RIDER TIME 仮面ライダー龍騎

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RIDER TIME 仮面ライダー龍騎 - (2021/02/16 (火) 10:00:46) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2019/04/08 Mon 17:35:35
更新日:2024/04/16 Tue 12:13:12
所要時間:約 7 分で読めます





夢に向かえ まだ不器用でも
生きている激しさを 体中で確かめたい



戦え!生き残れるのはただ一人!



RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』とは、2019年3月31日からauビデオパスで配信された、『仮面ライダージオウ』のスピンオフ作品。全3話。



【概要】

2018年9月2日から平成ライダーシリーズ第20作、そして「平成最後の仮面ライダー」として放送が始まった『仮面ライダージオウ』は、
敵組織であるタイムジャッカーの介入により変わってしまった平成ライダーの歴史を巡り、歴代ライダー達から受け継いだ力で戦う、という物語。
しかし、平成ライダー第3作『仮面ライダー龍騎』という作品は、本編中に起きた出来事によってタイムジャッカーが介入する前からライダー達の力と記憶が失われているという、『ジオウ』でもかなり特殊な立ち位置の作品であった。

本作は『ジオウ』のスピンオフであると同時に『龍騎』の続編でもあり、閉じたはずの異世界で終わったはずの戦いが繰り広げられることになる、多岐に渡る結末を持つ*1『仮面ライダー龍騎』真の完結編。

メインプロデューサーは現行の『ジオウ』や『龍騎』を担当した白倉伸一郎が、脚本家は当時小林靖子と共にもう一人のメインライターとして『龍騎』の世界を綴った井上敏樹が担当。
更に当時の主要キャストは勿論、監督も『龍騎』で助監督として参加していた柴埼貴行がメガホンを取るなど、当時の役者や監督、脚本家を多く迎えている。
一方、有料動画配信サービスでのみ公開され地上波に乗らない映像作品であるからタガが外れたのか、初っぱなから缶ビールでの酒盛りシーン、明確な流血描写や男性同士のベッドシーンなど普段の子供向け番組では出来ない表現が多々あり、
同じく当初は有料配信で公開された『仮面ライダーアマゾンズ』とはまた違った方向性で「大人向け」の向きが強い。*2
同じ日に東映特撮ファンクラブにて配信された『RIDER TIME 仮面ライダーシノビ』がニチアサらしいコミカルさとシノビのヒロイックな雰囲気を前面に出した作風であった為、あちらを見てから本作を見た人はあまりのテンションの違いに愕然としたことだろう。

尚、本作には『龍騎』『ジオウ』のライダーだけでなく、平成ライダー第10作記念として制作された『仮面ライダーディケイド』の「龍騎の世界」に登場した「仮面ライダーアビス」が参戦している。
位置付けとしては劇場版の「仮面ライダーファム」に変わる形となり、『ディケイド』のアビスは同じく劇場版ライダーであるリュウガの代わりであったことを考えると少し面白いかもしれない。

映像ソフトは2019年9月11日にBlu-ray/DVDがリリースされた。


【あらすじ】

とある建物の一室で目を覚ました12人の男達。彼らは記憶を無くしており、自分が誰かも曖昧な状態だった。
そこに「サラ」と名乗る謎の女性が現れ、ここが「ミラーワールド」というの中の異世界であること、出る為にはライダーとなって1週間以内に最後の1人になるまで殺し合わなければならないことを告げる。

突如として極限状況に置かれ困惑する彼等。しかし、その手にはライダーの力そのものであり、彼らが「仮面ライダー」であったことを表すカードデッキが握られていた。

一方その頃、現実世界では一人の男が警官隊と対峙していた。
男はアナザーウォッチを使ってアナザーライダーに変身し人々を襲撃し続けており、ソウゴやゲイツも対抗する術がなく手をこまねていた。
また、どこかの病院のベッドには、サラが寝たきりになっており……?


【登場人物&ライダー】

ミラーワールドのライダー

原典『龍騎』から登場するキャラクター

演:須賀貴匡
『龍騎』原典から引き続き主人公として登場。寝ているところを敵襲だと起こされ慌てて起きたり、それが嘘だと勘違いして二度寝しようとしたりと、そのバカさ能天気さは相変わらず。
夢の中で出会う「誰か」に出逢う為に脱出するべく戦うが、やはりライダー同士のバトルロワイアルに乗り気にはなれず、蓮と出会ってからは「ライダーバトルを止める」ために動く。
因みに、本作でTVシリーズの主役ライダーとしては初の飲酒シーンを披露している。
1日目の最初の変身シーンでは画面左から順にクウガアギト、龍騎が並ぶという光景を見せてくれる。

演:松田悟志
『龍騎』のもう一人の主人公。原典では意識不明の恋人を救うために戦っていたが、今回は微かに残った記憶から「ライダー同士の戦いを止める」為に戦う。
原典では最後まで生き残り、ライダーバトルの勝者となったが……?
なお演者の松田氏によれば、「(ゲイツ役の押田氏とは)あまり似ていなかった」まさかのご本人による否定。
ただ、Twitterで「やっと会えたね」という言葉とともにツーショット写真を公開。押田氏も「やっとお会い出来ましたね」と同様の写真を公開した。
さらに松田氏がゲイツの服装になった「明光院蓮」なる写真も。なお、作品終盤では…

演:弓削智久
我らが吾郎ちゃん。原典でゾルダの変身者だった北岡秀一の秘書兼ボディーガードであり、彼自身も一度だけゾルダに変身して戦った。
何故か北岡の因縁の相手だった浅倉を「先生」と呼び付き従うが……?
当初は北岡が変身する予定だったが、演者のスケジュールが合わなかったらしい。
なお今回の戦いのメンバーの選定理由を考えると「本編終盤で一度だけ変身していたから」では理由がやや弱い為、北岡ではなく彼がメイン変身者として戦っていた歴史もどこかにあるのかもしれない…

演:萩野崇
『龍騎』作中で最もライダーを殺害した凶悪殺人鬼。ライダーの中でただ一人過去の記憶を完全に保持しており、今回も「永遠に戦い続ける」為いち早く変身するなど、その戦闘狂ぶりは変わらず。
アンダーウェアを着用するようになってちょっと常識的になった。また、仁さんみたいになったとも言われている
ちなみに王蛇のスーツアクターは原典と同じく岡元次郎氏である。

演:高野八誠
生涯で一度だけ外した占い師。真司や木村、石田を纏め、協力してミラーワールド脱出を目指すが……?
ある意味、井上脚本の真骨頂が最も表現された登場人物の一人*3

演:一條俊
原典では大企業の社長の息子で、ライダーバトルにもゲーム感覚で参加したボンボン。
石橋、戸塚を率いるが、今回も人の命を省みないクズさ加減はそのまま……というか、とんでもない方向に増長される形で狂人的になっている。
ある意味、井上脚本の真骨頂が最も表現された登場人物の一人。
中の人は本作の撮影前後で漸くガードベント呼ばわりについて知ったらしい。

CV:小山剛志
原典ではゲームマスターである神崎士郎の傀儡であり、「13人目のライダー」として最後に立ち塞がる作中最強の存在。
ただでさえ無茶苦茶な強さだったが、今回は常時使用している「無限」に加え、「烈火」「疾風」の3枚のサバイブカードを揃えた完全体仕様*4
声は原典と同じく小山剛志が担当している。

演:須賀匡貴
劇場版『EPISODE FINAL』に登場した、鏡の中の存在。
『ジオウ』本編の「リュウガ編」で既にアナザーリュウガとして登場しており、本体の真司に回帰した筈なのだが、今回は原典同様にリュウガに変身。ライダーバトルを見て思い出したのだろうか。
本物との主導権争いや原典同様の高い戦闘能力に加えて、今作では鏡を通してある人物の元に現れて精神攻撃を仕掛けた。
当然といえば当然だが、順当に考えるなら彼は今回参加した13人のライダーのカウント外。*5


本作オリジナルキャラクター

「誰でもライダーになり得る」という『龍騎』のコンセプトを反映してか、一部のライダーは原典とは変身者が異なって登場する。
本編におけるサラのセリフなどから、原典における無数のループのどこかには、彼らがライダーだった時間軸もあるのかもしれない。
年齢に関しても「誰でもライダーになりうる」要素を現しているOP映像シーンにて小学生程度の男子がカードを持っている演出が存在している以上、
当時子供でありながら戦っていた可能性すらありえるため、彼らもかつてライダーであった可能性はゼロではないといえる。

変身ポーズは各々原典のものを意識しつつも異なったオリジナルのものになっている。

演:篠田諒
手塚の下で戦うライダーのひとり。年齢的には青年だが、どこか幼さを残す眼鏡の男性。
良く言えば慎重派、悪く言えば臆病な性格で、極限状況で皆を纏める手塚のリーダーシップに羨望、あるいは依存している節がある。
しかしその性格が仇となり……。

演:山口大地
手塚の下で戦うライダーのひとり。落ち着いた雰囲気の青年。
ミラーワールドに閉じ込められ、仲間内でも最後には殺し合わなければならない状況を正面から受け止める現実主義者ではあるが、
敵に囲まれた状況で率先して仲間の離脱を助けるなど善人の面も垣間見え、原典の変身者と比べるとかなりの人格者。
一部ではTVSPのベルデのファイナルベントでライアと立場が入れ替わったとネタにされる事も。
この為、本作でベルデファンが急増。Figuartsの中古価格が高騰したり、山口氏が龍騎のトークイベントに急遽呼ばれるまでになった。

演:中島健
芝浦の配下のライダーのひとり。都会の不良然とした若い男。
原典が警察という役職を隠れ蓑に悪事を働いていた刑事なのに対し、生身の相手をいたぶる事を楽しむようなわかりやすい小悪党となっている。
蟹刑事や『ディケイド』の卑怯ラッキョウの勝率7%さん、『DRAGON KNIGHT』の駐禁切られてバイク持ってかれるという快挙を成し遂げたインサイザーがインパクトを残しすぎたせいか活躍はやや控えめ。
バトルロイヤルでは食事中も気を抜いてはいけません。

演:菅原健
芝浦の配下のライダーのひとり。ダスティグリーンのコートを羽織ったスポーツマン風の男。
セリフが殆ど無いので人となりを知る事は難しいが芝浦と手を組み生身の人間に平然と攻撃を加えられる辺り余り誉められた人間ではないのは確か。
今回の件といい、どうもヒーローらしい性格のタイガはレアな存在のようである。
本編ではかなり複雑だった変身ポーズはインペラーと同様に簡略化され、最後の構えのみに。

演:富永研司 CV:坂井易直
本名不明の会社員風の男(変身時は声優のアフレコ)。少なくともクウガではない。モンスターを倒したところの蓮を襲撃する。
前述の通り元々は『ディケイド』の「龍騎の世界」に登場したライダーではあるが、本作ではファムが登場しないのでその代役として登場する。勿論こちらは人間。
しかし出番が非常に短く若干不遇(新技を少し披露して戦えただけマシではあるが)。

  • ライダーバトル参加者の男
演:高岩成二
ライダーバトル初日に真司が龍騎に変身した際に横でその光景を見ていた中年男性。少なくともジオウでもアギトでもない。
出番はそれっきりであり、その後物語が始まるライダーバトル4日目以前に死亡した可能性が高く、彼が何のライダーに変身していたのかは謎。
しかし残りのライダーの数を逆算して考えてみると……?
ちなみに白倉Pには「ファムだと信じてますw」と語られている。*6


『ジオウ』から登場するキャラクター

本作があくまでも『ジオウ』のスピンオフという事もあって登場はするが、主役はあくまでも真司達なので出番はかなり控えめ。
むしろ「主役では無いのに見せ場が用意されている」という意味では優遇されているとも言える。

演:奥野壮
「最高最善の魔王」を目指す『ジオウ』の主人公。現実でアナザーライダーの事件を追う。
また、今作オリジナルの形態として「ディケイドアーマー 龍騎フォーム」が登場。モデルは龍騎サバイブ。
29話の描写から、少なくとも28話以前の話が今回の龍騎と思われる。

演:押田岳
『ジオウ』の2号ライダー。ソウゴと共にアナザー龍騎を追う。
秋山リリィ。


???

  • サラ
演:浦まゆ
13人のライダーをミラーワールドに閉じ込め、戦わせている謎の女。
現実の病院には同じ姿の女性が入院しているが…?

演:石田準
アナザーライダーの力を使い、現実で人々を襲撃して回っている青年。
自分でウォッチを起動し変身するため、彼にも怪人になってでも叶えたい願いがあると推測されるが……?

  • ローブ姿の男
演:???
ライダーバトルを監視する、ボロボロのローブを身に纏った謎の男。手に持った水晶玉でアナザー龍騎に襲われた人間から生命力を回収している。
集めたエネルギーを用いて衝撃波を放つこともできる。勿体無い。


【主題歌】

松本梨香Go! Now! ~Alive A life neo~
今作の主題歌を担当するのは、かつて原典でも主題歌「Alive A life」を歌った松本氏。
「neo」の通り曲調や歌詞も「Alive A life」を意識しており、こちらはそのアンサーソングと言える。


【エピソード一覧】

以前のビデオパス作品同様全3話で、各タイトルはAで始まる単語を2つ並べたものになっている。
最終話である第3話のみ例外で前述した原典での主題歌名「Alive A life」がタイトルになっている。
  • EPISODE 1:Advent Again
  • EPISODE 2:Another Alternative
  • EPISODE 3:Alive A Life

なお、EPISODE 2のタイトルは本作では欠席した擬似ライダーのアナザーライダーっぽい名前だが意識したのかは不明。


【余談】

東映特撮ファンクラブとビデオパスの共同企画として発表・制作された『RIDER TIME』二作品。
しかし、PART1である『RIDER TIME 仮面ライダーシノビ』は『ジオウ』作中にて未来のライダーとされる仮面ライダーシノビを主役としたものであることが既に発表されていたため、
事前のヒントである「実像と鏡像二つの赤いクエスチョンマーク」というイラストから、PART2は同じく未来のライダーである堂安主水/仮面ライダークイズを主役とした作品であると予想する声が大多数だった。

が、実際は「赤いクエスチョンマークは龍騎を意味し、それが2つなのは鏡に映っているから」という引っ掛けであり、
発表直後ファンからは担当脚本が仮面ライダーシリーズで久々の登板となる井上敏樹であることに驚いていたら(クイズの作風にも影響するため)、
ヒントがミスリードを狙ったであろうものだったのもあって、制作される作品がクイズではなく龍騎という事実*7「そんなのアリかよ」という困惑と「でも龍騎の続編がまた見れるのは嬉しい」という歓喜の声が同時に上がることとなった。
事実、第一報が伝えられた超英雄祭'19会場は阿鼻叫喚の嵐になったという。

余談だが本作第一話配信日には『仮面ライダー鎧武』の外伝舞台『仮面ライダー斬月 -鎧武外伝-』が大千秋楽を迎え、第1話から2日後の4月2日に東映特撮ファンクラブで『仮面ライダードライブ』スピンオフ『仮面ライダーブレン』配信決定と、妙に過去作アフターづいていたりした。

時に「後の作品の基礎を築き直した」とも評されることもある程度には斬新で衝撃的な世界観・展開で当時物議を醸した『龍騎』だが、
この通り(『ジオウ』が20作品記念という前提はあるにしても)放送から20年近く経ってから発表された新作がこれだけ歓迎されるというのは、やはり『龍騎』という作品が今でも人気であるということの証左だろう。*8

なお、『ジオウ』においてこのスピンオフがどの時期に該当するのかは不明。*9

白倉Pは2018年の12月27日に井上氏へ本作の脚本を依頼。
このとき白倉氏は「正月明けまでに書き上げてほしい」と指示を送ったが、筆の早さで有名な井上氏は龍騎の全話復習視聴と合わせて4日で第一稿を書き上げた。
ところが、いざ仕上がった台本を受け取った白倉氏は通称『めくるめく世界』を見つけるや「正月早々なんてもん書いてやがる?!」と驚き、おじさん同士の戦いがマイブームと語る武部氏すら「おじさん同士でこのシーンやるの?」と困惑。
しかし何度改訂と頼んでも『めくるめく世界』の描写は残されており、初期案より分量を減らした上で半ば白倉氏が折れる形でゴーサインが出たという。


たった一人守れないで、生きていく甲斐がない
殴りかかる、悲しみさえ 全身で打ちのめすだろう—————


走り出そう 願った場所に 向かって
鏡に写るデジャヴ 一撃で打ち砕き
真実を見逃すな






追記・修正しなければ生き残れない!

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