ウルトラファイト

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ウルトラファイト - (2020/07/28 (火) 16:45:00) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/10/10 Mon 16:11:56
更新日:2024/05/01 Wed 02:23:40
所要時間:約 6 分で読めます






荒涼とした山間の決戦場に上がりましたのはウー


今日の相手は、ご存知ウルトラセブン!


静かに、両雄の対決が始まりました!



『ウルトラファイト』とは、『ウルトラセブン』放送終了から『帰ってきたウルトラマン』放送開始にかけての間に放送された帯番組である。


ストーリー

  1. ウルトラマンの戦闘シーン
  2. ウルトラセブンの戦闘シーン
  3. セブンと怪獣達の殴り合いが繰り広げられる

概要

円谷プロダクションは自らが作り上げた『ウルトラQ』や『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』といった
珠玉の作品群(いわゆる第一期ウルトラシリーズ)によって怪獣ブームを生み出し、番組が終了してもそのブームは続いていた。

しかし、莫大な制作費を要するウルトラシリーズによって疲弊し、『マイティジャック』や『怪奇大作戦』が商業的に奮わず、
それに続く『恐怖劇場アンバランス』においてはあまりにも過激なホラー描写が仇となって、3年間放映が見送られ、
そして円谷プロの創業者でもあった円谷英二氏が逝去してしまった事もあり、もはや円谷プロには新たな番組を生み出せるような余力は残されていなかった。

そこで、低予算(…というより制作費ゼロ)で製作できる作品として、過去のウルトラシリーズの映像を再利用した一話五分のミニ番組が企画された。
それが本項で紹介する、この『ウルトラファイト』である。

内容は『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の戦闘シーンを2分40秒にまとめ、TBSのアナウンサー・山田二郎の実況を加えただけのもの。
映像自体は本編と同じだが、怪獣が登場する経緯を大幅に省略することが多く、
編集とナレーションによって全く異なる展開に再構成されたエピソードもある(プロテ星人の回など)。

だが、『セブン』の最終回である改造パンドン戦の場面を使ってしまえば、もはや完全にネタ切れ。
『セブン』は『マン』に比べると戦闘パートが地味であるため、2分40秒持たせられるような名場面が全体的に少なかったのもスタッフの頭を悩ませた。

せっかく番組も軌道に乗り始めていたのに、円谷はいよいよ窮地に追い込まれてしまう。

そこで…

(メ▼皿▼)「お、いいもんあるじゃねえか」
(メ▼皿▼)「コレまだ使えるぞ。そこらへんにロケ行って、こいつらに殴り合いさせろ」

倉庫には、かつて本編の撮影に使われた着ぐるみの他、地方興行やアトラクション用に作られた簡易型の着ぐるみ等がいくらか残されていた。
それらを無造作にかき集め、はっきり言って『Q』~『セブン』に比べるまでもなく明らかにショボい新規撮影が行われるようになった。

既存映像の編集に比べれば若干の費用を要するとはいえ、超低予算なのに変わりはなく、(合成技術を要する)飛び道具や光線技などもってのほか。
ロケ地は近所の山やら海岸やら、経年劣化が見て取れる着ぐるみ(テレスドン名義ではあるがある意味デットンのデビュー作であると言えるレベル)が、
ただ単に取っ組み合いの喧嘩をするだけ……と、怪獣モノに批判的なまなざしを向けていたマスコミでなくとも(後述)不安になる内容ではある。

だが、山田アナの名調子と途中からいろいろおかしくなっていったストーリーで大ヒットしたから結果オーライであろう。


当初はマスコミなどから「出涸らし商法」と散々叩かれていたが予想外の視聴率と子供達の支持により放映延長が決定。
怪獣ブームを維持しつつ、後のウルトラシリーズへと繋がる確かな原動力となった。


新撮編の登場人物

好戦的な怪獣どもが我が物顔でのさばる「怪獣島(怪獣星とも)」で正義を守る戦士。
『ウルトラファイト』は低予算で作られているので、光線技は全く使えず(火ぐらいなら出せる)格闘技で戦う。
一応、主人公な為かなり強く負けた戦いは一度(人によっては二度)しかない。
「三角切り」「マキシ斬り」「二天流」など、技も豊富。

基本的に脚本などなく、大抵アドリブで戦う番組なので、
セブンのスーツアクターの人が怪獣のスーツアクターの人と喧嘩を起こし、そのまま放送されたという逸話があるらしい。

『番外地』によると、甘い物が苦手らしい……

カプセル怪獣の一匹。
セブンの子分だが、相変わらず弱く大抵セブンに助けられている。
着ぐるみがかなり劣化しており、鬣がくしゃくしゃになってしまっている(後にピンク色に塗り潰される)。
イカルスとの戦いに敗れ、以降登場しなくなる。

古参。
スタミナに定評があり、俊敏で重いパンチを放つ。ライフル魔だった事もあった。
また、クリスチャンだったり、何を血迷ったのかエレキングと付き合ったりしていた。

古参。雪ん子の母親ではない。
『ウルトラマン』に出てきた時の神秘性は皆無で、誰彼構わず襲い掛かる喧嘩屋。段々と抜け毛が激しくなってきていた。
スタミナ豊富でパワーがあるがスキが多い。必殺技は「歯車くずし」。
エピソードによっては女性扱いされることもある。
ニコニコ動画の円谷プロ公式チャンネルで配信された際には視聴者から「ウーさん」なる呼ばれ方をされていた。

古参。『ウルトラセブン』の時に比べてしわくちゃになっており、特徴的だったアンテナが垂れ下がっている。
大抵昼寝をしており、勝率もそんなに良くないが、セブンにたたき起こされた時は謝るセブンをフルボッコにして倒した。

宇宙忍者その一。
分身の術を使い、セブンと引き分けたりとなかなかの実力者ながら、味方のフリをして裏切り襲い掛かる油断も隙もないヤツ。
セブンに首を切られたがその後も登場。
いろいろと凄かった最終回では、バルタン星人史上最もとんでもない事をやってのけた。

『ウルトラマン』の時のように地底出身らしく視力が弱い。
故に地上では動きが鈍く、実質的に勝利した事はなかった(アギラを倒しても、セブンに返り討ちにされる)。
後に『帰ってきたウルトラマン』でテレスドンの弟・デットンになる。
ちなみにこちらは当初はテレスドン本人が登場する予定だったが、着ぐるみの劣化で別人にしか見えないという理由で名前を変えられた経緯がある。

頭が常にぐらついており、必死に支えながら走り寄ってくる姿が痛々しい。
エレキングとの戦いでセブンに助けられるが、そのセブンの背後を襲ったりする。

宇宙忍者その二。
忍法「宇宙縛り」で相手の動きを封じる。
常に特訓して技の開発に余念のない努力家。ボクシングの心得もあり、ウーを仕留めている。弱点は爪。

  • ケロニヤ(ケロニア)
何故かケロニヤと呼ばれる。強さが安定しない。
二度に渡って崖から投げ落とされた。

『ウルトラマン』では大人しく無害な怪獣だったが、他の怪獣同様の喧嘩好きになっていた。
粘り強い戦いが得意で上座もあるが、それが仇になる事も。
サッカーの腕前は怪獣界に鳴り響いており、イカルスと国際親善試合をした。

物欲と自己顕示欲が旺盛なお調子者。
トンカチや刀など、武器を使うと強い。

お宝を探す山師であり、相手を詐術にかける香具師。
執念深い戦い方が特徴。
仏教徒。

再放送時「遊星より愛をこめて」のウルトラファイト版「遊星の悪魔スペル星人」が放送できなくなったので、急遽制作された「怪獣死体置場」に一度だけ登場。
戦いを終えた怪獣達の亡骸が眠る怪獣死体置場*1で突如蘇生し、同じく突如蘇ったウーと戦う。


主なサブタイトル

  • 殺られる前に殺れ!
  • 闇からの殺し屋
  • 恐怖のギロチンカット
  • セブンよ死ね!
  • 勝負は死ななきゃ分らない
  • くんずほぐれつ
  • 宇宙アウトロー
  • イカルス+虐殺
  • 怪獣はつらいよ
  • 怪獣ゲバゲバ地帯
  • 消えて貰います
  • 星空に殺意がひらめくとき…
  • 皆殺しの舞踏会
  • 白い殺意
  • 血と砂のバラード

変なのを集めたわけではなく、新撮版(と、一部の再放送版)はこんな感じの異色すぎるサブタイがずらっと並ぶ。
なかなかどうして、ちゃんと印象に残るのではないだろうか。
なおイカルス+虐殺は「エロス+虐殺」という映画の題名が元ネタらしい

後のシリーズへの影響

のちにこのようなスタイルの番組として『ミラーマン』を基にした『ミラーファイト』、より殺伐さを増した『レッドマン』が制作された。
東宝もその路線を引き継ぎ『行け!ゴッドマン』『行け!グリーンマン』『行け!牛若小太郎』を作っている。

90年代にはVHS作品として『ウルトラスーパーファイト』がリリースされた。
登場ウルトラマン・怪獣の声は全て島田敏氏が担当。
本家ウルトラファイトとはベクトルは異なりながらも、「方向性の見えなさではこちらの方が上」とも視聴者に評される怪作として知られる。

2000年代中盤に刊行されていた雑誌『特撮エース』では、本作を原作とした唐沢なをきの漫画『ウルトラファイト番外地』が連載されていた。
内容はTVシリーズの世界観やキャラ付けをベースにしたオリジナルで、怪獣プロレスよりはコメディ色が強めの作風。
「激闘!三里の浜」や「怪獣死体置場」など、映像作品でも印象深かったエピソードのパロディも見られる。
単行本は掲載誌の休刊後、全1巻が角川書店から刊行された。

2012年夏には「ウルトラマン列伝」内で、ウルトラマンゼロが主人公のショートストーリー「ウルトラゼロファイト」が放送。
タイトルから嫌な予感がにじみ出てはいるが、別にゼロがくたびれた怪獣と戦うわけではなく、内容はグリーンバック撮影+CG背景で制作したガチバトルである。
二部も放送され、こちらもなかなか本気である。

さらに2015年3月末には『新ウルトラマン列伝』内で、ウルトラマンビクトリーが主人公の「ウルトラファイトビクトリー」が放送。
こちらもビクトリーの新タイプチェンジが登場したり、まさかのアリブンタ復活など本気が見える。
またウルトラファイト系統では初めて人間側も登場する。

ややこしいが、ゼロのほうは「ウルトラゼロファイト」でビクトリーのほうは「ウルトラファイトビクトリー」。
役者さんたちも舞台挨拶ではテンパって間違えるレベルで、間違っちゃいけないやつと言いつつも何回も間違えていた。

ウルトラマンオーブ』終了後暫くしてからも「ウルトラファイトオーブ 親子の力、おかりします!」が放送。
こちらもただの番外編ではなく、オーブのエピソード9かつ劇場版オーブの後日談 兼 次回作『ウルトラマンジード』へと続く前日譚としての作品となっており、
新規造形のフュージョンアップ形態2もデビューしたり、オーブウルトラの特訓の歴史に組み込まれたり、
初の単独勝利とM87光線初の単独怪獣撃破、バードンへの44年ぶりの単独リベンジを果たしたゾフィー兄さんを含めたウルトラ兄弟の活躍、
さらに初となる後輩ウルトラマンであるウルトラマンジードの先行登場等、低予算でチープだった初期の面影は微塵もなくなっているといえよう。



円谷プロは「ウルトラファイト」以降も「充電期間は出涸らし商法」が恒例化しており、
特に前述の「列伝」は実況の代わりに新規BGM・SEとウルトラ戦士たちの前説を追加したり、
古いのはデジタルリマスター版を使ったりと中々の力の入れようである。もちろん回によってはスパークドールズ劇団のように実況もある。
列伝終了後も「ゼロTHE CHRONICLE」「オーブTHE CHRONICLE」等、新作と新作の期間の穴埋めとして列伝形式の番組構成が行われている。

そして「実験的にさまざまなストーリー展開を試みる」というのは同じく穴埋めから始まった
マックス」でも行われたあたり、円谷プロの作り手からしてもこの作品は大きな立ち位置にあるのではないだろうか?



そら!参ったか若造め!どんなもんだ!

あれ?なんだか雲行きがおかしいぞ?
ま、まさか……

「デュワッ!!」

うわあ、親父が出てきちゃったよ!

倅のかたきだ!覚悟しろ!

そんな2017年にはついに「ウルトラファイト」の新作「ウルトラファイトVR 親子タッグ! 激闘の荒野に花束を」がVRシアターで公開された。
監督は同時制作のウルトラマンゼロVRと同じく田口清隆氏。
ナレーションはなんと山田アナが担当。相も変わらずの名調子を聞かせてくれる。

内容はタイトルの通り、ウルトラセブンとウルトラマンゼロの親子がイカルス・ガッツと戦うというもの。
セブンの声はマンのものではなくセブンのものを使用している。
VRを活かして前ではゼロ、後ろではセブンがひたすら怪獣と殴り合うという豪華なのか安っぽいのかよくわからない光景を楽しめる。
エンドロールでは崖にイカルスを投げ落としたゼロがじっとイカルスを見つめる様と、微動だにしないイカルスの死体が延々と映される。なんだこれ。



おおっと、ここでWiki籠りの追記・修正!まさしく必殺技であります!

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