ルパン三世vs名探偵コナン

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ルパン三世vs名探偵コナン - (2020/03/17 (火) 00:53:08) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/07/30(月) 22:45:26
更新日:2024/02/05 Mon 23:02:42
所要時間:約 12 分で読めます




『ルパン三世VS名探偵コナン』とは、2009年3月27日に金曜特別ロードショーにて放映されたコラボアニメ。


原作:モンキー・パンチ/青山剛昌
監督:亀垣一
脚本:前川淳


タイトルからわかるようにルパン三世と名探偵コナンのクロスオーバー。
…が、この手のタイトルの作品によくあるように、「対決」というよりは「共闘」といった感じで話が進んでいく。


日本テレビ開局55周年と読売テレビ開局50周年の記念として放映2年前から制作が進められていたビッグプロジェクト。
その甲斐あってか関東地区では19.5%という高視聴率を記録している。



◆あらすじ
本作の舞台となる架空の王国、ヴェスパニア王国にてサクラ女王とジル王子が狩猟の最中に猟銃による事故で死亡した。
このことは世界的なニュースとなり、コナン達の耳にも入る。
そして両名の死亡に伴い、残された王族であるミラ王女が王位を継ぐこととなりサクラ女王が企画していた東京のサクラサクホテルでのレセプション出席する為に来日。
コナン達もそのパーティーに参加することになる。
一方、ヴェスパニア王国の至宝であるクイーンクラウンをターゲットにしたルパンが、王国へと潜入していた。

女王と王子が死亡した事件の真相を暴く為、同じようにヴェスパニアへとやってきたコナン一行とルパン一味を巻き込んだ事件が幕を開ける…



◆主要登場人物

●ルパンサイド

CV:栗田貫一
毎度お馴染みの大泥棒。ヴェスパニア王国の至宝を狙って王国に潜入、成り行きで出会ったコナンと共に王国内での事件に巻き込まれていくことになる。
終盤、ある人物に変装するもアドリブ全開で喋りまくったり空砲とはいえ唐突に発砲したりとやりたい放題であった(コナンも「もうだめだ…」と半ば匙を投げていた)。

「俺の名は、ルパ~ン三世☆」


CV:小林清志
お馴染みルパンの相棒。今回は王女のボディーガード兼国の衛兵の教官として一足早くヴェスパニアへと潜入する。
衛兵達からの信頼は高く次元先生ともてはやされるも、それで調子に乗った所為で家に火を放ち、
自分達のやり方を元にした本気の指導をした為に、後々自分の首を絞めるハメに…
コナンからは周りの目を誤魔化すために「パパ」と呼ばれた(続編の劇場版でも継承された)。

「あ、それが…ハードボイルドさ(キリッ」


CV:井上真樹夫
ルパンの相棒その2。斬鉄剣の斬れ味はやはり健在である。今回はルパンの救出とバックアップが主となる為出番は少なめ。

「あい、わかった…!」


CV:増山江威子
ルパンファミリーにとって時に味方で時に敵な謎の美女。脱走したミラ王女にいち早く気づいて行動を共にしたりと様々な場面で暗躍した後ルパンと合流。
コナンとのチェイス中に自分の行動を読まれたことに驚きを浮かべたりもした。また、サービスカットもそれなりにある。
ミラ王女に名乗った偽名は国際弁護士の不二峰子

「読まれた…?このアタシが…」


CV:納谷悟朗
ご存知我らのとっつぁん。今回は目暮の友人という立場で登場し、小五郎を連れてヴェスパニアへと向かう。
作中終盤に下にあるような妙にメタいセリフを言う他、
ゾウでも30分は眠る筈のコナンの麻酔針を喰らって物の数10秒で目覚めるという驚異的なタフさを見せつけた。
だが、納谷氏の声の衰えが老齢という事もあって非常に目立ってしまっている…。

「9分13秒前を思い出してみろ!」




●コナンサイド
全編通して出番があるのは毛利探偵事務所の面々だけで園子、目暮、高木は前半でフェードアウトする。

CV:高山みなみ
ご存知名探偵。ヴェスパニア王国での事件の真相を暴く為に活躍する。
持ち前の推理力はルパンファミリー相手にも如何なく発揮され、次元がリボルバーの扱いの名人であることをその所作から見抜いたり、
王女を連れ去った不二子の逃走経路を先読みして尽く回り込んで不二子を驚愕させるなどの活躍を見せた。
また、本作では遥か遠くの鉄橋へと大ジャンプしておいて痛みを感じた風もなく平然と着地したり、離陸態勢の航空機の車輪にしがみついて内部に侵入したり
物理法則もあったもんじゃねぇアクションが多く見られた。

「行くっきゃねえ!」


CV:山崎和佳奈
ご存知蘭姉ちゃん。ミラ王女と容姿が瓜二つという理由でミラ王女に無理矢理入れ替えさせられた挙句に王国のイザコザに巻き込まれることになる。
持ち前の空手の腕前も健在であり、王女を追ってきたボディーガードを瞬時に無力化させたりもした。
だがお姫様の姿な自分の姿を見て新一に民衆の前でプロポーズされる妄想はハッキリ言って夢見過ぎ

「うそー…」


CV:神谷明
ご存知眠りの小五郎。連れ去られてしまった蘭を救う為にとっつぁんの助手という立場でヴェスパニアへ向かう。
事情があったとはいえ、自分の娘を勝手に振り回したキースに対しては常時キレ気味であった。当たり前っちゃ当たり前だが。

「わかって言ってるのか…!」


CV:松井菜桜子
蘭の親友。コナン、小五郎と共にホテルのレセプションに同席する。五ェ門同様そんなに出番なし。


CV:茶風林
警部殿。ホテルで起きた王女毒殺未遂事件を担当。銭形とは古くからの友人らしい。


CV:高木渉
高木君。キースの言動に終始苛立っていた。小五郎がヴェスパニアに向かう時、その熱い思いを彼の拳に託した。



●オリジナルサイド
いずれも青山タッチで描かれている。

  • ミラ・ジュリエッタ・ヴェスパランド
CV:堀江由衣
ヴェスパニア王国の王女。その容姿は蘭に瓜二つ。
因みに見分け方としては蘭よりも肌が若干白く髪の色が薄く、瞳の色が薄めの青色である点。あと胸が大きいことか。
元は王女らしいおしとやかな人物であったそうだが母と兄の死によって心に傷を負い我儘な面が目立つようになってしまった。
容姿が瓜二つな蘭に目をつけ、彼女とすり替わった後に不二子と接触。行動を共にしていく内に段々と成長していく。
因みにルパンのセクハラ被害にも遭っており、その際にはランドリーやら便器やらを投げつけるといった怪力を見せている。

「そんなに驚くこと?」


  • キース・ダン・スティンガー
CV:緑川光
ヴェスパニア王国の伯爵でミラ王女の側近。作中では王位継承者となったミラに対して厳しくも優しく接していくが、何かと不審な行動が目立つ人物。中の人は後のスコッチ。

「まるで身体は子供、頭脳は大人…」


  • ジラード・ムスカ・ヴェスパランド
CV:屋良有作
ヴェスパニア王国の公爵。サクラの弟で、ジルとミラの叔父。
2人が死んだ事件現場に居合わせており未然に防げなった自責の念からか作中では王女を気遣った言動が目立つが…

「反王女分子が日本に送り込まれていたとは…思いもよらないことだ」


  • サクラ・アルディア・ヴェスパランド
CV:鈴木弘子
ヴェスパニア王国の女王。
自然を愛する心優しい君主。
作中冒頭に猟銃による事故で死亡する。

「狩猟などという野蛮なものは、好きではありません」


  • ジル・カウル・ヴェスパランド
CV:福山潤
ヴェスパニア王国の王子でミラの兄。作中冒頭でサクラ女王を誤射してしまい錯乱して自身も自殺したと語られているが…

「野蛮だなんて、狩猟はれっきとしたスポーツですよ」


  • カイル
CV:楠大典
ヴェスパニア王国の卿
王国SP部隊のリーダーでありキースからの信頼も厚い男性。が、作中では蘭の空手に圧倒されてしまう。

「申し訳ないが、あなたには関係ないことです」



◆作中のキーアイテム

  • クイーンクラウン
ヴェスパニアの歴代女王に代々受け継がれる至宝。分厚い鉄の金庫に加えて重量、赤外線、サーモグラフィーの三重センサーで守られている。
嘗てルパンが盗もうとして失敗した所為で警備が厳重になったんだとか。けど不二子曰く「大した宝石がついてるわけでもない安物」らしい。

  • ヴェスパニア鉱石
ヴェスパニアの地殻変動で偶然現出された未知の鉱石で究極のステルス性能を秘めている。
あくまでも早期発見が困難になるだけの現行のステルス技術とは違い、本当の意味で消えたように見せることが出来るという凄まじい代物。










【以下、事件の真相… さらなるネタバレに注意してください】









野心なき王など…王の器ではない!!


  • ジラード・ムスカ・ヴェスパランド
この事件の黒幕であり、真犯人。
ヴェスパニア鉱石の採掘権を巡って反対派であった姉サクラと対立し、王位を奪い取るため姉と甥を殺害。
そして衛兵の殆どを買収し、ミラ王女をも亡き者にしようとした。
サクラ女王を射殺した後、ジル王子を自殺に見せかけて殺害したが、利き腕を勘違いしていた事と、ジル王子の弾丸が空砲にすり替わっていた事を知らなかったため、犯行が露呈した。

ルパンに手玉に取られまくったせいで小悪党っぽい言動が目立つが、よくよく考えれば世界を戦乱に巻き込みかねないシロモノを世界中に売り出そうと考えており、
そのために実の姉と甥を殺したという、「ルパン」「コナン」シリーズトップクラスの外道である
皮肉にも、自らの欲望の糧にしようとしたヴェスパニア鉱石の力によって自滅。女王となったミラに裁かれることとなった。
サクラの言った通りの結末を迎えたという訳である。

しかしながら、彼自身は最初から王位を狙っていたわけではなく、ヴェスパニア鉱石が偶然発掘されるまでは、姉サクラや甥ジル、姪ミラとの関係も良好だった。
ほんの三年前は姉とともに射的大会に出て優勝したこともあった。
ミラの「呪われたのよ…この国は! あの石コロに!!」という言葉通り、ヴェスパニア鉱石の魔力に魅入られてしまった哀れな人物でもあったと言える。



わたくしは、貴方を許さない! この国の王は…このわたくしです!!

  • ミラ・ジュリエッタ・ヴェスパランド
母と兄の死を乗り越え、女王として大きく成長。ルパンとコナンによって真実を知り、叔父であるジラードを裁くことを決意。
事件が終わった後は正式に王位に就任。「美しく平和の国にする」という母の願いを引き継ぐ決意をした。



我がスティンガー家は、王家に使えて200年… 私の中に流れる血は…


最後の一滴までヴェスパニア王家に捧げる!!!


  • キース・ダン・スティンガー
散々怪しい行動をしていたが、その真の素顔は今作屈指の漢。
目暮達の捜査を邪魔していたのは、王位に着く前に、ミラに一日だけでも一人の女の子として自由な時間を与えたかったからという優しさからだった。
そして、ジラードからの勧誘も、上記の発言で跳ね除けた。今回のミスリード要員。



地球を食い物にしようとする輩は…やがて地球に見捨てられます!!


  • サクラ・アルディア・ヴェスパランド
ヴェスパニア鉱石採掘に反対を唱えていたため殺害される。
実は少女時代に駆け出しの頃のルパン(緑ジャケット)と出会っており、現在のミラのように自由になりたいと願っていたが、ルパンに丁重に拒絶される。
その時、ルパンとある約束を交わし、それを守り続けてきた。
若かりし頃は近代五種競技(フェンシング・水泳・馬術・ランニング・射撃)で優勝といった数々の競技でトロフィーを得る程の腕前であった。


  • ジル・カウル・ヴェスパランド
王位継承権第一位だったため、邪魔者として殺害される。
実は左利きなのだが子供の頃から右手を使うように矯正されていたため、ジラードの犯行を示す証拠となった。


  • 峰不二子
実はキースにミラ王女の護衛として雇われていた。
クイーンクラウンを「安物」と言いながらもちゃっかりせしめていた辺りは相変わらずだが、この時にヴェスパニア鉱石入りのマシーンをルパンから拝借していた事が、後々役立った。




オレとじゃなく、この国の国民と、大空を羽ばたくんだ

  • ルパン三世
駆け出しの頃にクイーンクラウンを盗んだが、サクラに見つかってしまい、クラウンと一緒に盗んてくれるように頼まれる。
しかしながらルパンはそれを丁重に拒絶。サクラにクラウンを返した。
その際「この国があんたの手で美しく平和な国になったら、また盗みに来てやるよ」という約束を交わした。
それから十数年後、サクラの死を知ったルパンはあの時の約束を果たすべく、ヴェスパニア王国に再びやって来る。
成り行きからコナンと手を組む事となり、サクラの仇を討つことに成功した。

そして、再び盗んだクイーンクラウンを、今度は娘であるミラの頭に被せたのだった…。


こいつぁ返すぜ…。やっぱりあんたの頭の上が、一番お似合いだ




桜が…教えてくれたのさ

  • 江戸川コナン
事件を解決したものの、不法入国の罪で警察に捕まり、護送されてしまう。
と、思いきや、その警官たちはルパン達の変装であり、後の映画へのフラグとなった。
そして不二子のツテで米軍の潜水艦に乗せてもらい、無事帰国。
…だが、この時いろいろな事をされたらしく、潜水艦が軽いトラウマになってしまった。


あの…勝手に触らないでもらえます!?

おいコナンそこ代われ。



◆余談

  • 前述のように本作ではコナンの無茶苦茶なアクションが目立つ。
    が、非常に高高度の鉄橋から飛び降りて着地した際には平然としていたのに、
    すぐ後の蘭が乗った航空機を追う際に鉄橋より低い位置から飛び降りるシーンがあるのだが、
    その時に着地の衝撃に顔を歪めるという別の意味でツッコミ所がありすぎるシーンが存在している。

  • 作品エピローグにてルパンがコナン=新一であることを見抜いているのだが、
    コナン最大の宿敵である黒の組織ですらベルモットのような例外を除いて掴んでいない極秘情報を出会ってから僅か数時間で掴んでいることから、
    「ルパンって黒の組織より凄いんじゃね?」という感じに言われたりすることも。
    まぁ今までのルパンを見ていれば当たり前に見えてしまう。コラボ映画なのでテレビ本編に影響することはないが。

  • 大体の傾向としてゲストキャラクターデザインはコナン寄り、舞台設定は本編の多くを海外で消化するなどルパン寄りとなっている。
    コナンたち少数のキャラが海外に赴くというストーリー上、
    少年探偵団をはじめとした多数のコナン側のキャラの影が薄く(あるいは完全に出番がなくなって)なっている感は否めない。
    その反省もあったか劇場版ではコナン側の登場人物の見せ場が大幅に増やされている。

  • コナンが子供化して以降の初めての海外渡航編。
    無論、工藤新一が幼児化した姿でコナンの戸籍は存在せず、本来ならいてはならない存在のためパスポートを持っていないわけだが、前述の通り航空機の車輪にしがみついて機内に侵入するという密入国の形である。
    フライト先が外国ともなれば長距離飛行となるため、本来なら車輪の格納庫に隠れての渡航は低気圧と低温による酸欠や凍傷、車輪を出した際に落下、車輪格納による圧殺…の様に着陸前に死んでいる可能性も高いのだが、最早色々おかしいので気にしてはいけない。
    ちなみにこの密航方法は色々と実例があり酷い場合は目も当てられない惨状になるのだが生存ケースもあり、絶対不可能というわけではないことが実証されている。それも子供で早めに意識を失って冬眠状態になったから?とか飛行時間がかなり短かかったなどが理由で、結局奇跡的な生還とか言われているが。
    なお、コナン本編では後に『ホームズの黙示録』で「飛行機の乗降の時(出入国審査)だけ、一時的な効き目の解毒剤で元に戻る」という正式な形でロンドンへ渡っている。

  • なお、毛利小五郎役の神谷明はこのスペシャルから半年後に役を降板、
    石川五ェ門役の井上真樹夫、峰不二子役の増山江威子、銭形警部役の納谷悟朗は翌2010年2月のスペシャルをもって、
    それぞれの役を卒業しており(その後、納谷は2013年に死去)、
    本作はそれぞれの作品で長年続いたキャストの末期の作品となった。

  • 2013年には続編が映画化された。


追記・修正お願いします。

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