マザー・ミランダ

登録日:2022/02/13 Sun 19:17:16
更新日:2025/01/18 Sat 22:17:23
所要時間:約 10 分で読めます





我が命は絶対だ、異議など認めぬ。



マザー・ミランダとは、『バイオハザード ヴィレッジ』の登場人物。
『ヴィレッジ』どころかバイオハザードシリーズ全体レベルで重要人物のため、ネタバレ注意。

CV:木下紗華


概要

『ヴィレッジ』本編の舞台である寒村の統治者。マザー・ミランダは通称でありフルネームは不明。
村人たちからは信仰を集め、配下の四貴族からは「お母様」と呼ばれることも。

顔にはカラスをモチーフにした仮面を被り、頭の後ろには目玉のような装飾が施された光背が付いている。
カラスの羽毛のような黒いローブを身に纏っているように見えるが、実はこれ、本当に背中から生えた4対8枚の黒い翼。
胸の中央には胎児のような謎のシンボルが描かれている。
修道女のような頭巾を被っており一見すると毛髪を剃っているようにも見えるが、よく見ると生え際や毛髪らしきものが確認できる。

その実態は『ヴィレッジ』のラスボスであり、村でライカンをはじめとするクリーチャーを解き放ち、壊滅状態へと追いやった張本人である。

来歴と目的

実はミランダは本当に母親であり、エヴァという娘がいた。
しかし『ヴィレッジ』のおよそ100年ほど前、エヴァはスペイン風邪*1によって亡くなってしまう。
最愛の娘を失った悲しみに暮れていたミランダは、偶然村の地下で特異菌の菌根を発見。それと接触したことで亡くなった者たちの記憶が菌根に保存されていることを知り、エヴァを復活させようと試みるようになる。

元々優れた科学者であったミランダは、線虫と特異菌を組み合わせた寄生体「カドゥ」を開発。それを自身に寄生させることで擬似的な不老不死の肉体を獲得し、「スペイン風邪の特効薬」と称して村人にカドゥを寄生させ始める。
そうすることで村人から崇拝されるようになり、村そのものを閉鎖された実験場にしたのである。

全ては菌根からエヴァの記憶を取り出し、それを入れるための器を造るため――。


人物像

上記の通りエヴァに対しては慈愛溢れる母親だが、それ以外にはどこまでも冷酷であるあまり、村人を皆殺しにした際も罪悪感に囚われるどころか狂善してしまうというやべーやつ。もはや元の目的関係なしに殺戮を楽しんでる(カドゥにそう操られてる)のではないかと疑うほど。
声優の木下紗華は別の作品でも(原典のゲームでは)目的のためなら手段を選ばない毒親を演じているが、彼女とはまるで比べ物にならない*2

村人たちやハイゼンベルク以外の四貴族から慕われているが、上記の通りエヴァ以外には基本的に「実験動物」以上の評価を持たない。
四貴族も他の村人よりもカドゥの適合率が高かったから引き抜いたというだけで捨て駒に過ぎず、目的のための材料に過ぎない。
事実上エヴァのクローンにあたるエヴリン(実の娘)ですら「出来損ない」「研究過程で発生したゴミ」と切り捨てている。
当然その本質を知る面々からの評判は最悪で、
イーサンからは「誰も愛せない、それがお前の本質」、
クリスからは「正気じゃない」、
ハイゼンベルクからは「誰も愛しちゃいねえ」、
デューク「冷酷な教祖」と言われており
エヴリンでさえも出来損ない呼ばわりされたためか「ミランダ」と呼び捨てにしており、母親として認めていないとボロクソに言われている。
ハイゼンベルクと違い彼女を慕っていたドミトレスクドナモローの3人に関しても、これらは意識操作をされていたからで、
その3人でさえ薄々「ミランダに捨てられるのでは?」と疑念を感じていたようで、悲劇的な背景の持ち主ながらも同情の余地はないと言える。

本当にエヴァに纏わる存在以外に関心がないからなのか、冒頭にてクリスに倒されたにもかかわらず、なぜかクリスや彼が率いるハウンドウルフ隊を最後まで野放しにし続けた結果出し抜かれるという失態を犯しており(単にクリス達が有能なだけの可能性も否定できないが)、実に身勝手かつ愚かと言う他ない。


そんな中、唯一の例外が一時的に師弟関係を結んだあのオズウェル・E・スペンサーで、
彼が若い頃村で行き倒れになっていたところを保護、黙って自分の元を去った彼が後に寄越した手紙を今でも研究室に置いていた。
ちなみにスペンサーはミランダの実験に感銘を受けたことで、ウイルスによる人類の進化を目指すようになったので、スペンサーがシリーズの元凶であるならば、ミランダはシリーズの発端ということになる。
この2人が出会わなければシリーズにおける生物災害の歴史は、プラーガ絡みと特異菌絡みだけですんでいたし、その2種に関してもまったく別の内容になっていたと思われる*3
ラクーンシティの人々も街も失われずに済んだであろうに…。

ちなみに特異菌を提供したコネクションに関してはどう思っていたのか不明。
単純にお互い利用しあう関係だったのか、それとも…。


能力

主な能力は肉体改造。
これによって当時の外見のまま100年以上生き続けることに成功しており、ミランダ自身はこれを「菌根が与えたもうた力」と語っている。
背中の翼は飾りではなく普通に飛行可能。他にも菌を樹木のように生やしたり火の玉を作り出したり周囲を暗闇で包んだりできる。
おまけに身体能力も人間の範疇を超えており、本編では素手で他人の心臓をえぐり出して握り潰していた。

擬態

まったく別の外見に擬態する能力。非常に精巧でなんと死体にまで擬態可能。
複数の個体に分裂することもできる。


再生

ドミトレスクほどではないが高い生命力と再生能力を持ち、全身に銃弾を浴びようが、頭部を吹っ飛ばされようが即死には至らない。
百戦錬磨のクリスもこれには予想外だった模様。リサラスラパンネのことを忘れていたのだろうか。

変異

戦闘形態。神々しくも禍々しい女神像のような姿で、攻撃パターンにあわせて各部位が変化する。
どことなく『4』のラスボスであるサドラーの変異体に似たシルエットにもなる。
戦闘に特異菌の力を全振りしているためか、体表が老化している。


活躍

エヴァに会いたいがために非道な実験を繰り返すミランダ。そんな彼女に吉報が届く。
なんと、E型特異菌感染者同士による交配によって赤ん坊が誕生したというのだ。
両親から特異菌の力を受け継いだ赤ん坊なら、エヴァの器になるに違いない。そう踏んだミランダは件の赤ん坊――ローズマリー・ウィンターズを手中に納めるべく暗躍を開始する。

途中、クリスたちの妨害にあうもクリスの采配ミスもありローズの奪取に成功。村に帰還した。
ミランダの見込んだとおり、ローズはエヴァの器に最適な存在であった。もう村も村人も四貴族もいらない。後は菌根からエヴァの記憶をサルベージし、ローズという器に入れるだけ。そう判断した彼女は、今まで隔離していたライカンたちを解放。村を壊滅状態へと追い込む。
理由は特異菌の力であるカドゥを与えた村人たちの記憶を菌根に取り込ませ、エヴァを復活させる儀式を成功させるため。
もちろん四貴族も菌根に取り込ませる必要があるのだが、ミランダは儀式の準備を優先したのかそれを村にやってきたイーサンに任せることにした。

その後、イーサンが四貴族を倒しながら集めたローズの各部位が入ったフラスクを回収。
最後の貴族であるハイゼンベルクが撃破されたのを確認し、ミアの姿に擬態してイーサンの前に姿を現す。
次々と擬態を披露しながら自身の目的を暴露するミランダ、そして――

恐れるなイーサン、死は一瞬だ。

イーサンの体から心臓をえぐり出し、彼を殺害した。

その後、カラスに擬態して祭祀場へと移動。エヴァを復活させる儀式を開始する。
しかし儀式は失敗し、ミランダは何者かに力を奪われて肉体が崩壊を始めた。
更にそこへ蘇生したイーサンが駆け付け、ついでにクリスの狙撃によって頭部を撃ち抜かれ、イーサンにローズを取り返されてしまう。
だが即座に頭部を再生し、イーサンからローズを奪って自身に吸収。そのままクリーチャーへと変異する。

ローズは、この私のもの!

「ローズは俺の娘だ! ふざけるな!」

持ち前の再生能力と多彩な攻撃を駆使して、イーサンと死闘を繰り広げるミランダ。
だが、怪物の力を持ちつつも人間であり続けた父親と、身も心も怪物と成り果てた母親では、どちらが勝つかなどわかりきっていた。

私の娘…! 私のエヴァ!

ついに限界を迎えたミランダの肉体は石灰化。
死後、その精神は菌根に取り込まれ菌根の暴走を招いたが、既にクリスが爆弾をしかけていたため菌根は村ごと爆発四散。
彼女のエヴァとの再会という望みは完全に潰え、その身も雲散霧消して消滅したのであった。


余談

作中で数々の悪事を働いてるミランダではあるものの、いざ戦ってみると意外にも弱い。弱いのだ。大事なことなのでry。まあゲーム開始から数分足らずで旧主人公に倒される(偽装)ラスボスなのでこの弱さに説得力がない訳でもないが。
要因としては、ここまで進められたプレイヤーは初心者でも体感的に大分やり慣れた頃合いであるため、よっぽど下手でなければ武器の改造や弾と回復薬の温存もこなしてる段階ではあるし、仮に足りてないとしても救済措置としてラスボス戦突入前にもう一度デュークと最後の売買ができるチャンスがあるし、ミランダの攻撃自体もガードか料理のバフのどちらかを付けてなくてもそこまで痛くなく(もちろん高難易度だとバフ込みでガードしないとさすがに手痛いが)、フィールドは狭めではあるものの動き回っていれば突進攻撃などは意外にも避けやすいからでもある。
他にも、それ以前の初回プレイ時かつ序盤のボスであったドミトレスク、回復不可能である専用のルールで戦うこととなったハイゼンベルクの方が強く、相対的にミランダが弱く感じやすいかもしれない。

ミニゲームであるシリーズお馴染み『ザ・マーセナリーズ』では、操作キャラをイーサン・クリス・ハイゼンベルク・ドミトレスクの4人から選択することが出来、最後のステージではミランダと戦えるのだが、イーサンは武器次第ではあるが、他3人からは完全にサンドバッグにされるミランダは実に哀れ。
ちなみにクリスで戦ってるとミランダから「なぜ死なん!」とツッコまれる。ごもっともではあるが、そりゃあゴリ……ゴホン 歴戦の猛者であるクリスだから今更死ぬわけがないだろとしか言いようがないし、そもそも100年も生きてるお前が言えた口じゃないし、やはり銃を捨ててミランダを素手でボコボコにしてるクリスも大概でツッコミのオンパレードである。
また、ミランダ撃破後はクリス以外の3人に専用の台詞が用意されており、ハイゼンベルクだと本編で叶わなかったミランダの打倒を自身の手で成し遂げたからか大歓喜する。結局お前の兵隊もローズもいらなかったじゃねえか!というツッコミは禁句。あとなぜドミトレスクがミランダを殺そうとしてるんだ?というツッコry

開発時点のプロットでは教団の教祖に当たる人物は男性であり、風貌も胡散臭い雰囲気を漂わせるスーツ姿の中年男性であった。
その後、「カラスの女王」というデザインコンセプトのもと現在のミランダとなった。変更されたのは設定と相まってサドラーと重なり過ぎてしまうと懸念したからか?
また、当初の変異後の姿はドラゴンを思わせるデザインだったが、このアイデアはドミトレスクの変異体へと受け継がれた。

公式が病気の人形劇『バイオ村であそぼ♪』ではマザー ミランダさまとして最終回にてようやく本格的に登場。実は第1話からずっと四貴族を見守っていた。
本編の尊大な物言いとはうってかわって丁寧な言葉遣いで、まさに女神様のようなキャラクターになっており、暴走するドミトおねぇさん、ハイゼンさん、モローくんを優しく、そして強く諭した。
しかし劇中の扱いには不満があったようで、後に公開されたメイキング映像にて「私の出番、少なくありませんか!?」と字幕が表示されていた。
更にその後、『ご~るどえでぃしょん』にて、DLCの内容を動画配信というかたちで紹介したドミトおねぇさんに対し、「(DLCの内容が)3つ全部怖すぎる」とコメントした。

「愛する我が子のために凶行に及んだ親」としては、他に『ダークサイド・クロニクルズ』のハヴィエ・ヒダルゴがいる。娘の風土病を治すため、攫ってきた少女達の臓器を絶えず移植し続けていた。最大の違いは彼の娘マヌエラが存命しているという点。
ちなみに『BIOHAZARD THE STAGE』のリヤン・ハワードもミランダやハヴィエと同類の親であるが、彼の場合は我が子を助けたかったからではない。
彼の息子タイラーは存命ながらもとある理由で公には死亡した事にされ、それを信じたリヤンは息子が死亡したと思い込んで世界への復讐を企てる。*4
心が病んだ末に破滅的な末路を辿っており、作中でタイラーと再会した頃にはすっかり正気を失い、彼を息子と認めずに別人と決めつけていた。*5



互いの言い分はわかった。かたや一方は理屈に及ばぬようだ。だが我が意は決したぞ。

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最終更新:2025年01月18日 22:17

*1 史実でも1918〜1920年にかけて大流行したインフルエンザ。当時の世界人口約20億人のうち推定5億人が感染し、死者約5000万人、最大1億人が死亡した史上最悪のパンデミック。

*2 そもそも登場作品の作風が違いすぎるので同じ土俵に据えるのもあれなのだが。だが「実年齢に反して外見が若い」「愛する家族を失ったため凶行に及んだ」という共通点もあったりする。

*3 『4』でプラーガの研究を行っていたルイスが「(ラクーンシティの)警察署のラボでウイルスのサンプルを――」と言いかけている場面があり、研究に影響を受けた可能性がある。

*4 当初は息子の遺体を手に入れて蘇生させようと試みていたが、当然ながら存命している人間の遺体など存在するはずもなく、絶望の末に逆恨みによるバイオテロへと繋がってしまった。

*5 正気を失う前に書き残した手記には「本当は息子の訃報で自分が狂ってしまった事を分かっているものの、最早止まることも出来なくなってしまっている」という主旨の内容が書かれていた。