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元々は同じ騎士団のメンバーであるバズビー ことハザード・ブラックの幼馴染みであり、
 
約1000年前、現世にてユーハバッハが君臨する「光の帝国」の管轄下であった村で、
 
親を失い叔父と共に暮らしていた経歴を持つ。
 
その後、ユーハバッハに村を焼かれて叔父を失い、同じ経緯で住処を失ったバズビーから、
 
ユーハバッハへの復讐のために共に騎士団を目指す事を誘われる。
 
ハッシュヴァルトは復讐には消極的であったが、バズビーとの友情から彼と行動を共にしていた。
 
ただし、詳細な描写は省かれているもののハッシュヴァルトはどうも叔父から虐待を受けていたようで、
 
復讐に消極的なのもそのためだったようなのだが、バズビーはその事実を知らず、
 
ハッシュヴァルトも語ることは無かった模様。
 
そして5年後、部隊を率いてやってきたユーハバッハに右腕として抜擢され、
そこで矢を作れずに落ちこぼれ扱いされていた自分が「分け与える能力を持つ滅却師」であることを初めて知り、
 激昂するバズビーが放った矢からユーハバッハを護る形で彼と訣別し、
 その後星十字騎士団に入団てたった3年で団長となる程に出世し、本編時点のようなドライな性格になっていた。
 
 
が、実はその選択肢を選んでなおバズビーへの友情を内心捨て切れなかったらしく、
素性を偽って騎士団に入ったバズビーに対しても一定の距離以上踏み込ませないように牽制していたが、
 そんなバズビーを目障りに思って粛清しようと進言した副団長のヒューベルトに対して規則を口実にしながらも威圧的に制止するなどしていた。
 過去の描写を見る限り、ハッシュヴァルトはとにかく主体性に乏しい人物だったようで、
 叔父にせよバズビーにせよユーハバッハにせよ、迷いに追われると流されるまま誰かに付き従いがちで、
 バズビーを裏切りユーハバッハに従う道を選んだのも、元から叔父の復讐に対してそこまで積極的ではなかったことに加えて、
 それまで劣等感に苛まれていた自らの価値や才能をバズビーと異なり生まれて初めて見抜いて認めてくれたユーハバッハを前にして、
 その場の空気に追われて流されるまま追従した事が大きかった模様。後述の最期の戦い後の言葉からも伺える。
 
 
そんなハッシュヴァルトにとって、一護達を裏切るふりをして帝国側に潜入した雨竜はまさしく自分の鏡合わせのような存在であった。
そのため、ユーハバッハ側に付くことなく勝機の無い戦いを挑む雨竜を罵倒し、一護達と過ごした数年よりも、
 ユーハバッハに付くふりをして恩恵を与えられた一瞬の方が格段に成長した筈、利することが無いと指摘する。
 さながら、友情と栄誉の2択で後者を選び、今の立場になった自分の事を指して正当化するかのように。
 だが、「天秤は選択」というハッシュヴァルトの言葉に対し、
 雨竜は「自分はその選択で彼等と共に居る事を選んだ。そこには利害も無ければ正解も不正解も無い」と断言する。
 
 
「僕らは友達だからだ」
 
 
その言葉を前にしたハッシュヴァルトは普段の無表情な彼らしからぬ怒り・妬み・僻みその他諸々の感情がごちゃ混ぜになったような鬼気迫る表情を見せ、
ユーハバッハや帝国のためという建前すら放棄し、完全に私怨だけで雨竜を殺害しようとした。
 石田はハッシュヴァルトの過去は知らず、ただ本音のまま彼の問いに対して答えただけなのだが、
 自分と同じくユーハバッハに見定められ、友情と栄誉・命という2択を迫られながら、
 秤にかける事すらせずに平気で友情の方を選択した雨竜は、ハッシュヴァルトにとって彼が選んだ道全てを否定するような存在だったのである。
 
 
しかし、トドメを刺す前にユーハバッハがもはや自分以外何も必要無いと判断したため行った2度目の「聖別」の対象にされ、
即死こそ免れたものの致命傷を負い戦闘不能になり、当人の実力や相性とは無関係な形で敗北する。
 ハッシュヴァルトはこのユーハバッハの行為を裏切りとは考えず、望まれれば命を平気で差し出す忠臣のような態度を取りながら、
 石田に対して「秤にかける事もできず、迷いに追われて決めたことは、全て後悔になる」と暗に自分の今の境遇への本音とも取れる言葉を告げた後、
 死を待つばかりの自分に能力で傷を移してからユーハバッハの元に行くよう促すという、先刻の忠臣の態度とは矛盾するような行動を取り、
 葛藤の末に石田がその提案通りにした後、やがて力尽きて死亡した。
 そんな彼が握っていた剣の柄には、バズビーと出会った時に彼から友情の証として手渡された「B」のイニシャルが入ったバッジが埋め込まれていた。
 
 
バズビーとの友情もユーハバッハへの忠誠心も抱き続けながら、結局両名の破滅に繋がる要因そのものにもなっており、
おまけに上記のように主体性に乏しく流されがちな上に内面描写が非常に少なく、感情も滅多なことで表情に出さないため、
 バズビーでなくても本心が非常に掴み辛い男なのだが、少なくとも死の間際に憑き物が落ちたように先刻まで敵視していた石田の行動を後押ししたのは、
 彼に「自分が選べなかった道」を歩ませたかったためな事だけは間違いない。
 
 
そして最終決戦決着時に判明するのだが、実はハッシュヴァルトは「全知全能」を返却する前にユーハバッハが一護に敗北する未来を視ていた。
雨竜を襲撃した際に一護達がユーハバッハに負ける結末を見たと言っていたが、実のところバズビーが死んでユーハバッハの敗北も把握してしまったため、
 本当は「もうどーにでもなーれ」のヤケクソなメンタルで雨竜を殺そうとしたようである。
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