ニューアーハン

われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか────


「今更本気出したって…遅いのよ!」

東映アニメーションとニトロプラス合作のアニメ映画『楽園追放 -Expelled From Paradise-』に登場するロボット。
アニメーション制作はグラフィニカが担当している。

立ち位置としては、ロボットアニメでは定番の 後半で乗り換える後継機 となっている。
機動外骨格スーツという一種のパワードスーツに分類されており、ニューと名付けられている通り新世代型である。
格納時は卵型に折りたたまれており、起動時に人型へ変形する。
片手持ちのブレード・サブマシンガン・長射程レールガン・盾等武装は豊富で、作中でもこれらを巧みに使い分けて戦っている。
機体そのものの汎用性も非常に高く、劇中では宇宙戦・陸戦・空戦を一切の仕様変更や調整も行わずに連続して行っている。
ただし機体の制御は外部からの演算補助に頼っているため、ネットワークから遮断された状態では基本的に役に立たない欠点も持つ。

旧型のアーハンも存在し、主人公アンジェラが序盤で搭乗し凶暴な原生生物相手に無双していたのだが、
現地のガイドであるディンゴにアンテナを破壊され、オフラインでは全くの役立たずの為敢え無くジャンクとして売られてしまう
勿論、アンテナを破壊した事には理由があり、ディーヴァをハッキングできる程の相手に対し、
ディーヴァからの遠隔通信による援助が必須なこの機体を使うのは大声で居場所を知らせながら歩くようなもので、不利だと判断したためである。
アンジェラが乗った時間は僅か数分と恐らくロボットアニメ史上でも屈指の短命な前半主人公機
ニューアーハンに比べ手足が短く、ほぼ完全な球形に変形する(厳密には向こうの手足が旧型より長くなり、球状に収まらなくなったので卵型になった格好)。
またニュー同様武装も豊富で、規格が同一のためニューが旧型の武装を使う事もできる。

パイロットは主人公である「アンジェラ・バルザック」。担当声優は 釘宮理恵 女史。
RPGの主人公鞭使いとは関係ない。
電脳世界ディーヴァの捜査官であり、階級は三等官と高めの地位を得ている。
西暦2400年、フロンティアセッターと名乗る人物からディーヴァにハッキングが行われ、上層部から調査の任務を受け、現実の地上世界へ降り立つ事となる。
なお上記画像の容姿は地上世界で活動するため彼女自身の遺伝子情報から生成された肉体「マテリアルボディ」であり、ディーヴァ内では成人女性の姿を取る。
精神的実年齢は20代半ばとされるが、作中では他の捜査官を出し抜くためマテリアルボディの培養期間を短くして早期に地上へ出発しており、
このボディの肉体年齢・外見は「彼女が生身で生まれ育っていた場合の16歳の姿」に相当する。
胸の大きさは保有メモリの大きさに比例するとの事だが、それにしても凄まじいモノをお持ちである。
そのため、劇中では一貫してロリ扱いであり、性的な目で見る男は存在しない。

社会全体への貢献度がそのまま個人の享受できる自由と幸福に直結する階級社会であるディーヴァにおいて、
「頑張らなかったことなんてない」と自負するほどの努力家であり、現在の階級もその証である。
なお、中の人から察した人もいるだろうがツンデレである。

+ 原作の解説
本作は『機動戦士ガンダム00』で有名な水島精二監督と、『魔法少女まどか☆マギカ』や『仮面ライダー鎧武』等で有名な脚本家、虚淵玄氏が手掛けている。
アニメーション制作担当であるグラフィニカは3DCGを得意としており、3Dモデルでありながら手描きのような絵柄が自在に動く映像は高く評価されている。
ニトロプラスが関わっている事と、アンジェラのキャラデザで察した人もいるだろうが、
アンジェラの尻も本作の評価点の一つとして挙げられている。
ねとらぼの記事では日本の3D技術はケツに集約されたのです」と語られるほど。
ジャンルはサイバーパンクとされており、「肉体のデータ化」「AIとの交流」等情報化・AI化が進む現代社会に通ずるテーマを扱っている。
上記の要素が功を奏したためか、わずか13館上映でありながら興行収入1億円越えを達成した。
また、水島監督との縁があってか、 古谷徹 氏が友情出演している。というか、本作のメイン格3人の中の人は全員『00』でガンダムに乗っていた。

ストーリー

時は地球環境再生のために作られたナノマシンの暴走によって地球が荒廃*1した近未来。
人類は生身の身体と残された資源を用いて地上で生きる者と、衛星軌道上の人工衛星内に構築された仮想現実「ディーヴァ」に居住する者とに二分されていた。
住民は高度に階級化されつつも失われた科学技術や文明の知識を保持している事で文字通り天上の楽園の如き運営を続けていたディーヴァだったが、
ある日「フロンティアセッター」を名乗る謎の人物によるネットワークへの不正侵入を許してしまう。

高度なセキュリティが突破されたという事実を重く見たディーヴァ保安局は保安要員の地上派遣を決定。
その一員として他のエージェントに先んじて地上に到着したアンジェラは現地オブザーバーのザリク・カジワラ、通称ディンゴと合流する。
当初は野蛮な地上人として彼の事を軽んじるアンジェラであったが、不慣れな地上世界の風土や生身の身体に体調を崩してしまう。
窮地を救われ甲斐甲斐しく世話を焼かれた事や、保安局の常識を悉く無視しながらも着実に調査を進めていく彼への認識を少しずつ改めていくアンジェラ。
そしてディンゴもまた捜査を通じて彼女の強固な意志を知り、二人は協力の姿勢を強めていくのだが──

+ 原作終盤ネタバレ
紆余曲折あってフロンティアセッターを発見する二人だったが、その正体は地上崩壊前に製造されたAIと、それに操られるロボットであった。
彼はナノハザードとほぼ同時期に行われていた深宇宙探査・移民計画「ジェネシスアーク計画」の管理AIであり、
自己診断の果てにある種の進化を遂げ、人間と変わらない自我と情緒を持つに至っていたのである。
移民用宇宙船はすでに完成していたが、移民計画である以上、無人の宇宙船を発進させても成功とはならないとして、
電脳世界の住人故に長い航行に耐えられるディーヴァにアクセス、新たな船員を募集するのが彼の目的だったのである。

彼が人命と個人の意思を尊重し、ディーヴァに危害を加える気も無い事を確認したアンジェラは自らの任務は終了と判断。
マテリアルボディから離脱してディーヴァ上層部に全てを報告するが、
これに対するディーヴァの判断は仮に今は友好的でも、将来的な脅威となる可能性は無視できないというモノだった。
フロンティアセッターの破壊を命ずる上層部に対し異議を唱えた事から危険分子と判断され、アンジェラは拘束されてしまう。
この事態を察知したフロンティアセッターはディーヴァに対して最後の不正アクセスを敢行、
最後の船員募集と並行して凍結されたアンジェラの電脳パーソナリティを解放し、
強奪した新世代型アーハン及び大量の武装パッケージをと共に彼女をディーヴァから脱出させる事に成功。
フロンティアセッターによる戦闘補佐を受けたアンジェラは再度地球へ降下しマテリアルボディに意識を移し、
ディンゴと共にフロンティアセッターのたった一人での宇宙への旅立ちを全力で援護する事を決意。
追撃に現れたディーヴァ保安局のエージェント達を相手に縦横無尽の戦いぶりを見せた。
そして旧アーハンは敵扱いとなった
この戦いの中でアンジェラはフロンティアセッターから宇宙への同行を提案されているが、
地上世界の事をもっと知りたいという理由でこれを拒否、ディンゴと共に彼の旅立ちを見送った。
なお、ディンゴとの合流直後に「終わったらジャンク屋に売る」などと冗談を飛ばされていたニューアーハンだが、
後日談を描いた小説版では損傷部位を修復された上で再びアンジェラの搭乗機体となっている。

余談になるが「先に進む事をやめた人類と地球圏を見限って外宇宙に旅立つ船と、その旅立ちの邪魔を排除して見送る主人公」
という構図は長谷川裕一・著『Vガンダム外伝』にも見られる物である。
宇宙世紀側の外宇宙に旅立った人々はターンXを造り出して黒歴史埋葬の遠因になったという説もあるが、さておき。
人類の誇り高き開拓者精神の継承者、フロンティアセッターの旅路に幸運あれ。

+ 外部出演
『スーパーロボット大戦』シリーズではPS4/Switch/Steamで発売された『T』で参戦。
本作では世界観がアストラギウス銀河に組み込まれており、『装甲騎兵ボトムズ』との絡みが多い。
また、アンジェラはフロンティアセッターの調査のみならず、なんとキリコの抹殺という逆に彼女が死にかねない危険な任務も帯びている。
CEROとの兼ね合いのためか、残念ながら尻を堪能できるカットインは存在しない。
なお、流石に本作は旧アーハンはアンテナ破壊後に即ジャンクとはならず、
フロンティアセッターにフォローしてもらってニューアーハンに乗り換えるまでの間使用可能となっている。
一方で、製作発表初報のPVでは「『楽園追放』の参戦が公開された直後にニューアーハンに攻撃される旧アーハンの戦闘アニメが映される
という出オチをかまし、原作を知るユーザーを「あっ…(察し)」状態にさせた。
一瞬でも旧アーハンが前半主人公機としてようやく輝くと思ったのにこれだよ!
また、原作映画のBGMが何故か一切使われてない事にも物議を醸した(一応、限定版には主題歌の原曲が採用されている)。
一説では作曲家への収入の配慮により、ジャスラックに信託しなかった事が原因とも言われている。

『ニトロプラス ブラスターズ』ではアンジェラがサポートキャラとして登場。アーハンで援護攻撃をしてくれる。
相方はアル・アジフ

ソーシャルゲーム『機動戦隊アイアンサーガ』にも『楽園追放』コラボで参戦。
本編の後日談的な扱いになっており、宇宙に旅立ったフロンティアセッターが通りすがりに遭遇した「漂流者」
(次元を股に掛けるアイアンサーガの第三勢力的なもの)に成り行きで協力。
その後漂流者の宇宙船が『楽園追放』世界の地球に転移して不時着したため、
それを調査に来たアンジェラも思わぬ再会と共に事態に巻き込まれていく。
機体はニューアーハンのみだが、パイロットはアンジェラが期間限定スカウト可能で、フロンティアセッターはイベント配布。
機体は少々脆いが、機動性でかく乱しつつビーム副砲とマイクロミサイルの弾幕で圧殺するスタイル。
更に超改造によってニューアーハンEXとなり、長射程レールガンを追加した仕様に出来る。


「これもあなたの言ってた仁義ってやつ?」


MUGENにおけるニューアーハン

カレーメシミロのヴィーナス等を製作したsuteneko氏によるキャラが存在する。
肉弾戦及び原作で使ったサブマシンガンやブレードの他、ゲージ消費で長射程レールガンを使う。
強ランク程度のデフォルトAIも搭載済み。
なお、改変や外部AIは募集中との事。


「私…まだこの世界をろくに知らない…
 まだ見たこともないものがあまりにもたくさん…ありすぎるの!!」

出場大会

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出演ストーリー



*1
作中では「ナノハザード」と呼ばれている。
生身の肉体を得て地上へと降り立ち、初めて空気を吸ったアンジェラが「埃っぽい大気」と語っている事からも、その荒廃ぶりが窺い知れる。


最終更新:2022年11月21日 19:24