登録日:2011/01/12 Wed 14:10:55
更新日:2025/02/10 Mon 14:12:21
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演:神保 悟志
◆概要
かつて
神崎士郎が在籍していた清明院大学の教授。37歳。
ミラーワールドの謎、神崎の真の目的を知る後半の重要人物として登場。
一度見たことを絶対に忘れない瞬間記憶能力の持ち主で、かつて神崎のミラーワールドに関する研究資料を偶然目にしており、東條悟によって持ち込まれたカードデッキから擬似ライダーである「オルタナティブ」を開発し、
ライダーバトルに関わっていく。
神崎を止める為にミラーワールドを閉じることを決意。「英雄」的行為と称し、
仲村創=オルタナティブ、
東條悟=仮面ライダータイガを率いて
神崎優衣の命を狙う。
その思惑を巡り、後半の更なる熾烈な展開をもたらした最大のキーパーソン。
真司と同様に「戦いを止めたい」という願いを持つが、
「より多くを救うためなら少数の犠牲はやむを得ない」という信念を抱いており、犠牲を出すことを良しとしない真司と対立することになる。
加えてただただ愛する人のためだけに戦う
蓮とは完全に相容れず、激しく敵視されることとなる。
ただしこの信念はあくまで「全てを救えないために苦渋の決断が必要な際には、自分の手を汚すことでその重責を担う」という覚悟の意味合いが強く、香川自身「英雄とは苦しいもの」と定義している。
そのため必要な犠牲として優衣を狙いながらも、妨害者を殺害してまで排除することは極力避けており、その一方で妻子が人質に取られた際は葛藤の末に見捨てる決断を下すなど、「最小限の犠牲」という枠内であれば良くも悪くも一切の区別がない。
そのスタンスはまるで血の通わない冷徹な合理主義者さながらだが、意外にも家族に見せる素顔は明朗そのものであり、口調こそ堅苦しい敬語調のままながら深い愛情と人間味を感じさせる。
対立する蓮から見てもその愛情は紛れもなく本物であり、故にこそ矛盾めいたものを感じずにはいられなかったようで、「何故だ? あんな家族を持つお前がどうして優衣の命を狙える?」と疑問を顕にしている。
対する香川は「あなたみたいな人には到底理解できないでしょうね」と冷たくあしらっており、その内面に渦巻いているはずの葛藤を窺わせない。
もし彼が単なる利己主義者であればライダーワールドの願いを横取りする様な反則や、自分や身内が巻き込まれないためだけにオルタナティブを使う選択もできたはずであり、
仲村のような私怨ではなく、全く無関係な第三者の立場でありながら渦中に飛び込んだことから、ベクトルはさておいて彼自身が強い使命感と正義感を持った人間であることは確かである。
情緒不安定で内向的な東條に対しても一人の教え子として真摯に接しており、彼の才覚を高く買いつつも、その歪んだ人間性をなんとか矯正しようと腐心していた。
その為、東條からも絶大な信頼を置かれるが、故に彼の言葉を至上のものとした東條が「英雄」に固執する遠因となり……。
以下ネタバレ
ライダー達との戦いが激しくなる中、東條がオルタナティブの所持者である仲村を殺害した為、自らオルタナティブのプロトタイプ「ゼロ」を使用し戦いに参加。
瞬間記憶能力を活かしたハイレベルな戦闘技術を見せつけ、更に戦いを激化させる。
優衣を狙う香川たちを疎ましく思った士郎に妻子を人質にされた際には葛藤の末、家族を見捨てて士郎と対決する道を選択するなど非情な決断を下したこともあった。
この時は真司の助力により妻子は守られたが、ここで家族の無事に喜ぶ姿を見せたことで「英雄」について歪んだ考えを持つ東條に不信を抱かれてしまう。
そして
佐野を雇う形で協力を得て遂に優衣をミラーワールドに引きずり込むことに成功するが、突然東條から裏切りの一撃を受ける。
先生、僕、ミラーワールドを閉じるの嫌になっちゃって。ライダーの戦いに勝ち残るのが、真の英雄かなって。
うつ伏せ状態で引きずられた末にタイガのクリスタルブレイクを正面から受けバックルは粉々に。生身に戻った香川は眠るような姿で東條に抱えられ消滅していった。
「大切な人」を失うことが強さに繋がると考えた彼の「英雄」像のために志半ばで命を落とすこととなってしまったのである。
後に彼の研究資料は真司の手にわたり、ミラーワールドに関する情報が与えられた。
新たな世界が創られた
最終回には他のライダーのように再登場していないが、おそらく
ミラーワールドとは無縁で妻子共々穏やかな生活を送っているはずだろう。
ただし
別の世界ではファンガイアになっていたり、息子が
ゾディアーツになっているという噂も……?
◆オルタナティブ・ゼロ
スーツアクター:押川善文
香川教授が神崎士郎の研究資料とタイガのカードデッキを参考に独自に完成させた疑似ライダー。
その名は「代替案」や「代わりの~」を意味する
英単語「alternative」から取られている。
また、『龍騎』という作品における仮面ライダーは「神崎士郎によって開発されたカードデッキで変身する者」を指す関係で、『仮面ライダー』の名を冠しない(見た目自体は従来のライダーに近いが)。
変身ポーズは右手でデッキをかざし、上空へ放り投げ、一歩前へ出て左手で掴み、バックルに装填するというもの。
仲村が変身する量産型の「オルタナティブ」のプロトタイプにあたるが、性能に差はない。
外見には頭部に装飾が追加されている、肩の色が銀、ボディの側面にラインが入っているといった差異がある。
システムには独自の技術が多分に見られデッキやVバックルは独自の形状。しかし基本的な技術は神崎製のライダーと共通。
ミラーワールド内での活動時間は8分25秒と短めだが、その分素の攻撃性能が高く設定されている。
香川自身が戦闘に赴く際に装着し、「瞬間記憶能力」をもって相手の行動パターンを瞬時に記憶し、常に一歩先をいく戦術をとることが可能。
また、契約モンスター・サイコローグのAPは(改造を施されている為)平常時でもサバイブ状態のモンスターに匹敵しその圧倒的な強さは多くのライダーを苦しめた。
本来の予定では仮面ライダーと同様、ゼロを含む13体のオルタナティブを製造予定だったが、香川英行が死亡した為、叶う事がなかった。
今や30代以上の変身者も珍しくなくなってきたものの、当時としては珍しいアラフォーライダー。実にシブい。
【契約モンスター】
◆
サイコローグ
コオロギの特性を持つ人型モンスター。
頭部には多数のケーブルが接続されているのが特徴で、顔の穴(目らしい)からは
ミサイルを放つことも可能。
ゼロを含む「オルタナティブ」全てと契約している(一体を二人で共有しているのか、同族が複数個体いるのかは不明)。
その為か、サイコローグの登場時の音が他のミラーモンスターと異なる。
カードによってオフロードバイク「サイコローダー」へと変形することも可能。
オルタナティブ亡き後は野良モンスターになっていたが、ナイトの飛翔斬で倒された。
『
劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』では
大ショッカーの怪人として登場し、スラッシュダガーを武器に
仮面ライダーBLACK RXと戦った。
スーツは
バズスティンガー ワスプの改造とされる。
他方、サイコローダーは『仮面ライダースーパー1』の「ブルーバージョン」がモチーフであり、またデザイナーの篠原保氏によると劇用車は既存のライダーマシンを改造したもの。
曰く「元々
バイク形態は『出せたらいいな』程度に考えていたが、『アリモノの改造』という条件付きで許可が下りたのでノリノリで仕上げた」とのこと。
【召喚機】
◆スラッシュバイザー
システム音声:枝村みどり
右腕に装着されている籠手型の召喚機。
他のライダー達と異なりスラッシュタイプとなっており、読み取ったカードは青い炎に包まれて消滅する。
また、音声は女性のものとなっている。
【所持しているカード】
スラッシュバイザーに合わせ、読み取りバーコードはカードの横に付けられた独自のデザイン。
AP:6500
サイコローグを召喚する。
因みにこのAPは何とあのマグナギガやドラグブラッカーはおろかダークレイダーさえも凌ぐ数値である。
AP:2000
サイコローグの腕を模した
剣「スラッシュダガー」を召喚する。どう見てもダガーの長さではないのは秘密。
更にこの剣は青い炎を放つ事も出来、幅広を生かして盾にしたりと遠近防の3つをこなす。
AP:2500
一定時間加速攻撃を行うことが出来る。後のシリーズでも度々登場する高速戦闘の先駆け。
AP:4500
サイコローグをバイク形態「サイコローダー」に変形させる。
設定上は存在するが、劇中未使用。また、サイコローダーはファイナルベントでも使用するが、ファイナルベントカードの効果にサイコローグの召喚から変形まで一連で含まれている。
モンスターを蹴散らしたり逃げ切ったり、あるいは騎乗戦のようにバイクに乗りながら戦う可能性を香川は想定していたのだろうか。
AP:8000
「デッドエンド」
サイコローダーに搭乗し、横方向に高速スピンしながら突撃する。見た目はかなりシュール。
劇中ではナイトサバイブの「疾風断」と相撃ちになった。
ナイトサバイブや龍騎サバイブの
必殺技もバイク技であることを考えると、同格の力を持つことを示している意図もあるのかもしれない。
◆シリーズでの活躍
こちらでは原作とは逆に13人の仮面ライダーのプロトタイプとされており、仮面ライダー達の指導者ユーブロンが変身。
カリスマと知性にあふれた良きリーダーであり、殆どのメンバーから疑惑の目で見られていたアダムのことも唯一信じ抜き続けた懐の広い人物。
変身後の名称は特に設定されていないため、ユーブロンの肩書きである「アドベントマスター」が便宜上の名称として扱われることが多い。
デッキは純粋な戦闘の他にアドベント空間への侵入も可能な仕様であり、ベントされたライダーを救出することが出来る唯一の人物。
ベンタラでの戦いで
ゼイビアックス将軍に敗れて死亡したかと思われていたが、実際はベンタラから叩き出されて地球に漂着していた。
ニューメキシコの砂漠でカプセルに入り仮死状態になっていたところをノーマンに発見され、物語後半でレンの手により蘇生。以降はかつてのようにライダー達を率いて
ゼイビアックスと戦った。
それほど積極的に前線に出るタイプではなかったため、あまり変身して戦うことはなかったが、戦闘能力は非常に高く、ドラゴンナイト(龍騎)、ウイングナイト(ナイト)、セイレーン(ファム)、オニキス(リュウガ)の4人を一度に相手取って圧倒できる
ゼイビアックスと1人で互角の勝負が出来るほどであった。
また、ゼイビアックスもユーブロンのデッキのコピー品を所持しており、ユーブロンのふりをしてアダムを襲撃し、彼にユーブロンへの疑念を植え付けた。
スーツは完全新規造形。
撮影終了後は他のキャラのスーツと共に日本に持ち込まれ、手足のラインを剥がしてオルタナティブに流用されたが、何故か額のマークはそのまま残されており、オルタナティブとゼロのハイブリッドになっていた。
◆HEROSAGAの小説「IFの世界」
まさかのゼロを含む13体のオルタナティブが登場した(この時のオルタナティブの装着者達は大学の生徒達)。
この時、
リュウガサバイブに遭遇し戦闘に発展。リュウガサバイブを数で圧倒し、撃破している。
更にゼロのカードデッキをある人物に貸している。
◆余談
「ここ(頭)が勝手に覚えてしまうんですよ。行動パターンもね」
「1人の命と10人の命。どちらか一方しか救えないとしたら、貴方はどちらを選びますか?」
「多くを助ける為に一つを犠牲にする勇気を持つ者が、真の英雄なんです」
「良いですか東条君。英雄になると言うことは、人の命に鈍感になると云う事ではありません。」
「お前の家族にモンスターを付けさせてもらった」
「…神崎君」
「オルタナティブのデッキをここで破棄するかこのまま俺の邪魔を続けるか。どちらか選べ」
「多くを助ける為に一つを犠牲にする勇気、だったな?」
- ↑…というより、仮面ライダーは本来みんなサバイブ級のポテンシャルを持っているんじゃないかと。オーディンが最後に一人勝ちの総取りできるよう、それ以外のデッキは意図的にデチューンされていて、サバイブはパワーアップじゃなく単なる限定解除、当然その思惑の外にあるオルタナティブは最初からサバイブ相当である…と。 -- 名無しさん (2016-01-19 23:01:12)
- 結局神崎兄妹の少ない犠牲で救われたんだよな龍騎の物語は・・・ -- 名無しさん (2016-03-26 00:01:43)
- ↑5そのミラーワールドから現実世界まで一瞬で移動した挙句、そのまま優衣をひきそうになったトラック潰してるんだよなぁオーディンの奴… -- 名無しさん (2016-06-18 19:09:30)
- ↑4(龍騎とナイトの)サバイブと同様にモンスターをバイクにして体当たりという共通点mo -- 名無しさん (2016-09-18 03:47:36)
- なにげにライダーのスペック含めかなりのチート アホの東條が裏切らなかったらもっと戦いが長引いていたと思われる… あと優衣に対する「化物めッ!」がやけにかっこいいw -- 名無しさん (2016-11-22 20:42:26)
- 大勢の無辜の人々が守られるなら大切な人だろうと犠牲にできる香川教授と、世界の全てを敵に回してでも大切な人を守ろうとする蓮。この二人の対比は味わい深かったなあ。 -- 名無しさん (2017-01-21 19:49:02)
- どうでもいいが「答えはもう出ているんですよ」じゃなくて「答えは出ているんですよ」じゃないかな?もう、だと後ろの最初から云々ともつながらないし。 -- 名無しさん (2017-03-01 12:28:42)
- ゼロのスーツは、通常オルタナティブの流用だった為、ダブルオルタナティブは実現しなかったのが残念。 -- 名無しさん (2017-04-25 19:59:41)
- ゴライダーでクロライダーとしての活躍を期待してた自分 -- 名無しさん (2017-08-07 19:50:06)
- ミラーワールド放って置いたら劇場版や最終回みたいにモンスタがー溢れかえって地獄絵図になるから教授のミラーワールドを閉じるって選択も間違ってはいない。正義の仮面ライダーを別に視点で見たのがオルタナティブだったな -- 名無しさん (2017-11-05 08:59:23)
- RXみたいに50億と50億の同じ人数を天秤にかけられた場合はどういう選択肢に至るかな… -- 名無しさん (2018-07-07 14:36:04)
- この人が「英雄」に固執したのは、自分を英雄として鼓舞し続けないと他人の命を奪う重圧に耐えられないから、だと思う。ある意味ライダーたちの「変身!」の掛け声と同じというか -- 名無しさん (2018-10-15 15:06:10)
- ↑2 本編を観た限り絶対に答えを出す人そうだし、その状況でも何かしらの基準でどちらかに決断は下すと思う。 -- 名無しさん (2018-10-20 03:40:33)
- まとも過ぎるくらいまともだけど正義感は勿論能力もあるから動かずにいられない哀しい人 -- 名無しさん (2018-12-29 17:50:14)
- 人を見る目がないのが欠点らしい欠点かな。東條は言わずもがな仲村くんもいずれ仲違いしそうな感じだったし。他に相談出来る相手はいないから仕方ない面もあるけど。 -- 名無しさん (2020-01-05 19:52:13)
- ダガーと言いつつ大剣なのかっけぇな -- 名無しさん (2020-02-12 12:59:31)
- コメント欄のログ化を提案します。 -- 名無しさん (2020-05-01 10:25:32)
- ログ化しました -- (名無しさん) 2020-05-05 10:44:37
- 東條に関してはおかしいのを理解した上で改心させようとしてた感じだけどねー、結果暴走してやられたけど最後を考えると無駄だった訳じゃないと思う -- (名無しさん) 2021-04-30 17:06:08
- 浅倉と真正面の一騎打ちで戦えば、どっちが強いかな・・・? -- (名無しさん) 2022-04-24 16:33:33
- カードダスだとディスパイダーリボーンも6500APじゃなかったっけ? -- (名無しさん) 2022-10-04 03:04:00
- ゼロが シザース ガイ 王蛇 インペラー ファム と一騎討ちの勝負をしたら結果はどうかな シザースには上手く勝てる -- (名無しさん) 2022-12-18 13:30:37
- 人工的な服従回路というデザインがあるサイコローグ、機械的で一目で人が作った感じがするデザインのオルタナティブなど、神崎(表向きに)が作ったとされるミラーライダーシステムは人間が作ったものですらないという説明にも思えてくる。神崎のファイルと東條のデッキを参考に疑似ライダーは作られたが、作った本人である香川先生は「本当にこの技術は神崎士郎が自分の知恵だけで作り出したものなのか?」という疑問はなかったか気になる。もし政府や世界がミラーワールドの存在を知った場合、疑似ライダーを作れた香川先生の技術は人類の希望であることに違いはない。 -- (名無しさん) 2022-12-25 00:38:44
- サイコローダーの劇用車はアリモノのライダーマシンの改造だそうだけど、具体的なベース車ってなんだろう。あの細身のスタイルから見てジェイクロッサーとかダークホッパー辺りかな -- (名無しさん) 2023-03-10 16:34:42
- 204b:13:2900:9a00~によるWikipediaからの丸写しと思われる箇所を削除。 -- (名無しさん) 2023-06-16 19:32:54
- 香川先生は戦いを止めたい、仲村は神崎への復讐、東條は英雄になりたい。全然考えが統一されてないしどの道この一派は仲間割れで消滅する運命だったのかな? -- (名無しさん) 2023-10-21 09:17:07
- 『英雄』の解釈次第では同時に叶えることも可能だったように思う。 -- (名無しさん) 2024-05-01 22:39:00
- 「カードゲームの大会にオリカで参戦する勢力」と言う例えがしっくり来た -- (名無しさん) 2025-02-24 10:42:30
- ↑カードゲームアニメにならいそう。 -- (名無しさん) 2025-03-22 09:47:49
- なんならカードゲームアニメではデッキにないオリカをその場で生成してドローとかするからね…() -- (名無しさん) 2025-03-22 09:58:51
最終更新:2025年02月10日 14:12