ケース05 | 元連邦陸軍第752機動打撃中隊所属 <IRON FIST 14>神野ゴウの場合 |
「俺たちが慌てて現着すれば、オペレーターから包囲網に加われ、交戦は許可しないって止められたんだ」 「防空戦は完全に敗北ってとこだ。まああんな物量で降下されて巣まで作られたんじゃ無理だわな」 「かといって俺たちで巣なんて攻略できないってのは目に見えて分かってた。防空を諦めて、包囲、爾後に攻勢なんてゆっくりやってたら、巣はもうまるっきり成長してやんの」 「俺たちのいたアイアンフィスト隊は素行が悪かった、いやもう分かってるか、わざわざこんな地下の酒場まで俺を追ってくるような物好きの記者さんだしな」 「そう、俺も今はモグリの身分だ。まあ復員軍人の末路にしてはまだ恵まれてる方だがな。隊のメンバーは全員生き延びてるし、他に悲惨な連中なんてごまんといる」 「ああ、それでだな。そんな俺らは上官に掴みかかったんだ。こんなことしてたら被害が増えるだけだって」 「バカな上官に使い潰されるのもたまったもんじゃねえとまで言ってやったよ。普段こんな風に食って掛かったら、営倉行きなんだがな」 「お偉方も包囲派か解囲派ずいぶん対立してたみたいだったが……結局は放棄が決まった」 「――そう、新京の放棄だ」 |