銃砲と火薬の発展
[銃砲の発展]
かつて旧大戦期において、未だ科学技術が放棄されていなかった時代、新人類解放軍は旧人類WARESと同じ規格の銃砲を用いていた。
だがヴァース条約により科学技術の放棄が決定されて以後、魔法や魔導工学は科学技術ではないという建前で、魔導工学製の銃砲が造られる様になる。
だがヴァース条約により科学技術の放棄が決定されて以後、魔法や魔導工学は科学技術ではないという建前で、魔導工学製の銃砲が造られる様になる。
まず最初に開発されたのは、風のルーンを用いて圧縮空気を生み出し、その圧力で鉄球の弾丸や砲弾を撃ち出す、俗に風のルーン式魔導砲と呼ばれる物である。
これは薬室にかかる圧力が低いこともあり、構造上そこまで強固に造らなくても良い事から、簡単に製造ができるという利点がある。
このため当初は魔導砲や魔導銃の主流であったのだがその原理上、威力が致命的に不足するという欠点があった。
このため聖華暦600年頃には、主流を滑り落ちて後述する爆炎式魔導砲にその座を明け渡す事になる。
しかしながら、製造が容易かつ反動も少ないという利点があるため、護身用の小型拳銃などでは830年現代の今もなお用いられている。
これは薬室にかかる圧力が低いこともあり、構造上そこまで強固に造らなくても良い事から、簡単に製造ができるという利点がある。
このため当初は魔導砲や魔導銃の主流であったのだがその原理上、威力が致命的に不足するという欠点があった。
このため聖華暦600年頃には、主流を滑り落ちて後述する爆炎式魔導砲にその座を明け渡す事になる。
しかしながら、製造が容易かつ反動も少ないという利点があるため、護身用の小型拳銃などでは830年現代の今もなお用いられている。
続いて開発されたのは、火のルーンを用いて薬室で爆発を起こし、その圧力で弾丸を撃ち出す魔導砲だった。
これらは俗に、爆炎式魔導砲と呼ばれている。
これは薬室にかかる圧力が風のルーン式に比して圧倒的に高い。
このため威力的には、風のルーン式魔導砲を明白に凌駕している。
これらは俗に、爆炎式魔導砲と呼ばれている。
これは薬室にかかる圧力が風のルーン式に比して圧倒的に高い。
このため威力的には、風のルーン式魔導砲を明白に凌駕している。
ただしこの高威力を生み出す爆発の圧力に耐えるため、薬室を始め砲身の強度を高めなければならず、初期の工作精度が低い時代には暴発事故、爆発事故が多々発生した。
聖華暦540年代に起こった産業革命期になると、工作精度の問題は改善される。
そして600年代に至って、爆炎式魔導砲は魔導砲の主力の座を風のルーン式より奪い去るのである。
聖華暦540年代に起こった産業革命期になると、工作精度の問題は改善される。
そして600年代に至って、爆炎式魔導砲は魔導砲の主力の座を風のルーン式より奪い去るのである。
なお余談になるが、産業革命期には工作精度の向上により、弾丸においても革命が起こっている。
それまでは工作精度の問題で、単なる鉄球の弾丸が用いられていた。
しかしながら加工技術の進歩により、ドングリ形状をした弾丸を精密に、大量に、統一された規格で生産できる様になったのだ。
それまでは工作精度の問題で、単なる鉄球の弾丸が用いられていた。
しかしながら加工技術の進歩により、ドングリ形状をした弾丸を精密に、大量に、統一された規格で生産できる様になったのだ。
これにより、平均的な装弾数こそ減ったものの、空気抵抗の少なさにより射撃精度や有効射程距離が向上。
更には貫徹能力も、ただの鉄球でしか無かった頃に比して、圧倒的に強化されたのである。
更には貫徹能力も、ただの鉄球でしか無かった頃に比して、圧倒的に強化されたのである。
[火薬]
ここで火薬について触れる。
聖華暦830年代において知られている火薬や爆薬には、黒色火薬と魔石爆薬の二種類が存在している。
この2種の火薬や爆薬には、着火すると大量の煙を発生するという欠点がある。
これにより、銃砲の弾薬として用いた場合に煙で銃撃地点がばれてしまう危険性、そして何よりも射手の視界が遮られて目標を見失う危険性があった。
このため、銃砲の発射方式としては火薬式は一時テスト的に用いられただけですぐに廃れ、今現在主流のルーンによる発射方式だけが生き残ったのである。
閑話休題。
聖華暦830年代において知られている火薬や爆薬には、黒色火薬と魔石爆薬の二種類が存在している。
この2種の火薬や爆薬には、着火すると大量の煙を発生するという欠点がある。
これにより、銃砲の弾薬として用いた場合に煙で銃撃地点がばれてしまう危険性、そして何よりも射手の視界が遮られて目標を見失う危険性があった。
このため、銃砲の発射方式としては火薬式は一時テスト的に用いられただけですぐに廃れ、今現在主流のルーンによる発射方式だけが生き残ったのである。
閑話休題。
黒色火薬は元々科学技術の産物として、その製法がヴァース条約により放棄されるべき存在であった。
もっともWARESにとってはとうに時代遅れの存在であり、旧世紀(旧暦、西暦)時代の記録にかろうじて残されているだけで、ほぼ忘れ去られた物だったが。
だが聖華暦300年代初頭に、錬金術師たちの努力により黒色火薬は再開発される。
噂では、もともと製法を放棄せずに隠匿していたのだとも言うが……。
ともあれ錬金術師たちは、この黒色火薬を錬金術の成果だから科学技術ではないとして、発表する。
もっともWARESにとってはとうに時代遅れの存在であり、旧世紀(旧暦、西暦)時代の記録にかろうじて残されているだけで、ほぼ忘れ去られた物だったが。
だが聖華暦300年代初頭に、錬金術師たちの努力により黒色火薬は再開発される。
噂では、もともと製法を放棄せずに隠匿していたのだとも言うが……。
ともあれ錬金術師たちは、この黒色火薬を錬金術の成果だから科学技術ではないとして、発表する。
だがこの時点においては、帝国も聖王国も科学技術アレルギーが強く浸透しており、科学『っぽい』雰囲気のする黒色火薬は両国の上層部にも民間にも、受け入れられる事は無かった。
これは調合の際に、硝石(硝酸カリウム)、硫黄、炭の粉を75:10:15で丁寧に混合するだけであり、魔法や魔導的な処理が必要無く、科学それも化学実験を思わせる行いであった事が悪かったとも言われる。
そして黒色火薬の技術は錬金術師たちに死蔵されたまま、世界より忘れ去られて行ったのである。
これは調合の際に、硝石(硝酸カリウム)、硫黄、炭の粉を75:10:15で丁寧に混合するだけであり、魔法や魔導的な処理が必要無く、科学それも化学実験を思わせる行いであった事が悪かったとも言われる。
そして黒色火薬の技術は錬金術師たちに死蔵されたまま、世界より忘れ去られて行ったのである。
これが再度日の目を見るのは、いわゆる百年戦争中ギルガメア王国の占領下にあったクメール王国にて、ある事件が発生した時である。
聖華暦728年、それまで封印されていた精霊の一柱(当人は妖怪と自称)が唐突に復活し、多数のロケット弾を発射して暴れるという事件が発生した。
その精霊は、直後に姿をくらますが、数発の不発弾を当時現地で諜報活動中だった自由都市同盟の間諜が確保していたのだ。
聖華暦728年、それまで封印されていた精霊の一柱(当人は妖怪と自称)が唐突に復活し、多数のロケット弾を発射して暴れるという事件が発生した。
その精霊は、直後に姿をくらますが、数発の不発弾を当時現地で諜報活動中だった自由都市同盟の間諜が確保していたのだ。
そしてその不発弾を同盟の当局が解析した結果、黒色火薬ロケット弾と判明。
黒色火薬の威力を知り、当時枯渇しかけていた魔石爆薬の代替品にする事が可能だと知った都市同盟軍は、それの量産を命じる。
そしてその技術は他国の間諜の手により、帝国や聖王国にももたらされる事になった。
黒色火薬の威力を知り、当時枯渇しかけていた魔石爆薬の代替品にする事が可能だと知った都市同盟軍は、それの量産を命じる。
そしてその技術は他国の間諜の手により、帝国や聖王国にももたらされる事になった。
一方の魔石爆薬である。
魔石爆薬は、元々帝国の錬金術師たちが聖華暦300年代半ばに開発した技術だ。
そして聖華暦392年、デューカリオン・コーバックが南の地に去って自由都市アマルーナを建設した際に、その技術は南の各都市国家群に流れた。
更にはそこを介して、聖王国にも情報が行きわたる。
魔石爆薬は、元々帝国の錬金術師たちが聖華暦300年代半ばに開発した技術だ。
そして聖華暦392年、デューカリオン・コーバックが南の地に去って自由都市アマルーナを建設した際に、その技術は南の各都市国家群に流れた。
更にはそこを介して、聖王国にも情報が行きわたる。
もっとも魔石爆薬は貴重な魔石を素材にし、再利用も不可能な状態で消滅させてしまうため、非常にコストが高くつく。
それ故に、当時はあまり実用的とは思われない技術であった。
今現在においても、Eランク以上の魔石を魔石爆薬に用いる事は、無いと言っていい。
それ故に、当時はあまり実用的とは思われない技術であった。
今現在においても、Eランク以上の魔石を魔石爆薬に用いる事は、無いと言っていい。
これが再度日の目を見たのは、聖華暦600年代に帝国の主力機装兵レギオンの兵装として開発された、機兵用手榴弾グラナーダの炸薬としてである。
グラナーダには最低位のFランク、いわゆるクズ魔石と呼ばれる部類の魔石が、魔石爆薬として使われていた。
それと時をほぼ同じくして、自由都市同盟はロココ設計所においても、主力商品である機装兵リャグーシカの武装として、榴弾投射砲を開発している。
これの弾頭部の爆弾にも、クズ魔石を使った魔石爆薬が充填されているらしい。
グラナーダには最低位のFランク、いわゆるクズ魔石と呼ばれる部類の魔石が、魔石爆薬として使われていた。
それと時をほぼ同じくして、自由都市同盟はロココ設計所においても、主力商品である機装兵リャグーシカの武装として、榴弾投射砲を開発している。
これの弾頭部の爆弾にも、クズ魔石を使った魔石爆薬が充填されているらしい。
クズ魔石は基本、爆薬以外には使う事が出来ない様な、文字通りの魔石のクズである。
これを爆薬に使うのは、小さくて木材には使えない間伐材などを割り箸に有効利用する様な、エコと言えよう。
機兵用手榴弾や、榴弾の弾頭部爆弾として使われる様になる以前は、クズ魔石はただただ廃棄されていたのだ。
他の用途に使うのにも、逆に余計な費用、経費がかかってしまう様なクズ魔石は、爆薬以外に用いるのは問題が大きすぎたのである。
これを爆薬に使うのは、小さくて木材には使えない間伐材などを割り箸に有効利用する様な、エコと言えよう。
機兵用手榴弾や、榴弾の弾頭部爆弾として使われる様になる以前は、クズ魔石はただただ廃棄されていたのだ。
他の用途に使うのにも、逆に余計な費用、経費がかかってしまう様なクズ魔石は、爆薬以外に用いるのは問題が大きすぎたのである。
そして聖華暦700年代、自由都市同盟の更に南の地、ギルガメア王国とバラライカ共和国の間で勃発した百年戦争の中期の話である。
あの悪名高い、自決兵器や動く棺桶とまで呼ばれた、最低機兵(ロアコフ)が産声を上げる。
特にギルガメア王国のロアコフには、アームパンチ機構が搭載されていた。
このアームパンチ機構は、炸薬カートリッジの爆発力により超速度で前腕部を伸縮させ、敵機を文字通りの鉄拳で打ち据えるものだ。
この炸薬カートリッジには、クズ魔石による魔石爆薬が使われていたのだ。
あの悪名高い、自決兵器や動く棺桶とまで呼ばれた、最低機兵(ロアコフ)が産声を上げる。
特にギルガメア王国のロアコフには、アームパンチ機構が搭載されていた。
このアームパンチ機構は、炸薬カートリッジの爆発力により超速度で前腕部を伸縮させ、敵機を文字通りの鉄拳で打ち据えるものだ。
この炸薬カートリッジには、クズ魔石による魔石爆薬が使われていたのだ。
百年戦争により、大量のクズ魔石カートリッジが消費された。
それはもう、圧倒的な量のクズ魔石が溶けて消えたのだ。
そして帝国や聖王国、同盟においても、爆弾に使うためのクズ魔石が欠乏する。
だがクズ魔石以外のEランク以上の魔石を爆薬にしてしまうのは、あまりにももったいない。
また人工魔石は普通はEランク相当なのだが、わざとFランク魔石を人工的に生産するという手段も考えられた。
しかしこれは経済的に、あまりにも割に合わなかった。
それはもう、圧倒的な量のクズ魔石が溶けて消えたのだ。
そして帝国や聖王国、同盟においても、爆弾に使うためのクズ魔石が欠乏する。
だがクズ魔石以外のEランク以上の魔石を爆薬にしてしまうのは、あまりにももったいない。
また人工魔石は普通はEランク相当なのだが、わざとFランク魔石を人工的に生産するという手段も考えられた。
しかしこれは経済的に、あまりにも割に合わなかった。
こうして三国は、爆弾の材料を黒色火薬へとシフトさせて行く。
もっとも黒色火薬は爆発力が低目であるため、強力な爆弾には変わらず魔石爆薬が用いられていたのだが。
また特に同盟においてクズ魔石不足は、ギルガメア王国とバラライカ共和国に介入し、百年戦争を終結させるための一押しになったのだ。
もっとも黒色火薬は爆発力が低目であるため、強力な爆弾には変わらず魔石爆薬が用いられていたのだが。
また特に同盟においてクズ魔石不足は、ギルガメア王国とバラライカ共和国に介入し、百年戦争を終結させるための一押しになったのだ。
830年現在において、爆発力の高い強力な爆弾には、基本的にクズ魔石爆薬が使われている。
だが手榴弾など、その他の低位の爆弾には、たいがいは黒色火薬が用いられている。
火薬を充填する容器を圧力がかかる様に密封するなりして、威力を向上させる工夫はしてあるものの、若干威力に欠けるのは間違いない。
だが利便性や生産性から、黒色火薬は多くの場面で用いられている。
自由都市同盟は都市同盟軍の一部で採用されているロアコフも、アームパンチ機構やパイルバンカー機構の駆動用に炸薬カートリッジを用いているが、これもまた近年では黒色火薬を炸薬にしたカートリッジとなっているのだ。
だが手榴弾など、その他の低位の爆弾には、たいがいは黒色火薬が用いられている。
火薬を充填する容器を圧力がかかる様に密封するなりして、威力を向上させる工夫はしてあるものの、若干威力に欠けるのは間違いない。
だが利便性や生産性から、黒色火薬は多くの場面で用いられている。
自由都市同盟は都市同盟軍の一部で採用されているロアコフも、アームパンチ機構やパイルバンカー機構の駆動用に炸薬カートリッジを用いているが、これもまた近年では黒色火薬を炸薬にしたカートリッジとなっているのだ。