都市同盟軍研究所

[解説]
聖華暦500年、自由都市同盟の結成と同時に都市同盟軍が組織される。しかし当時の都市同盟軍は、自由都市同盟が寄り合い所帯である事も影響し、装備、戦術ともに貧弱……いや、劣悪とすら言って良い状況であった。これを早急に解決すべく、聖華暦501年に都市同盟軍の軍事研究を統括し推進する目的で設立されたのが、この都市同盟軍研究所である。一般軍人には、「開発局」と言う通称で知られている事の方が多い。
この研究所は、大きく3つの部門に分かれている。第1に戦略研究部門、第2に戦術研究部門、第3に軍事工学研究部門である。
戦略研究部門は、文字通り戦略を研究する場所である。同盟政府やその中でも特に外務省、都市同盟軍中央軍の参謀本部、そして都市同盟中央情報局と密に連絡を取り合い、集められた周辺各国の情報を元に同盟トップクラスの頭脳が戦略を練り、軍事ドクトリンの決定を行うのだ。自由都市同盟の現在のドクトリンである「専守防衛」は、かつての時代にここからの献策を元に同盟政府で決定されたものである。
戦術研究部門は、実際に戦いになった際の戦術を研究する所である。現状の装備や兵員で、仮想敵国の軍隊にどう対処するかを検討したり、後述の軍事工学研究部門と密接に連携し合い、どの様な装備が必要か要望や助言を与えたりしている。
軍事工学研究部門は、都市同盟軍で用いられている装備品の改良や、新たに必要となった装備品の新規開発を行う部門である。装備品には、無論機兵などの大物も含まれる。ただしここで許される研究内容は基本同盟の軍事ドクトリンに沿ったものばかりだ。またドクトリンに沿っており画期的な内容であったとしても、あまりに新機軸な研究は「堅実では無い」とされて却下される事も多い。そのあまりの融通の利かなさに、それを嫌った優秀な研究者が退役し、冒険者組合へと移籍してしまった事もあった。もっともその結果、冒険者組合の兵器開発局(鍛冶師組合)と繋がりが深くなり、そちらで開発された優秀な装備品を供与されたり製造ライセンスを受けたりできたりもしたのであるが。
[戦略研究部門]
戦略研究部門について特記しておくべき事項として、シームド・ラボラトリーズとの共同研究が挙げられる。シームド・ラボラトリーズはかつてシャングリラ工業連合であった時代から戦略について同盟政府の外部諮問機関として活動しており、後に戦術戦略研究所となり、そして戦略的魔法工学開発研究所(シームド・ラボラトリーズ)に再編されてからは更に深いレベルの助言を行う様になった。その過程で戦略研究部門、および戦術研究部門も含め、共同研究を行うのは自然な流れであった。
[戦術研究部門]
戦術研究部門は、同盟政府と戦略研究部門が決定した軍事ドクトリンに従い、その時点の戦力で可能な戦術を研究している。例として聖華暦800年代初頭の基本戦術は、以下の様な物である。主力であるフォート系やフォッシュ系重機兵の部隊は機動性に欠けるため、それを補う形で機装兵エンクセレンザ他で編制された遊撃部隊で敵を主力のいる地点へ誘引あるいは追い込む、と言うのがこの時代の自由都市同盟軍の基本であった。だが残念な事に同盟は、聖華暦833~834年のバフォメット事変によって、屋台骨をへし折られる寸前まで追い込まれてしまった。このため戦術研究部門は、聖華暦834年現在、必死で基本戦術を練り直している。
[軍事工学研究部門]
軍事研究部門の成果として知られている物は、以下の物がある。機装兵シメオンやスペーア、ロイヤリタート系列機、重機兵フォートをはじめとするフォート系列機、その他ワンオフ機など都市同盟軍独自機種などだ。これらは基本的にここで開発されたものである。また艦船のうち、機兵母艦や工作艦などの艦種は、軍事工学研究部門に属する陸上艦開発局の作品である。
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