART TRUELY A BRAVE KNIGHT!!"(意訳:「汝こそ真に勇敢な騎士である!!」)というナレーターからの評価であった。
要するに原作では「 主人公=プレイヤー自身」であり、ゲーム中の解説文もナレーター的な扱いでしかなく、
つまりは 往年のゲームブックをテレビゲーム化した作品であるといえる。
セルフコマンドによるゲームオーバーも「剣を主人公に使わせる」為にネタとなってしまっただけで、
「私が所持している剣を自分に使う」というニュアンスであれば、自殺してしまうのも当然の結果だと言えよう。
つまり君が間抜けな死に方だと指さして笑ってた相手は君自身という事なのだ!
それをケムコは「 プレイヤー(あなた)は主人公(わたし)とは別の存在」という扱いで翻訳してしまった。
詰まる所このゲームがここまでネタ化した原因は、
翻訳担当のぶっ飛んだ翻訳とそれにOKを出したケムコのせいであって原作のせいではないという事である。
…まぁ普通に翻訳したとしても、その難易度から日本では普通にクソゲー扱いされたであろう事から、
ネタゲーとしてゲーム史に名を残せて結果オーライと言えなくもないが。
なお、翻訳の際にナレーションが一人称に変更されているのは『ディジャブ』『悪魔の招待状』も同様。
『ディジャブ』はそれでもシリアスな雰囲気なのだが、
『悪魔の招待状』は主人公が子供としか思えないキャラ付けにされたのもあり、こちらも怪しい翻訳になっている
(『悪魔の招待状』の原作は兄が悪魔の館に囚われた弟を探す話なのだが、日本では弟が姉を探す話に変わっている)。
あと、あまりのネタっぷりにあまり気付かれていないのだが、
この『シャドウゲイト』を含むケムコ発売の海外製ADVはどれもBGMが秀逸である。
場面や状況にマッチしたBGMは聴き応えがあるので耳を傾けてはいかがだろうか。
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そして恐ろしい事に2014年4月30日よりニンテンドー3DSバーチャルコンソールで本作が配信開始。
さらには25周年という記念すべき年を祝して、なんとなんとPCでの完全リメイク『Shadowgate』が発売された。
大幅にクオリティアップしたビジュアルと
BGMによってFC版の何処かユーモラスな雰囲気は完全に消え失せ、
罠と怪物に満ちた恐るべき闇の迷宮シャドウゲイトに挑むジェイル卿は、まさしく
真の勇者である。
FC版はバーチャルコンソール、PCリメイク版はSTEAMでどちらもそれぞれ容易に入手可能。
PC版については英語版のみで多少敷居が高いかもしれないが、気になる方は遊んでみてはいかがだろうか。
2021年、続編『シャドウゲイト VR:ミスロクの鉱山』がSteamで発売。
今度は日本語にも対応している……が、ケムコ節のイカレた文章では無く、まともな内容になっている模様。
ざんねん!! ケムコの ほんやくは あれで おわってしまった!!
この他、海外のPCエンジンでのみ発売された続編『Beyond Shadowgate』というゲームがある。
2023年にこちらもリメイクが企画され、キックスターターで資金を募り12万ドル以上を集めて開発が進行。
当初の予定より一年ほど遅れたものの、2024年9月19日にSteamにて無事発売された(ただし日本語には未対応)。
ちなみに『Beyond Shadowgate』はゲームシステムが別物となっていたが、リメイク版では初代『シャドウゲイト』に近いものに戻っている。
MUGENにおけるしんのゆうしゃ
萃香の夫氏によってまさかのMUGEN入りを果たしている。
同氏曰く
「ぼくのかんがえたかっこいいさいじゃくきゃら」との事なので、恐らくお気に入りなのだろう。
全ての技が
(自分が)死ぬという、
並キャラどころか
かみキャラ相手でも勝つ見込みが全く無いキャラである。
喰らい判定はないので基本的に相手の攻撃は受け付けず、5カウント後自滅というやる気の無さは
逆論外とでも言うべき次元。
MUGEN最弱の座を
コイキングから一瞬にして奪い去るほどの弱さ。
死にパターンも沢山あるため、この
キャラは死ぬ事を楽しむためのキャラと言えよう。
自分から死ぬというその性質上、一部の
ボーナスステージをやらせると永久にドローになる。
また、
何らかの原因で相手の体力が先に尽きても、無理やりダブルKOに持っていく特性を持っている。
ただし極めてまれにだが、あまりにも早く相手が死ぬ(
しょぼんで確認)とこれが機能せずに勝利する事がある。
名無し氏による
AIが製作された事もある
(需要があるのかとは言ってはいけない)。
一つの試合で同じ死に方は繰り返さないので何度でも違う死に様が楽しめるAIであったが、
氏は既に公開を停止しており、現在は入手不可である。
2013年4月に腐った発酵食品氏による新たなAIが公開された(AIいらないんじゃ?と言ってはいけない)。
13通りにもわたるバリエーションに富む死に様が用意されており、
コンフィグで必ずこの死に方でと指定する事も可能(誰得とか言ってはいけない)。
DLは氏のOneDriveから。
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まさかの大会参加(大会ネタバレ注意?) |
逆論外とでも言うべき仕様のためか基本的に大会に出すキャラではないのだが、曲がりなりにも 主人公であるため、
主人公連合vsボス連合ランセレ勝ち抜き戦にて、やはり勝つ見込み薄そうな こいつらと共に主人公陣営の一人として参戦。
そしてランセレのイタズラか、 よりにもよって狂キャラの英雄殺しと対決する羽目になってしまう。
…結果?ここに書くまでもないですよね……。
だがこの大会は勝ち抜き戦ではあるものの、勝った側も一戦勝つごとに最大HPを300減らされた状態で次の相手と戦うルールであった事を考えると、
仕様を上手く利用し 大金星を挙げた こいつら同様、ボス陣営最強クラスの相手のHPを減らしたというのは彼にできる最高の仕事だったと言える。
当のバルバトスがLIFE下限に達しても暴れ続けたため、実は全く意味が無かったのは秘密
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また、戦車氏(現・Asterisk氏)による超絶強化キャラ「神のゆうしゃ」も存在する。
多彩な技術を持ち、defを書き換えれば全領域親変更も使える名前通りの神上位キャラ…なのだが、
結局はしんのゆうしゃなので試合開始から数秒で死ぬ。それまでに仕分けも即死も出来ないとわたしの ぼうけんは(ry
「このごろ また「ぼうけんのむし」が
こころのおくで さわぎはじめたようだ!!」
「わたしは むいしきのうちに つぎの ぼうけんの
たびじたくを はじめていたのだった・・・・・。」
ーーー だい1わ おわり ーーー
出場大会
更新停止中
出演ストーリー
*1
余談だが、ゲームタイトルは「シャドウゲイト」なのだが、ゲーム中では何故か「シャドウゲート」と表記されている。
*2
「どうして こんなことを させるんだ!!」というメタな発言と共に死ぬパターンも存在する他、
行動によっては
「へっ へんなこと させないでくれ!!」と言ったりもする。
「武器を自分に使って自殺」に関しては、
「武器を装備しようとしたらいきなり自殺した」と言うパターンで経験するプレイヤーも多いだろうが、
これは前述通り「自分が所持している武器を自分に使う」という行動になるため。
マントや手袋は使うと
普通に装備するのも、「自分が所持しているマントや手袋を自分に使う」ので、不自然ではない。
武器や防具は装備しないと意味が無いという教育が3年間で行き届いてしまっていたが故の不幸な事故なのだ。
最終更新:2024年09月20日 00:29